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公開日 2008/10/01 17:44
<CEATEC2008:AMD>「AMD HD!エクスペリエンス」がHDライフをもっと快適にする
ここでは9月30日のAMDブースでのAMD特別セッションステージのレポートをお送りする。初めに登壇したのは日本AMD(株)マーケティング本部 PCプラットフォーム・プロダクトマーケティング部 マネージャーの土居憲太郎氏だ。
土居氏は、現在までに家庭には地デジ、HDビデオカメラなどHD環境が浸透してきているが、一方これまでのPCでのHD環境は、主にPCのパフォーマンス不足によって対応がいま一つであったと話した。そして、1年前のPCと「AMD HD!エクスペリエンス」対応PCの比較再生デモを見せ、AMDのUVD(動画再生支援)機能を搭載したプラットフォームであればスムーズな再生が可能であり、かつCPU負荷も低いことをアピールした。
日本のコンシューマー市場では、そのコンパクトさからノートPCや液晶一体型デスクトップが好まれ、グラフィックスカードを搭載したセパレート型のハイエンドPCは今やニッチになりつつあると説明した。そして、CPU、チップセット、GPUの主な役割と今後の変化について話を続けた。
「CPU、チップセット、GPUの役割は、従来ではCPUがメディアコンテンツの変換、再生などの処理、チップセットが内蔵ビデオでの画面表示、そしてGPUはより高解像度でスムーズな表示を担うというものだった。今後、この役割がどう変化するかと言えば、先のデモでご紹介したように、チップセットはHD動画の再生支援機能も備え、CPUパワーの低いノートPCなどでもスムーズなHD動画の再生が可能になるだろう。さらに高度な3D機能によって、より精細で高いフレームレートでゲームをプレイすることができるようになる。GPUは“GPGPU機能”により、高度なグラフィックス描画だけでなく、メディアコンテンツの変換処理や、人工知能処理、アップスケーリング機能によって、より高解像度な動画再生を可能にしている」と土居氏は説明する。
そして、今後のテーマとしては、GPUをベースにより高速に、よりキレイな動画処理を実現していくことであるという同社の考えを示した。
次に話はプラットフォームに移った。「CPU、チップセット、GPUの進化のステップを見てみると、CPUではまず1GHzを越えデュアルコアになり、クワッドコアになった。同様にチップセットは、始めにデスクトップ向けでUVDを搭載し、次にノートPC向けでのUVD搭載へと発展し、その先にCPUとチップセットを融合したFUSIONという製品を予定しているという。
GPUでは、まず「Radeon HD 2400」シリーズが外付けグラフィックスカードとしてはじめてUVD機能を搭載した。そして、最近発表された「Radeon HD 4000」シリーズではGPGPUに対応。そして次のステップとしては近く、次世代モバイルGPUでGPGPUに対応する予定であるという。このモバイル向けGPGPUはAMDのブース内に実際に展示されているので、興味のある方はご覧になっていただきたい。
土居氏は「AMDの技術がCPU、GPU、チップセットを統合することによって、どう進化しているかと言えば、基本的に外付のGPUでできたことが、1年から1年半で内蔵グラフィックスでも可能になり、低消費電力や省スペースも実現し、より幅広いニーズに応えられる商品として完成度を高めている」と話した。
ここで、GPUのパフォーマンスを示すデモが行われ、リアルタイム再生された3DのCG映像をインタラクティブに動かすデモも紹介された。まるで実写のように鮮明な画質の映像がインタラクティブ、かつスムーズに動く様子は実にインパクトがあった。驚異的なパフォーマンスだと言える。
AMDのGPUが備えるパフォーマンスは、HD高解像度ビデオのスムーズな再生を実現するだけでなく、多くのユーザーが大量にアーカイブしているであろう、SD解像度のビデオコンテンツやDVDなどをアップスケーリングして高解像度に表示する機能も実現可能であるという。このアップスケーリングはArcSoftの「Total Media Theater」のSimHDがGPGPU対応により実現されるという。会場にはArcSoftの社長である富嶋稔氏も壇上に登り「SimHD」の魅力について説明した。「Total Media Theater」はUVDにも対応する。また、カシオのハイスピード撮影対応デジタルカメラ「EX-F1」に付属されるアプリケーションソフトもArcSoftの「Total Media Theater」となり、再生プレイヤーがUVDに対応していることも紹介された。
壇上には再びAMDの土居氏が登り、GPGPUの高速処理性能についても紹介が行われた。土居氏によれば、1時間のHD映像の変換では、GPGPUでは18倍の高速処理も実現できるパフォーマンスを備えているという。また、モバイルGPGPUにて「Adobe Premier Elements 4」でHD動画を変換してみたところ、4倍以上の高速性が得られたと説明した。これをユーザーの視点から見れば、例えばテレビの録画映像をiPod用に変換するといった使い方でも、これまでよりもさらに高速な変換が行えるようになる。当然、HDビデオカメラ映像の編集や変換なども、より高速に行えるようになるだろう。
変わってプレゼンテーションはゲーム映像のデモとなり、1つのマップの中で約3000匹の人工知能制御によるキャラクターを動かして見せた。これもGPGPUを使った演算による処理の成果であるという。3000匹のキャラが独立して動いているとは思えない、ひじょうにスムーズな動きだ。この技術はRPGなど多くのキャラを独立したAI制御で動かしたいときに活躍することだろう。
続いてUVD、GPGPUに対応を予定している、(株)LOILOの「Super LOILOSCOPE」というビデオ編集ソフトが紹介され、同社社長の杉山竜太郎氏が登壇した。杉山氏は「Super LOILOSCOPE」によって実現される快適なHD映像編集環境について、実演を交えて分かりやすく紹介した。
最後に、土居氏が再び登壇し、新しいビジネスパートナーを紹介した。同社はATIという強力なビデオチップメーカーを取り込んだことにより、その戦略を単なるCPUからプラットフォームへと完全に移したわけだが、現在のフォーカスはHD再生支援やGPGPUを活用した変換・演算性能の向上など、マルチメディア機能の強力サポートに注力し、コンシューマー用途ではとても戦闘力が高いアプリケーションを提案している。日本国内市場では特にモバイルGPGPU機能がかなり魅力的な内容になるであろうと筆者も実感した。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。
土居氏は、現在までに家庭には地デジ、HDビデオカメラなどHD環境が浸透してきているが、一方これまでのPCでのHD環境は、主にPCのパフォーマンス不足によって対応がいま一つであったと話した。そして、1年前のPCと「AMD HD!エクスペリエンス」対応PCの比較再生デモを見せ、AMDのUVD(動画再生支援)機能を搭載したプラットフォームであればスムーズな再生が可能であり、かつCPU負荷も低いことをアピールした。
日本のコンシューマー市場では、そのコンパクトさからノートPCや液晶一体型デスクトップが好まれ、グラフィックスカードを搭載したセパレート型のハイエンドPCは今やニッチになりつつあると説明した。そして、CPU、チップセット、GPUの主な役割と今後の変化について話を続けた。
「CPU、チップセット、GPUの役割は、従来ではCPUがメディアコンテンツの変換、再生などの処理、チップセットが内蔵ビデオでの画面表示、そしてGPUはより高解像度でスムーズな表示を担うというものだった。今後、この役割がどう変化するかと言えば、先のデモでご紹介したように、チップセットはHD動画の再生支援機能も備え、CPUパワーの低いノートPCなどでもスムーズなHD動画の再生が可能になるだろう。さらに高度な3D機能によって、より精細で高いフレームレートでゲームをプレイすることができるようになる。GPUは“GPGPU機能”により、高度なグラフィックス描画だけでなく、メディアコンテンツの変換処理や、人工知能処理、アップスケーリング機能によって、より高解像度な動画再生を可能にしている」と土居氏は説明する。
そして、今後のテーマとしては、GPUをベースにより高速に、よりキレイな動画処理を実現していくことであるという同社の考えを示した。
次に話はプラットフォームに移った。「CPU、チップセット、GPUの進化のステップを見てみると、CPUではまず1GHzを越えデュアルコアになり、クワッドコアになった。同様にチップセットは、始めにデスクトップ向けでUVDを搭載し、次にノートPC向けでのUVD搭載へと発展し、その先にCPUとチップセットを融合したFUSIONという製品を予定しているという。
GPUでは、まず「Radeon HD 2400」シリーズが外付けグラフィックスカードとしてはじめてUVD機能を搭載した。そして、最近発表された「Radeon HD 4000」シリーズではGPGPUに対応。そして次のステップとしては近く、次世代モバイルGPUでGPGPUに対応する予定であるという。このモバイル向けGPGPUはAMDのブース内に実際に展示されているので、興味のある方はご覧になっていただきたい。
土居氏は「AMDの技術がCPU、GPU、チップセットを統合することによって、どう進化しているかと言えば、基本的に外付のGPUでできたことが、1年から1年半で内蔵グラフィックスでも可能になり、低消費電力や省スペースも実現し、より幅広いニーズに応えられる商品として完成度を高めている」と話した。
ここで、GPUのパフォーマンスを示すデモが行われ、リアルタイム再生された3DのCG映像をインタラクティブに動かすデモも紹介された。まるで実写のように鮮明な画質の映像がインタラクティブ、かつスムーズに動く様子は実にインパクトがあった。驚異的なパフォーマンスだと言える。
AMDのGPUが備えるパフォーマンスは、HD高解像度ビデオのスムーズな再生を実現するだけでなく、多くのユーザーが大量にアーカイブしているであろう、SD解像度のビデオコンテンツやDVDなどをアップスケーリングして高解像度に表示する機能も実現可能であるという。このアップスケーリングはArcSoftの「Total Media Theater」のSimHDがGPGPU対応により実現されるという。会場にはArcSoftの社長である富嶋稔氏も壇上に登り「SimHD」の魅力について説明した。「Total Media Theater」はUVDにも対応する。また、カシオのハイスピード撮影対応デジタルカメラ「EX-F1」に付属されるアプリケーションソフトもArcSoftの「Total Media Theater」となり、再生プレイヤーがUVDに対応していることも紹介された。
壇上には再びAMDの土居氏が登り、GPGPUの高速処理性能についても紹介が行われた。土居氏によれば、1時間のHD映像の変換では、GPGPUでは18倍の高速処理も実現できるパフォーマンスを備えているという。また、モバイルGPGPUにて「Adobe Premier Elements 4」でHD動画を変換してみたところ、4倍以上の高速性が得られたと説明した。これをユーザーの視点から見れば、例えばテレビの録画映像をiPod用に変換するといった使い方でも、これまでよりもさらに高速な変換が行えるようになる。当然、HDビデオカメラ映像の編集や変換なども、より高速に行えるようになるだろう。
変わってプレゼンテーションはゲーム映像のデモとなり、1つのマップの中で約3000匹の人工知能制御によるキャラクターを動かして見せた。これもGPGPUを使った演算による処理の成果であるという。3000匹のキャラが独立して動いているとは思えない、ひじょうにスムーズな動きだ。この技術はRPGなど多くのキャラを独立したAI制御で動かしたいときに活躍することだろう。
続いてUVD、GPGPUに対応を予定している、(株)LOILOの「Super LOILOSCOPE」というビデオ編集ソフトが紹介され、同社社長の杉山竜太郎氏が登壇した。杉山氏は「Super LOILOSCOPE」によって実現される快適なHD映像編集環境について、実演を交えて分かりやすく紹介した。
最後に、土居氏が再び登壇し、新しいビジネスパートナーを紹介した。同社はATIという強力なビデオチップメーカーを取り込んだことにより、その戦略を単なるCPUからプラットフォームへと完全に移したわけだが、現在のフォーカスはHD再生支援やGPGPUを活用した変換・演算性能の向上など、マルチメディア機能の強力サポートに注力し、コンシューマー用途ではとても戦闘力が高いアプリケーションを提案している。日本国内市場では特にモバイルGPGPU機能がかなり魅力的な内容になるであろうと筆者も実感した。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。