• ブランド
    特設サイト
公開日 2016/10/12 13:30

エプソン、事業戦略説明会。成長の鍵はデバイス技術/新市場創出/中国等でのシェア拡大

2017年春にはフィリピン工場本格稼働
編集部:小澤 麻実
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
セイコーエプソンは11日、プロジェクターをはじめとした同社のビジュアルコミュニケーション事業の戦略説明会を開催した。

セイコーエプソン 執行役員 ビジュアルプロダクツ事業部長 生産企画本部長 渡辺潤一氏

プレゼンテーションにはレーザー光源採用の「EB-L1300U」に超短焦点レンズを組み合わせたものが使用された

PCの普及に併せて、液晶プロジェクターをプレゼンテーションツールとして広め、市場を開拓した同社。用途にあわせて性能を向上させていき、多彩な製品を揃えることでニーズをとらえシェアを拡大してきた。結果、年間販売台数は右肩上がりの成長を遂げ、市場シェアの33%を占有。累計販売台数は2,000万台を突破したという。

市場の変化や技術革新にあわせた様々な製品をラインナップしていくことで、販売シェアを着実に伸ばしていることがアピールされた

今年3月には長期ビジョン「Epson 25」を発表。マイクロディスプレイ技術とプロジェクション技術を活かし、ビジネスや生活の様々な場面で活用できる製品を送出。また「リアル世界とサイバー世界の接点が今後ますます重要になってくる」という考えのもと、プロジェクターはもちろんウェアラブルデバイスやインクジェットプリンター、ロボティクスなどの分野に注力し、人や物と情報がつながる新時代を創造することを狙う。

今年3月には長期ビジョン「Epson 25」を発表。技術力を活かし、新市場の創造を狙う


強みは「独自のコア技術・コアデバイス」と「垂直統合型ビジネスモデル」

プレゼンテーションを行ったセイコーエプソン 執行役員の渡辺潤一氏は、エプソンの強みは「独自のコア技術・コアデバイス」と「垂直統合型ビジネスモデル」だと説明する。

同社の液晶デバイス技術に、企画〜営業まで一気通貫で行うスタイルを合わせることでエプソンならではの製品を創出していくという

「エプソンの高温ポリシリコンTFT液晶パネルは高精細・高光利用効率・長寿命で、自社生産のため品質も安定している。また、このデバイスを熟知しているからこそ実現できる光学設計・製造技術により、優れた強みある製品を作ることができる」と語る渡辺氏。液晶パネルを使い、光の3原色を合成してスクリーンに投写する3LCD方式は、DLP方式に比べ明るく、表現できる色域も広く、動きの速い動画も滑らかに再生できカラーブレーキングもないとアピールする。

3LCD方式はDLP方式と比べ明るさや色域などに優れるとアピールされた

また、同社の事業所や研究開発部門は本社のある長野県に集約されており、研究開発・品質管理・営業などが連携しやすく、意志決定もスムーズに行えるにようになっているという。これにより各部門のシナジー効果が生まれ、エンドユーザーの要望や商品トレンドを先取りしたデバイス/製品開発を可能にしているとのこと。こういった取り組みの結果、同社が保有する特許登録件数は他社よりも多いこともアピールされた。

拠点を集約することで部門間のコミュニケーションを円滑にし、製品開発に活かしているという

高温ポリシリコンTFT液晶パネルは諏訪南事業所および千歳事業所で国内生産。組立工程は中国などの豊富な労働力を活用。2017年春にはフィリピンの新工場が本格稼働し、さらに生産対応力が強化されることもアピールされた。自社開発・製造のメリットは、安定した品質コントロールはもちろん、部品の安定供給や、基幹ユニットの共通化によるコスト競争力強化などにも効果を発揮するとのことだ。

2017年春にはフィリピン工場を本格稼働。さらに生産能力をアップする


今後中国や欧州でのシェア拡大狙う。新市場創造にも注力

プロジェクター市場はオリンピックなど大規模スポーツイベントのサイクルに同期しながら安定的に推移している、と説明する同社。ワールドワイドでエプソンはシェアNo.1を獲得しているが、中国やEMEA(欧州・中東・アフリカ)では占有率がやや下がる。また、1万ルーメン以上の高光束モデルでは世界シェア10%とまだ伸びしろのある状態となっている。同社は今後、この地域・分野に注力し、さらなる成長を図るとしている。

全世界的に高いシェアを誇るが、中国とEMEAはやや占有率が落ちる「ポテンシャル地域」として位置づけられているという

「中国は世界最大のプロジェクター市場であり、ローカルメーカーも多数存在する最もコンペティティブな市場。販売チャネル開拓の強化と、教育市場での拡販、オンラインでの拡売などを狙う。EMEAは以前からDLPが強い市場だったので、3LCD方式の認知向上を行う。そして高光束市場開拓に向け販売体制をさらに強化していく」(渡辺氏)

また、デバイス技術の進化にも注力。高温ポリシリコンTFT液晶パネルやレーザー光源、Si-OLEDマイクロディスプレイなどをさらに進化させることで、より美しい映像提供や、活用範囲の拡大を狙っていく。

デバイス技術を進化させ活用範囲を拡大し、新しい市場創造を狙う考えだ

新たな市場創造にも意欲。MOVERIOやMOVERIO PROといったスマートアイウェアの更なる活用や、高光束モデルによるサイネージ、リビングや店舗での空間演出などにも提案を行っていくという。



これらの取り組みにより、エプソンは2018年には売上収益2,000億円、プロジェクター販売台数は2015年度比20%増を目標に。1万ルーメン以上の高光束分野でのシェアも倍増を図るとした。

2018年までの事業目標

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX