• ブランド
    特設サイト
公開日 2015/03/26 11:00

エプソン、コントラスト比“無限”の4K対応レーザーPJ「EH-LS10000」

「パーフェクトブラック」をアピール
編集部:風間雄介
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
エプソンは、反射型液晶とレーザー光源を搭載したホームシアター用4K対応プロジェクター「EH-LS10000」を4月9日に発売する。価格はオープンだが、799,800円前後での販売が予想される。

EPSON「EH-LS10000」

同社のホームシアター用プロジェクターのフラグシップ機に位置づけられる製品。サブブランド“dreamio”も用いず、dreamioとは別系統の「特別な位置づけ」の製品として訴求する。THX/ISF認証を取得している。

EH-LS10000はdreamioではないスペシャルな製品として訴求する

なおデバイスには新開発の0.74型ワイドポリシリコンTFT反射型液晶パネルを搭載。方式は3LCD Reflective方式となる。

デバイス自体の画素数は1,920×1,080だが、画素ずらし技術を用いることで4K映像の表示に対応。4Kは3,840×2,160と4,096×2,160にそれぞれ対応しており、4K/60p入力(4:2:0)も可能。エプソンとして初の4K対応プロジェクターとなる。

なお、3D表示にも対応しており、THX 3Dディスプレイ認証も取得している。4K表示と3D表示は排他的で、3D表示時の4Kアップスケーリングは行えない。

HDMI入力端子は2系統で、うち1系統はHDCP 2.2にも対応している。そのほか映像入力にはコンポーネント×1、ミニD-Sub 15ピン×1、コンポジット×1も用意。RS232C×1、トリガーアウト×2、RJ45 端子(ネットワーク用)×1、USB タイプB×1などの端子も備える。

レーザー光源採用で高色域と「パーフェクトブラック」実現

光源にレーザーダイオードを採用したことが大きな特徴。光源は2つの青色レーザーダイオードを用い、片側は拡散ホイールでブルーを直接放射。もう片側は蛍光体ホイールでイエローに変換したのち、ダイクロイックミラーでグリーンとレッドに分け、それをふたたび一つの光に集束させ、投映する。輝度は1,500ルーメン。

レーザーユニットと光学ユニットの模式図

レーザー光源を採用したことで様々なメリットが生まれるが、その一つが色域が広がり、より色鮮やかな映像を実現できることだ。本機で投映できる色域は、DCIを100%カバーするのみならずAdobeRGBも包含している。フル10ビットカラープロセッシングで、約10億7000万色表示が可能(一部12ビット処理)。

DCI/Adobe RGBをカバーする広色域性能を実現

また、レーザーは点灯と消灯を瞬時に切り替えられるため、画面全体が真っ黒のいわゆる“全黒”映像の際には、光源そのものを消す。これにより画面は完全な真っ暗となり、明るい部分と暗い部分の輝度差を表すコントラスト比は文字通り“無限”となる。エプソンではこれを「パーフェクトブラック」として訴求する。

「パーフェクトブラック」として訴求する

レーザー光源そのものが消灯するため完璧な黒を表現できる、と説明

なお、全黒画面時に光源を消す機能は「ダイナミックコントラスト」という名称で、メニューから「オフ」「標準」「高速」の3段階で調整できる。高速を選ぶと、全黒になったらスピーディーに画面が真っ暗になる。

「ダイナミックコントラスト」の設定画面

調光については、レンズの絞りをシーンにあわせて調整するなど、いわゆる機械的な調光機能は備えておらず、レーザーのみで行う。このためメカの作動音がないのもメリットだ。

さらに、レーザー光源のため光源寿命が非常に長いこともメリット。同社では30,000時間の使用が可能としており、これは2時間の映画を毎日見た場合、約40年間光源が持つ計算になるという。なお、この30,000時間という光源寿命を算出した基準は、これまでのランプ光源と同様。

レーザー光源採用で30,000時間という長寿命を実現

起動が速いのもレーザー光源ならではの利点だ。「クイックスタートアップ」をオンにした際の起動時間は21秒で、EPSONロゴが投影されるまで6秒、そこから映像が投影されるまでが15秒。さらに、ランプのように徐々に輝度が上がるのではなく、起動後すぐに最大輝度になることも特徴となる。

「クイックスタートアップ」により21秒で起動する

またレーザー光源のホワイトバランスを最適化するため、内蔵した輝度センサーが100時間ごとにブルーとイエローの光をチェックし、バランスを確認する機能も搭載。自動的にホワイトバランスを調整するため、最適なホワイトバランスを維持できる。なお、この調整機能を手動で行うことはできない。

輝度センサーが100時間ごとにブルーとイエローの光をチェックし、バランスを確認する機能も搭載

なお、レーザー光源デバイス自体の消費電力は「250Wのランプ相当」とのこと。発生する熱も「ランプと比べ少ないが、極端に少ないわけではない」という。なお、レーザー光源デバイスをユーザーが交換することはできない。

反射型液晶パネルも新規開発

反射型液晶パネルも、同社の「R4000」に搭載したものから大幅に進化。反射効率はR4000のデバイス比で15%アップし、開口率も84%から90%に向上した。駆動周波数も上がり、2D表示時は240Hz、3D表示時は480Hzで駆動する。

反射型液晶パネルも、同社の「R4000」に搭載したものから大幅に進化

反射型液晶のため高コントラストで高開口率を実現

4K表示については、1つのピクセルを対角線上の片側にずらし、さらに次のタイミングでもう片側にずらす。いわゆる時分割による画素ずらしを行うことで、4K表示を可能にしている。

画素ずらしによる4K映像表示に対応

同社では、まだ4Kネイティブの映像ソースは少ないことから、2K→4Kのアップスケーリングに注力。「4Kエンハンスメント」という機能名で、好みに応じたエンハンスメントのレベル調整が行える。レベル調整値は「オフ/1/2/3/4/5/4K-1/4K-2/4K-3/4K-4/4K-5」から選択でき、初期設定値は「4K-3」。なお4Kエンハンスメントのレベル調整はリモコンからも行える。

「4Kエンハンスメント」でエンハンスメントのレベル調整が可能

2K映像のアップスケーリング性能にこだわった

■19dBという静音性能も実現

レンズは2.1倍の電動ズームフォーカスレンズで、F2.5-3.7、f値は21.3-44.7mm。上下90%、左右40%のレンズシフトも可能だ。投写サイズは30〜300型。

騒音レベルを下げるための工夫も行い、ランプ輝度 LOW時で騒音レベル19dBを実現。なおランプ輝度 HIGH時は28dB、デフォルトであるMIDDLE時は23dBとなる。

騒音レベルを下げるため、冷却系では銅製ヒートパイプとアルミ製ヒートシンクによる冷却システムを搭載。大型ファンも使用し、最小の騒音レベルの3LCDプロジェクターにした。

銅製ヒートパイプとアルミ製ヒートシンクによる冷却システムを搭載

レンズポジションメモリー機能も搭載しており、16対9やシネスコサイズに合わせた調整がかんたんに行える。

レンズポジションメモリー機能も搭載

その他の機能では、フレーム補間(デフォルトオフ)、2D-3D変換/奥行きレベル調整、メール通知機能などを搭載している。

フレーム補間や2D-3D変換機能なども装備

「これからも世界一のプロジェクターメーカーでありたい」

プレスセミナーでセイコーエプソン(株)ビジュアルプロダクツ事業部 事業部長の渡辺潤一氏は、同社が力を入れているウェアラブル型端末“MOVERIO”を装着しながらあいさつした。

セイコーエプソン(株)ビジュアルプロダクツ事業部 事業部長の渡辺潤一氏

渡辺氏は「フラグシップ機のパフォーマンスを最大限に発揮したい、最大限に感動を届けたい」と、EH-LS10000への期待感を表明。またレーザー光源の採用、4Kエンハンスメントテクノロジー、高コントラスト、高色域といった特徴を紹介し、その性能をアピールした。

エプソンのプロジェクター事業については、「エントリーからハイエンドまで幅広い製品を持っている」と自己評価。その上で「これからも世界一のプロジェクターメーカーでありたい」と力強く宣言した。

製品の概要については、セイコーエプソン(株)VI営業部 課長の児玉孝浩氏が紹介。プロモーションビデオでキーポイントを見せながら、「新光源のレーザーによって圧倒的な映像を実現できる」と自信を見せ、上述したレーザー光源の様々なメリットを一つ一つ紹介していった。

セイコーエプソン(株)VI営業部 課長の児玉孝浩氏

さらに児玉氏は、「X-MEN」や「猿の惑星:新世紀」といったBDソフトで、パーフェクトブラックのデモを中心に展示。またREDの4Kメディアプレーヤーでネイティブ映像の表示も行った。

技術的な特徴はセイコーエプソン(株)VP企画設計部 部長の小西正祐氏が紹介した。レーザー光源、反射型パネル、4Kエンハンスメントなどについてくわしく紹介した。

セイコーエプソン(株)VP企画設計部 部長の小西正祐氏

市場規模については、エプソン販売(株)販売推進本部 VPMD部長の蟹澤啓明氏が紹介した。

エプソン販売(株)販売推進本部 VPMD部長の蟹澤啓明氏

蟹澤氏によると、ホームシアタープロジェクターの国内市場規模は2014年度が33,000台で、このうちエプソンがシェア70%弱を占めている。その上で蟹澤氏は「市場のパイ全体を広げていくのがナンバーワンメーカーの責務」と指摘。「エプソンの強みであるこだわりの高画質、幅広いラインナップ、購入しやすさを訴えていく」と述べた。

ホームシアター用プロジェクターの市場動向

また、体験機会を拡充、拡大することにも力を入れる。店頭施策については、昨年は全国約500店舗以上で展開。またパブリックイベントを秋にソラマチで行い、「1万人以上の方に体験してもらった」と振り返った。さらにプロジェクターのレンタルサービスも2014年12月から開始しており、春キャンペーンも実施予定と、とにかく体験してもらうことを重視する。

EH-TW10000については、「満を持しての、4Kのレーザー機。dreamioブランドではない、特別な位置づけとして訴求していく」と紹介。キーメッセージ「漆黒の余韻に浸る」も発表し、製品を「黒」をキーワードにアピールしていくことを表明した。

プレスセミナーの最後には、エプソン販売(株)販売推進本部 本部長の鈴村文徳氏があいさつ。鈴村氏は昨年、エプソンのホームシアタープロジェクターを導入したそうで、「エントリー機を買ったのですが、とてもすばらしい映像に改めて驚かされた反面、もっと良いプロジェクターで見たらどうなるか、という興味も出てきて、深みにはまってしまいそう。この大画面の楽しみを一人でも多くの方にお伝えしたい」と意気込みをアピールした。

エプソン販売(株)販売推進本部 本部長の鈴村文徳氏

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

製品スペックを見る
  • ジャンル液晶プロジェクター
  • ブランドEPSON
  • 型番EH-LS10000
  • 発売日2015年4月9日
  • 価格¥OPEN(予想実売価格799,800円前後)
【SPEC】●画素数:1,920×1,080×3 ●明るさ:1,500lm(最大) ●コントラスト比:無限 ●投写レンズ:2.1倍電動ズームフォーカスレンズ、f=2.5-3.7、f=21.3-44.7mm ●接続端子:HDMI入力×2、コンポーネント×1、ミニD-Sub 15ピン×1、コンポジット×1、USB×1、他 ●騒音レベル:19dB(最小) ●光源:レーザーダイオード ●消費電力:459W(待機時2.8W) ●外形寸法:550W×225H×553Dmm(突起部含まず) ●質量:約18kg
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
3 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
4 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
5 楽天大感謝祭、明日12/19 20時からスタート。最大半額クーポン事前配布中
6 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
7 AUREXのBluetooth対応CDラジオ、楽天で20%ポイント還元中!
8 連載:世界のオーディオブランドを知る(3)日本発ブランドの象徴「デノン」の歴史を紐解く
9 丁寧な画質と快適な設置性!ボトル型モバイルプロジェクターJMGO「PicoFlix」を使いこなす
10 BenQ、ノングレアIPSパネル搭載のプログラミング向け31.5型4Kモニター「RD320U」
12/19 12:00 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX