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公開日 2016/09/02 11:23

<IFA>試聴レポ有:ソニー開発者に聞く“ウォークマン”新フラグシップ「WM1」誕生の背景

WM1ZとWM1Aは異なるコンセプトが起点
山本 敦
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UIのデザインも、同じ独自開発のOSを搭載するNW-ZX100やNW-A20シリーズの世代からアップデートされている。またZX100のようにフロント側には物理ボタンを配置していない。

独自OSによる新しいユーザーインターフェースを採用

Android OSについては「便利な面を備えながら、ユーザーの方々から改善を望む声もきこえていた」と大庭氏は説明する。上がっていた声の中には、電源をオンにしてからAndroid OSの起動に時間がかかることや、動作が緩慢に感じられること、そもそも音楽再生以外のマルチアプリ対応は不要という指摘も返ってきていたそうだ。

設定画面を表示。BT機能のオン・オフもアイコン一つで操作できる

「音質面ではAndroid OS、独自OSの間に優劣はありません。ただ、独自OSにすることによってAndroid OSのバージョンアップによる世代間ギャップが生まれない利点もあり、オーディオ再生専用機として継続的なブラッシュアップも図りやすくなります」と大庭氏は続けてその効果を説く。

ハイゲイン出力モードを搭載

タッチパネルによる直感的な操作とハードウェアキーを組み合わせてポケットに入れたまま操作ができる利便性を受け継ぎながら、いわば理想的な形に整ったというわけだ。

反面、Wi-Fi接続ができなくなったので、アプリを追加して音楽配信サービスの音を高品位に楽しむことはできなくなる。DLNA再生の機能を使っていた方にとってもそのオプションはWM1シリーズからは使えない。従来のAndoridウォークマンのユーザーにとっては、買い換え・買い増し後に不満を感じる点も出てくるかもしれない。

ただ独自の組み込みOSを採用することで、沢山のバックグラウンドプロセスが動作するAndroid OSの場合と比べてバッテリーの駆動時間によい影響が出てくることも指摘できる。ところが、WM1シリーズではオーディオ回路自体の消費電力が上がっているため、例えば96kHz/24bitのハイレゾ音源を再生した場合、ZX2では43時間の連続駆動に対応してものがWM1Zでは30時間に短くなっている。

■IFA会場でWM1シリーズを聴いた

IFA2016の会場に出展されていた実機のサウンドを確認してみよう。会場にはフラグシップヘッドホンの「MDR-Z1R」が用意されており、ヘッドホンに付属する4.4mm端子のバランスケーブルで接続した状態で、WM1シリーズの2機種を試聴することができた。

IFAの会場ではMDR-Z1Rと組み合わせて音を聴くことができた

インピーダンスが64Ωとやや高めのヘッドホンだが、バランス接続時には250mW×2の大出力を実現したWM1シリーズのハイパワーにより軽々とドライブできる。

WM1AのサウンドはZX2の底力を一段と引き上げた、正常進化のラインに位置づけられる。マイケル・ジャクソンの「スリラー」から『Billie Jean』では、冒頭のドラムスの低域が俊敏に立ち上がり、引き締まったリズムをたたき出す。

量感もさらに太さを増した印象だ。ボーカルの輪郭が鮮明度を上げ、クリアに口元の情景を描き出す。高域の伸びやかさと華やかさにも一段と艶が乗る。帯域のバランスの良さはZX2譲りながら、わずかに物足りなさを感じる場合があった中低域のつながりと厚みが一皮剥けて向上した実感が得られる。

WM1Zはそのスケール感が飛躍的に向上している。セパレーションの良さと、音としてきこえない空気感、済んだ緊迫感が伝わってくる。パワーの再現が底知れず、Z1Rとの組み合わせではスピーカーで聴くサウンドのような立体的なステレオ感を描き出す。

ボーカルは声の輪郭に鋭さと切れ味の良さがある。しっとりとした空気の艶やかさが肌にまとわりつくような臨場感がある。音色が鮮やかで、音源に驚くほどのリアリティが伝わってきた。

なおアンバランス出力もZX2の15mW×2の出力から、WM1シリーズでは60mW×2と約4倍のドライブ力に高めているので、ハイインピーダンスのヘッドホンも単独で鳴らせるパワーを備えたことが特徴だ。

■音楽をいい音で楽しむための多彩な機能

WM1シリーズから新設された「ソースダイレクトモード」は、あらゆる“音もの機能”をオフにして音源を忠実に再現するための設定だ。オンオフを切り替えると、ボーカルの声がより鮮明になり、余韻の階調感にもきめ細かさが加わった。

次ページ「WM1Z」と「WM1A」、選ぶならどっち?

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