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公開日 2005/05/04 12:36
GW特別企画:薄型テレビの最新トレンドを追う(3)リアプロ編
薄型テレビの技術トレンドをお伝えする本企画、第3回目はリアプロ編をお届けする。
「第3の薄型テレビ」として、最近にわかに脚光を集めているのがこのリアプロジェクションテレビだ。もともとアメリカでは高い人気を誇り、最近では中国やアジア市場で販売を伸ばしているのをご存じの方も多いだろう。
リアプロジェクションテレビとは、文字通り、スクリーンに背後から映像を投射するテレビを指す。かつては、表示デバイスとしてCRT(ブラウン管)が使われていたが、映像が暗い、周辺との輝度差が大きい、筐体が大きいなどの理由から、あまり国内では人気を集めなかった。
アメリカでは現在もCRTタイプのリアプロが販売されているようだが、主流となっているのは、映像デバイスにLCDやDLP、D-ILAなどのマイクロデバイス(MD)を搭載した製品だ。MDリアプロは、CRT搭載製品とは一線を画す高画質を実現しているほか、光の投射経路を工夫することによって、奥行きもこれまで以上に短くすることに成功している。スタンドを含めたサイズでは、プラズマなどと大差が無いものまである。
リアプロの最大の武器はコストの安さだ。スクリーンと小型のマイクロデバイスさえあれば大画面を表示できるので、大型化しても製造コストが跳ね上がらない。さらに、マイクロデバイスは前面投写型プロジェクターの技術を応用することが可能で、まったく同じものを転用することもある。
このため、70インチや80インチなど、まだ商品レベルではプラズマや液晶が実現不可能なサイズを、手頃な価格で実現することができる。
これらの特徴により、かつてのマイナスイメージを払拭し、さらには液晶テレビやプラズマテレビに勝る魅力を打ち出せるかどうかが、国内における普及拡大の鍵を握る。
さて、リアプロの画質は、デバイスとスクリーンの性能でほとんどが決まる。まずマイクロデバイスについて見ていくと、これは透過型液晶、反射型液晶、DLPの3つに大別される。
透過型液晶は、液晶プロジェクターなどに使われているのとおなじもので、セイコーエプソンが力を入れている。エプソン「LIVINGSTATION」などに搭載される。
反射型液晶は、ビクターが開発したD-ILA、ソニーが開発したSXRDに分けられる。いずれも透過型液晶に比べて高開口率で、投射画面のグリッド(格子縞)が目立ちにくいとされている。
ビクターはD-ILAを搭載した61V型、52V型リアプロ「ビッグ スクリーン エグゼ」シリーズを今年5月に発売し、プラズマ、液晶に続く柱に育てる考えだ。
ソニーも、SXRDリアプロを“QUALIA 006”として3月に発売した。サイズは70V型で、168万円と高価だが、その画質の高さは多くの評論家が認めている。
DLPは、テキサスインスツルメンツ(TI)が独自に開発したもの。微細なミラーを高速で動かし、画素表示のオン/オフを切り替える。フロントプロジェクターでお馴染みの技術で、高コントラスト、高精細な映像が特徴だ。
これまでリアプロ用のDLPパネルは720pのものしか無かったが、4月より1920×1080ドット、1080pのリアプロ用DLPパネルが出荷開始された。このパネルを搭載したテレビは、米国で7月にも販売される見込み。TIでは、「これまで75機種以上が市場出荷されている720pの製品を、1080pの製品が補完して行くと予想される」としている。
続いてスクリーンの技術動向も見てみよう。ソニーのQUALIA 006では、Hレンチキュラースクリーンに加え、新たにVレンチキュラースクリーンを採用。上下視野角を大幅に改善したという。また、スクリーンの素材にガラスを使用することにより歪みのない映像を実現し、スクリーン表面に反射防止処理を施すことで外光の画面への写りこみも防止している。
そのほか、エプソン「LIVINGSTATION」では、ピッチを従来比の1.5倍に高めた新開発のPB(ピュアブラック)スクリーンを採用。表面処理を変更し、映り込みを大幅に抑えている。
あすはSED、有機ELなどその他の方式についてお伝えする。
(Phile-web編集部)
「第3の薄型テレビ」として、最近にわかに脚光を集めているのがこのリアプロジェクションテレビだ。もともとアメリカでは高い人気を誇り、最近では中国やアジア市場で販売を伸ばしているのをご存じの方も多いだろう。
リアプロジェクションテレビとは、文字通り、スクリーンに背後から映像を投射するテレビを指す。かつては、表示デバイスとしてCRT(ブラウン管)が使われていたが、映像が暗い、周辺との輝度差が大きい、筐体が大きいなどの理由から、あまり国内では人気を集めなかった。
アメリカでは現在もCRTタイプのリアプロが販売されているようだが、主流となっているのは、映像デバイスにLCDやDLP、D-ILAなどのマイクロデバイス(MD)を搭載した製品だ。MDリアプロは、CRT搭載製品とは一線を画す高画質を実現しているほか、光の投射経路を工夫することによって、奥行きもこれまで以上に短くすることに成功している。スタンドを含めたサイズでは、プラズマなどと大差が無いものまである。
リアプロの最大の武器はコストの安さだ。スクリーンと小型のマイクロデバイスさえあれば大画面を表示できるので、大型化しても製造コストが跳ね上がらない。さらに、マイクロデバイスは前面投写型プロジェクターの技術を応用することが可能で、まったく同じものを転用することもある。
このため、70インチや80インチなど、まだ商品レベルではプラズマや液晶が実現不可能なサイズを、手頃な価格で実現することができる。
これらの特徴により、かつてのマイナスイメージを払拭し、さらには液晶テレビやプラズマテレビに勝る魅力を打ち出せるかどうかが、国内における普及拡大の鍵を握る。
さて、リアプロの画質は、デバイスとスクリーンの性能でほとんどが決まる。まずマイクロデバイスについて見ていくと、これは透過型液晶、反射型液晶、DLPの3つに大別される。
透過型液晶は、液晶プロジェクターなどに使われているのとおなじもので、セイコーエプソンが力を入れている。エプソン「LIVINGSTATION」などに搭載される。
反射型液晶は、ビクターが開発したD-ILA、ソニーが開発したSXRDに分けられる。いずれも透過型液晶に比べて高開口率で、投射画面のグリッド(格子縞)が目立ちにくいとされている。
ビクターはD-ILAを搭載した61V型、52V型リアプロ「ビッグ スクリーン エグゼ」シリーズを今年5月に発売し、プラズマ、液晶に続く柱に育てる考えだ。
ソニーも、SXRDリアプロを“QUALIA 006”として3月に発売した。サイズは70V型で、168万円と高価だが、その画質の高さは多くの評論家が認めている。
DLPは、テキサスインスツルメンツ(TI)が独自に開発したもの。微細なミラーを高速で動かし、画素表示のオン/オフを切り替える。フロントプロジェクターでお馴染みの技術で、高コントラスト、高精細な映像が特徴だ。
これまでリアプロ用のDLPパネルは720pのものしか無かったが、4月より1920×1080ドット、1080pのリアプロ用DLPパネルが出荷開始された。このパネルを搭載したテレビは、米国で7月にも販売される見込み。TIでは、「これまで75機種以上が市場出荷されている720pの製品を、1080pの製品が補完して行くと予想される」としている。
続いてスクリーンの技術動向も見てみよう。ソニーのQUALIA 006では、Hレンチキュラースクリーンに加え、新たにVレンチキュラースクリーンを採用。上下視野角を大幅に改善したという。また、スクリーンの素材にガラスを使用することにより歪みのない映像を実現し、スクリーン表面に反射防止処理を施すことで外光の画面への写りこみも防止している。
そのほか、エプソン「LIVINGSTATION」では、ピッチを従来比の1.5倍に高めた新開発のPB(ピュアブラック)スクリーンを採用。表面処理を変更し、映り込みを大幅に抑えている。
あすはSED、有機ELなどその他の方式についてお伝えする。
(Phile-web編集部)