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公開日 2004/07/15 17:40
【コラム】アテネ五輪をハイビジョンで録画する3つの方法
●いよいよアテネオリンピックが近づいてきた。今回は、日本でデジタルハイビジョンが立ち上がってから初めての夏期五輪で、地上デジタル、BSデジタルではハイビジョン放映がメインとなる。
アテネと日本との時差は6時間で、主要競技が日本時間の深夜に行われるケースも多い。このため、目当ての競技をしっかり楽しむためにはレコーダーの活躍が欠かせない。だが、通常のDVDレコーダーでは、ハイビジョン番組を録画することはできず、録画するためには標準画質(SDTV)にダウンコンバートする必要がある。これは何とももったいない。やはりハイビジョン番組はハイビジョンのまま録りたいではないか。
ということで、現時点で可能なハイビジョン録画の方法を以下にまとめてみた。主な方法は3つ。このほか、HDDにハイビジョンが録画できるPCなどもあるが、再生時には標準画質に変更されるため、今回は除外した。
D-VHSならハイビジョン録画システムを安価に構築可能
まず1つ目はD-VHSデッキで録画する方法だ。代表的なモデルは、先日ビクターが発表した「HM-DHX2」。D-VHSデッキとして1年ぶりの新製品で、8月上旬に発売される。D-VHSの最大の魅力はハード、ソフトともに安く手に入る点だ。「HM-DHX2」は10万円前後で販売される予定で、旧機種ならさらに安価で購入できる。後述するBlu-rayレコーダーと比べて格段にローコストで導入が可能だ。テープメディアなのでランダムアクセスが行えない、本体だけでは編集が不可能などのデメリットはあるが、コスト面での優位性はそれらを補って余りある。ディスク系レコーダーが安くなるまでの“つなぎ”として活用する、などという使い方も良いだろう。
ただし、D-VHSデッキでデジタル放送を録画する際には注意が必要だ。現在、地上波デジタル放送とBSデジタル放送の全番組に、「1回だけ録画可能」のコピー制御信号が加えられている。D-VHSデッキでは、録画は問題なく行えるが、録画した番組のダビングは行えない。光ディスクやHDDなら、コンテンツをコピーする際に元のデータを消去する「ムーブ」という操作でデータを移動させることができるが、D-VHSではそれができない。つまり、ライブラリーはテープで保存するしかないのだ。
テープの種類はいくつかあるが、240タイプのテープならBSデジタルハイビジョンが2時間、最も記録時間の長い480タイプなら4時間の録画が可能となっている。
光ディスクの先進性をいち早く体感するならBlu-rayレコーダー
2つ目はBlu-rayディスクレコーダーを活用する方法だが、現状でBlu-rayディスクレコーダーは第1号機のソニー「BDZ-S77」と、7月末に発売されるパナソニック「DMR-E700BD」の2機種しかない。「DMR-E700BD」は、片面2層記録による長時間録画、地上デジタルチューナー内蔵など「BDZ-S77」にはないスペックを備えるが、逆に「BDZ-S77」が装備するi.Link端子は省かれている。このため、HDDレコーダーやD-VHSデッキとの連携を行うことはできない。
Blu-rayディスクレコーダーでは、DVDレコーダーと同様にランダムアクセスが行え、メニュー画面から好きなコンテンツに一瞬でジャンプすることができる。また、ディスク単体で編集が行えるため、ライブラリーとして残す際にも重宝するだろう。さらに、ディスク容量が大きいため、アナログ放送などを標準画質で長時間記録するといった使い方もできる。「DMR-E700BD」でサポートされた片面2層記録なら50GBの容量があり、最もビットレートの低いEPモードなら約63時間の録画が可能となっている。
一つ注意したいのは、ハイビジョン映像は情報量が大きく、現在のBlu-rayディスクレコーダーでは追いかけ再生を行うことができないこと。再生と録画を同時に行うためには、データの転送能力が足りないのだ。「DMR-E700BD」では、DVD-RAMディスク使用時のみ追いかけ再生が可能となっている。
また、再生専用規格「BD-ROM」が将来的に登場する予定だが、これには「BDZ-S77」「DMR-E700BD」の2機種とも未対応となっている。
大容量HDDならハイビジョンを長時間録画できる
3つ目の方法は、ハードディスクに録画するもの。シャープのDVDレコーダーは以前からハイビジョン録画対応のレコーダーを発売しているほか、アイ・オー・データ「Rec-POT」シリーズはチューナーレスのシンプルなスタイルで人気を集めている。
シャープ「DV-HRD200」は、400GBの大容量HDDを搭載したDVDレコーダー。7月末に発売される新製品だ。地上・BS・110°CSデジタルチューナーを内蔵し、HDDにハイビジョンを録画することができる。HDDにはハイビジョン放送約34時間を記録できるが、連続記録時間は最大12時間となる。録りためた映像は編集なども可能。さらにi.Link端子により、コンテンツをD-VHSに“ムーブ”することもできる。また逆に、D-VHSで録った番組を本機に移動することも可能。ハイビジョンで録った番組をDVDにダビングすることもできるが、この場合、映像は標準画質にダウンコンバートされる。
アイ・オー・データ「Rec-POT M(HVR-HD160M)」は、160GBのハードディスクを積んだHDDレコーダー。チューナーを内蔵せず、i.Link端子でデジタルチューナーやテレビと接続して使用する。シンプルな構成のため価格が安く、5万円前後で購入が可能となっている。i.Link端子は2系統装備しているので、D-VHSデッキと繋いでコンテンツを移動することも可能。また、複数のRec-POTを数珠繋ぎにして利用することもできる。さらに、本機ではRec-POTの旧機種で行えなかったコピーワンス番組の“ムーブ”に対応している点も見逃せない。
見てきたように、ハイビジョンを録画できるレコーダーはまだまだ少ないが、目的がしっかりと定まっていれば、それに合ったモデルは必ず見つかるはずだ。ライブラリーを蓄え始めるのは、早ければ早いほどいい。アテネ五輪をきっかけにハイビジョン録画ライフをスタートしてみよう。
(Phile-web編集部・風間)
アテネと日本との時差は6時間で、主要競技が日本時間の深夜に行われるケースも多い。このため、目当ての競技をしっかり楽しむためにはレコーダーの活躍が欠かせない。だが、通常のDVDレコーダーでは、ハイビジョン番組を録画することはできず、録画するためには標準画質(SDTV)にダウンコンバートする必要がある。これは何とももったいない。やはりハイビジョン番組はハイビジョンのまま録りたいではないか。
ということで、現時点で可能なハイビジョン録画の方法を以下にまとめてみた。主な方法は3つ。このほか、HDDにハイビジョンが録画できるPCなどもあるが、再生時には標準画質に変更されるため、今回は除外した。
D-VHSならハイビジョン録画システムを安価に構築可能
まず1つ目はD-VHSデッキで録画する方法だ。代表的なモデルは、先日ビクターが発表した「HM-DHX2」。D-VHSデッキとして1年ぶりの新製品で、8月上旬に発売される。D-VHSの最大の魅力はハード、ソフトともに安く手に入る点だ。「HM-DHX2」は10万円前後で販売される予定で、旧機種ならさらに安価で購入できる。後述するBlu-rayレコーダーと比べて格段にローコストで導入が可能だ。テープメディアなのでランダムアクセスが行えない、本体だけでは編集が不可能などのデメリットはあるが、コスト面での優位性はそれらを補って余りある。ディスク系レコーダーが安くなるまでの“つなぎ”として活用する、などという使い方も良いだろう。
ただし、D-VHSデッキでデジタル放送を録画する際には注意が必要だ。現在、地上波デジタル放送とBSデジタル放送の全番組に、「1回だけ録画可能」のコピー制御信号が加えられている。D-VHSデッキでは、録画は問題なく行えるが、録画した番組のダビングは行えない。光ディスクやHDDなら、コンテンツをコピーする際に元のデータを消去する「ムーブ」という操作でデータを移動させることができるが、D-VHSではそれができない。つまり、ライブラリーはテープで保存するしかないのだ。
テープの種類はいくつかあるが、240タイプのテープならBSデジタルハイビジョンが2時間、最も記録時間の長い480タイプなら4時間の録画が可能となっている。
光ディスクの先進性をいち早く体感するならBlu-rayレコーダー
2つ目はBlu-rayディスクレコーダーを活用する方法だが、現状でBlu-rayディスクレコーダーは第1号機のソニー「BDZ-S77」と、7月末に発売されるパナソニック「DMR-E700BD」の2機種しかない。「DMR-E700BD」は、片面2層記録による長時間録画、地上デジタルチューナー内蔵など「BDZ-S77」にはないスペックを備えるが、逆に「BDZ-S77」が装備するi.Link端子は省かれている。このため、HDDレコーダーやD-VHSデッキとの連携を行うことはできない。
Blu-rayディスクレコーダーでは、DVDレコーダーと同様にランダムアクセスが行え、メニュー画面から好きなコンテンツに一瞬でジャンプすることができる。また、ディスク単体で編集が行えるため、ライブラリーとして残す際にも重宝するだろう。さらに、ディスク容量が大きいため、アナログ放送などを標準画質で長時間記録するといった使い方もできる。「DMR-E700BD」でサポートされた片面2層記録なら50GBの容量があり、最もビットレートの低いEPモードなら約63時間の録画が可能となっている。
一つ注意したいのは、ハイビジョン映像は情報量が大きく、現在のBlu-rayディスクレコーダーでは追いかけ再生を行うことができないこと。再生と録画を同時に行うためには、データの転送能力が足りないのだ。「DMR-E700BD」では、DVD-RAMディスク使用時のみ追いかけ再生が可能となっている。
また、再生専用規格「BD-ROM」が将来的に登場する予定だが、これには「BDZ-S77」「DMR-E700BD」の2機種とも未対応となっている。
大容量HDDならハイビジョンを長時間録画できる
3つ目の方法は、ハードディスクに録画するもの。シャープのDVDレコーダーは以前からハイビジョン録画対応のレコーダーを発売しているほか、アイ・オー・データ「Rec-POT」シリーズはチューナーレスのシンプルなスタイルで人気を集めている。
シャープ「DV-HRD200」は、400GBの大容量HDDを搭載したDVDレコーダー。7月末に発売される新製品だ。地上・BS・110°CSデジタルチューナーを内蔵し、HDDにハイビジョンを録画することができる。HDDにはハイビジョン放送約34時間を記録できるが、連続記録時間は最大12時間となる。録りためた映像は編集なども可能。さらにi.Link端子により、コンテンツをD-VHSに“ムーブ”することもできる。また逆に、D-VHSで録った番組を本機に移動することも可能。ハイビジョンで録った番組をDVDにダビングすることもできるが、この場合、映像は標準画質にダウンコンバートされる。
アイ・オー・データ「Rec-POT M(HVR-HD160M)」は、160GBのハードディスクを積んだHDDレコーダー。チューナーを内蔵せず、i.Link端子でデジタルチューナーやテレビと接続して使用する。シンプルな構成のため価格が安く、5万円前後で購入が可能となっている。i.Link端子は2系統装備しているので、D-VHSデッキと繋いでコンテンツを移動することも可能。また、複数のRec-POTを数珠繋ぎにして利用することもできる。さらに、本機ではRec-POTの旧機種で行えなかったコピーワンス番組の“ムーブ”に対応している点も見逃せない。
見てきたように、ハイビジョンを録画できるレコーダーはまだまだ少ないが、目的がしっかりと定まっていれば、それに合ったモデルは必ず見つかるはずだ。ライブラリーを蓄え始めるのは、早ければ早いほどいい。アテネ五輪をきっかけにハイビジョン録画ライフをスタートしてみよう。
(Phile-web編集部・風間)