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公開日 2011/02/03 18:33
ソニー、10年度3QはPS3が利益に大きく貢献、テレビ事業は130億円の赤字
「サムスンと四つに戦う」
ソニーは、2010年度第3四半期(10〜12月期)の連結業績を発表。業績概要について、同社執行役 EVP CFOの加藤優氏、業務執行役員 SVPの神戸司郎氏が説明した。
期間中の売上高は2兆2,062億円で、前年度比1.4%減。営業利益は1,375億円と前年度比5.9%減となった。加藤CFOは「結果として減収減益となったが、円高が続いている環境の中、昨年とほぼ同等の売上と利益を上げられたのは良かった」と総括した。
2010年度通期の業績予想は売上高が7兆2,000億円、営業利益は2,000億円。昨年10月時点の見通しと比べ売上は2,000億円の減少を見込むが、営業利益予想は据え置いた。
加藤CFOは通期の利益予想を据え置いたことについて「保守的という見方もあるかもしれないが、テレビが相変わらず厳しい競争が続いていることもあり、少し慎重に見ている」と説明した。
なお「サムスン電子もかなり利益を落としているが、サムスンの背中は見えてきたか」との記者の質問に対して加藤CFOは「そもそも事業構成が違う」と断った上で、「商品作りに関しては結構良いところに来ている感がある。インターネットテレビは他社に先んじて、いち早く打って出た」と強調。「一昨年の組織変更以来、スピード感が少しずつ上がってきた。背中が見える、見えないというより、四つに組んで戦う時点に近づいている」とした。
■液晶テレビ事業は130億円の赤字
部門別に見てみると、テレビやデジタルイメージング、オーディオ・ビデオ、半導体、コンポーネント、プロフェッショナル・ソリューション事業などを含むコンスーマー・プロフェッショナル&デバイス(CPD)分野の売上高は1兆909億円と4.2%の増収だったが、営業利益は268億円と、前年度比で47.2%の減益となった。
CPD分野の減益の理由について同社は、液晶テレビが価格下落の影響を受けたことを主因として挙げた。
3Qの液晶テレビ販売台数は46%増の790万台で、売上は4,070億円だったが、一方で大幅な価格下落などにより損益は200億円程度悪化し、130億円の損失を計上した。
ただし加藤CFOによると価格下落については「想定内のレベル」だったという。「期初予想に比べ、当てが外れたのはパネルのコスト。パネルはサムスンやシャープから調達しているが、結果的に思ったほど下がらなかった」。
加藤CFOは「色々なメーカーの話を聞いても、テレビ事業については、一部の素材メーカー以外は儲かっていない」と指摘。ただし「テレビは我々にとってとても大事な機械。家庭内の中心にあって、様々なサービスとつながっている。儲からないからと言って早々に引き上げるものではない」とした。
なお国内市場については、エコポイント特需があったこともあって「収益性はとても良く、足を引っ張ったわけではない」とコメント。神戸SVPは3Qの国内テレビ市場について「市場全体が2倍になったのに対し、ソニーは2.5倍くらい。市場の伸び以上に売上を伸ばせた」と胸を張った。
ただし加藤CFOはエコポイントでの売上増について「ある意味では需要の先食い」と指摘し、「今後はテレビ市場をどう盛り上げていくかが課題になる。そのために3Dの拡販やインターネットテレビなどを順次広げていく。インターネットテレビはいずれ日本にも広げていく予定だ」とした。なお、同社は2010年度のテレビ販売台数について2,500万台を目標としていたが、「目標には届かない。2,300万台程度に落ち着きそう」(加藤CFO)という。販売目標未達の背景には、第4四半期に発売する予定だったテレビ新機種の販売開始が遅れそうなこともあるという。
■NEX-5やα55、BDレコーダーは好調
デジタルイメージング事業では、コンパクトデジカメが価格下落や為替の悪影響で減収となった。一方でレンズ交換式のNEX-5やα55などについては「引き続き順調に推移している」という。
ビデオカメラは減収減益となったが、費用構造の改善や台数増により、営業利益はほぼ前年同期比並みになったという。
なおBDレコーダーの販売が増加したホームビデオ事業は好調で、利益に貢献したと言う。
■NPS分野はPS3の原価改善で大幅増益
一方、PC“VAIO”やゲーム事業などを抱えるネットワークプロダクツ&サービス(NPS)分野は好調。売上高は前年度比6.4%減の5,666億円となったが、営業利益は前年度比2倍以上となる457億円となり、大幅な増益を記録した。
NPS分野の中で稼ぎ頭となったのはゲーム事業で、売上は3,230億円だったが、利益は430億円となった。主因はPS3のハードウェアコストが大幅に改善したことと、グランツーリスモ5などソフトの売上数量が増加したこと。なお、ゲーム事業は5期連続で黒字化を達成した。
加藤CFOは今後、モバイルネットワーク機器に注力する姿勢を強調。「ソニー・エリクソンのスマートフォン、VAIOブランドのPC、SCEのゲーム機“NGP”、電子書籍リーダー。さらにタブレットも年内に発売を計画していると既に申し上げている。こういった全体像で多面的にネットワーク分野を攻めていきたい」とした。
■エレクトロニクス分野が2,000億円の利益押し上げに
なお加藤CFOは、CPDやNPSという垣根を越えて業績を見たときに、エレクトロニクス分野の利益拡大が続いていることを強調。
「これまで赤字を抱えていたソニー・エリクソンやゲーム事業の収益改善が著しい。ゲームはブレークイーブンを超え、利益に貢献するようになってきた」と説明。「テレビは課題として引き続き取り組まなければならない」とする一方、「年間を通して見ると、エレクトロニス分野が2,000億円の利益押し上げ要因になっている」と述べた。
今後の投資については「投資効率を考えたお金の使い方に注力したい」と述べ、「アセットライトを進める一方で、垂直統合によるメリットが活かせる分野には投資を行う。投資計画の見直しを事業ごとに精査して行っていきたい」とした。
中でも、投資を今後集中させるのはネットワーク関連サービス。「Qriocityの展開をはじめているほか、ソニー・エリクソンの次世代機やSCEの“NGP”も今後控えている。ネットワーク事業は少しずつではあるが、着実に幅を広げていきたい分野だ」と述べた。
期間中の売上高は2兆2,062億円で、前年度比1.4%減。営業利益は1,375億円と前年度比5.9%減となった。加藤CFOは「結果として減収減益となったが、円高が続いている環境の中、昨年とほぼ同等の売上と利益を上げられたのは良かった」と総括した。
2010年度通期の業績予想は売上高が7兆2,000億円、営業利益は2,000億円。昨年10月時点の見通しと比べ売上は2,000億円の減少を見込むが、営業利益予想は据え置いた。
加藤CFOは通期の利益予想を据え置いたことについて「保守的という見方もあるかもしれないが、テレビが相変わらず厳しい競争が続いていることもあり、少し慎重に見ている」と説明した。
なお「サムスン電子もかなり利益を落としているが、サムスンの背中は見えてきたか」との記者の質問に対して加藤CFOは「そもそも事業構成が違う」と断った上で、「商品作りに関しては結構良いところに来ている感がある。インターネットテレビは他社に先んじて、いち早く打って出た」と強調。「一昨年の組織変更以来、スピード感が少しずつ上がってきた。背中が見える、見えないというより、四つに組んで戦う時点に近づいている」とした。
■液晶テレビ事業は130億円の赤字
部門別に見てみると、テレビやデジタルイメージング、オーディオ・ビデオ、半導体、コンポーネント、プロフェッショナル・ソリューション事業などを含むコンスーマー・プロフェッショナル&デバイス(CPD)分野の売上高は1兆909億円と4.2%の増収だったが、営業利益は268億円と、前年度比で47.2%の減益となった。
CPD分野の減益の理由について同社は、液晶テレビが価格下落の影響を受けたことを主因として挙げた。
3Qの液晶テレビ販売台数は46%増の790万台で、売上は4,070億円だったが、一方で大幅な価格下落などにより損益は200億円程度悪化し、130億円の損失を計上した。
ただし加藤CFOによると価格下落については「想定内のレベル」だったという。「期初予想に比べ、当てが外れたのはパネルのコスト。パネルはサムスンやシャープから調達しているが、結果的に思ったほど下がらなかった」。
加藤CFOは「色々なメーカーの話を聞いても、テレビ事業については、一部の素材メーカー以外は儲かっていない」と指摘。ただし「テレビは我々にとってとても大事な機械。家庭内の中心にあって、様々なサービスとつながっている。儲からないからと言って早々に引き上げるものではない」とした。
なお国内市場については、エコポイント特需があったこともあって「収益性はとても良く、足を引っ張ったわけではない」とコメント。神戸SVPは3Qの国内テレビ市場について「市場全体が2倍になったのに対し、ソニーは2.5倍くらい。市場の伸び以上に売上を伸ばせた」と胸を張った。
ただし加藤CFOはエコポイントでの売上増について「ある意味では需要の先食い」と指摘し、「今後はテレビ市場をどう盛り上げていくかが課題になる。そのために3Dの拡販やインターネットテレビなどを順次広げていく。インターネットテレビはいずれ日本にも広げていく予定だ」とした。なお、同社は2010年度のテレビ販売台数について2,500万台を目標としていたが、「目標には届かない。2,300万台程度に落ち着きそう」(加藤CFO)という。販売目標未達の背景には、第4四半期に発売する予定だったテレビ新機種の販売開始が遅れそうなこともあるという。
■NEX-5やα55、BDレコーダーは好調
デジタルイメージング事業では、コンパクトデジカメが価格下落や為替の悪影響で減収となった。一方でレンズ交換式のNEX-5やα55などについては「引き続き順調に推移している」という。
ビデオカメラは減収減益となったが、費用構造の改善や台数増により、営業利益はほぼ前年同期比並みになったという。
なおBDレコーダーの販売が増加したホームビデオ事業は好調で、利益に貢献したと言う。
■NPS分野はPS3の原価改善で大幅増益
一方、PC“VAIO”やゲーム事業などを抱えるネットワークプロダクツ&サービス(NPS)分野は好調。売上高は前年度比6.4%減の5,666億円となったが、営業利益は前年度比2倍以上となる457億円となり、大幅な増益を記録した。
NPS分野の中で稼ぎ頭となったのはゲーム事業で、売上は3,230億円だったが、利益は430億円となった。主因はPS3のハードウェアコストが大幅に改善したことと、グランツーリスモ5などソフトの売上数量が増加したこと。なお、ゲーム事業は5期連続で黒字化を達成した。
加藤CFOは今後、モバイルネットワーク機器に注力する姿勢を強調。「ソニー・エリクソンのスマートフォン、VAIOブランドのPC、SCEのゲーム機“NGP”、電子書籍リーダー。さらにタブレットも年内に発売を計画していると既に申し上げている。こういった全体像で多面的にネットワーク分野を攻めていきたい」とした。
■エレクトロニクス分野が2,000億円の利益押し上げに
なお加藤CFOは、CPDやNPSという垣根を越えて業績を見たときに、エレクトロニクス分野の利益拡大が続いていることを強調。
「これまで赤字を抱えていたソニー・エリクソンやゲーム事業の収益改善が著しい。ゲームはブレークイーブンを超え、利益に貢献するようになってきた」と説明。「テレビは課題として引き続き取り組まなければならない」とする一方、「年間を通して見ると、エレクトロニス分野が2,000億円の利益押し上げ要因になっている」と述べた。
今後の投資については「投資効率を考えたお金の使い方に注力したい」と述べ、「アセットライトを進める一方で、垂直統合によるメリットが活かせる分野には投資を行う。投資計画の見直しを事業ごとに精査して行っていきたい」とした。
中でも、投資を今後集中させるのはネットワーク関連サービス。「Qriocityの展開をはじめているほか、ソニー・エリクソンの次世代機やSCEの“NGP”も今後控えている。ネットワーク事業は少しずつではあるが、着実に幅を広げていきたい分野だ」と述べた。