公開日 2009/08/06 16:28
ビクターのBDプレーヤー「XV-BP1」をレビュー − 大橋伸太郎氏が確かめたその実力とは
Victor TECH-PARK更新
ビクターがJVCブランドからBDプレーヤー「XV-BP1」を発表した。最新のBDエンターテインメントにフル対応した本機の実力を、評論家の大橋伸太郎氏が実機のテストを基に検証した。
オーディオビジュアルファンが待望したビクターのBDプレーヤーが登場
今夏、ビクターはグローバルブランドの“JVC”から液晶マルチモニター「LT-42WX70」を発売し、再びファンの熱い注視を集めている。専門店大手が商談会に本機を展示したところ、瞬く間に数台が成約。購入したのは主にプロジェクター上級カテゴリーで向かうところ敵なしのD-ILAのユーザーだが、映像調整を開放したマニアックなコンセプトが一致して購入の決め手になったという。ビクターの威光衰えずといったところである。
そのビクターの次なる動きがBDプレーヤー「XV-BP1」の発売である。ビクターはBDアソシエーションの中心的一社で、最も早い時期からコンベンションにBDレコーダーを試作展示していた。このところはケンウッドとの経営統合など政治の時期にあったため、市場への投入が少し遅れていたビクターのBDプレーヤーがとうとう世に送り出された。市場想定価格が42,000円前後というスタンダード機だが、私たちオーディオビジュアルファンにとって喜び以外の何物でもない。話題の「XV-BP1」を数日間自宅に預かり、その実力と価値を検証してみた。
XV-BP1はBD-ROM、BD-R/RE、DVD(-R/RE他含む)、音楽CDが再生できるほか、前面にUSB入力を備えMP3/WMAなど音楽ファイルやJPEG静止画ファイルの再生にまで対応する。また、ハイビジョンムービーで撮影したコンテンツを収めたAVCHDディスクや、PCで作成したDivX/MPEG-4ファイルの再生も可能だ。BD-ROMプレーヤーとして見た時、1080p/24コマ出力、DVDの1080p/60コマへのアプコン出力が可能な点も魅力だ。その他、LAN端子を持ち、BD-LIVE/BONUS VIEWによるBD-ROMの機能拡張にも対応する。もちろん、ドルビーTrueHD、DTS-HD Master Audio等、HDオーディオのビットストリーム出力にも対応する。最大7.1chまでのリニアPCM変換マルチ出力も可能だ。なお音声アナログ変換出力の機能は持たない。
実際に目にした「XV-BP1」は、薄型(高さ54mm)のスペースセーバー性を重視したデザインで、本体も軽量なのでTVラックが混雑を極めていても設置は容易である。テスト時の視聴機器は、ディスプレイにビクター「DLA-HD100」、サラウンドアンプにソニー「TA-DA3200ES」を使用した。
JAVAの読み込み等、BD-ROMの装填から出画まで機敏な応答を実現していて心地よい。筆者の試聴室はスクリーンに120インチ(4対3)のキクチ「190PRO」を使用、映像の隅々まで凝視できる環境だが、XV-BP1は堂々とした画で驚かせる。どちらかというとS/N志向、バランス志向で自然かつ誇張感のない素直な映像である。
今年に入りMPEG-4 AVCのフォーマットで映像を収録したタイトルの比率がさらに増し、BD-ROMの画質が一段と向上、特に細部の解像感や遠近感に進境が大きい。今季の各社のプレーヤー、レコーダーもそれに合わせて細部の情報の表出を重視する傾向がみられるが、やや過度に感じられる場合もある。XV-BP1の場合、最新ディスクの画質に寄り添いディテール情報が自然に滲み出る。色彩もどちらかというと品がよく、自己主張を抑えるタイプ。エントリークラス再生専用機のユーザーはジャンルにこだわらず映画を見るBD-ROMのヘビーユーザーだから、これは理に適った画質設定である。
HDオーディオの音質は今回はLPCMに変換して出力したが、スピード感に溢れた鋭利なサウンドである。敢えて注文をつければ、前面パネルのボタン周囲の青のイルミネーションが、真暗な環境では目に付くこともあるので、次作にはディマー機能の導入も検討していただきたい。他には文句の付けようのない優れたスタンダード機である。カテゴリーNo.1を独走するプロジェクター、モニターディスプレイ、そしてXV-BP1と駒は揃った。私たちオーディオビジュアルファンは、もう一度繰り返そうではないか。“ウェルカム・ビクター!”と。
<SPEC>
●入出力端子:HDMI出力×1、D端子×1、コンポーネント映像出力×1、コンポジット映像出力×1、アナログ2ch音声出力×1、デジタル音声出力(光/同軸)×各1、LAN端子(10BASE-T/100BASE-TX)、USB端子 ●消費電力:約18W ●外径寸法:約430W×54H×245Dmm ●質量:約2.8kg ●問い合わせ先:日本ビクター(株)お客様ご相談センター TEL/0120-2828-17
大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数2006年に評論家に転身。
オーディオビジュアルファンが待望したビクターのBDプレーヤーが登場
今夏、ビクターはグローバルブランドの“JVC”から液晶マルチモニター「LT-42WX70」を発売し、再びファンの熱い注視を集めている。専門店大手が商談会に本機を展示したところ、瞬く間に数台が成約。購入したのは主にプロジェクター上級カテゴリーで向かうところ敵なしのD-ILAのユーザーだが、映像調整を開放したマニアックなコンセプトが一致して購入の決め手になったという。ビクターの威光衰えずといったところである。
そのビクターの次なる動きがBDプレーヤー「XV-BP1」の発売である。ビクターはBDアソシエーションの中心的一社で、最も早い時期からコンベンションにBDレコーダーを試作展示していた。このところはケンウッドとの経営統合など政治の時期にあったため、市場への投入が少し遅れていたビクターのBDプレーヤーがとうとう世に送り出された。市場想定価格が42,000円前後というスタンダード機だが、私たちオーディオビジュアルファンにとって喜び以外の何物でもない。話題の「XV-BP1」を数日間自宅に預かり、その実力と価値を検証してみた。
XV-BP1はBD-ROM、BD-R/RE、DVD(-R/RE他含む)、音楽CDが再生できるほか、前面にUSB入力を備えMP3/WMAなど音楽ファイルやJPEG静止画ファイルの再生にまで対応する。また、ハイビジョンムービーで撮影したコンテンツを収めたAVCHDディスクや、PCで作成したDivX/MPEG-4ファイルの再生も可能だ。BD-ROMプレーヤーとして見た時、1080p/24コマ出力、DVDの1080p/60コマへのアプコン出力が可能な点も魅力だ。その他、LAN端子を持ち、BD-LIVE/BONUS VIEWによるBD-ROMの機能拡張にも対応する。もちろん、ドルビーTrueHD、DTS-HD Master Audio等、HDオーディオのビットストリーム出力にも対応する。最大7.1chまでのリニアPCM変換マルチ出力も可能だ。なお音声アナログ変換出力の機能は持たない。
実際に目にした「XV-BP1」は、薄型(高さ54mm)のスペースセーバー性を重視したデザインで、本体も軽量なのでTVラックが混雑を極めていても設置は容易である。テスト時の視聴機器は、ディスプレイにビクター「DLA-HD100」、サラウンドアンプにソニー「TA-DA3200ES」を使用した。
JAVAの読み込み等、BD-ROMの装填から出画まで機敏な応答を実現していて心地よい。筆者の試聴室はスクリーンに120インチ(4対3)のキクチ「190PRO」を使用、映像の隅々まで凝視できる環境だが、XV-BP1は堂々とした画で驚かせる。どちらかというとS/N志向、バランス志向で自然かつ誇張感のない素直な映像である。
今年に入りMPEG-4 AVCのフォーマットで映像を収録したタイトルの比率がさらに増し、BD-ROMの画質が一段と向上、特に細部の解像感や遠近感に進境が大きい。今季の各社のプレーヤー、レコーダーもそれに合わせて細部の情報の表出を重視する傾向がみられるが、やや過度に感じられる場合もある。XV-BP1の場合、最新ディスクの画質に寄り添いディテール情報が自然に滲み出る。色彩もどちらかというと品がよく、自己主張を抑えるタイプ。エントリークラス再生専用機のユーザーはジャンルにこだわらず映画を見るBD-ROMのヘビーユーザーだから、これは理に適った画質設定である。
HDオーディオの音質は今回はLPCMに変換して出力したが、スピード感に溢れた鋭利なサウンドである。敢えて注文をつければ、前面パネルのボタン周囲の青のイルミネーションが、真暗な環境では目に付くこともあるので、次作にはディマー機能の導入も検討していただきたい。他には文句の付けようのない優れたスタンダード機である。カテゴリーNo.1を独走するプロジェクター、モニターディスプレイ、そしてXV-BP1と駒は揃った。私たちオーディオビジュアルファンは、もう一度繰り返そうではないか。“ウェルカム・ビクター!”と。
<SPEC>
●入出力端子:HDMI出力×1、D端子×1、コンポーネント映像出力×1、コンポジット映像出力×1、アナログ2ch音声出力×1、デジタル音声出力(光/同軸)×各1、LAN端子(10BASE-T/100BASE-TX)、USB端子 ●消費電力:約18W ●外径寸法:約430W×54H×245Dmm ●質量:約2.8kg ●問い合わせ先:日本ビクター(株)お客様ご相談センター TEL/0120-2828-17
大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数2006年に評論家に転身。