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公開日 2024/08/07 06:30

【特別インタビュー】タンノイのブランドマネージャー、“モダン・ヘリテージ” な最新スピーカーを語る

100周年プロダクトも計画中
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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イギリスの伝統あるオーディオブランド、TANNOY(タンノイ)。日本では特にクラシック音楽ファンに愛好家が多く、数々の伝説的銘機を生み出してきた。

現在のタンノイは、伝統的なデザインを引き継ぎつつ、ドライバーユニットを最新の素材や開発手法でさらに進化させた“モダン・ヘリテージ”とも言える製品ラインナップを強化している。今回はタンノイのブランドマネージャー、ヴィンセント・ウェイド氏が東京インターナショナルオーディオショウに合わせて来日。最新スピーカーにかけるこだわりを語ってくれた。

タンノイのブランドマネージャー、ヴィンセント・ウェイド氏

英語の辞書にも採用されるスピーカーブランドの名門・タンノイ



ーーはじめまして。東京インターナショナルオーディオショウにお越しくださってありがとうございます。

ヴィンセント:タンノイのブランドマネージャーのヴィンセント・ウェイドです。これまでケンブリッジオーディオで20年以上仕事をしてきて、今年からタンノイのブランド・マネージャーに就任しました。タンノイはいま4つのビジネス・カテゴリーを持っています。エンタープライズ(企業向け)、ホームオーディオ、リテール(ヘッドホン、Bluetoothスピーカーなど)、スタジオ向け機材です。私はエンタープライズ以外のカテゴリーについて担当しています。

タンノイの創業は1926年ですから、まもなく100周年を迎えます。実は英語の辞書には「tannoy」という言葉が「スピーカー」を表す一般名詞として登録されているんです(編集部注:現代で例えると「ググる」という言葉が一般に「検索する」という意味を持つようなイメージ)。

タンノイのスピーカーは、イギリスの国会議事堂(ビッグベン)や、ラスベガスのシーザー・パレス・ホテルの音響にも使われています。実はタイタニックの船舶用スピーカーもタンノイだったんですよ。現代に至るまでさまざまな音響システムを提供し続けてきました。

ーー日本では、特にタンノイはHiFiの世界で非常に人気の高いスピーカーです。

ヴィンセント:えぇ、よく知っています。1976年から今の輸入元で日本への輸入がスタートしました。まもなく50年になりますね。輸入元のティアックさんとも長い信頼関係を築いてきました。

輸入元であるエソテリックの広報担当の町田裕之氏と「Autograph 12」

スタジオモニターの系譜を継ぐ銘スピーカーを現代に復刻



ーー今回新しいスピーカーが日本で初お披露目となります。スタジオモニターの流れを組む “SGMシリーズ” と、日本でも人気の高い “オートグラフ” の現代復刻「Autograph 12」です。これらについてそれぞれ教えて下さい。

ヴィンセント:まずSGMシリーズからお話しましょう。このスピーカーは、1985年に発売されたオリジナルの “Super Gold Monitorシリーズ” の復刻版となります。デザインはオリジナルからインスパイアされていますが、細部はさまざまに現代的にアップデートされています。

SGMシリーズの中でも最大口径の「SGM15」。フロントに3つのポートが設けられている

Super Gold Monitorは、スタジオ業界では広く知られた伝説のスタジオモニターです。そのきっかけになったのは、ダイレクトカッティングでも知られるシェフィールドのダグ・サックス氏で、彼がネットワークなどに手を加えたSGM10を非常に気に入って、長年愛用してくれていました。

ダグ・サックス氏の推薦で、そこからさらに多くのエンジニアに広がっていきました。有名な人ではアル・シュミット。オーディオファイルに人気のダイアナ・クラール作品の多くはアル・シュミットによる録音です。またマイケル・ジャクソンの『スリラー』のマスタリングを手掛けたバーニー・グランドマンもその一人で、この作品づくりにもSGMが使われていたそうです。

今回のSGMシリーズはスタジオモニターではなく家庭用のHiFiを意識して作られたものですが、「アーティストが作った音をそのまま自宅でも楽しめる」というコンセプトとなっています。ユニット口径の異なる「SGM10」「SGM12」「SGM15」の3モデルを用意しており、音についても単なる懐古趣味ではなく、現代のサウンドとしてリチューンされています。

真ん中サイズの「SGM12」。フェライト磁石を採用しさらに磁束密度を強化したデュアル・コンセントリック・ドライバーを搭載する

現代のライフスタイルにも合わせた “オートグラフ”



ーータンノイはスタジオモニターとしても世界的に知られていたのですね。続いて「Autograph 12」についても教えて下さい。

ヴィンセント:「Autograph 12」は初代のAutographが発売されて70周年を記念して作られたものです。オリジナルの「Autograph」は1953年に発売されました。「コンサートホールを我が家に」というキャッチコピーで売り出されたもので、創業者のガイ・R・ファウンテン氏の署名(オートグラフ)が入っていたことからこの名で呼ばれるようになりました。

ミュンヘン・ハイエンドにてデモンストレーションされていた「Autograph12」

オリジナルは大型のバックロードホーン搭載モデルでしたが、こんにちの顧客ニーズには大きすぎますので、12インチのユニットを搭載したひとまわり小さいサイズとなっています。またバスレフ方式でポートは下方向に設置されています。

ドライバーはすべて新規設計となっています。デュアル・コンセントリック・ドライバーのトゥイーターの部分は分割共振を減らすように再設計されていますし、ウーファーも新しく開発されました。またキャビネットも、後ろが少しカーブしたモダンなデザインに変更されています。内部のブレーシング処理なども強化して、とても強度の高いキャビネットにすることができました。

外観は完成していますが、音については現在最終チューニングを行っているところです。今年中には完成させて、来年春には日本でも発売できるようになるでしょう。

ーーSGMシリーズとAutograph、いずれも歴史的な文脈をしっかり引き継ぎつつ、現代的なアプローチで再設計されているのですね、

ヴィンセント:そのとおりです。スピーカーは自宅に置くものですから、サイズやデザインが今のライフスタイルに合うものでなければなりません。もちろん奥様の理解も大切です。

ーー100周年に向けてなにか新しいプロダクトを準備されているのでしょうか?

ヴィンセント:それはとても良い質問です。実は、特別なスピーカーを準備しています。とても象徴的で、コレクター心をくすぐるプロダクトです。いまはまだこれ以上お話することはできませんが、特別な製品であることはお約束します。

ですがわたしたちは100周年に満足しているわけではありません。その先200年を見据えたオーディオブランドでありたいと考えています。これから2年間の間にもさまざまなプロダクトを予定していますから、それも楽しみにしてください。

ーー貴重なお話をありがとうございました!

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