公開日 2016/01/09 08:00

<CES>テクニクス小川氏に聞く「SL-1200G」開発秘話 − OBと共同開発、秘伝の技術継承

ファン待望のアナログプレーヤー
インタビュー:風間雄介 構成:小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
テクニクスは 2016 International CESにて、以前から開発中であることをアナウンスしていたターンテーブル「SL-1200G」を発表した(関連ニュース)。待望のTechnicsターンテーブル復活の背景や企画の意図を、テクニクスブランド事業担当役員の小川理子氏とチーフエンジニアの井谷哲也氏に伺った。

テクニクスブランド事業担当役員の小川理子氏(右)、チーフエンジニア 井谷哲也氏(左)

ターンテーブル構想はテクニクス復活の時点から始動していた

ーー CES 2016のプレスカンファレンスで発表された「SL-1200G」は、さっそく各国のメディアで大きな話題となりました。反響の大きさはどのように感じられていますか。

小川氏 発表直前から公式Facebookにどのくらいの反応があったのかを逐次リポートしてもらっていたのですが、急激な反応は想像以上で、皆様本当に待ってくださっていたのだなと実感しました。昨年のIFAでの開発発表からは時間があったので、その間に興味を持ち続けていただけるよう、なぜ今アナログプレーヤーを企画したのか、そしてその意図も発信してきましたので、発表と同時にこうしたリアクションをいただけたことは非常に嬉しいです。

SL-1200G

ーー やはり、テクニクスはターンテーブルというイメージは強いです。Twitterなどを見るとオーディオファンのみならず、DJの方々からの反響も大きかったようでした。それではまず、SL-1200Gの開発に至った経緯を教えていただけますか。

小川氏 Technicsブランドを復活すると決めた段階で、どういった製品をラインナップするかという議論がありました。まずはベーシックなところでスピーカー、アンプ、プレーヤーを用意することは決定したのですが、「ターンテーブルが欲しい」という要望は必ずあるはずと、当初から考えていました。私は2014年5月から現職に就いたのですが、その段階で「ターンテーブルはどうするか」という問題を提起しました。

ーー テクニクス復活が決まったのとほぼ同時ということですね。

小川氏 2014年9月にテクニクス復活を正式発表するにあたって、皆様から「ターンテーブルはラインナップするのですか?」と質問をいただいたときに、私は壇上でどう答えればいいのか。そう考えたときから始まっていましたね。

ーー ターンテーブル発売の実現に向けて、具体的にはどのような動きをされたのでしょうか。

小川氏 かつてターンテーブルを生産していた福島工場に「当時の金型はどうなっているのか」と問い合わせたことから始まり、開発のために必要な技術者はどこに、どれくらいの人数がいるのかを確認して…そういった調査は先行して行いました。その中で、現役の社員だけではなかなか実現が難しいということがわかり、テクニクスの強力なOBネットワークも使うべきだと考えました。そしてOBへのアプローチもかなりの早い段階で行いました。こうした開発の基礎を整えることが最初のキーポイントでしたね。

ーー 50年の歴史があるテクニクスだからこその、強力なOBネットワークですね。

小川氏 これは偶然なのですが、私も井谷も入社したときの上司が、テクニクスのターンテーブルの生みの親とも言える人物だったのです。二人ともこの伝説的と言える人物の薫陶を受けていたのですね。こうした方々にコンタクトをとっていったのです。

テクニクスの2つのブースを用意。こちらはR1/C700やSL-1200Gのデモを中心としたブース

ーー それは非常に心強いですね。

小川氏 ですが、当初はどこから手を付けていいのか途方に暮れるような状況でした。コンセプトについても、テクニクスがダイレクトドライブの元祖であるということと、アイコニックなSL-1200という存在をどう活かしていくのかを模索しました。

次ページSL-1200Gで目指したのは「ダイレクトドライブの再定義」

1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 XREAL、XREAL Oneが入った「開運福袋2026」を12/11から販売。200セット限定
2 HARBETHの魅力は“声”にあり!色褪せぬエバーグリーンなサウンドを、あえてのアニソンで斬りまくる!
3 5万円で激変、“DCリニア電源”をどう使う?トップウイングの「DC POWER BOX」徹底使いこなし!
4 AVIOT、LDACにも対応した1万円切りの“ピヤホン9”「TE-U1-PNK」
5 mora、ハイレゾ配信12周年キャンペーン第2弾スタート。「ハイレゾ大使」には森口博子が就任
6 『続・太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』#2【後編】- かつしかトリオ『“Organic” feat. LA Strings』リリース記念インタビュー
7 AURAS東京、シアターの常識を覆すかんたん操作&美しいデザインの“エンターテイメント空間”をカスタムメイド
8 LG、リアルタイムAIプロセッサー搭載の4K有機ELテレビ「OLED C5M」
9 【Qobuzダウンロードランキング】ブルーノート東京、夏の風物詩!矢野顕子トリオのライブ盤が1位にランクイン
10 Bowers & Wilkins、「801 D4」を六本木ISETAN SALONEにて特別展示。12/25まで
12/12 10:48 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX