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公開日 2009/10/06 20:49
日立、“Wooo”の魅力を強力アピール − 実用間近の超解像やLEDバックライト技術も
CEATEC JAPAN 2009レポート
日立製作所、日立コンシューマエレクトロニクスのブースでは、主力製品である薄型テレビ“Wooo”03シリーズ/UT800シリーズの魅力を強力にアピールしている。
Woooの機能紹介は、大きく「つながる」「録る」「高画質」「省エネ」のコンセプトに分けて展示が行われ、同社ブースを見て回れば、Woooの主要機能が一通り理解できる構成になっている。
たとえば「つながる」ゾーンではアクトビラへのフル対応やTSUTAYA TVのサービス紹介、テレビ版Yahoo! JAPANへの対応、DLNAサーバ/クライアント機能の搭載などはもちろん、ビデオdeメールやWoooリンクなどの独自機能についても個別に機能紹介を行っている。
さらに「録る」機能を紹介したゾーンでは、HDDを内蔵していることの紹介だけでなく、iVポケットを備えたことによる利便性も訴求。日立マクセルのiVやiVマルチプレーヤー、iVレコーダーなども展示し、「録画テレビ」を標榜するWoooシリーズのアドバンテージを強くアピールしている。
また「高画質」ゾーンでは、同社独自の自動画質調整機能「インテリジェント・オート高画質」のデモを展開。照明の明るさだけでなく色温度まで検知し、最適な画質に調整しながら、同時に省エネにも貢献する同機能を積極的に紹介している。
「省エネ」ゾーンでは、HDDを内蔵したことによる消費電力の低減効果をアピール。単体BDレコーダーとテレビを組み合わせるよりも、HDD内蔵テレビで録画する方が消費電力を抑えられることを、電力計の数値を見せながらわかりやすく紹介していた。
上記は現行の03シリーズやUT800シリーズにすでに搭載されているフィーチャーだが、参考出展の技術やソリューションも数多く展示されている。中には実用化間近のものも多く、来場者の注目を集めていた。
■超解像処理は実用間近
まずは超解像技術。同社では昨年、一昨年のCEATECでも超解像技術のデモを行っていたが、本技術がいよいよ完成に近づいてきた。今回はネット動画を超解像処理するデモと、SD映像をHD相当の解像度に超解像処理するデモの2つを展開。どちらも基本的には同じ技術だが、ネット動画の超解像処理は、前段に圧縮ノイズを除去するフローが加わっているという。
また、昨年までの技術は、1枚の画像内で超解像処理する、いわゆる「1枚超解像」処理だったが、今回の技術では、何枚の画像をもとに処理しているかは「非公表」(同社説明員)とのこと。
超解像の実用化では東芝などが先行しているが、東芝の方式では、いったん入力画像を低解像度化したあとに入力画像との差分を検出し、誤差が最小になるように復元しながら高解像度化する「再構成法」が用いられている。日立の今回の技術でも、この再構成法を「一部に含んでいる」という。ただし、「一般的に再構成法では、何回ループをかけるかで処理の精度が決まってくる。我々は今回、より数少ないループ回数で高画質が実現できるアルゴリズムを開発した。他社さんの方法で、10回程度ループをかけた程度の映像を実現できていると考えている」(同)という。
この技術ではHD映像の超解像処理も可能。「CGなど処理が必要無いと判断したものはそのまま出力し、実写映像などのボヤケが気になるコンテンツのみ処理を行うといった、適応型の処理が行える」(同)という。なお、色情報の超解像処理は行わず、輝度情報のみ処理を行っているという。
実用化の時期が気になるところだが、「リアルタイムで動作させる技術的な検証はすでに終了
している。実は今回、この技術を組み込んだ専用LSIを展示する予定だったのだが、残念ながら間に合わなかった」という。Woooへの搭載も「当然行う」とのことなので、Woooの次期モデルに超解像処理が加わる可能性が高まってきた。
■LEDバックライト搭載モデルもデモ
各社が続々とLEDバックライトを搭載した液晶テレビを発表しているが、日立も手をこまねいているわけではない。UT800シリーズをベースに試作した、LEDバックライト搭載の42V型液晶テレビを参考出展していた。解像度は1,920×1,080で、パネル駆動速度は120Hz。LEDのエリア制御(ローカルディミング)にも対応しているが、「エリアの分割数は非公表」(同社説明員)という。また白色LEDか、RGB LEDかも非公表とのことだが、「現在主流の方式を採用している」(同)とのことなので、白色LEDである可能性が高い。このLEDバックライトを搭載したWoooは「来年中には発売したい」とのことだ。
そのほか液晶テレビ関連では、熱陰極管「HCFL」バックライトを搭載し、消費電力を抑えた液晶テレビも参考出展。32V型モデルながらデモ時の消費電力は31.9Wと、従来機に比べ大幅な消費電力低減を果たしたことを訴求していた。
省エネ技術の参考出展として、よそ見をしているときにテレビの映像をオフにする技術も展示。テレビに内蔵したカメラで視聴者の視線を判別し、よそ見をしているときには自動的に映像を消し、音声のみを出力するというもの。なお同種の技術にはソニーBRAVIAの「人感センサー」があるが、人感センサーでは人がテレビの前にいるか、いないかだけしか判別できないため、たとえばテレビを付けっぱなしにしながら読書をするといったシチュエーションの場合、映像はそのまま表示されてしまう。日立の技術では、よりきめ細かい映像のオンオフ制御を可能にしているため、消費電力をさらに下げられる可能性がある。
薄型テレビの操作性を高めるユーザーインターフェースの新技術では、昨年も出展していた「ハンドジェスチャーUI」をデモ。テレビに近接配置した赤外線レーザーによって手を認識し、手を動かすことで画面上のポインターを移動させ、さまざまな操作が行える。昨年のUIは、横に手を振るとメニュー表示、手を回すとチャンネル切換が行えるなど、より直感的な操作方法となっていたが、「慣れると楽なのだが、それまでにやや時間がかかるので、今回はポインターを利用する方法を採用した」(同社説明員)という。実際に試してみると、昨年のものより遙かに操作がしやすく、手だけで快適に操作を行うことができた。
「動画シーン検索技術」という名称の技術展示も興味深かった。これは、番組中のテロップをOCRによって文字データに変換し、メタデータとして記録して、シーンサーチに利用するというもの。たとえば動物番組で「アライグマ」というテロップが表示されると、シーンサーチのジャンプリストに「アライグマ」が加わり、選択することで瞬時に該当のシーンへジャンプできる。この機能はEPGの番組情報とも連動し、たとえばバラエティーなどでシーンサーチには不要と考えられるテロップが表示された場合、データベースへの登録は行わない。
記録メディアの容量増大に伴い、長時間の録画番組を保存できるようになったが、自分が見たいシーンを大量の録画番組の中から選び出す作業は、逆に難しくなったとも言える。これを解決するにはメタデータを利用するのが理にかなっているが、人力でメタデータを入力する方法はコストがかかり、音声認識や画像認識で自動的にメタデータを生成する方法については、今のところ精度がまだ低い。テロップを利用するこの方法は、一見単純なようだが、コストや技術的な障壁が少なく、アルゴリズムをうまく調整すれば、かなり高い精度で実用的なメタデータが得られるのではないかと感じた。
■メガネ無しの360度3Dディスプレイも登場
薄型テレビ以外にも魅力的な参考出展が数多く見られた。「フルパララックス立体ディスプレイ」は、メガネ無しで、360度どこからでも立体映像が見られるディスプレイ。実際にはディスプレイの下にプロジェクターが複数台内蔵されており、それぞれが投影した映像が交わる交点が画素になるという仕組みだ。交点=画素は、プロジェクターの台数と比例する。画面サイズや立体映像の解像度、飛び出し量などは、プロジェクターの解像度や台数、設置方法、レンズなどによって調整することができる。
レーザー光を光源に使ったマイクロプロジェクターも参考出展された。レーザー光をMEMSミラーによって2次元にスキャンし、画像を投影するというもので、原理上光学系が必要ないために構造がシンプルで、小型化が容易となる。さらに映像に応じてレーザーの出力を変化させるので消費電力低減にもつながる。またフォーカス調整の必要が無く、どの距離でもくっきりと表示できることや、曲面や複雑な形状への投映が可能なこともメリットとなる。こちらも早期の商品化が期待される。
Woooの機能紹介は、大きく「つながる」「録る」「高画質」「省エネ」のコンセプトに分けて展示が行われ、同社ブースを見て回れば、Woooの主要機能が一通り理解できる構成になっている。
たとえば「つながる」ゾーンではアクトビラへのフル対応やTSUTAYA TVのサービス紹介、テレビ版Yahoo! JAPANへの対応、DLNAサーバ/クライアント機能の搭載などはもちろん、ビデオdeメールやWoooリンクなどの独自機能についても個別に機能紹介を行っている。
さらに「録る」機能を紹介したゾーンでは、HDDを内蔵していることの紹介だけでなく、iVポケットを備えたことによる利便性も訴求。日立マクセルのiVやiVマルチプレーヤー、iVレコーダーなども展示し、「録画テレビ」を標榜するWoooシリーズのアドバンテージを強くアピールしている。
また「高画質」ゾーンでは、同社独自の自動画質調整機能「インテリジェント・オート高画質」のデモを展開。照明の明るさだけでなく色温度まで検知し、最適な画質に調整しながら、同時に省エネにも貢献する同機能を積極的に紹介している。
「省エネ」ゾーンでは、HDDを内蔵したことによる消費電力の低減効果をアピール。単体BDレコーダーとテレビを組み合わせるよりも、HDD内蔵テレビで録画する方が消費電力を抑えられることを、電力計の数値を見せながらわかりやすく紹介していた。
上記は現行の03シリーズやUT800シリーズにすでに搭載されているフィーチャーだが、参考出展の技術やソリューションも数多く展示されている。中には実用化間近のものも多く、来場者の注目を集めていた。
■超解像処理は実用間近
まずは超解像技術。同社では昨年、一昨年のCEATECでも超解像技術のデモを行っていたが、本技術がいよいよ完成に近づいてきた。今回はネット動画を超解像処理するデモと、SD映像をHD相当の解像度に超解像処理するデモの2つを展開。どちらも基本的には同じ技術だが、ネット動画の超解像処理は、前段に圧縮ノイズを除去するフローが加わっているという。
また、昨年までの技術は、1枚の画像内で超解像処理する、いわゆる「1枚超解像」処理だったが、今回の技術では、何枚の画像をもとに処理しているかは「非公表」(同社説明員)とのこと。
超解像の実用化では東芝などが先行しているが、東芝の方式では、いったん入力画像を低解像度化したあとに入力画像との差分を検出し、誤差が最小になるように復元しながら高解像度化する「再構成法」が用いられている。日立の今回の技術でも、この再構成法を「一部に含んでいる」という。ただし、「一般的に再構成法では、何回ループをかけるかで処理の精度が決まってくる。我々は今回、より数少ないループ回数で高画質が実現できるアルゴリズムを開発した。他社さんの方法で、10回程度ループをかけた程度の映像を実現できていると考えている」(同)という。
この技術ではHD映像の超解像処理も可能。「CGなど処理が必要無いと判断したものはそのまま出力し、実写映像などのボヤケが気になるコンテンツのみ処理を行うといった、適応型の処理が行える」(同)という。なお、色情報の超解像処理は行わず、輝度情報のみ処理を行っているという。
実用化の時期が気になるところだが、「リアルタイムで動作させる技術的な検証はすでに終了
している。実は今回、この技術を組み込んだ専用LSIを展示する予定だったのだが、残念ながら間に合わなかった」という。Woooへの搭載も「当然行う」とのことなので、Woooの次期モデルに超解像処理が加わる可能性が高まってきた。
■LEDバックライト搭載モデルもデモ
各社が続々とLEDバックライトを搭載した液晶テレビを発表しているが、日立も手をこまねいているわけではない。UT800シリーズをベースに試作した、LEDバックライト搭載の42V型液晶テレビを参考出展していた。解像度は1,920×1,080で、パネル駆動速度は120Hz。LEDのエリア制御(ローカルディミング)にも対応しているが、「エリアの分割数は非公表」(同社説明員)という。また白色LEDか、RGB LEDかも非公表とのことだが、「現在主流の方式を採用している」(同)とのことなので、白色LEDである可能性が高い。このLEDバックライトを搭載したWoooは「来年中には発売したい」とのことだ。
そのほか液晶テレビ関連では、熱陰極管「HCFL」バックライトを搭載し、消費電力を抑えた液晶テレビも参考出展。32V型モデルながらデモ時の消費電力は31.9Wと、従来機に比べ大幅な消費電力低減を果たしたことを訴求していた。
省エネ技術の参考出展として、よそ見をしているときにテレビの映像をオフにする技術も展示。テレビに内蔵したカメラで視聴者の視線を判別し、よそ見をしているときには自動的に映像を消し、音声のみを出力するというもの。なお同種の技術にはソニーBRAVIAの「人感センサー」があるが、人感センサーでは人がテレビの前にいるか、いないかだけしか判別できないため、たとえばテレビを付けっぱなしにしながら読書をするといったシチュエーションの場合、映像はそのまま表示されてしまう。日立の技術では、よりきめ細かい映像のオンオフ制御を可能にしているため、消費電力をさらに下げられる可能性がある。
薄型テレビの操作性を高めるユーザーインターフェースの新技術では、昨年も出展していた「ハンドジェスチャーUI」をデモ。テレビに近接配置した赤外線レーザーによって手を認識し、手を動かすことで画面上のポインターを移動させ、さまざまな操作が行える。昨年のUIは、横に手を振るとメニュー表示、手を回すとチャンネル切換が行えるなど、より直感的な操作方法となっていたが、「慣れると楽なのだが、それまでにやや時間がかかるので、今回はポインターを利用する方法を採用した」(同社説明員)という。実際に試してみると、昨年のものより遙かに操作がしやすく、手だけで快適に操作を行うことができた。
「動画シーン検索技術」という名称の技術展示も興味深かった。これは、番組中のテロップをOCRによって文字データに変換し、メタデータとして記録して、シーンサーチに利用するというもの。たとえば動物番組で「アライグマ」というテロップが表示されると、シーンサーチのジャンプリストに「アライグマ」が加わり、選択することで瞬時に該当のシーンへジャンプできる。この機能はEPGの番組情報とも連動し、たとえばバラエティーなどでシーンサーチには不要と考えられるテロップが表示された場合、データベースへの登録は行わない。
記録メディアの容量増大に伴い、長時間の録画番組を保存できるようになったが、自分が見たいシーンを大量の録画番組の中から選び出す作業は、逆に難しくなったとも言える。これを解決するにはメタデータを利用するのが理にかなっているが、人力でメタデータを入力する方法はコストがかかり、音声認識や画像認識で自動的にメタデータを生成する方法については、今のところ精度がまだ低い。テロップを利用するこの方法は、一見単純なようだが、コストや技術的な障壁が少なく、アルゴリズムをうまく調整すれば、かなり高い精度で実用的なメタデータが得られるのではないかと感じた。
■メガネ無しの360度3Dディスプレイも登場
薄型テレビ以外にも魅力的な参考出展が数多く見られた。「フルパララックス立体ディスプレイ」は、メガネ無しで、360度どこからでも立体映像が見られるディスプレイ。実際にはディスプレイの下にプロジェクターが複数台内蔵されており、それぞれが投影した映像が交わる交点が画素になるという仕組みだ。交点=画素は、プロジェクターの台数と比例する。画面サイズや立体映像の解像度、飛び出し量などは、プロジェクターの解像度や台数、設置方法、レンズなどによって調整することができる。
レーザー光を光源に使ったマイクロプロジェクターも参考出展された。レーザー光をMEMSミラーによって2次元にスキャンし、画像を投影するというもので、原理上光学系が必要ないために構造がシンプルで、小型化が容易となる。さらに映像に応じてレーザーの出力を変化させるので消費電力低減にもつながる。またフォーカス調整の必要が無く、どの距離でもくっきりと表示できることや、曲面や複雑な形状への投映が可能なこともメリットとなる。こちらも早期の商品化が期待される。