公開日 2015/09/02 10:00
「ハイレゾなら全部わかる!」女性声優界のハイレゾ第一人者、今井麻美さんインタビュー
アーティストが感じるハイレゾの魅力とは
声優、歌姫、アニソン、ゲーソン、そしてハイレゾ。脳内キーワード検索の結果、該当したのは今井麻美さんだった。記者の趣味嗜好は置いておくにしても、それにはもちろん理由がある。声優アーティストとして、ハイレゾに対していち早く取り組んできたのが今井麻美さんということだ。
2015年8月現在、16枚目のシングルにして映画『コープスパーティー』の主題歌となる「BABYLON〜before the daybreak」が好評発売中、アルバムはアコースティックアルバムを含めて5枚をリリース。その楽曲数もさることながら、注目すべきは“今井麻美 全アルバムハイレゾ化計画"だ。しかし、この計画は既に現状での完結を迎えている。先に述べた5枚のアルバムは、全てハイレゾ配信が実現したからだ。
ここで驚きなのは、1stアルバム『COLOR SANCTUARY』から最新アルバム『little legacy』まで、全てが“もともとハイレゾで録音"されたものであるということ。ハイレゾ化計画といっても、後からハイレゾにしたものではないのだ。
これは、歌に真摯に向き合う今井麻美さんと、音質を追求した“音マニア"なスタッフ達の出会いがあって初めて実現した稀有な例と言える。もちろん、最新シングルもまた、ハイレゾでの録音が為されているのは言うまでもない。
では、なぜハイレゾなのか? CDと何が違うのか? そんな疑問を抱く方も多いだろう。ということで、今井麻美さんご本人に、ハイレゾをキーワードとして色々なお話をおうかがいした。ハイレゾ録音を進めてきたMAGES.の濱田智之氏にも同席いただいたインタビューは、作り手側も実感するハイレゾのメリットを知ることが出来るものとなった。
▼いきなりのハイレゾ以外をよく聴いている発言
−− まずは、今井さんが普段どんな風に音楽を聴かれているのかをお聞かせください。
今井さん:この仕事を始める前は、音楽を良い音で聴こうって意識があったんです。もちろん全部がそうではなくて、今で言う圧縮音源というか、倍速で録音したテープのように、音質の悪いものも聴いていました。それでも、ここぞと言う時は良い音で聴く、という感じです。けど、いまは逆に、普段は圧縮音源ばかり聴いています。
−− あれ、そうなんですね。イメージとしては悪い音から良い音へと逆になりそうに思いますが、そうではなく。
今井さん:仕事を始めた当初は、音のことはみなさんにお任せしていました。この音はこんな音色にするべきだ、とかお話されているのを、後ろで眺めていたんです。何を言っているのか、全然分かりませんでした。けれど、ある時に皆さんが、この音がって言っている“その音"を聴き取れたんです。「あっ、これか! 私にも聴こえた!」みたいに。それから、色んな音が耳に入るようになってきて、自分の楽曲でもこんな音が入っていたんだ、と後から気づきました。聴けば聴くだけ「分かる、私分かる!」って(笑) でもそうしたら、良い音で聴いてしまうと聴き込んでしまうというか、それに集中してしまうんです。ほかのことができなくなってしまう。これは学生の皆さんに伝えたいですね。勉強中はむしろ音は悪い方が気が散らないよ!(笑) 私も学生の時に、このことに気づきたかったです(笑)
−− 残念、少し遅かったですね。それに気づかれたのは、スタジオのような整った設備があったからでしょうか?
今井さん:うーん、スタジオは大きな音で聴くことが出来ますから、それはあるかもしれません。周りの皆さんがここがって話しているのが「ここか!」ってヒントにもなりますし(笑) けれど、その後は家でも分かるようになったわけですから、良い音が楽しめる環境次第だと思います。あと、生まれつき音がしっかり聴き取れる人とそうではない人がいらっしゃると思うんですけど、そういうものとは関係なく楽しめるんだなって。だって、最初は全然だった私も分かるようになったんですから。
−− 気づくか気づかないか、それ次第なのかもしれませんね。確かに、この曲をちょっと真剣に聴こうと耳を傾けた時に、それが良い音であれば気づきやすいだろうな、と思います。
今井さん:ハイレゾで聴くのは、まさしくそうですよね。音が良いから、色んなことに気づきます。それで、一度気づいちゃったらもう戻れなくなる。けれどそれは悪い意味ではなくって、音楽の新しい魅力を発見できるということだと思うんです。何度も聴いてきた曲でも、これだけの音が鳴っていたんだな、本当はこんな曲だったんだなって。ハイレゾがまだ未体験っていう人は、ぜひ聴いて欲しいって思います。それが私の曲だったら嬉しいですけれど、そうじゃなくても全然大丈夫ですので、ぜひ!(笑)
−− ハイレゾはそれだけのポテンシャルがある反面、良い所も悪い所も出してしまうので、良い音源で楽しんでもらいたいですね。そういった意味では、今井さんの曲はどれも音が良く、入門にも最適だと思います。
今井さん:本当ですか!? わーい、やったー!!(笑) あと、ハイレゾは高級な機器じゃなくても、十分楽しめるのが良いですね。私はハイレゾ音源を聴く時は、ソニーさんのウォークマンを使っています。
今井さん:そうそう、ウォークマンと言えば、この間のライブ(バーステーライブイベント「反省会」)で面白いことがありました!とても大きな会場(豊洲Pit)でいっぱいのお客さんがいらっしゃるなかで、ウォークマンを繋いでのカラオケがあったんですよ。
−− ライブ会場で、ウォークマンで、カラオケですか?
今井さん:ゲストで出ていただいた由実さん(原 由実)の発想なんですけど、凄いですよね(笑) お客さんからリクエストしていただいた曲を鳴らすってなった時に、由実さんが「私、その曲が入ったウォークマン持ってるよ〜」って。それで、広いライブ会場で、こんな小さなウォークマンを繋いで大きなスピーカーから音を出すんですよ。私だったら遠慮して言い出せないというか、思いつかない(笑) しかも、その音が良いんですよ!(笑) もちろん普通に、こうしてヘッドフォンで聴いても、やっぱり良いです。
−− その使い方はおそらく世界初だと思います。ちなみに、ハイレゾ以外も含めて、普段好んで聴かれている音楽はどういったものですか?
今井さん:私は自分のなかでブームが出来たら、その音楽をループでずっと聴いていますね。それで次のブームを見つけたら、その音楽に移っていくんです。ここ数ヶ月は歌手の池田綾子さんの曲をずっと聴いています。
−− ブームの期間は結構長期なんですね。では、その最新ブームはどんな切っ掛けで?
今井さん:そうかもしれません(笑) 池田綾子さんの曲は前から知っていて、お気に入りはTVアニメ「電脳コイル」のエンディングテーマ「空の欠片」です。けど、マイブームになった切っ掛けは「朝焼けのスターマイン」でした。この曲をいただいた時に、どのように歌うか、ずっと悩んでいたんです。何か参考になればと色んな曲を100曲以上聴いたりしました。それでもダメで、あーっ、て頭を抱えていました。ただ、今思うと何となくイメージとして池田綾子さんの歌があったんですが、その時は思い出せませんでした。それで、気分転換をしようとテレビをつけたんです。そうしたらたまたま池田綾子さんが演奏されるところで、その歌を聴いてとても感銘を受けました。それで、なんとかその印象を自分のなかで昇華させて、「朝焼けのスターマイン」に活かしたんです。それから、ずっと池田綾子さんの曲を聴いています。ひとつのアルバムをループして聴いているだけで時間が掛かるのに、いっぱい買いましたから(笑) 長くなるはずですね。
ここで驚きなのは、1stアルバム『COLOR SANCTUARY』から最新アルバム『little legacy』まで、全てが“もともとハイレゾで録音"されたものであるということ。ハイレゾ化計画といっても、後からハイレゾにしたものではないのだ。
これは、歌に真摯に向き合う今井麻美さんと、音質を追求した“音マニア"なスタッフ達の出会いがあって初めて実現した稀有な例と言える。もちろん、最新シングルもまた、ハイレゾでの録音が為されているのは言うまでもない。
では、なぜハイレゾなのか? CDと何が違うのか? そんな疑問を抱く方も多いだろう。ということで、今井麻美さんご本人に、ハイレゾをキーワードとして色々なお話をおうかがいした。ハイレゾ録音を進めてきたMAGES.の濱田智之氏にも同席いただいたインタビューは、作り手側も実感するハイレゾのメリットを知ることが出来るものとなった。
▼いきなりのハイレゾ以外をよく聴いている発言
−− まずは、今井さんが普段どんな風に音楽を聴かれているのかをお聞かせください。
今井さん:この仕事を始める前は、音楽を良い音で聴こうって意識があったんです。もちろん全部がそうではなくて、今で言う圧縮音源というか、倍速で録音したテープのように、音質の悪いものも聴いていました。それでも、ここぞと言う時は良い音で聴く、という感じです。けど、いまは逆に、普段は圧縮音源ばかり聴いています。
−− あれ、そうなんですね。イメージとしては悪い音から良い音へと逆になりそうに思いますが、そうではなく。
今井さん:仕事を始めた当初は、音のことはみなさんにお任せしていました。この音はこんな音色にするべきだ、とかお話されているのを、後ろで眺めていたんです。何を言っているのか、全然分かりませんでした。けれど、ある時に皆さんが、この音がって言っている“その音"を聴き取れたんです。「あっ、これか! 私にも聴こえた!」みたいに。それから、色んな音が耳に入るようになってきて、自分の楽曲でもこんな音が入っていたんだ、と後から気づきました。聴けば聴くだけ「分かる、私分かる!」って(笑) でもそうしたら、良い音で聴いてしまうと聴き込んでしまうというか、それに集中してしまうんです。ほかのことができなくなってしまう。これは学生の皆さんに伝えたいですね。勉強中はむしろ音は悪い方が気が散らないよ!(笑) 私も学生の時に、このことに気づきたかったです(笑)
−− 残念、少し遅かったですね。それに気づかれたのは、スタジオのような整った設備があったからでしょうか?
今井さん:うーん、スタジオは大きな音で聴くことが出来ますから、それはあるかもしれません。周りの皆さんがここがって話しているのが「ここか!」ってヒントにもなりますし(笑) けれど、その後は家でも分かるようになったわけですから、良い音が楽しめる環境次第だと思います。あと、生まれつき音がしっかり聴き取れる人とそうではない人がいらっしゃると思うんですけど、そういうものとは関係なく楽しめるんだなって。だって、最初は全然だった私も分かるようになったんですから。
−− 気づくか気づかないか、それ次第なのかもしれませんね。確かに、この曲をちょっと真剣に聴こうと耳を傾けた時に、それが良い音であれば気づきやすいだろうな、と思います。
今井さん:ハイレゾで聴くのは、まさしくそうですよね。音が良いから、色んなことに気づきます。それで、一度気づいちゃったらもう戻れなくなる。けれどそれは悪い意味ではなくって、音楽の新しい魅力を発見できるということだと思うんです。何度も聴いてきた曲でも、これだけの音が鳴っていたんだな、本当はこんな曲だったんだなって。ハイレゾがまだ未体験っていう人は、ぜひ聴いて欲しいって思います。それが私の曲だったら嬉しいですけれど、そうじゃなくても全然大丈夫ですので、ぜひ!(笑)
−− ハイレゾはそれだけのポテンシャルがある反面、良い所も悪い所も出してしまうので、良い音源で楽しんでもらいたいですね。そういった意味では、今井さんの曲はどれも音が良く、入門にも最適だと思います。
今井さん:本当ですか!? わーい、やったー!!(笑) あと、ハイレゾは高級な機器じゃなくても、十分楽しめるのが良いですね。私はハイレゾ音源を聴く時は、ソニーさんのウォークマンを使っています。
今井さん:そうそう、ウォークマンと言えば、この間のライブ(バーステーライブイベント「反省会」)で面白いことがありました!とても大きな会場(豊洲Pit)でいっぱいのお客さんがいらっしゃるなかで、ウォークマンを繋いでのカラオケがあったんですよ。
−− ライブ会場で、ウォークマンで、カラオケですか?
今井さん:ゲストで出ていただいた由実さん(原 由実)の発想なんですけど、凄いですよね(笑) お客さんからリクエストしていただいた曲を鳴らすってなった時に、由実さんが「私、その曲が入ったウォークマン持ってるよ〜」って。それで、広いライブ会場で、こんな小さなウォークマンを繋いで大きなスピーカーから音を出すんですよ。私だったら遠慮して言い出せないというか、思いつかない(笑) しかも、その音が良いんですよ!(笑) もちろん普通に、こうしてヘッドフォンで聴いても、やっぱり良いです。
−− その使い方はおそらく世界初だと思います。ちなみに、ハイレゾ以外も含めて、普段好んで聴かれている音楽はどういったものですか?
今井さん:私は自分のなかでブームが出来たら、その音楽をループでずっと聴いていますね。それで次のブームを見つけたら、その音楽に移っていくんです。ここ数ヶ月は歌手の池田綾子さんの曲をずっと聴いています。
−− ブームの期間は結構長期なんですね。では、その最新ブームはどんな切っ掛けで?
今井さん:そうかもしれません(笑) 池田綾子さんの曲は前から知っていて、お気に入りはTVアニメ「電脳コイル」のエンディングテーマ「空の欠片」です。けど、マイブームになった切っ掛けは「朝焼けのスターマイン」でした。この曲をいただいた時に、どのように歌うか、ずっと悩んでいたんです。何か参考になればと色んな曲を100曲以上聴いたりしました。それでもダメで、あーっ、て頭を抱えていました。ただ、今思うと何となくイメージとして池田綾子さんの歌があったんですが、その時は思い出せませんでした。それで、気分転換をしようとテレビをつけたんです。そうしたらたまたま池田綾子さんが演奏されるところで、その歌を聴いてとても感銘を受けました。それで、なんとかその印象を自分のなかで昇華させて、「朝焼けのスターマイン」に活かしたんです。それから、ずっと池田綾子さんの曲を聴いています。ひとつのアルバムをループして聴いているだけで時間が掛かるのに、いっぱい買いましたから(笑) 長くなるはずですね。
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