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公開日 2001/12/29 17:55
ソニーマーケティング社長・小寺 圭氏に聞く!
ソニーマーケティング(株)代表取締役社長 小寺 圭氏 |
●日本一のビジネスモデルを世界へ発信していきたい
―― 社長に就任された2001年4月以降、御社では随所に若返りが図られたように思います。まずはその辺のことからお話いただきたいのですが。
小寺 歴史、文化が違うように、日本のマーケットは海外とは違うように言われてきましたが、社会がグローバル化していくなかで、マーケットもグローバルな波のなかに入ってきています。9月11日の事件のニュースを見ていても、ニューヨークと東京の距離感が全然ない。しかもこの事件に対して日本のマーケットが敏感に反応してしまう。日本の景気を読む上で、国内だけを見ていては読めない環境になってきています。こういった時代の流れのなかで、今までのやり方も変えていかなければならないと考え、私のようなものを使ってみようと思ったのではないでしょうか(笑)。
―― 海外ではどういったお仕事に携わってこられたのですか。
小寺 欧州のソニーブランドを束ねるソニーヨーロッパでコンシューマーの商品を担当していましたが、欧州は携帯電話もGSMで早くからデジタル化が進んでいましたし、デジタルテレビも早くから広がりを見せていましたから、データ放送なども進んでいました。また、日本に来る3、4年前には、欧州でいろんなネットワークのビジネスに携わっていましたので、そのころのことは今役に立っていると思います。ブロードバンド化にしても、日本は遅れていましたが、ここに来て急速に進んできています。日本はやりだすと早いんですね。ブロードバンド化にしても、デジタル化にしても、これからは欧米を追い越していくと思います。
―― 日本のブロードバンド化もここに来て急速に進んできていますね。
小寺 やはりこれからは日本のマーケットが面白い。安藤社長が言う『Japan Abusolute No・1』というのがありますが、単純にマーケットシェアのトップになるのではなく、日本で一番先進的な活動をしていきたいんですね。例えば、ネットワークとハードウェア、サービスを結び付けながら提供していくなかで、圧倒的に一番を取れるようなビジネスモデルを日本で作り、日本から海外に展開していきたい。そういう意味では、当社がグループのなかで先頭を切って新しいことを推し進めていかなければならないと思っています。
―― それをもう少し具体的に言うと、御社はどうあるべきなのでしょうか。
小寺 今までは号令のもと一気に動くというようなトラディショナルな販売会社としては優秀な形態であったと思います。しかし今はビジネスも複雑になり、デジタル化、ネットワーク化といった部分で、現場にいる人、マーケティングを担当する人にはフレキシブルであることが要求されています。それで、上下左右にもっと自由にコミュニケーションできるようにしていかなければいけないと考えたのです。
―― 経営ということではハイスピード、ハイクォリティでなければならない。
小寺 スピードを得るということでは、階層を減らさなければダメですね。組織はなるべくシンプルに。ただ、それだけでもダメで、組織間のコミュニケーションとか、上下のコミュニケーション、自己アピールができるなど、全体がもっとフレキシビリティを持つようなカルチャーを植え付けていかなければならない。このカルチャーの変革こそが最も大事だと思います。
―― 上下左右ということでは、グループを構成する企業間のコミュニケーションも重要になりますね。
小寺 確かにソニーではいろんなことをやっていますが、一方で各事業がタテ割りで、全体が見えないと指摘されることもありますし、またそれがソニーのダイナミズムだということも言われたりもします。何事にも必ず両面はありますが、これがグループ全体の重要な課題であるという認識はありますね。
ただ、我々にとって需要なのは、ユーザーから見てグループをもっと親しみやすいものにしていくためにはどうしたら良いのかということを考えるべきでしょう。
我々の側から見れば、グループを構成する企業間のシナジーを出していかなければなりません。しかしそれは、お客様から見れば良い場合も悪い場合もあるわけですよね。そういうなかで、我々はユーザーと一番近いところにいますから、どうすればユーザーが満足するのかということを感じ取りやすいところにいるわけで、これをシナジーに反映させていかなければならないと思っています。
カンパニーも細分化されてきて、そのグローバルハブとして出井会長、安藤社長がこれらを束ねていく。カンパニーが大きくなり過ぎれば、採算性などを考えて切り捨てるものも出てきてしまいます。しかし我々から見れば、マーケットがあるのに採算性というひとことで切り捨ててしまうのはどうかと思うわけです。
細分化されてくるとひとつのカンパニーでできることが限られてきますが、自分に与えられたものを生かしていかなければなりませんから、商品を見る目も真剣になってきます。小さくなれば小さいなかで生き残ろうとしますから、100%努力してみようという方向が出てきますよね。
我々はマーケティングカンパニーで、ユーザーに一番近いところにいるわけです。ユーザーが欲しているものをカンパニーにフィードバックしていくことが求められているわけで、そうすることがユーザーの満足とシナジー効果を両立することにつながると思います。
(<後編>に続く)