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公開日 2019/01/12 10:06
<CES>「8Kアソシエーション」参加、「HDR10+」新カテゴリー追加。パナソニック担当者がその意図を語る
HDR10+にプロジェクター/AVR/モバイルの分野が追加
CES 2019の会期中となる現地時間1月9日、パナソニック・サムスン電子・ハイセンス・TCLアメリカ・AU Optronicsの5社を初期ファウンダー(さらにサムスンディスプレイが加入手続き中)、Insight Mediaをオーガナイザーとする非営利団体「8Kアソシエーション」の設立が発表され、プレスカンファレンスが開催された。
そのプレスカンファレンス開催直前のタイミングで、初期ファウンダーの1社として「8Kアソシエーション」に参加するパナソニックの柏木氏にお話を伺うことができた。
まず、8Kアソシエーションの活動目的として掲げられているのは、8Kのエコシステム全体にわたって8Kの課題に向き合うこと。ただ、団体の設立が決まったのは昨年末で、設立は今年に入ってからと急転直下の出来事ということもあって、以下に伺えた内容は、あくまで活動案と呼べる段階のものだ。
8Kアソシエーションの活動案は、8K テレビと8Kコンテンツの業界全般へのプロモーション、そして8Kロゴプログラムを導入して訴求すること(ちなみに、既報に掲載されているロゴマークは仮のものだという)。業界ならびにエンドユーザーの教育・啓蒙として、Web/店頭でのキャンペーンを行うほか、業界内でカンファレンスなどを開催。また技術的検討として8K信号の基本的要件を定義すると共に、8K TVに求められる最低限の画質要件基準を策定するとしている。
8Kを取り巻く事実関係のみを挙げれば、昨年12月で日本の8K衛星放送が開始され、コンテンツ制作、伝送、再生用機器まで準備済み。民生用機器も市販され、2020年東京オリンピックも放送予定とポジティブな要素が並ぶ。だが、それだけでは8Kの普及には時間がかかるという認識を共有しているからこそ、8Kアソシエーションが設立に至ったというわけだ。
繰り返しになるが、初期ファウンダーはパナソニック、サムスン電子、ハイセンス、TCLアメリカ、AU Optronicsの5社。顔ぶれを見て気づのは、テレビセットメーカー、パネルベンダーと、積極的に8Kを売り出したい立場のメンバーということ。
その中ではむしろ、8K対応機器を持たないパナソニックこそが、異端と呼べるかもしれないが、これまでもサムスンとパナソニックが共同で各種の規格化に取り組んできた実績もある。8Kにおいてもパナソニックが継続して規格に関与する形になった。
また、世界で唯一8K放送を手がけるNHKの参加は、公共放送という性格上かなわなかったが、8Kアソシエーションに日本メーカーが参加することで、8K普及に向けて協力関係の構築もしやすくなるだろう。
CES 2019の時点では設立自体も間もないこともあり、具体的な活動は今後の話になるがDVD、BD、HDR10、HDR10+と映像関連の規格化に取り組んできたパナソニックの参加は、高品質な8K普及に向けての力となることだろう。
●「HDR10+」は新たに「プロジェクター」「AVR」「モバイル」へと拡大
パナソニック柏木氏からは、「HDR10+」の進捗も伺えた。1つ目のトピックは、HDR10+に参加するアダプター契約が正式に完了した会社が59社となったこと。なお契約した会社はWEB上に公開されているが、社名公開を希望しないアダプターもいるためWEB上では39社だ。また、認証済み製品は同サイトの同じURLで公開されている。また、コンテンツについても20世紀FOX、ワーナーが複数コンテンツのリリースを検討しているようだ。
HDR10+の公開アダプターを見ると、製品発売に必須となるSoCベンダー12社がHDR10+に対応、制作ツールも26社と2018年で環境は整った。2019年はこれらをベースとした製品の市場導入が進む見込みだ。
パナソニックからはHDR10+対応機種として有機ELテレビの2019モデルの「GZ2000」シリーズ(関連ニュース)、Ultra HD Blurayプレーヤーの「DP-UB9000」(関連ニュース)、新製品として「DP-UB450」「DP-UB150」(関連ニュース)も発売される。
また製品開発に必要な認証テストセンターに、従来からの日本、韓国、北米に加えて新たに中国TIRTが参加。日本を担当するAllionが欧州に拠点を設ける予定で、主要地域すべてに認証テストセンターが設けられたことになる。
さらにHDR10+については、今後の予定としてライセンスカテゴリーに新たに「プロジェクターカテゴリー」「AVRカテゴリー」「モバイルカテゴリー」が追加される。
プロジェクターカテゴリーは、プロジェクターで高画質に映画を視聴したいAVファン待望のカテゴリーだ。プロジェクターは画面インチサイズに応じて輝度が変わるために評価が難しいが、テスト環境を制定してスペック基準を決めていくとのこと。
AVR(AVレシーバー)カテゴリーはサウンドバー、リピーター、スプリッターを含めたものとなる。Ultra HD Blu-rayプレーヤーやSTBをAVレシーバー経由でテレビに接続する際に、 “HDR10+パススルー” を実現するために必要なものだ。
モバイルカテゴリーについては、スマホによるHDR表示に基準を設けるものだ。HDR10+をパナソニックと共に主導してきたサムスンが特に力を入れているカテゴリーで、モバイル再生環境の整備が行われると共に、テレビと同様にスマホ画面の輝度スペックに一定の性能基準が設けられる。
以上の新規3カテゴリーの追加はAVファンに向けて、またより幅広いモバイルユーザーに向けて、高品質で最適化されたHDR体験を届けるHDR10+の理念の拡大していくことになるだろう。
(折原一也)
そのプレスカンファレンス開催直前のタイミングで、初期ファウンダーの1社として「8Kアソシエーション」に参加するパナソニックの柏木氏にお話を伺うことができた。
まず、8Kアソシエーションの活動目的として掲げられているのは、8Kのエコシステム全体にわたって8Kの課題に向き合うこと。ただ、団体の設立が決まったのは昨年末で、設立は今年に入ってからと急転直下の出来事ということもあって、以下に伺えた内容は、あくまで活動案と呼べる段階のものだ。
8Kアソシエーションの活動案は、8K テレビと8Kコンテンツの業界全般へのプロモーション、そして8Kロゴプログラムを導入して訴求すること(ちなみに、既報に掲載されているロゴマークは仮のものだという)。業界ならびにエンドユーザーの教育・啓蒙として、Web/店頭でのキャンペーンを行うほか、業界内でカンファレンスなどを開催。また技術的検討として8K信号の基本的要件を定義すると共に、8K TVに求められる最低限の画質要件基準を策定するとしている。
8Kを取り巻く事実関係のみを挙げれば、昨年12月で日本の8K衛星放送が開始され、コンテンツ制作、伝送、再生用機器まで準備済み。民生用機器も市販され、2020年東京オリンピックも放送予定とポジティブな要素が並ぶ。だが、それだけでは8Kの普及には時間がかかるという認識を共有しているからこそ、8Kアソシエーションが設立に至ったというわけだ。
繰り返しになるが、初期ファウンダーはパナソニック、サムスン電子、ハイセンス、TCLアメリカ、AU Optronicsの5社。顔ぶれを見て気づのは、テレビセットメーカー、パネルベンダーと、積極的に8Kを売り出したい立場のメンバーということ。
その中ではむしろ、8K対応機器を持たないパナソニックこそが、異端と呼べるかもしれないが、これまでもサムスンとパナソニックが共同で各種の規格化に取り組んできた実績もある。8Kにおいてもパナソニックが継続して規格に関与する形になった。
また、世界で唯一8K放送を手がけるNHKの参加は、公共放送という性格上かなわなかったが、8Kアソシエーションに日本メーカーが参加することで、8K普及に向けて協力関係の構築もしやすくなるだろう。
CES 2019の時点では設立自体も間もないこともあり、具体的な活動は今後の話になるがDVD、BD、HDR10、HDR10+と映像関連の規格化に取り組んできたパナソニックの参加は、高品質な8K普及に向けての力となることだろう。
●「HDR10+」は新たに「プロジェクター」「AVR」「モバイル」へと拡大
パナソニック柏木氏からは、「HDR10+」の進捗も伺えた。1つ目のトピックは、HDR10+に参加するアダプター契約が正式に完了した会社が59社となったこと。なお契約した会社はWEB上に公開されているが、社名公開を希望しないアダプターもいるためWEB上では39社だ。また、認証済み製品は同サイトの同じURLで公開されている。また、コンテンツについても20世紀FOX、ワーナーが複数コンテンツのリリースを検討しているようだ。
HDR10+の公開アダプターを見ると、製品発売に必須となるSoCベンダー12社がHDR10+に対応、制作ツールも26社と2018年で環境は整った。2019年はこれらをベースとした製品の市場導入が進む見込みだ。
パナソニックからはHDR10+対応機種として有機ELテレビの2019モデルの「GZ2000」シリーズ(関連ニュース)、Ultra HD Blurayプレーヤーの「DP-UB9000」(関連ニュース)、新製品として「DP-UB450」「DP-UB150」(関連ニュース)も発売される。
また製品開発に必要な認証テストセンターに、従来からの日本、韓国、北米に加えて新たに中国TIRTが参加。日本を担当するAllionが欧州に拠点を設ける予定で、主要地域すべてに認証テストセンターが設けられたことになる。
さらにHDR10+については、今後の予定としてライセンスカテゴリーに新たに「プロジェクターカテゴリー」「AVRカテゴリー」「モバイルカテゴリー」が追加される。
プロジェクターカテゴリーは、プロジェクターで高画質に映画を視聴したいAVファン待望のカテゴリーだ。プロジェクターは画面インチサイズに応じて輝度が変わるために評価が難しいが、テスト環境を制定してスペック基準を決めていくとのこと。
AVR(AVレシーバー)カテゴリーはサウンドバー、リピーター、スプリッターを含めたものとなる。Ultra HD Blu-rayプレーヤーやSTBをAVレシーバー経由でテレビに接続する際に、 “HDR10+パススルー” を実現するために必要なものだ。
モバイルカテゴリーについては、スマホによるHDR表示に基準を設けるものだ。HDR10+をパナソニックと共に主導してきたサムスンが特に力を入れているカテゴリーで、モバイル再生環境の整備が行われると共に、テレビと同様にスマホ画面の輝度スペックに一定の性能基準が設けられる。
以上の新規3カテゴリーの追加はAVファンに向けて、またより幅広いモバイルユーザーに向けて、高品質で最適化されたHDR体験を届けるHDR10+の理念の拡大していくことになるだろう。
(折原一也)