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ガジェット 公開日 2022/12/08 15:18
マイクロソフト、任天堂とSteamに「CoD」10年提供を申し出。ソニー対策か
スイッチ版CoD新作をXbox版と同時発売できるのか
米マイクロソフト(以下「MS」)は、大手ゲームパブリッシャーであるアクティビジョン・ブリザードの買収が成立した場合には、任天堂のゲーム機向けに「Call of Duty(CoD)」を10年間提供し続ける契約を任天堂と締結したことを発表した。
この契約は、先日MSがソニーに提示した条件と同じ長さである。同時にMSは、CoD新作をXbox版と同時にSteamでも提供し続けることも約束している。
これらの発表は、Xbox部門トップのフィル・スペンサー氏がTwitter上で表明したものだ。
MSが任天堂やSteam(を運営するValve社)に取引を持ちかけたのは、明らかにソニーに同じ条件を飲むように圧力を掛けるためだろう。MSのブラッド・スミス副会長はThe Wall Street Journalに自ら寄稿し、同社のアクティビジョン買収案について「ソニーは、最も大きな反対勢力として登場した」「Netflixの出現がブロックバスター社(かつて存在した世界最大のレンタルビデオチェーン店)を刺激したように、ソニーもこの取引に対して躍起になっている」と述べていた。
ハイテク巨人のMSがゲームパブリッシャー大手を買収するためには、世界各国の規制当局から「反トラスト法(独占禁止法)違反ではない」として許可を得る必要がある。その上で、最大の壁として立ちはだかっているのがソニーである。
米国ほかの当局は買収につき他の企業からの意見を募っているが、そこではソニーが強力な反対を寄せてきた。ニュージーランドやブラジル等でも、MSとソニーが互いに「自社の方が立場が弱い」(MSの立場が強いと、それだけ独占の危険が認められやすい)と奇妙な論争を繰り広げてきたことは以前もお伝えした通りだ。
さらにスペンサー氏のツイートを受けて、スミス副会長は「ソニーが腰を据えて話をしたいと言うなら、PlayStationについても10年契約を喜んで提案するよ」と述べている。任天堂やValveの同意を取り付けた上で、ソニー包囲網を築こうとする意図だろう。
ここに来て、なぜMSが何かに駆り立てられるように動いているのか。それは米連邦取引委員会(FTC)がアクティビジョン買収は市場の独占になりかねないとして、まもなく反トラスト法訴訟を起こす可能性があると報じられているからだ。Bloombergも、スミス氏と他のMS幹部が、FTCのリナ・カーン委員長と会う予定(12月6日時点)だと伝えていた。
しかし、任天堂との10年契約については、MSがどれほど真剣に考えているのかは不明だ。スミス氏がWSJに寄稿した声明では「他のプラットフォームにも同じ約束をし、米国、英国、欧州連合の規制当局によって法的強制力を持たせることに前向きだ」と述べていた。この言葉通りであれば、ソニーに提示した条件と同等の「CoD新作をXbox版と同じ日に、任天堂ハードにも提供する」ということになる。
ちなみに任天堂プラットフォーム向けCoDシリーズの「最新作」は、2013年にWii U向けに発売された『Call of Duty: Ghosts』だった。人気の低迷したWii Uはさておき、絶好調のNintendo Switch向けにも新作を1本も提供していない理由は、おそらく他の競合ゲーム機よりも性能が劣るためだろう。そのSwitch向けに「CoD新作をXbox版と同日に発売」とは大胆すぎる約束ではある。
さて、もう1つの当事者であるValveだが、共同創業者で社長のゲイブ・ニューウェル氏はKotakuへの声明で、CoDをSteamに留めるために、こうした契約は必要ないと明言している。
MSは契約書のドラフトを送ってきたと認めつつ「我々は、遠い将来までSteamでのゲーム提供を義務づけるような契約をパートナーに求めることは信条としていない」としてやんわり断っている次第だ。要するにビジネスのためには、好むと好まざるとにかかわらずSteam版を出すしかないだろう、と示唆しているようだ。
これらMSの一手により、ソニーや世界の規制当局、特にFTCが反対の姿勢を改めるのか。今後の展開を見守りたいところだ。
Source: Phil Spencer(Twitter)
via: The Verge
この契約は、先日MSがソニーに提示した条件と同じ長さである。同時にMSは、CoD新作をXbox版と同時にSteamでも提供し続けることも約束している。
これらの発表は、Xbox部門トップのフィル・スペンサー氏がTwitter上で表明したものだ。
MSが任天堂やSteam(を運営するValve社)に取引を持ちかけたのは、明らかにソニーに同じ条件を飲むように圧力を掛けるためだろう。MSのブラッド・スミス副会長はThe Wall Street Journalに自ら寄稿し、同社のアクティビジョン買収案について「ソニーは、最も大きな反対勢力として登場した」「Netflixの出現がブロックバスター社(かつて存在した世界最大のレンタルビデオチェーン店)を刺激したように、ソニーもこの取引に対して躍起になっている」と述べていた。
ハイテク巨人のMSがゲームパブリッシャー大手を買収するためには、世界各国の規制当局から「反トラスト法(独占禁止法)違反ではない」として許可を得る必要がある。その上で、最大の壁として立ちはだかっているのがソニーである。
米国ほかの当局は買収につき他の企業からの意見を募っているが、そこではソニーが強力な反対を寄せてきた。ニュージーランドやブラジル等でも、MSとソニーが互いに「自社の方が立場が弱い」(MSの立場が強いと、それだけ独占の危険が認められやすい)と奇妙な論争を繰り広げてきたことは以前もお伝えした通りだ。
さらにスペンサー氏のツイートを受けて、スミス副会長は「ソニーが腰を据えて話をしたいと言うなら、PlayStationについても10年契約を喜んで提案するよ」と述べている。任天堂やValveの同意を取り付けた上で、ソニー包囲網を築こうとする意図だろう。
ここに来て、なぜMSが何かに駆り立てられるように動いているのか。それは米連邦取引委員会(FTC)がアクティビジョン買収は市場の独占になりかねないとして、まもなく反トラスト法訴訟を起こす可能性があると報じられているからだ。Bloombergも、スミス氏と他のMS幹部が、FTCのリナ・カーン委員長と会う予定(12月6日時点)だと伝えていた。
しかし、任天堂との10年契約については、MSがどれほど真剣に考えているのかは不明だ。スミス氏がWSJに寄稿した声明では「他のプラットフォームにも同じ約束をし、米国、英国、欧州連合の規制当局によって法的強制力を持たせることに前向きだ」と述べていた。この言葉通りであれば、ソニーに提示した条件と同等の「CoD新作をXbox版と同じ日に、任天堂ハードにも提供する」ということになる。
ちなみに任天堂プラットフォーム向けCoDシリーズの「最新作」は、2013年にWii U向けに発売された『Call of Duty: Ghosts』だった。人気の低迷したWii Uはさておき、絶好調のNintendo Switch向けにも新作を1本も提供していない理由は、おそらく他の競合ゲーム機よりも性能が劣るためだろう。そのSwitch向けに「CoD新作をXbox版と同日に発売」とは大胆すぎる約束ではある。
さて、もう1つの当事者であるValveだが、共同創業者で社長のゲイブ・ニューウェル氏はKotakuへの声明で、CoDをSteamに留めるために、こうした契約は必要ないと明言している。
MSは契約書のドラフトを送ってきたと認めつつ「我々は、遠い将来までSteamでのゲーム提供を義務づけるような契約をパートナーに求めることは信条としていない」としてやんわり断っている次第だ。要するにビジネスのためには、好むと好まざるとにかかわらずSteam版を出すしかないだろう、と示唆しているようだ。
これらMSの一手により、ソニーや世界の規制当局、特にFTCが反対の姿勢を改めるのか。今後の展開を見守りたいところだ。
Source: Phil Spencer(Twitter)
via: The Verge