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公開日 2003/11/20 18:07
アジアの貴重な名作映画に会える!「第4回東京フィルメックス」開催
<左>ソクーロフの新作「ファザー、サン」 <右>香港のポリスアクション「PTU」 |
「新・作家主義国際映画祭」をサブタイトルにする同映画祭は、アジアの新作、世界各地の映画祭で上映された注目作品、映画史上の名作を中心に上映。映画作家と観客を大切にする姿勢で好評を博している。今年は、新旧のイラン映画がコンペと特集で登場。また日本の名匠清水宏監督特集、国際映画祭で話題となった著名監督作品など、アジアの新旧の名作33本が揃う。
アジアの映像の最先端を見せるコンペティション部門
2002年以降に制作された、中国、香港、韓国、イラン、日本の新鋭監督の9作品。
中国作品は山西省のある青年僧の姿をユーモラスに、香港は近未来の世界を終末観あふれるタッチで描く。韓国は、異星人との戦いを信じる若者が主役のエンタテイメントと連続殺人事件のホラー。イランからは、族長が支配する砂漠の村での個と体制の桎梏や、都市テヘランの青少年の現在、アフガニスタンでの映画制作がテーマの三作品を上映。
日本は、俳優田口トモロヲが、漫画家みうらじゅんのバンドの挫折と成長を描いたコミックを原作に第一回監督作品を、九州の映画作家中国正一が「古事記」を現代に置き換えたドキュメンタリーとフィクションの交錯する長編第一作でコンペに参加する。
国際映画祭の話題作と著名監督の新作が登場する特別招待作品
イスラエルのアモス・ギタイは、テルアビブの庶民をコミカルに描いた「アリラ」を、香港映画の俊英トニー・トーはポリス・アクション「PTU」、ロシアのアレクサンドル・ソクーロフが親子の関係を題材にした注目の新作「ファザー・サン」、イランの名匠アボルファズル・ジャリリの自伝的作品「アブジャッド」、韓国のチャン・ソヌの大作「マッチ売りの少女の再臨」など、各国映画祭で上映された話題作と、本映画祭審査員のキム・ギドク(韓国)の最新作、日本の審査員、森崎東監督の特集上映が行われる。
イスラム革命前のイラン映画特集
アッバス・キアロスタミなど、日本でも紹介されてきたイラン映画の巨匠たちの原点にせまる特集。これらの映画の多くは、1979年のイスラム革命後、厳格な検閲体制がひかれたイラン国内では、ほとんど上映の機会がないという。短編から長編の7本を上映。
清水宏生誕100年特集上映
戦前、戦中の松竹、戦後の独立プロ時代を通じて163本の映画を監督した映画監督、清水宏の10作品を上映。
本特集は、国立近代美術館フィルムセンターとの共催。同センターでは、小津安二郎監督作品特集(開催中)とならび、1903年生まれの日本の二人の巨匠監督作品が大小ホールで会することとなった。
1937年の「風の中の子供」は翌年ベネチア映画祭に出品。1948年「蜂の巣の子供たち」は、実際に清水が世話をしていた孤児と素人俳優を起用しオールロケで撮られた。
「小原庄助さん」(1949年)「母情」(1950年)「しいのみ学園」(1955年)では、大川内伝次郎、清川虹子、宇野重吉等、懐かしい往年の名優たちが登場。清水が好んだという乗合バスや美しい日本の山里などを背景に、高度経済成長以前の日本人像と家族の姿が描かれている。
これらは、往年を知る映画ファンだけでなく、家族や子供の問題が複雑化する今、映画通以外の人々や若い人にとっても、あらためて新鮮に見直すことのできるテーマだろう。 また桑野通子、先代の水谷八重子、田中絹代という名女優たちの演じる「恋も忘れて」(1937年)「歌女おぼえ書」(1941年)「簪」(1941年)の3本は今回、ニュープリントでの上映。戦前の松竹大船映画の真価を知る貴重な機会となろう。
また、異国情緒あふれた横浜を舞台に撮影された1933年の無声映画「港の日本娘」は、生演奏伴奏つきで特別上演する。全作品、いずれも英語字幕付き。
トークイベント
本映画祭は、各国映画祭ディレクターを招待しているが、朝日ホール(東京有楽町マリオン11F)前の広場では、映画祭開催期間中、連日、入場無料で、海外ゲスト監督、映画祭ディレクター、俳優等のトークイベントが開催される。
チケット・問い合わせ
チケットは、各作品別日時指定制。特別上映以外の朝日ホール、銀座シネ・ラセットでの上映は、前売り一回券1200円、当日券1500円他。国立近代美術館フィルムセンターでの上映は、当日券一般1000円他。プログラム内容、会場、スケジュール、チケット等、詳細については下記URLを参照。
問合せ:東京フィルメックス事務局 TEL: 03-3560-6394
(山之内優子)