アップル、動画再生対応「iPod」を発売−音楽PVなど動画コンテンツの販売も開始

アップルコンピュータは、動画の再生に対応した「iPod」や音楽管理ソフト「iTunes 6」など、新製品・新サービスを発表した。

■iPod

動画の再生に対応した「iPod」の新モデル。来週に出荷を開始する。30GBモデルは34,800円、60GBモデルは46,800円。カラーはホワイトとブラックを用意する。製品型番は、「MA002J/A」(30GB ホワイト)、「MA146J/A」(30GB ブラック)、「MA003J/A」(60GB ホワイト)、「MA147J/A」(60GB ブラック)。

ディスプレイは2.5インチのカラー液晶で、解像度は320×240、表示色数は26万色。

再生対応ビデオフォーマットはH.264とMPEG-4で、H.264は最高768kbps/30フレーム、MPEG-4は最高2.5Mbps/30フレームの映像が再生できる。ビデオの解像度は、H.264の場合320×240、MPEG-4の場合480×480までをサポートする。

バッテリーの充電時間は約4時間。連続再生時間は、ビデオ再生時は30GBモデルが最長2時間、60GBモデルが最長3時間。音楽再生時は同じく14時間/20時間の連続再生が行える。

入出力端子は、底面のDockコネクターと、オーディオ/コンポジットビデオ兼用のステレオミニ端子を装備する。ステレオミニ端子に別売りのAVケーブルを接続し、テレビなど外部機器に映像を表示することもできる。

これまでと同様、静止画の表示もサポート。JPEGやGIFなどの静止画をサムネイルで表示したり、画面いっぱいに拡大してスライドショー再生したりすることができる。

さらなる小型化も果たした。これまでの20GB iPod（MA079J/A）の薄さが16.1mmだったのに対し、今回の30GBモデルは11mm、60GBモデルでも14mmと、容量や機能を向上させながら薄型化を実現している。

■iTunes 6

音楽管理ソフト「iTunes」もバージョンアップし、「iTunes 6」が本日から公開された。前バージョンの「iTunes 5」はiPod nanoの発表と同時に公開されたので、わずか5週間でメジャーバージョンアップを遂げたことになる。

「iTunes 6」では、友人や知人に楽曲をプレゼントできる「オンラインギフト機能」、評価やコメントを書き込める「カスタマーレビュー機能」、これまでの購入履歴からおすすめの楽曲を自動的に推薦する「Just for You 機能」など、細かな改善点に加え、動画への対応がさらに進化した。

「iTunes 6」からアクセスできるiTunes Music Storeでは、新たにプロモーションビデオやテレビ番組、ビデオPodcastのなど提供を開始する。

アメリカのiTunes Music Storeでは約2,000本のPVが販売されるが、日本では数十曲でスタートする。アーティストも、今のところU2やスティング、カニエ・ウェストなど海外アーティストに限られている。PVの価格は、アメリカでは1曲あたり一律1.99ドル。国内では300円で販売されている。

テレビ番組では、アメリカでは3大ネットワークの1つ、abcが人気番組「LOST」 「Desperate Housewives」を含む5番組の提供を開始。放送の翌日からダウンロードが可能で、価格は1番組あたり1.99ドル。テレビ番組の国内での提供については明らかにされていない。

また、ジョブズ氏がCEOを務めるピクサー社の短編アニメも用意。6本の作品が提供され、こちらもアメリカは1.99ドル、国内では300円で販売されている。

このほか、ビデオPodcastも提供される予定だが、現在のところ国内のiTunes Music Storeでは提供は始まっていない。

■iMac

デスクトップパソコン「iMac」もマイナーチェンジした。新iMacでは、ビデオカメラ「iSight」をディスプレイ上部に内蔵。購入したらすぐにビデオチャットを楽しめるほか、管理プリクラのような静止画撮影ソフト「Photo Booth」も同梱する。また、「Front Row」と言う新たな操作環境も提供。同梱のリモコンで操作する新しいインターフェースで、動画や静止画、音楽などをiPodなどと似たインターフェースで操作できる。

リモコンは非常にシンプルで、ボタンの数は6つのみ。中にマグネットが仕込まれており、使わないときはiPodの右側面にくっつけておける。

筐体がさらに薄くなったのも特徴。新たな20インチモデルは、これまでの17インチモデルより薄いという。

価格は17インチモデルが152,800円、20インチモデルが199,800円。

■「ホリデーシーズン史上最強のラインナップ」

本日、アメリカ・サンノゼで今回の新製品、新サービスの発表会が行われ、日本国内ではその模様がビデオ上映された。

アップルCEOのスティーブ・ジョブズ氏は、まず新しいiMacを発表。ビデオカメラが本体に内蔵され、ビデオチャットがますます便利になったことや、リモコンを同梱し、映像や音声をシンプルに楽しめる新インターフェース「Front Row」により、「ソファーに座りながら様々なエンターテイメントにアクセスできる」と魅力をアピールした。

その後、プレゼンテーションはiPodの話題に移った。ジョブズ氏は、「5週間前に発売したiPod nanoは、17日間で100万台を販売し、大ヒットしている。だが、ホワイトiPodはどこにいったのか？ これも信じられないほどの大ヒットを記録した製品だが、そろそろ取り替える時期が来た」と述べ、新しいiPodを紹介。上記で紹介した動画再生などの新たなフィーチャーを説明した後、「Watch your music」という新しいキャッチフレーズや、エミネムの曲を使った新テレビCMを紹介した。テレビCMでは、これまで通り人物のシルエットを使った表現が使われているが、バックの色が単色から模様に変化し、よりアーティスティックになった印象だ。

「iTunes 6」のプレゼンテーションでは、U2のPVを使って動画の再生デモを行ったほか、「abcの親会社であるウォルト・ディズニー社とは20年来のつきあいだ」と述べ、最近ウォルト・ディズニー社のCEOに就任したロバート・アイガー氏を壇上に招いた。

ジョブズ氏はアップルとピクサーのCEOを兼務しているが、長年ピクサーのアニメーション供給を受けていたウォルト・ディズニー社は、ピクサーから作品供給を打ち切られ、自前でのCGアニメ制作に乗り出している。アイガーCEOはこのような因縁を皮肉った軽いジョークを飛ばした後、今回のテレビ番組の提供について「偉大なコンテンツと偉大なテクノロジーの組み合わせだ」とアピールした。これを受け、ジョブズCEOも「今後成し遂げる、大きなものの第一歩」とテレビ番組の提供を位置づけ、今後さらに事業を拡大する意向をうかがわせた。

ジョブズ氏は、今回の新製品や新サービス、また先日発売したばかりのiPod nanoなどについて、「これまでのホリデーシーズンのラインナップの中で最強の製品群」と述べ、市場での人気獲得に自信を示した。

（Phile-web編集部）