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PR 公開日 2022/07/27 06:35

AKM、さらなる音質改善に挑む。デジ/アナ分離のアイデアを継承、設計ノウハウを磨き上げたフラグシップDAC「AK4499EX」

これからのDACチップの進むべき道筋に大きな一石を投じる
岩井 喬
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旭化成、ハイグレードなオーディオ用DACチップの供給を再開!



今年1月、旭化成エレクトロニクス(以下、AKM)からオーディオ用DAC/ADCチップのサンプル供給再開が発表され、2月にはVELVET SOUNDブランドの主力DACチップであった「AK4490」「AK4493」を再設計した「AK4490R」「AK4493S」の発表も続き、いよいよAKMブランドが還ってくるという期待が高まってきた。2020年10月、AKMのDACチップを含む製造を担っていた宮崎県延岡市にある半導体工場が火災に見舞われ、国内外のセットメーカーに対して製品の供給も停止。関係する業界だけでなく、エンドユーザーである我々にも大きな衝撃を与えた災害であった。

AKMの半導体シリーズのなかでも、特に音質にこだわったラインナップのみに与えられる「VELVET SOUND」。原音重視、情報量と力強さの両立を狙ったシリーズとなっている

AKMだけでなく、他社の半導体工場で発生した火災や、コロナ禍等の様々な要因が重なり世界的な半導体不足が引き起こる情勢下。冒頭でも述べたAKMからのサンプル供給再開や新製品の発表は、AKMが再びオーディオ用DACを供給できるようになるのにどれだけの時間がかかるのか、不安に感じていたなかでの吉報であった。

そして4月。VELVET SOUNDの中でもフラグシップとなる“VERITA”の称号を与えられた最高峰の電流出力型DACチップ「AK4499EX」が発表されたのである。5月に開催された「HIGH END MUNICH 2022」でもAK4499EXは評価ボードとともに出展され、世界各国の来場者にそのポテンシャルの高さ、音質の良さをアピール。多くの反響を得た出展となったことも記憶に新しい。

5月にドイツで開催された「HIGH END MUNICH 2022」にて世界初お披露目されたフラグシップ「AK4499EX」。ヨーロッパを中心に世界中のメーカーから大きな反響を獲得した

AK4499EXは2018年に発表されたAKM初の電流出力型フラグシップDACチップ「AK4499」に代わるものではあるが、単純な置き換えではなく、2020年3月に発表されたデジタルセクションとアナログセクションを分離させた、AKMの新たな提案であるセパレートDAC構成の枠組みとして設計されている。

「AK4499」の基本構成を受け継ぎながらも、デジタルとアナログを分離した2チップ構成の片翼を担うものとして構想された「AK4499EX」

デジタルフィルターとΔΣモジュレーターを担うデジタル処理用には2020年3月に発表されている「AK4191」を用い、AK4499EXはアナログDACを担う2チップ構成のソリューションだ。この2チップによるセパレートDAC構成については、2020年夏にAK4191と、当時新製品として発表された電圧出力型アナログDACチップ「AK4498」の詳細について、開発陣へリモート取材を敢行しているので、そちらの記事も参照いただきたい。

市場への供給が叶わなかった「AK4191」+「AK4498」の2チップ構成のアイデアは、最新テクノロジーをまとい「AK4191」+「AK4499EX」として結実した

しかしこの記事の直後、半導体工場の火災が起こり、AK4191+AK4498による新たなセパレートDACは実際の製品へ供給されることはなかった。そしてAK4499についても、先行して採用されたハイエンドポータブル機器でその能力の高さを発揮していたが、本来のポテンシャルをフルで発揮できるであろう据え置き型製品への本格採用を前に生産終了となった。

AK4191+AK4498発表時は、フラグシップである一体型のAK4499と違った個性としてセパレートDACを展開していくという予定であったそうだが、2020年夏の取材時にはセパレートDAC方式でのフラグシップとしてAK4499のアナログDAC版も開発したいという構想も語られていた。こうした流れを踏まえ、今回のAK4499EXはフラグシップとしてのAK4499、そしてAK4191+AK4498で見えてきた新境地を融合させたものであり、多くのリスナーが未だ体験したことがない、『“まるで、そこにいるかのような”音の世界』を堪能できる最高峰のサウンドを実現しているのだ。

次ページオーディオ復活にかける思い。AKM開発チームにインタビュー

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