HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2009/11/19 16:34
“DLNAエバンジェリスト”が語る次の一手 − ロヴィが戦略説明会を開催
家庭内の環境を車内でも
ロヴィ(株)は本日、車載器向けソリューションやDLNA技術などに関する説明会を開催した。
ロヴィは米Rovi Corporation(旧Macrovision)の日本法人。Macrovisionはアナログコピーガード技術でご存じの方が多いだろうが、近年同社はGガイドを提供するジェムスターやMuzeなど多くの会社を買収し、業態をデジタルホームエンターテイメント中心に移行している。これに伴い本社が社名を変更し、日本法人もロヴィ(株)として再スタートを切った。
ロヴィが日本で行う事業は4つ。Gガイドに代表される電子番組表、クリエーターや作品同士の“つながり”“影響”なども包含した非常に深い情報を蓄えている音楽メタデータ、RipGuard、ACP、BD+などのコンテンツ保護技術、そして組み込み用のDLNAソフトウエアライセンスビジネス「Connected Platform」だ。
本日の説明会で主にプレゼンテーションを行ったのは、ロヴィ(株)VP オブ セールスの出口雄一郎氏、米Rovi スタンダーズ&エマージング テクノロジー担当ディレクターのアダム・パワーズ氏の2名。パワーズ氏はDLNAのエコシステム委員会の委員長を務める人物で、DLNA認証のサポートを統率している“DLNAのエバンジェリスト(伝道師)”だ。
ロヴィのターゲットデバイスはテレビを中心としたホームエンターテイメント機器だが、ここで蓄積した技術やデータを使って、今後はカーナビやカーオーディオなど、車載機器向けのソリューションを展開していくという。「国内外の市場で活躍するトップ自動車メーカーが日本に集中している。また世界の車載機器メーカーのトップ10のうち、7社が日本メーカー」(出口氏)であることから、日本市場を重視しているのだという。
ロヴィの技術が採用された車載機器として、ケンウッドのカーナビ「HDV-909DT」が挙げられる。メディア認識技術「LASSO」が搭載されているほか、ロヴィのメタデータがあらかじめ内蔵されており、楽曲やアーティスト間の影響なども表示できる。デモでは、マライア・キャリーを選択すると、影響を受けたアーティストとしてジャネット・ジャクソンなどが表示された。この機能により、ユーザーがコンテンツの検索を行う作業が簡便になるほか、新たな発見も提供することができるという。
パワーズ氏によると、ロヴィはDLNA技術などを使って、さらに高度な車載エンターテイメントソリューションを展開することを検討しているという。Windows 7がDLNA 1.5に準拠したことで、今後家庭用AV機器でDLNAに対応するものが増えるものと予想されるが、ロヴィでは具体的な目標として、家庭内のエンターテイメントと同じ環境を、車内でも楽しめるようにすることを掲げている。
たとえば車載機器をDLNAに対応させることで、家庭内にあるNASやPCに蓄えたコンテンツデータをDLNA経由でアップロード/ダウンロードさせ、車載機器とシンクロすることなどが可能になるという。もちろん車載機器の電源が入っていなければシンクロすることはできないが、「Bluetoothは微弱な電力しか使わないので、電源を切った車載機器からBluetoothを発信しておくことは可能。こうしておけば、DLNAのWake On Run機能を使ってブートさせることができる」という。これは「ガレージが住宅の側にある、主に米国向けのソリューション」とのことだが、日本でも導入されたら一定の需要はありそうだ。
さらに、半導体メーカーNXPの車載機器用LSI「PNX9520」にも、ロヴィのDLNAソリューション「Connected Platform」が搭載された。このチップを搭載することで、車載機器のDLNA対応が可能となる。
DLNA対応車載機器が発売され、大量のコンテンツが扱えるようになったら、ユーザーが目的のコンテンツを探し出すことが難しくなる。ロヴィでは、前述したロヴィの持つ豊富なメタデータを活用することで、利便性を高めることができるというシナリオを描いている。
同社の車載用機器の事業展開はまだ緒に就いたばかり。現在、車載機器メーカーや自動車メーカーに売り込みを行っているという。「自動車メーカーさんから車載機器メーカーさんに採用を働きかけてもらえるよう、当社のソリューションを説明している。当社の持つコネクティビティー技術とメタデータにより、3年後、5年後にみなさんがクルマを買い換えた際、明らかな進化を感じていただけるだろう」(出口氏)。
なおパワーズ氏から、DLNAの今後の展開についても興味深い話を聞くことができた。ご承知の通り、DLNAの認証を受けた製品であっても、その対応メディアフォーマットはまちまち。さらに、DMSやDMP、DMC、DMRといったデバイスクラスについても明記されていない場合が多く、一般消費者にとっては非常にわかりにくい。この点についての対策を尋ねてみたところ、パワーズ氏は「これは我々も一番重要な問題だと認識しており、専門の委員会も立ち上げた」と、既に対応を行っていることを強調した。
対応メディアフォーマットについては、「ガイドラインで数を増やそうという話も出たが、製品のコストアップにつながるため、一部のメーカーが反対して実現しなかった。ただし現在、再生互換が高い『コマーシャルビデオプロファイル』を規定し、これに対応している機器同士なら映像が確実に見られる、という状況を作ろうとしているところだ。詳細についてはまだ検討段階で、2010年のCESである程度オープンにできると思う」とした。
また機器が対応しているデバイスクラスについては、「DLNAロゴの下などに追記するなどの方法を検討している」という。なお、DLNA 公式サイトには「DLNA Search & Match」というデータベースが公開されており、機器名を選択することで、対応しているデバイスクラスやバージョンなどを調べることができる。
さらに、将来的には携帯電話などモバイル機器のDLNA対応も加速させていきたいという。パワーズ氏によると現在、ソニーエリクソンやノキア、モトローラ、サムスンなどから発売されている、100製品近くの携帯電話がDLNA認証を受けているとのことだが、国内では正式に認証を受けたものは存在しない。ただし状況は変わりつつあるようだ。「先日のCEATECでも国内メーカーからDLNA対応携帯電話が出品されていた。国内の携帯電話がDLNAに対応しなかったのは、Wi-Fiに対応したものが少なかったのが一因だが、ソフトバンクの新ラインナップではWi-Fi対応機が一気に登場した。今後は国内でもDLNA対応モデルが増えるだろう」(出口氏)。
ロヴィは米Rovi Corporation(旧Macrovision)の日本法人。Macrovisionはアナログコピーガード技術でご存じの方が多いだろうが、近年同社はGガイドを提供するジェムスターやMuzeなど多くの会社を買収し、業態をデジタルホームエンターテイメント中心に移行している。これに伴い本社が社名を変更し、日本法人もロヴィ(株)として再スタートを切った。
ロヴィが日本で行う事業は4つ。Gガイドに代表される電子番組表、クリエーターや作品同士の“つながり”“影響”なども包含した非常に深い情報を蓄えている音楽メタデータ、RipGuard、ACP、BD+などのコンテンツ保護技術、そして組み込み用のDLNAソフトウエアライセンスビジネス「Connected Platform」だ。
本日の説明会で主にプレゼンテーションを行ったのは、ロヴィ(株)VP オブ セールスの出口雄一郎氏、米Rovi スタンダーズ&エマージング テクノロジー担当ディレクターのアダム・パワーズ氏の2名。パワーズ氏はDLNAのエコシステム委員会の委員長を務める人物で、DLNA認証のサポートを統率している“DLNAのエバンジェリスト(伝道師)”だ。
ロヴィのターゲットデバイスはテレビを中心としたホームエンターテイメント機器だが、ここで蓄積した技術やデータを使って、今後はカーナビやカーオーディオなど、車載機器向けのソリューションを展開していくという。「国内外の市場で活躍するトップ自動車メーカーが日本に集中している。また世界の車載機器メーカーのトップ10のうち、7社が日本メーカー」(出口氏)であることから、日本市場を重視しているのだという。
ロヴィの技術が採用された車載機器として、ケンウッドのカーナビ「HDV-909DT」が挙げられる。メディア認識技術「LASSO」が搭載されているほか、ロヴィのメタデータがあらかじめ内蔵されており、楽曲やアーティスト間の影響なども表示できる。デモでは、マライア・キャリーを選択すると、影響を受けたアーティストとしてジャネット・ジャクソンなどが表示された。この機能により、ユーザーがコンテンツの検索を行う作業が簡便になるほか、新たな発見も提供することができるという。
パワーズ氏によると、ロヴィはDLNA技術などを使って、さらに高度な車載エンターテイメントソリューションを展開することを検討しているという。Windows 7がDLNA 1.5に準拠したことで、今後家庭用AV機器でDLNAに対応するものが増えるものと予想されるが、ロヴィでは具体的な目標として、家庭内のエンターテイメントと同じ環境を、車内でも楽しめるようにすることを掲げている。
たとえば車載機器をDLNAに対応させることで、家庭内にあるNASやPCに蓄えたコンテンツデータをDLNA経由でアップロード/ダウンロードさせ、車載機器とシンクロすることなどが可能になるという。もちろん車載機器の電源が入っていなければシンクロすることはできないが、「Bluetoothは微弱な電力しか使わないので、電源を切った車載機器からBluetoothを発信しておくことは可能。こうしておけば、DLNAのWake On Run機能を使ってブートさせることができる」という。これは「ガレージが住宅の側にある、主に米国向けのソリューション」とのことだが、日本でも導入されたら一定の需要はありそうだ。
さらに、半導体メーカーNXPの車載機器用LSI「PNX9520」にも、ロヴィのDLNAソリューション「Connected Platform」が搭載された。このチップを搭載することで、車載機器のDLNA対応が可能となる。
DLNA対応車載機器が発売され、大量のコンテンツが扱えるようになったら、ユーザーが目的のコンテンツを探し出すことが難しくなる。ロヴィでは、前述したロヴィの持つ豊富なメタデータを活用することで、利便性を高めることができるというシナリオを描いている。
同社の車載用機器の事業展開はまだ緒に就いたばかり。現在、車載機器メーカーや自動車メーカーに売り込みを行っているという。「自動車メーカーさんから車載機器メーカーさんに採用を働きかけてもらえるよう、当社のソリューションを説明している。当社の持つコネクティビティー技術とメタデータにより、3年後、5年後にみなさんがクルマを買い換えた際、明らかな進化を感じていただけるだろう」(出口氏)。
なおパワーズ氏から、DLNAの今後の展開についても興味深い話を聞くことができた。ご承知の通り、DLNAの認証を受けた製品であっても、その対応メディアフォーマットはまちまち。さらに、DMSやDMP、DMC、DMRといったデバイスクラスについても明記されていない場合が多く、一般消費者にとっては非常にわかりにくい。この点についての対策を尋ねてみたところ、パワーズ氏は「これは我々も一番重要な問題だと認識しており、専門の委員会も立ち上げた」と、既に対応を行っていることを強調した。
対応メディアフォーマットについては、「ガイドラインで数を増やそうという話も出たが、製品のコストアップにつながるため、一部のメーカーが反対して実現しなかった。ただし現在、再生互換が高い『コマーシャルビデオプロファイル』を規定し、これに対応している機器同士なら映像が確実に見られる、という状況を作ろうとしているところだ。詳細についてはまだ検討段階で、2010年のCESである程度オープンにできると思う」とした。
また機器が対応しているデバイスクラスについては、「DLNAロゴの下などに追記するなどの方法を検討している」という。なお、DLNA 公式サイトには「DLNA Search & Match」というデータベースが公開されており、機器名を選択することで、対応しているデバイスクラスやバージョンなどを調べることができる。
さらに、将来的には携帯電話などモバイル機器のDLNA対応も加速させていきたいという。パワーズ氏によると現在、ソニーエリクソンやノキア、モトローラ、サムスンなどから発売されている、100製品近くの携帯電話がDLNA認証を受けているとのことだが、国内では正式に認証を受けたものは存在しない。ただし状況は変わりつつあるようだ。「先日のCEATECでも国内メーカーからDLNA対応携帯電話が出品されていた。国内の携帯電話がDLNAに対応しなかったのは、Wi-Fiに対応したものが少なかったのが一因だが、ソフトバンクの新ラインナップではWi-Fi対応機が一気に登場した。今後は国内でもDLNA対応モデルが増えるだろう」(出口氏)。