公開日 2011/06/15 13:08
ヤマハのエントリーAVアンプ「RX-V771」を高橋敦が速攻レビュー − 強化されたヤマハのネットワーク連携
音質/機能性が共に向上
■強化されたヤマハのネットワーク連携
「RX-V771(関連ニュース)」は、比較的ユーザーの手が届きやすい価格帯で音質と機能性を両立させた、ヤマハAVアンプのスタンダードモデルだ。従来機「RX-V767」の完成度を引き継ぎつつ、同社のエントリーモデルとして初めてネットワーク対応を果たした。DLNA1.5/Windows 7準拠のネットワーク再生機能を搭載している。
ネットワーク連携面のポイントとして、まずiOS用のコントロールアプリ「AV CONTROLLER App」に対応し、iPhone/iPod/iPadからの操作が可能になったことが挙げられる。例えば、本機の特長のひとつである「シネマDSP<3Dモード>」の選択時には、アプリ画面上に各モードがアイコンで一覧表示されるなど、視覚的でわかりやすい操作が行えるのだ。
加えて、PCのウェブブラウザから本機の操作や設定を行える「ウェブコントロールセンター」機能にも対応している。ネットワーク機能の搭載に加え、外部機器との連携も強化されたことによって、ヤマハAVアンプの使い勝手はより向上したといえるだろう。
音声フォーマットは96kHz/24bitのFLAC/WAVまで対応可能となり、いわゆるハイレゾ音源の再生も可能だ。本体フロントに備えるUSB端子からは、iPodデジタル伝送にも対応する。
従来モデルに引き続き日本語表示に対応するオンスクリーンメニューは、画面構成を刷新。再生中にDSPモードなどの本体設定をすぐに確認できる「ステータスバー」表示が可能となり、使い勝手が改善された。また、東芝“REGZA”との連携も強化されるなど、細かな機能や性能も向上している。
下位モデル「RX-V571/471(詳細はこちら)」と同様にエコ性能にも注力しており、スタンバイスルー時の消費電力を前モデルから25%削減した。なお、スタンバイ時でもHDMIセレクターとして動作する「インプットスタンバイセレクト」機能は引き続き備えており、使い勝手も配慮されている印象だ。
■さらなる向上を図った音質を早速チェック
RX-V771は、ジッター対策や高音質オペアンプの採用などによって、従来機からのさらなる音質向上が図られている。早速チェックしてみよう。映画『キック・アス』は、アクションが残酷描写的でありながら、それを陰惨に見せないのも特徴の作品だ。本機はそこを汲み取るように、ミンディ棒(薙刀)がマフィアをスパスパッと切り裂いていく効果音を「爽快」に描く。特別にキレまくる音調というわけではないが、素直なスピード感があり、妙な生々しさを出さない。
一方、クライマックスの格闘戦では、顔面を殴打する音に混じる肉質の粘着感が生々しい。マフィアのボスの声の硬い響きや苦々しい表情、ヒット・ガールの悲壮感を漂わせながらにして幼い声色もよく描き分け、物語を深めてくれる。
台詞などの描写は『涼宮ハルヒの消失』でも良好だ。台詞の感触は少し柔らかめだが、その響きはコンクリートの壁と木の床の感触を十分に出している。声の震えや衣擦れなども、描き出しは完璧ではないものの、キャラクターの不安や戸惑いを十分に伝えてくる。
ハイレゾ音楽ファイルのネットワーク再生では、その情報量の多さを引き出す。空間性、特に音場の奥行が豊かだ。音色の抑揚や表情は、この価格帯のAVアンプが持つクオリティとしては十分に納得できる。
ネットワーク対応を果たしつつ、クオリティの着実な向上に、ユーザーの利便性を向上させる細かな機能や操作性も備えている。実に好ましい進化を遂げたモデルだ。
【執筆者プロフィール】
高橋 敦 Atsushi Takahashi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
「RX-V771(関連ニュース)」は、比較的ユーザーの手が届きやすい価格帯で音質と機能性を両立させた、ヤマハAVアンプのスタンダードモデルだ。従来機「RX-V767」の完成度を引き継ぎつつ、同社のエントリーモデルとして初めてネットワーク対応を果たした。DLNA1.5/Windows 7準拠のネットワーク再生機能を搭載している。
ネットワーク連携面のポイントとして、まずiOS用のコントロールアプリ「AV CONTROLLER App」に対応し、iPhone/iPod/iPadからの操作が可能になったことが挙げられる。例えば、本機の特長のひとつである「シネマDSP<3Dモード>」の選択時には、アプリ画面上に各モードがアイコンで一覧表示されるなど、視覚的でわかりやすい操作が行えるのだ。
加えて、PCのウェブブラウザから本機の操作や設定を行える「ウェブコントロールセンター」機能にも対応している。ネットワーク機能の搭載に加え、外部機器との連携も強化されたことによって、ヤマハAVアンプの使い勝手はより向上したといえるだろう。
音声フォーマットは96kHz/24bitのFLAC/WAVまで対応可能となり、いわゆるハイレゾ音源の再生も可能だ。本体フロントに備えるUSB端子からは、iPodデジタル伝送にも対応する。
従来モデルに引き続き日本語表示に対応するオンスクリーンメニューは、画面構成を刷新。再生中にDSPモードなどの本体設定をすぐに確認できる「ステータスバー」表示が可能となり、使い勝手が改善された。また、東芝“REGZA”との連携も強化されるなど、細かな機能や性能も向上している。
下位モデル「RX-V571/471(詳細はこちら)」と同様にエコ性能にも注力しており、スタンバイスルー時の消費電力を前モデルから25%削減した。なお、スタンバイ時でもHDMIセレクターとして動作する「インプットスタンバイセレクト」機能は引き続き備えており、使い勝手も配慮されている印象だ。
■さらなる向上を図った音質を早速チェック
RX-V771は、ジッター対策や高音質オペアンプの採用などによって、従来機からのさらなる音質向上が図られている。早速チェックしてみよう。映画『キック・アス』は、アクションが残酷描写的でありながら、それを陰惨に見せないのも特徴の作品だ。本機はそこを汲み取るように、ミンディ棒(薙刀)がマフィアをスパスパッと切り裂いていく効果音を「爽快」に描く。特別にキレまくる音調というわけではないが、素直なスピード感があり、妙な生々しさを出さない。
一方、クライマックスの格闘戦では、顔面を殴打する音に混じる肉質の粘着感が生々しい。マフィアのボスの声の硬い響きや苦々しい表情、ヒット・ガールの悲壮感を漂わせながらにして幼い声色もよく描き分け、物語を深めてくれる。
台詞などの描写は『涼宮ハルヒの消失』でも良好だ。台詞の感触は少し柔らかめだが、その響きはコンクリートの壁と木の床の感触を十分に出している。声の震えや衣擦れなども、描き出しは完璧ではないものの、キャラクターの不安や戸惑いを十分に伝えてくる。
ハイレゾ音楽ファイルのネットワーク再生では、その情報量の多さを引き出す。空間性、特に音場の奥行が豊かだ。音色の抑揚や表情は、この価格帯のAVアンプが持つクオリティとしては十分に納得できる。
ネットワーク対応を果たしつつ、クオリティの着実な向上に、ユーザーの利便性を向上させる細かな機能や操作性も備えている。実に好ましい進化を遂げたモデルだ。
【執筆者プロフィール】
高橋 敦 Atsushi Takahashi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。