HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2005/05/03 12:14
GW特別企画:薄型テレビの最新トレンドを追う(2)液晶テレビ編
薄型テレビの最新トレンドをお伝えする本企画、第2回目は液晶テレビ編をお届けする。
プラズマテレビと同じく、液晶テレビも、キーデバイスとなるのは表示パネルである。「第○世代」という言葉を聞いたことがある方は多いだろうが、この世代が代わる際に、ガラス基板のサイズが大型化し、一枚のガラス基板から取れる液晶パネルの数が増え、性能も向上するというサイクルを繰り返してきた。
世界最大の液晶パネルサプライヤーであるサムスンとソニーが手を組み発足させた、S-LCD(株)では、次世代の第7世代ガラス基板によるパネルを4月に出荷開始した。このパネルを搭載した液晶テレビが近々登場するものと思われる。
さらにシャープでは、同社の亀山工場に第2工場を立ち上げることを明らかにしている。2006年10月に稼動開始予定の新工場では、第7世代を飛び越えて一気に第8世代のガラス基板を用いる。主に40型、50型のテレビに使用される予定だ。
うまく歩留まりをコントロールできれば、世代が進むことでパネルの生産コストも下がる。1枚のガラス基板から取れる液晶パネルの数が増えれば、液晶パネル1枚あたりのコストが低くなるからだ。
これらの各社の取り組みから見ると、これからも液晶パネルの大型化、価格低下が急速に進むものと予想される。これにあわせてパネルの性能も高まり、画質も向上することは確実だ。
液晶パネルで最近大きな話題を呼んでいるのが「IPS」方式だ。IPSはIn-Plane-Switching(横電界)方式液晶の略称。電圧がかかると液晶分子が基板と平行に回転するため、広視野角に加え、見る方向による色調変化が少なく、どこから見ても自然な画像が表示できるのが特徴だ。日立製作所、東芝、松下電器の合弁会社である(株)IPS アルファテクノロジが生産を行っている。
さて、同じパネルでも、映像処理回路の性能向上や、パネル駆動技術の改善、バックライトの変更などで画質は大幅に変わる。パネルそのものの世代交代は長いスパンが必要で、かつ大規模な投資が必要だが、これらの細かい改善は少しずつ、だが着実に行われている。
映像処理回路については、各社がこぞって宣伝等で訴求しているので、その詳細をご存じの方も多いだろう。ソニーの「WEGAエンジン」、パナソニックの「PEAKS」、ビクターの「GENESSA」、日立製作所の「Picture Master」などが代表格だ。いずれも処理のアルゴリズムを工夫し、高速化を図ることで、解像感や色再現性の向上などを実現している。
先頃、パネル駆動技術で新たなブレークスルーを果たしたのが松下電器の新VIERA「LX500」シリーズだ。
液晶テレビは一般的に動画応答性が低く、動画ボケが多いと指摘される。液晶デバイスは次の映像信号が来るまで直前の映像を表示し続ける特性(ホールド表示)があるためだ。LX500シリーズでは、新開発の「クリアフォーカス駆動」で応答性を飛躍的に高めた。
この「クリアフォーカス駆動」は、「フレームクリエーション」 と 「バックライトスキャン」という2つの技術で構成される。
「フレームクリエーション」は、同社独自の動きベクトル解析技術を用い、前後の映像フレームから新たに映像フレームを作成・補間することで、動画残像の原因となるホールド時間を短くし、残像を低減する技術。これまでの秒間60フレームから90フレームに増やし、ホールド時間を約30%短縮して 1/90秒(約11.1ミリ秒)と短くする。これに、各フレーム間でバックライトの一部を順次消灯させることで、残像を低減する「バックライトスキャン」を組み合わせることで、動画ボケを低減させた。
バックライト技術で大きな進化を果たしたのは、ソニーの「QUALIA 005」だ。本シリーズでは、バックライトに、世界で初めてLEDバックライトシステム“トリルミナス”を採用。 これによりNTSC比105%、また従来のCCFL(冷陰極管)方式に近いsRGBと比較すると150%もの広色域となり、赤、緑のそれぞれの方向の再現力が広がった。
LEDバックライトは液晶テレビの画質を高める技術として注目されているが、コストが高いこと、制御や画作りが難しいことなどからまだ普及が進んでいない。
ここまで画質面の各社の特徴を見てきたが、もちろん、製品の魅力は画質だけで決まるわけではない。その他の機能面でも、各社各様の差別化が図られている。
デジタルチューナーのダブル搭載で先鞭をつけたのはソニーのWEGAシリーズだ。チューナーを2つ搭載すれば、デジタル放送同士の2画面視聴が可能なほか、裏番組録画なども可能になる。これは将来的に、薄型テレビの標準的な機能に成長する可能性が高い。
リモコンによる、電動首振り(スイーベル)機能を訴求しているメーカーもある。三菱電機のREALシリーズでは、左右30度ずつ回転できる「オートターン機能」のほか、手動で上下約5度ずつ調整できる「チルト機能」も搭載する。また、日立のWOOOシリーズも古くからスイーベル機能を備えている。
新機軸といえるのが、テレビにHDDを内蔵した東芝の“ちょっとタイム[フェイス]”シリーズだ。テレビの台座部分に160GBのハードディスクドライブを搭載し、EPGからの録画予約が行える。ハイビジョン番組の録画も可能。
本機の最大の売りである「ちょっとタイム」機能は、テレビを視聴している際、リモコンの「ちょっとタイム」ボタンを押すと、HDDに番組を録画し始め、もう一度ボタンを押すと録画し始めたところへ瞬時に戻ることができるというもの。録画コンテンツを視聴している際、スキップボタンを押せば見たいところまで早送りすることもできる。ただし同社では、「HDDはあくまで一時キャッシュ用」とし、リムーバブルメディアにダビングすることはできない。
あすはリアプロジェクションテレビについてお伝えする。
(Phile-web編集部)
プラズマテレビと同じく、液晶テレビも、キーデバイスとなるのは表示パネルである。「第○世代」という言葉を聞いたことがある方は多いだろうが、この世代が代わる際に、ガラス基板のサイズが大型化し、一枚のガラス基板から取れる液晶パネルの数が増え、性能も向上するというサイクルを繰り返してきた。
世界最大の液晶パネルサプライヤーであるサムスンとソニーが手を組み発足させた、S-LCD(株)では、次世代の第7世代ガラス基板によるパネルを4月に出荷開始した。このパネルを搭載した液晶テレビが近々登場するものと思われる。
さらにシャープでは、同社の亀山工場に第2工場を立ち上げることを明らかにしている。2006年10月に稼動開始予定の新工場では、第7世代を飛び越えて一気に第8世代のガラス基板を用いる。主に40型、50型のテレビに使用される予定だ。
うまく歩留まりをコントロールできれば、世代が進むことでパネルの生産コストも下がる。1枚のガラス基板から取れる液晶パネルの数が増えれば、液晶パネル1枚あたりのコストが低くなるからだ。
これらの各社の取り組みから見ると、これからも液晶パネルの大型化、価格低下が急速に進むものと予想される。これにあわせてパネルの性能も高まり、画質も向上することは確実だ。
液晶パネルで最近大きな話題を呼んでいるのが「IPS」方式だ。IPSはIn-Plane-Switching(横電界)方式液晶の略称。電圧がかかると液晶分子が基板と平行に回転するため、広視野角に加え、見る方向による色調変化が少なく、どこから見ても自然な画像が表示できるのが特徴だ。日立製作所、東芝、松下電器の合弁会社である(株)IPS アルファテクノロジが生産を行っている。
さて、同じパネルでも、映像処理回路の性能向上や、パネル駆動技術の改善、バックライトの変更などで画質は大幅に変わる。パネルそのものの世代交代は長いスパンが必要で、かつ大規模な投資が必要だが、これらの細かい改善は少しずつ、だが着実に行われている。
映像処理回路については、各社がこぞって宣伝等で訴求しているので、その詳細をご存じの方も多いだろう。ソニーの「WEGAエンジン」、パナソニックの「PEAKS」、ビクターの「GENESSA」、日立製作所の「Picture Master」などが代表格だ。いずれも処理のアルゴリズムを工夫し、高速化を図ることで、解像感や色再現性の向上などを実現している。
先頃、パネル駆動技術で新たなブレークスルーを果たしたのが松下電器の新VIERA「LX500」シリーズだ。
液晶テレビは一般的に動画応答性が低く、動画ボケが多いと指摘される。液晶デバイスは次の映像信号が来るまで直前の映像を表示し続ける特性(ホールド表示)があるためだ。LX500シリーズでは、新開発の「クリアフォーカス駆動」で応答性を飛躍的に高めた。
この「クリアフォーカス駆動」は、「フレームクリエーション」 と 「バックライトスキャン」という2つの技術で構成される。
「フレームクリエーション」は、同社独自の動きベクトル解析技術を用い、前後の映像フレームから新たに映像フレームを作成・補間することで、動画残像の原因となるホールド時間を短くし、残像を低減する技術。これまでの秒間60フレームから90フレームに増やし、ホールド時間を約30%短縮して 1/90秒(約11.1ミリ秒)と短くする。これに、各フレーム間でバックライトの一部を順次消灯させることで、残像を低減する「バックライトスキャン」を組み合わせることで、動画ボケを低減させた。
バックライト技術で大きな進化を果たしたのは、ソニーの「QUALIA 005」だ。本シリーズでは、バックライトに、世界で初めてLEDバックライトシステム“トリルミナス”を採用。 これによりNTSC比105%、また従来のCCFL(冷陰極管)方式に近いsRGBと比較すると150%もの広色域となり、赤、緑のそれぞれの方向の再現力が広がった。
LEDバックライトは液晶テレビの画質を高める技術として注目されているが、コストが高いこと、制御や画作りが難しいことなどからまだ普及が進んでいない。
ここまで画質面の各社の特徴を見てきたが、もちろん、製品の魅力は画質だけで決まるわけではない。その他の機能面でも、各社各様の差別化が図られている。
デジタルチューナーのダブル搭載で先鞭をつけたのはソニーのWEGAシリーズだ。チューナーを2つ搭載すれば、デジタル放送同士の2画面視聴が可能なほか、裏番組録画なども可能になる。これは将来的に、薄型テレビの標準的な機能に成長する可能性が高い。
リモコンによる、電動首振り(スイーベル)機能を訴求しているメーカーもある。三菱電機のREALシリーズでは、左右30度ずつ回転できる「オートターン機能」のほか、手動で上下約5度ずつ調整できる「チルト機能」も搭載する。また、日立のWOOOシリーズも古くからスイーベル機能を備えている。
新機軸といえるのが、テレビにHDDを内蔵した東芝の“ちょっとタイム[フェイス]”シリーズだ。テレビの台座部分に160GBのハードディスクドライブを搭載し、EPGからの録画予約が行える。ハイビジョン番組の録画も可能。
本機の最大の売りである「ちょっとタイム」機能は、テレビを視聴している際、リモコンの「ちょっとタイム」ボタンを押すと、HDDに番組を録画し始め、もう一度ボタンを押すと録画し始めたところへ瞬時に戻ることができるというもの。録画コンテンツを視聴している際、スキップボタンを押せば見たいところまで早送りすることもできる。ただし同社では、「HDDはあくまで一時キャッシュ用」とし、リムーバブルメディアにダビングすることはできない。
あすはリアプロジェクションテレビについてお伝えする。
(Phile-web編集部)