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公開日 2007/11/14 14:28
“ピュアオーディオ向け”USB無線オーディオアダプター「REX-Link2EX」をAirTunesと比較テスト
今回紹介する「REX-Link2EX」(関連ニュース)は、USBワイヤレスオーディオアダプターのハイグレードモデルである。基本スペックは先行機(REX-Link2)とほぼ共通だが、細部の詰めはオーディオグレードを意識したものとなっている。
まずは従来機と共通の機能・仕様を押さえておこう。
パソコンのUSB端子に送信アダプタを接続。そこから無線伝送される音声データを受信アダプタで受け取り、光デジタルもしくはアナログでオーディオ機器に出力する。
4Mbpsの高速無線の採用により、16bit/44.1kHzのCDクオリティでの無線伝送が実現されていることが大きなポイントだ。PCオーディオのファイルクオリティは一般的には16bit/44.1kHzまでなので、本製品でのワイヤレス接続は実用範囲ではロスレス伝送と言ってよいだろう。この部分での音質劣化はない。
●筐体や内部パーツの構成を工夫し高音質化
従来機と比べて「ハイグレード」な部分は、まずは筐体である。従来機はユニークな形状のプラスチックケースだったが、本機はスタンダードな金属ケース。シールディング効果を期待でき、オーディオ機器とのデザインマッチングもよい。
内部的には、電源部にノイズフィルタを搭載、アナログ出力のカップリングコンデンサにオーディオ用ケミコンを搭載といったところが上位機ならではの仕様である。
PCワイヤレスオーディオと言えばiTunesのAirTunes環境(iTunesと専用の無線LANアダプタAirMac Expressを組み合わせての無線オーディオ環境)が定番のひとつ。今回はそれと比較しつつ、本製品の使い勝手や有利・不利な点をチェックしてみよう。
設置から利用開始まではどちらも難しいところはなく、引っかかることなくクリアできた。筐体サイズはREX-Link2EXの方が少し大きいが、それでも十分にコンパクトなので気にならないだろう。
●一般的なケーブルが使用でき、すべての音を出力できるのが利点
ポイントになりそうなのは出力端子のちがいだ。アナログ/デジタル1系統ずつというのは共通だが、その端子形状が異なる。AirMac Expressのそれは光デジタル/アナログ兼用のミニジャックで、一般的なオーディオ機器につなぐには丸形→角形やミニプラグ→ステレオピンプラグの変換ケーブルが必要。ケーブルの選択肢は多くはない。一方REX-Link2EXには角形光とステレオピンが用意されており、一般的なケーブルを利用できる。この点は有利だ。
そして最大の相違は、AirTunesはiTunes専用でiTunesの再生音声以外は出力しないという点だ。一方REX-Link2EXはPCで再生される全ての音声を出力する。
iTunesしか使わないユーザーにとってはAirTunesの方が導入もしやすく、メール着信音がオーディオ機器に出力されないなどの便利さもある。しかし他の音楽ツールを使っていたり動画再生の音声も出力したいという場合にはREX-Link2EXを選ぶしかない。
ただ付け加えておくと、AirMac ExpressでiTunes以外の音声も出力できるようにするツールや、REX-Link2EXのような音声アダプタで特定のソフトの音声だけを出力するツールも、探せばある。そこは工夫次第でカバーできる。
●アナログ出力の音質はAirTunesを上回る
光デジタル出力もしくはアナログ出力からDAC兼ヘッドホンアンプのIZO iHA-1Aに接続、オーディオシステムとヘッドホンに出力して音質を確認。再生ファイルはCDからロスレス圧縮で取り込んだものだ。
デジタル出力時の音は、ロスレスファイルをロスレス伝送しているのだから当然ではあるが、CD再生と比較して遜色ないと言える。情報量の低下や音の感触の鈍りなどは感じられない。
アナログ出力時の音は、デジタル出力+単体DACでの再生と比べると細部に甘さを感じる。ボーカルの肉感やベースの重量感など中低域は充実しているが、スネアドラムのバシッという抜けなど、中高域パートの倍音がやや曇る。
と言ってもパソコン本体のライン出力/ヘッドホン出力と比べればこちらの方が情報量は多く質感も滑らか。明らかな向上を感じられる。AirMac Expressとの比較でも、デジタル出力では明確な差は感じらないが、アナログ出力のクリアさでは少し上回るといったところだ。
USBワイヤレスオーディオアダプタ自体は近年では珍しい製品ではないが、特定の機器やソフトに縛られないオーディオグレードの製品となると多くはない。そこに選択肢がひとつ加わったことは、この分野に興味のあるオーディオファンには喜ばしいことだろう。
(高橋敦)
高橋敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
まずは従来機と共通の機能・仕様を押さえておこう。
パソコンのUSB端子に送信アダプタを接続。そこから無線伝送される音声データを受信アダプタで受け取り、光デジタルもしくはアナログでオーディオ機器に出力する。
4Mbpsの高速無線の採用により、16bit/44.1kHzのCDクオリティでの無線伝送が実現されていることが大きなポイントだ。PCオーディオのファイルクオリティは一般的には16bit/44.1kHzまでなので、本製品でのワイヤレス接続は実用範囲ではロスレス伝送と言ってよいだろう。この部分での音質劣化はない。
●筐体や内部パーツの構成を工夫し高音質化
従来機と比べて「ハイグレード」な部分は、まずは筐体である。従来機はユニークな形状のプラスチックケースだったが、本機はスタンダードな金属ケース。シールディング効果を期待でき、オーディオ機器とのデザインマッチングもよい。
内部的には、電源部にノイズフィルタを搭載、アナログ出力のカップリングコンデンサにオーディオ用ケミコンを搭載といったところが上位機ならではの仕様である。
PCワイヤレスオーディオと言えばiTunesのAirTunes環境(iTunesと専用の無線LANアダプタAirMac Expressを組み合わせての無線オーディオ環境)が定番のひとつ。今回はそれと比較しつつ、本製品の使い勝手や有利・不利な点をチェックしてみよう。
設置から利用開始まではどちらも難しいところはなく、引っかかることなくクリアできた。筐体サイズはREX-Link2EXの方が少し大きいが、それでも十分にコンパクトなので気にならないだろう。
●一般的なケーブルが使用でき、すべての音を出力できるのが利点
ポイントになりそうなのは出力端子のちがいだ。アナログ/デジタル1系統ずつというのは共通だが、その端子形状が異なる。AirMac Expressのそれは光デジタル/アナログ兼用のミニジャックで、一般的なオーディオ機器につなぐには丸形→角形やミニプラグ→ステレオピンプラグの変換ケーブルが必要。ケーブルの選択肢は多くはない。一方REX-Link2EXには角形光とステレオピンが用意されており、一般的なケーブルを利用できる。この点は有利だ。
そして最大の相違は、AirTunesはiTunes専用でiTunesの再生音声以外は出力しないという点だ。一方REX-Link2EXはPCで再生される全ての音声を出力する。
iTunesしか使わないユーザーにとってはAirTunesの方が導入もしやすく、メール着信音がオーディオ機器に出力されないなどの便利さもある。しかし他の音楽ツールを使っていたり動画再生の音声も出力したいという場合にはREX-Link2EXを選ぶしかない。
ただ付け加えておくと、AirMac ExpressでiTunes以外の音声も出力できるようにするツールや、REX-Link2EXのような音声アダプタで特定のソフトの音声だけを出力するツールも、探せばある。そこは工夫次第でカバーできる。
●アナログ出力の音質はAirTunesを上回る
光デジタル出力もしくはアナログ出力からDAC兼ヘッドホンアンプのIZO iHA-1Aに接続、オーディオシステムとヘッドホンに出力して音質を確認。再生ファイルはCDからロスレス圧縮で取り込んだものだ。
デジタル出力時の音は、ロスレスファイルをロスレス伝送しているのだから当然ではあるが、CD再生と比較して遜色ないと言える。情報量の低下や音の感触の鈍りなどは感じられない。
アナログ出力時の音は、デジタル出力+単体DACでの再生と比べると細部に甘さを感じる。ボーカルの肉感やベースの重量感など中低域は充実しているが、スネアドラムのバシッという抜けなど、中高域パートの倍音がやや曇る。
と言ってもパソコン本体のライン出力/ヘッドホン出力と比べればこちらの方が情報量は多く質感も滑らか。明らかな向上を感じられる。AirMac Expressとの比較でも、デジタル出力では明確な差は感じらないが、アナログ出力のクリアさでは少し上回るといったところだ。
USBワイヤレスオーディオアダプタ自体は近年では珍しい製品ではないが、特定の機器やソフトに縛られないオーディオグレードの製品となると多くはない。そこに選択肢がひとつ加わったことは、この分野に興味のあるオーディオファンには喜ばしいことだろう。
(高橋敦)
高橋敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。