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公開日 2006/12/15 10:52

東京サマーランドでデジタルラジオは受信できるか? 佐藤和俊の「W44S」体験記(上)

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12月1日、全都道府県で地上デジタル放送が開始されたこの日、もう一つのデジタル放送が始まった。東京と大阪のみだが、地上デジタルラジオ放送(以下 地ラジ)の準備放送が開始されたのだ。これまで、受信機がないまま社団法人デジタルラジオ推進協会(DRP)の試験放送が一日数時間行われていたが、今月八日にKDDIから「W44S 」(ソニーエリクソン製)が発売され、このケータイで快適に地ラジが受信できるようになった。

ワンセグからLISMO上の通信によるクリップキャスト、着うたフル、そしてEZチャンネルプラスまで、これ1台で多彩なサービスが楽しめる。今回、KDDI広報部のご厚意で、本機を借りることができ、実際に都内各地で試聴してみた。まずその第一弾を速報ベースでお届けする。

地上デジタルテレビはUHFの電波を使用するが、地ラジはVHFを利用する。本機を見た時の一番の特徴は、ワンセグケータイに比べてアンテナが長いこと。地ラジは暫定的に、2011年までの間、VHFの7chが割り当てられており、東京タワーと奈良県の生駒山から配信されている。なお、初期設定後に割り当てられるチャンネルは東京なら、数字番号「1」にTOKYO FMが、「4」にNHK.VICSがという具合。全部で8局受信できる。

本放送の出力に比べれば10分の1以下なので、都心といえどもビルの間では受信できないこともあるが、今回テストした秋葉原電気街の路地、池袋サンシャイン横、新宿副都心のビルの谷間などでは、快適に受信することができた。

秋葉原・音元のビルがある近所でも快適受信。ワンセグが切れるビルの谷間でも視聴可能な場所もあり

筆者の千駄ヶ谷事務所室内だと東京タワーから直進する電波が室内にも入ってくる

●山手線、中央線、車内で受信テストを敢行

山手線内では、駅内ではとぎれることも少なくないが、御徒町から大崎にかけては山手線の内側が見えるように立って乗車すれば楽しめる。試しに中央線に乗り、八王子まで受信に挑んだが、高円寺あたりで途切れがちになった。ちなみにその時、本機のワンセグ受信ではMXTVも全く問題なく受信できる。八王子ではワンセグキー局の受信も厳しいので、車内受信は全く不可能。

しかし、知り合い宅のテレビアンテナを借り、同軸の+側をアンテナに巻きつけ、-側を筐体のアースがとれる場所に強引に押し付けたら復調できた。カーラジオなどの感度の高いアンテナを接続した場合は、恐らく八王子あたりまでの高速ドライブ受信は可能だと予想できる。車内受信では、江東区錦糸町駅前の京葉道路でも、フロントガラス付近でアンテナを伸ばした状態で受信できた。

●東京サマーランドの観覧車内でも何とか受信に成功

ちなみに、無謀にも、八王子付近で一番高い建物と思われる、「東京サマーランド」の観覧車でも実験したところ、なんとデジタルのTOKYO FMが復調。ただし、観覧車が新宿方面を見渡せる場所でのみ受信ができた。周回している時間の半分程度なら受信が可能というところか。

観覧車の名前はスターホイル。高さ約60m、海抜220m。推測だが、海抜150mあたりから受信できるようだ

地ラジを聴きながら、観覧車デートできる若者がちょっとうらやましいかも..W44Sは本体の音はかなり大きいのも特徴的だ。画面写真:(C)TOKYO FM

●音質は良好、H.264による動画配信にも期待

著作権の関係で、アナログラジオとはほとんど違う番組が流されているが、音質はアナログFMやケータイダウンロードのLISMOと同等、もしくは地ラジが聴きやすいと感じた。MPEGオーディオでの圧縮に付きまとうシャリシャリした音が少ない。なお、TFMとFM大阪が提供するチャンネルは、ワンセグと同等の簡易動画をH.264で配信しているので、音楽の解説やそのニュースを見ながらミュージッククリップを鑑賞可能。着うたでもついにビデオクリップのダウンロードサービスが始まったが、画質はもう一つもの足りない水準であり、1曲の販売価格が数百円ということを考えると、無料でクリップつきの音楽番組が楽しめることには大きな意義がありそうだ。

こんなに詳しいニュースの内容が読める

地ラジのプロモーションはauのサイトでも連携しており、MXTVの番組でのプログ(地ラジ1) やニュースフラッシュなど新しいサービスが目白押し。MyPageをぜひカスタムしたい(C)TOKYO FM

今後は他局提供の簡易動画やデータサービスも出てくるだろうから、多チャンネルだけではなく、天気や時事的なニュース、イベント情報、芸能ワイドなどの簡易動画サービスが充実することに期待したい。周波数資源の関係で、地ラジの全国展開には数年を要するが、将来の可能性を感じさせられるメディアの誕生である。

通信回線の大容量化で、今後、通信によるクリップキャストやダウンロードで楽曲を楽しんだり、購入することも多くなるだろう。本当にiPod内蔵ケータイも出現しそうな予感がする。

来週は、JBLのヘッドホンとの組み合わせや、ソニーのAVアンプ「TA-DA3200ES」での再生、そしてiPodへの音楽データ転送による視聴レポートなどをお送りするのでお楽しみに。

P.S. 紅白ワンセグ審査員当たりました。まだ応募可能なので、ワンセグ機種をお持ちの方はどうぞ!

(放送アナリスト・佐藤和俊)

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