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公開日 2003/10/09 17:06
≪CEATEC 特別インタビュー≫IFA2003を成功に導いたイエンス・ハイテッカー氏が来日、CEATECの印象を語る
Jens Heithecker(イエンス・ハイテッカー)氏 |
そしてこの秋、日本国内では10月7日より幕張メッセ(日本コンベンションセンター)にて、通信・情報・映像の総合展示会「CEATEC JAPAN 2003」(シーテック=Combined Exhibition of Advanced Technologies)が開催されている。本イベントの視察、そしてIFAとCEATECのパートナーシップ強化を目的に、IFAのインフォメーション・コミュニケーション統轄本部長を務めるイエンス・ハイテッカー氏が来日した。Phile-webでは今回、ハイテッカー氏より特別にインタビューの機会をいただいた。IFA2003ベルリンショーを成功に導いた戦略や、今後のCEATECとIFAのパートナーシップについてなど、興味深いコメントをうかがうことができた。
◆Jens Heithecker(イエンス・ハイテッカー)氏
メッセ・ベルリン
インフォメーション・コミュニケーション統轄本部
部長
インタビュー:Phile-web編集部
--- 今回のIFA2003ベルリンショーにおいて、あらかじめ課題として設定されたこと、そこから獲得された成果についてお聞かせください。
ハイテッカー氏(以下敬称略):IFA2003の開催を前に、私たちは3つのコンセプトをあらかじめ設定し、それに従ってイベントを成功に導いていきました。
一つ目の課題は<時代の要請をきちんと把握したイベントにする>というものでした。今日のデジタル革命を経て、今までのコンシューマー・エレクトロニクスの発展のスタイルとはちがった革新的な技術が登場して来ました。これにともない業界の構造も大きく様変わりしています。こうした業界の変化を、来場者の皆様にわかりやすくはっきりと提示する必要がありました。そのため、今回のイベントでは「6日間・6分野」という新しいコンセプトを掲げ、デジタルコンシューマーエレクトロニクスという大きな枠組みを6つのセグメントに切り分けて、業界の現在を明確に提示することに成功したのです。
二つ目の課題は<イベントの国際性をより高めること>です。もともと「世界最大」「欧州最大」のコンシューマー・エレクトロニクス展として認知を獲得しているIFAですが、2003年のイベントでは来場者、出展者、ディーラー、メディアまでさらに国際色豊かな参加者の方々を獲得できました。例をあげるなら、海外出展企業の割合が前回の49%から66%に増えました。これには、私たちがインフォメーションを9ヶ国語で世界に発信したことが大きく貢献していると思います。
そして三つ目の課題として<新しい製品を紹介し、業界イメージ全体を活性化させる>ことを設定しました。イベントではなるべく多くのイノベーティブな製品を紹介し、メディアにも事前にその情報を広く、素速く伝達してもらえました。この結果、2003年は新規ディーラーの獲得に大きな成果をあげ、受注額25億ユーロと過去最高の記録を打ちたてることができました。
IFAは「トレードショー」、「コンシューマーショー」それぞれ2つの顔をあわせもつイベントです。ディーラー、一般来場者それぞれの方々に内容の異なる2種の情報を上手くお伝えすることができたと思います。今回のトレードショーとしての成功はIFAにとって大きなを意味を持つものです。同時に一般来場者に多く足を運んでいただいたという結果からは、コンシューマー・エレクトロニクス業界全体の盛り上がりを実感しており、こちらも大変価値のある成功であったと考えます。
--- IFA2003ベルリンショーにて特に注目された製品・技術はありましたか。
ハイテッカー:全ての小さなイノベーションまでがエポックメーキングであったと思います。それら全てをひとつの大きなボリュームにまとめあげてアピールすることにも成功しました。もちろんPDP、液晶テレビなど特別に注目を浴びている製品の活躍にも目を見張るものがありました。各出展者の方々のエキシビジョンも、ただ革新的な技術を備える製品を個別に展示するのではなく、それらが私たちの生活にどのように組み込まれ、楽しめるものであるか、エンターテインメントの要素を強く一般来場者に強くアピールするものだったと思います。
--- イベントの広報戦略について力を注いだ点、新しく行った内容などお聞かせください。
ハイテッカー:「IFAはヨーロッパの見本市である」というスタンスを大事にし、欧州各国の言語での情報発信に重きをおきました。雑誌、新聞などプレスによる広報活動には従来どおり力をいれました。プレスを使った広報活動では、業界・一般ともに広く情報を送り出し、イベントの全体像を伝えることができます。今回は発行部数の多い一般誌がIFAに関する情報を多数掲載してくれたので、一般の人々に来場のモチベーションを強く喚起することができたのではないでしょうか。
TVやラジオでは、地上放送を使った一般的なイベントの内容告知から、ケーブルテレビを使った専門的な内容告知と、それぞれのチャンネルにより異なる情報発信をしました。インターネットも大事な役割を果たしたと思います。IFAのサイトにも「バーチャルマーケットプレース」という特設メニューを設置し、出展者やディーラーの方々に事前に濃厚な情報を提供することができ、大変好評を得ることができました。インターネットではIFAのプレゼンテーションに能動的な興味を持つ方々に素速く、個別に情報伝達ができ、なおかつディティールについても伝えられるという特長を最大限に活用することができました。
--- 次回2005年のIFAベルリンショーはどのようなイベントになりそうですか。
ハイテッカー:次回のイベントに向けた準備は既に着々と進んでいます。業界の関係者方とも密に情報交換を行いながら、業界の進む方向、新しい技術などについての情報を数多く集めています。2003のショーの成功を受け、今回ご出展いただいた多くの企業・団体の方々から「次回もぜひ参加したい」という声を数多くいただいています。これらの方々から「展示会場をより広くとり、さらに大規模なエキシビジョンを行いたい」という要望もいただいています。このリクエストにどう応えて行くかを現在模索している段階です。
今回の展示コンセプトは2005年のイベントにも当てはめることのできるものです。「6つの分野」によるセグメンテーションもそのまま継承できるものと思っていますが、新しい技術の登場などによりセグメントを柔軟に増やしていくこともできます。外国企業の参加をより広く呼びかけ、イベントの国際性もさらに高めていきたいと思います。IFAをさらに強力なコンシューマー・エレクトロニクスショーに育て上げ、「他のメッセに出展しなくても、IFAに出展すれば全て足りる」と、皆様にご満足いただけるようなイベントにして行きたいと思います。その夢の実現に向けて、現在着実に前進していると思います。
--- 現在2年ごとに開催されているIFAですが、将来は毎年開催する計画はありますか。
ハイテッカー:これまで業界の新製品開発のサイクルに合わせ2年ごとの開催としていました。デジタル革命を経た今では、新製品が登場するサイクルも驚くほどに速くなり、業界のテンポすでに変わったことを実感しています。現在の製品サイクルに合わせて、イベントを毎年開催する方向も積極的に探っていきたいと考えています。そのためには、出展いただく各企業の方々とも意見を交換し、業界からのサポートと理解を得ることが大事だと考えています。これには日本のメーカーが大きな役割を果たしてくれるものと期待しています。
--- CEATEC JAPAN 2003をご覧になった印象をお聞かせください。
ハイテッカー:今回のCEATECでは、いくつもの印象深いプレゼンテーションを目にすることができたと思います。エキシビジョンの見せ方、演出には素晴らしいものがありました。また、欧州ではこの先登場までに数年くらいかかりそうな、革新的な技術を幾つも目にすることができました。日本の技術力の底力をあらためて思い知らされたように感じています。CEATECとのパートナーシップについては、事務局の方々ともより活発な交流を進めながら、結びつきをより強固なものにしていきたいと思います。
◆PROFILE◆
Jens Heithecker(イエンス・ハイテッカー)
35歳。そのマーケティングの手腕を買われ、2001年9月に伝統あるIFAベルリンショーの事業部長に抜擢される。それから2年間、新しいロゴの採用、キャンペーン・ガールの起用、会期の短縮、斬新な各種マーケティングツールの導入など、次々に新手法を駆使し、今回のIFA2003を躍動感溢れる21世紀のフェアとして成功に導いた。
[ceatec2003report]
(Phile-web編集部)