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公開日 2006/05/11 16:27

That'sのCPRM対応DVD-Rは品質にこだわりぬいた − 開発者インタビュー(鈴木桂水レポート)

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◆なぜいま「CPRM対応」が注目されるのか

HDD&DVDレコーダーの市場は、急速な勢いでアナログ専用機からデジタルチューナー搭載機にシフトしている。デジタルチューナー搭載機なら、ハイビジョン番組を含むデジタル放送を、そのままの画質でHDDに録画し再生が可能。必要に応じてDVDビデオ同等の画質に変換することで、DVDメディアに保存もできる。

ただし基本的にコピーに制約のないアナログ放送に比べ、デジタル放送には録画番組を一度しか他のメディアへ移動させないコピーガード機能“コピーワンス信号”が付いている。たとえばHDDに録画した番組をDVDに移動した場合は、HDD上のオリジナルは消去されてしまう。

デジタル放送はすべてのDVDメディアに記録できるわけではなく、著作権保護技術の「CPRM」に対応したメディアにしか保存できない。高画質のデジタル放送だが、こと録画や保存についてはとても扱いづらい面も持っているのだ。


ムーブ機能の概説 [資料提供:太陽誘電(株)]
コピーワンス番組はHDDからDVDへ保存した時点で、HDD上から自動的に消去される。これを「移動(ムーブ)」処理という。移動は「CPRM対応」のメディアにしか行えない。DVDに記録した番組は、他のメディアへ移動できないので、コピーワンス番組の保存には信頼できるメディアが必要になる

現在CPRM対応のメディアはDVD-RW、DVD-RAMという2種類の書き換え可能タイプと、書き込み専用のDVD-Rの、合計3種類がある。デジタル放送の記録には書き換え型DVDメディアが主に選ばれていたが、このところ追記専用のDVD-Rメディアにも注目が集まっているという。そこで今回は、CPRM対応のDVD-Rメディアを発売するリーディングメーカーである太陽誘電の方々に、その魅力とメディア選びのコツを伺った。


太陽誘電(株)水谷氏

太陽誘電(株)矢田氏
今回はThat'sブランドを手がける太陽誘電(株)記録メディア事業部事業企画部の水谷元穂氏、同事業部 技術部の矢田久佳氏にお話を伺った

◆DVD-Rはデジタル放送の録画にも相性の良いメディアだ

━━CPRM対応メディアでは、繰り返し使えるDVD-RAM、DVD-RWは登場が早かったので、DVD-Rよりもデジタル放送の記録用メディアとして認知されていると思います。後発でスタートしたCPRM対応のDVD-Rの魅力はどこにあるのでしょう。

水谷氏:DVD-RAM、DVD-RWは書き換え型といってもデジタル放送は一度しか「ムーブ」できませんので、その意味では「追記型」DVD-Rも違いはありません。むしろ一番普及しているDVDメディアとしてお馴染みですから使い易さ、手軽さで優位性があると思っています。

矢田氏:書き換え型DVDよりも、書き込み速度が速いという特徴もあります。現在DVD-RWは6倍速、DVD-RAMは5倍速が最大書き込み速度です。しかしCPRM対応のDVD-Rなら8倍速や16倍速の高速での書き込みが可能です。

━━デジタル放送をDVDに移動するには再エンコード(ハイビジョン画質からDVD画質に変換する作業)が発生するので、記録は実時間です。ならば高速書き込みは関係ないのではないでしょうか?

矢田氏:いいえ、違います。録画時にレコーダー側でDVD画質にして録画すれば、移動時に再エンコードは発生しません。たとえば2時間の映画なら、録画時にSPモード(DVDメディアに2時間記録)を選んで録画しておけば、高速書き込みが可能です。デジタル放送はデータ容量が多いので、番組の録画数を優先しようと思うと、レコーダーが500GBクラスのHDDを搭載していても、あっという間に容量は無くなると思います。これからは、普通にデジタル放送を録画するようになり、これからは用途に合わせて画質を調整し録画するようになると思います。そうなると高速書き込みのメリットを感じられるはずです。

◆That'sは「メディアの信頼性」にこだわり、新しいCPRM対応DVD-Rを完成させた

━━CPRM対応のDVD-Rでも商品によって価格差があるようですが?

水谷氏:CPRM対応DVD-Rは、一度しか記録できないデジタル放送を記録するために開発されています。そのためThat'sブランドは安価な海外生産に頼るのではなく、商品開発、設計、製造、検査というすべての行程を国内で行っています。それだけ品質にこだわりを持って製品と向き合っています。ですから現在はCPRM対応DVD-Rは低価格よりも信頼性を重視しています。すでにCPRM対応DVD-Rメディアにも粗悪な製品が市場に出回っています。実は粗悪なメディアを使ってもHDDの番組はDVDへ移動できてしまうことが実験で確認できています。粗悪なメディアに番組を移動すると、再生時にブロックノイズが発生して見苦しい映像になってしまいます。ひどい場合は画面全体がモザイク状になってしまい、内容が確認できないこともあります。しかし、デジタル放送は、DVDへ移動が完了した時点でHDD上の番組は消去されるので、貴重な録画番組を失うことになります。



280以下:規格内/280以上500未満:実用上は問題のないレベル

500以上1400未満:画像がブロックノイズなどでちらつく、瞬停の可能性が高いレベル

1400以上:ブロックノイズが大きく発生し、画像停止する可能性が高いレベル
PIエラーと画像の関係 [資料提供:(株)アルメディオ]
記録データから読み取れないデータの発生をカウントする「PIエラー」テストを行って計測したところ、That'sブランドのメディアはエラーの数がDVDの規格内の280以下に収まっていた。それ以外のメディアはブロックノイズなどの発生が気になる500以上や、視聴に堪えない1200以上のエラーを発生させるメディアもあった

※PIエラー(Inner-code Parity error)とは
DVD規格に準拠したエラー測定の値。280個/8ECC以下が規格値で、280個を越えるとデータの補正・修正が困難になり、再生に不具合が発生することがある


━━なぜThat'sブランドのDVD-Rはエラー発生が少なかったのでしょうか。

矢田氏:エラー発生を低くするためには“高品質・高性能なメディア”に“正しい記録位置に、正しい記録”を行う必要があります。まず、高品質のメディアについては、先ほど、お話のあった再エンコードに伴う低速記録から、8×、16×などの高速記録まで、安定した特性が得られる色素材料の開発とそのベースとなる高精度基板の製造が重要となります。また、Discへの記録はそのDiscの特性にあった、レーザー出力や、ストラテジー(記録条件)が必要です。記録条件が合わないと、特性の良いメディアでも、エラーが発生し最悪再生できなくなります。DVDメディアにはメディアIDと呼ばれるコードがあり、推奨記録パワー、ストラテジーなどの情報が記録されており、それに合わせてDVDドライブ・レコーダは記録用レーザーの出力を調整して最適な記録をします。That'sブランドのDVD-Rは、国産の全レコーダーメーカーと記録技術の共有・協働を行っており、どんなレコーダーでも最適な記録ができるよう働きかけています。




That's DVD-Rの記録メカニズム [資料提供:太陽誘電(株)]
That'sブランドではシュミレーションを用いて最適に記録できる色素を開発。1倍速から8倍速まで安定した記録を実現できた

今回のThat'sブランドの製品に関する特長を伺い、一方で市場の一部には粗悪なCPRM対応DVD-Rメディアが存在することを脅威に感じた。デジタル放送はコピーワンス方式により、DVDに記録できてしまえばオリジナルは消えてしまう。もし粗悪メディアを知らずに使ったなら、一度しか放送されない貴重なお宝番組を保存し損ねるのだ。アナログ放送ならHDDにオリジナルが残っているので、再度、DVDへダビングできるが、デジタル放送では不可能だ。これからはいっそうDVDメディアの「品質」に厳しく目を光らせなければならないようだ。



鈴木桂水(Keisui Suzuki)
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、日経BP社デジタルARENAにて「使って元取れ! ケースイのAV機器<極限>酷使生活」、徳間書店「GoodsPress」など、AV機器を使いこなすコラムを執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら

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