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公開日 2001/01/03 12:32
松下電器産業AVC社・戸田一雄社長が21世紀を語る その3
●松下電器AVC社・戸田一雄社長にインタビューした、新生松下電器の21世紀のAVC戦略。最終回は、激変するマーケットに対応した、同社AVC社の新体制について聞いた。
(Senka21 1月号より)
●ビジネスアーキテクチャをきちんと描く
―― 2001年は、普通の人が普通にいろいろな情報やサービスを享受できる時代になってくる。すると、メーカーのコンセプトの明確さ、すなわち、商品の使いやすさといったことが求められ、それによる企業格差も広がってくるように思います。
戸田 消費者の皆さんにご理解いただけるような商品や販売の手法が大切になりますね。それを実現し、継続していくためにも、かなり上から俯瞰していくという作業も重要になってくると思います。
また、家庭内でのHIIの提案というのも大切になってくると思います。一番入りやすいのは「健康」という部分ですね。ブラウン管や通信を介して、お医者さんとインタラクティブに会話をして、自分の健康をチェック、確認する。また、全ての家電商品にというのは大げさですが、これからはいろいろな商品に、SDカードスロットがついてくる。例えば、奥さんのレシピをSDカードに入れて持っていけば、単身赴任先でも同じメニューが食べられるというわけです。そうなってくると、エンド・トゥ・エンドの、企業の側におけるエンドの幅の広さも今以上に求められてくると思います。
―― 御社は先日、中村社長が2001年からの新しい3ヵ年計画を発表されました。
戸田 ネットワークの時代になり、こういう大きな変化を受ける時代になってきていますから、企業のあり方にも当然変化が求められます。もちろん、松下も変えていかなければなりません。
事業のコンセプトについて言えば、AVC社という名前は変わらないにしても、やる仕事そのものは、これからはAVC、AVCの繰り返しではどうにもならない。言わば、松下電器産業の中の、ネットワークソリューションカンパニーになる意気込みで、それを全員に徹底し、皆がマインドチェンジしてチャレンジしていきます。
ただし、ネットワークビジネスというのは非常にむずかしいんですね。単に、どこかが秀でているというだけではネットワークは組めません。かなり幅の広い、ブロードバンドのテクノロジーが要求されてきます。
最初にしっかりと行うべきことは、ビジネスアーキテクチャーをどう描くかです。ネットワークの構成要素をきちんと確認して、ネットの網を編み込んでいくにあたり、その交点に、何をどのように落し込んでいくのか。穴が空いてしまうのなら、どことアライアンスを結ぶのか。これをしっかり描いた上でビジネスを進めていかなければなりません。
幸いにも松下電器では、あらゆる商品分野で高度な技術レベルがありますし、パッケージメディアについても、DVDをはじめ数々の知的財産を所有しています。通信の分野でも、携帯電話では国内シェアトップをずっとキープしています。非常に変化の激しい時代を迎えていますが、松下電器としては、いままでやってきたことを背景に、新しい環境にすっと入り込めているのではないか、という実感を持っています。
―― マーケットの変化に対する体制づくりは、現在AVC社ではどのような段階にありますか。
戸田 これまでの松下電器は、事業部制という枠組みの中で独立独歩型でひとつの分野を極めていくというかたちを採ってきました。ただ、その中でも、自主責任経営をきっちり果たしていくという良さは、形が変わっても生かしていけると思います。
中村社長の先日の会見では、多くのマスコミが事業部制の解体であるという捉え方をされていました。確かに、ネットワークに対応して事業部制の形は変わります。しかし、製造業が持っているノウハウやスキルをフルに生かし、他の事業分野にも拡大していくことで、製造業を本当に限られたメンバーの中で、自主経営責任のもとに、最高の事業としての目的を発揮していこうということなんです。いわば21世紀型の事業部制ですね。
我々AVC社もより専業に徹すると同時に、ネットワークという結びつきをより強固にしていける組織を目指していきたいと思います。
同時に、流通に対して、それを徹底していけるような仕組みも整えていかなければなりません。自己満足ではもちろんものにならない。今回の営業改革における大きなポイントのひとつは、製販直結だと思います。新設されるパナソニックマーケティング本部も、極めて製造を色濃く意識した軍団になります。そこがダイレクトに流通と商談を行います。また、こちらが決めたことをストレートに伝えて、スムーズに流通に広めていきます。これが、一番の狙いになります。
我々のものづくりの意図をしっかり理解していただき、流通と一緒になって、新しい時代を切り拓いていきたいですね。
―― 製販直結という形で、なお成果が上がってくるのではないでしょうか。
戸田 21世紀の始まりとなる、2001年度に行う組織改革ですから、従来と同様な次元ではなしに、新しい機軸を築くことができるように取り組んでいきます。
(終)
(Senka21 1月号より)
●ビジネスアーキテクチャをきちんと描く
―― 2001年は、普通の人が普通にいろいろな情報やサービスを享受できる時代になってくる。すると、メーカーのコンセプトの明確さ、すなわち、商品の使いやすさといったことが求められ、それによる企業格差も広がってくるように思います。
戸田 消費者の皆さんにご理解いただけるような商品や販売の手法が大切になりますね。それを実現し、継続していくためにも、かなり上から俯瞰していくという作業も重要になってくると思います。
また、家庭内でのHIIの提案というのも大切になってくると思います。一番入りやすいのは「健康」という部分ですね。ブラウン管や通信を介して、お医者さんとインタラクティブに会話をして、自分の健康をチェック、確認する。また、全ての家電商品にというのは大げさですが、これからはいろいろな商品に、SDカードスロットがついてくる。例えば、奥さんのレシピをSDカードに入れて持っていけば、単身赴任先でも同じメニューが食べられるというわけです。そうなってくると、エンド・トゥ・エンドの、企業の側におけるエンドの幅の広さも今以上に求められてくると思います。
―― 御社は先日、中村社長が2001年からの新しい3ヵ年計画を発表されました。
戸田 ネットワークの時代になり、こういう大きな変化を受ける時代になってきていますから、企業のあり方にも当然変化が求められます。もちろん、松下も変えていかなければなりません。
事業のコンセプトについて言えば、AVC社という名前は変わらないにしても、やる仕事そのものは、これからはAVC、AVCの繰り返しではどうにもならない。言わば、松下電器産業の中の、ネットワークソリューションカンパニーになる意気込みで、それを全員に徹底し、皆がマインドチェンジしてチャレンジしていきます。
ただし、ネットワークビジネスというのは非常にむずかしいんですね。単に、どこかが秀でているというだけではネットワークは組めません。かなり幅の広い、ブロードバンドのテクノロジーが要求されてきます。
最初にしっかりと行うべきことは、ビジネスアーキテクチャーをどう描くかです。ネットワークの構成要素をきちんと確認して、ネットの網を編み込んでいくにあたり、その交点に、何をどのように落し込んでいくのか。穴が空いてしまうのなら、どことアライアンスを結ぶのか。これをしっかり描いた上でビジネスを進めていかなければなりません。
幸いにも松下電器では、あらゆる商品分野で高度な技術レベルがありますし、パッケージメディアについても、DVDをはじめ数々の知的財産を所有しています。通信の分野でも、携帯電話では国内シェアトップをずっとキープしています。非常に変化の激しい時代を迎えていますが、松下電器としては、いままでやってきたことを背景に、新しい環境にすっと入り込めているのではないか、という実感を持っています。
―― マーケットの変化に対する体制づくりは、現在AVC社ではどのような段階にありますか。
戸田 これまでの松下電器は、事業部制という枠組みの中で独立独歩型でひとつの分野を極めていくというかたちを採ってきました。ただ、その中でも、自主責任経営をきっちり果たしていくという良さは、形が変わっても生かしていけると思います。
中村社長の先日の会見では、多くのマスコミが事業部制の解体であるという捉え方をされていました。確かに、ネットワークに対応して事業部制の形は変わります。しかし、製造業が持っているノウハウやスキルをフルに生かし、他の事業分野にも拡大していくことで、製造業を本当に限られたメンバーの中で、自主経営責任のもとに、最高の事業としての目的を発揮していこうということなんです。いわば21世紀型の事業部制ですね。
我々AVC社もより専業に徹すると同時に、ネットワークという結びつきをより強固にしていける組織を目指していきたいと思います。
同時に、流通に対して、それを徹底していけるような仕組みも整えていかなければなりません。自己満足ではもちろんものにならない。今回の営業改革における大きなポイントのひとつは、製販直結だと思います。新設されるパナソニックマーケティング本部も、極めて製造を色濃く意識した軍団になります。そこがダイレクトに流通と商談を行います。また、こちらが決めたことをストレートに伝えて、スムーズに流通に広めていきます。これが、一番の狙いになります。
我々のものづくりの意図をしっかり理解していただき、流通と一緒になって、新しい時代を切り拓いていきたいですね。
―― 製販直結という形で、なお成果が上がってくるのではないでしょうか。
戸田 21世紀の始まりとなる、2001年度に行う組織改革ですから、従来と同様な次元ではなしに、新しい機軸を築くことができるように取り組んでいきます。
(終)