公開日 2011/11/21 18:51
TDK Life on Record“プレミアムシリーズ”開発者に聞く − ヘッドホン&イヤホンの「音づくり」の秘密
話題の最上位BA型イヤホンも発売
イメーションが取り扱うTDK Life on Recordブランドから、2基のバランスド・アーマチュアドライバーを搭載したカナル型イヤホンのフラグシップモデル「TH-ECBA200BBK」が発売された。「ビジュアルグランプリ2012」受賞モデルである本機をはじめとした、TDK Life on Record“プレミアムシリーズ”のヘッドホン&イヤホンが今秋一気にラインナップを充実させ、注目を集めている。
今回は米国のイメーション本社にてTDK Life on Recordブランドのヘッドホン/イヤホン製品の開発を担当する、チーフ・オーディオ・エンジニアのジョン・ブラス氏(以下:ジョン)、グローバル・プロダクトマネージャーのクリス・リヒトシャイトル氏(以下:クリス)にメールインタビューを行い、“プレミアムシリーズ”が開発された経緯や、各ラインナップ製品が特徴とするサウンドや機能の魅力に迫った。
「原音に忠実な音楽再生」にこだわった“プレミアムシリーズ”誕生
− TDK Life on Recordのヘッドホン&イヤホンの“プレミアムシリーズ”はどのようにして誕生したのでしょうか。
クリス:TDK Life on Recordのヘッドホン、イヤホン製品の開発をスタートするにあたって、私たちはまず現在のブランドイメージを調査して、ターゲットにすべきユーザー像を明らかにすることから始めました。その結果、TDKブランドをオーディオ・カセットテープの時代から愛し、使い続けてくださる熱心なファンが、今もTDK Life on Recordの製品を支持していただいていることがわかりました。彼らはTDK Life on Recordブランドの新しいオーディオ製品に注目しながら、上質な音楽体験に期待を寄せてくれています。
TDK Life on Recordでは、2009年にダイナミック型のパワー系サウンドのイヤホン「TH-EB900」を発売しました。その後、私たちはTDK Life on Recordならではの高音質とオリジナリティを持った商品を、次のステップとしてつくりたいと考えました。こうして新しい“プレミアムシリーズ”の第一弾商品として、今春にヘッドホン「TH-ST800」が完成しました。続けて秋にはバランスド・アーマチュア型のイヤホン「TH-ECBA200BBK」「TH-ECBA100BBK」、ハイエンドクラスのヘッドホン「TH-HB700BBK」、iPhone/iPod/iPadコントローラ付のイヤホン「TH-ECSP950BBK」をラインナップに加えることができたのです。
− ヘッドホン&イヤホン“プレミアムシリーズ”が共有するサウンドのコンセプトについて教えてください。
ジョン:私たちは“プレミアムシリーズ”を開発するにあたって、どんな音楽ファンのテイストにも合う音にしたいと考えました。ロックやオペラ、カントリーミュージック、ヒップホップ、レゲエなど、音楽のジャンルは実に多様であり、一方では人々の嗜好も千差万別です。“プレミアムシリーズ”のサウンドは、どんなジャンルの音楽再生にも、余計な色づけをしない「忠実な音」であり、ユーザーの音楽の好みに寄り添うヘッドホン、イヤホンであるべきだという考え方です。
他社のヘッドホン、イヤホン製品の中には、例えば特定ジャンルの音楽ファンの好みに合わせて低域を増強したりなど、意図的に誇張した音づくりを採り入れているものもありますが、これは“プレミアムシリーズ”とはまったく逆の考え方です。本当の音楽ファンというものは、ある一つのジャンルにこだわらないで、様々な種類の音楽を楽しみたいと考え、それぞれの音楽のジャンルにどんなサウンドが最もふさわしいかを既に知っている方々です。彼ら、彼女たちに満足していただくために、“プレミアムシリーズ”の製品は原音を忠実に再現できるヘッドホン、イヤホンであるべきと、私たちは考えました。
− 最終的な音質は、誰がどのような基準で決めていますか。
クリス:TDK Life on Recordのプレミアムオーディオ製品の開発には、イメーションから多くのオーディオ・エンジニアがチームを組んで関わっています。でも、もし敢えて“ゴールデン・イヤー”を一人挙げるとすれば、チーフ・オーディオ・エンジニアのジョンです。彼は長くオーディオ製品の開発に携わり、経験を積んできたエンジニアです。彼は日頃からとても情熱的に製品開発に取り組む人柄で、いつもテスト用サンプルのヘッドホンを頭にかけながら社内を忙しそうに歩き回っています。
彼を中心に、全てのオーディオ・エンジニアが密に連携を図り、技術設計や音づくり、プロダクトデザインなどを一丸になって取り組んでいます。
− ヘッドホン&イヤホン製品の音質については、理論的な基準値を設けて評価しているのでしょうか。それともエンジニアが繰り返しリスニングを重ねながら、感性的に決定されるのでしょうか。
ジョン:まずは自社のオーディオリサーチラボで2つの手法を使って、基準となる周波数特性を決定します。次に主観的なリスニング評価を加えて、ラボで得た解析結果を元にしながら、私たちが意図する音を固めていきます。きちんとしたリファレンス環境をつくりながら、狙った音を感性評価を加えて練り上げていくという手法を採用しています。
− プロダクトデザインは誰がどのように行っていますか。“プレミアムシリーズ”に共通するデザインのコンセプトはありますか。
クリス:ヘッドホン、イヤホン製品のデザインについては、私がデザイナーのチームや、当社のグローバルエリアの各担当スタッフたちの意見を集約しながら決定しています。デザインや流行、技術に関するアップデートを各地域のスタッフから丁寧に集めることで、世界中のユーザーに満足してもらえる製品をつくることができると考えています。“プレミアムシリーズ”を開発する上で、私がとても力を入れているのは、最良のパーツやテーラーメードの素材を用いることで、装着時の心地よさであったり、長時間リスニング時の疲れにくさも含めた、プロダクトとしての上質さにこだわることです。
− アメリカではどんなユーザーが“プレミアムシリーズ”のヘッドホン&イヤホンを使っていますか。
クリス:これは前段にご説明しましたが、TDK Life on Recordの“プレミアムシリーズ”は、普段から熱心に音楽を楽しんでいて、自分の音楽の好みにもこだわりがあり、多彩なソフトのコレクションを持つ、見識豊かな音楽ファンをターゲットにしています。
彼らはいつでも、様々なジャンルの良質な音楽との出会いを求めています。そして、どんな音楽を聴く時にも、その音楽のエッセンスを味わうため、無駄な色づけをせずに原音を忠実に再現できるヘッドホン、イヤホンを求めています。多くのユーザーの方々から、“プレミアムシリーズ”はより値段の高い製品と比べてみても、いつでも安定して原音に忠実なサウンドを楽しませてくれるところに魅力があるという感想をいただいています。
今回は米国のイメーション本社にてTDK Life on Recordブランドのヘッドホン/イヤホン製品の開発を担当する、チーフ・オーディオ・エンジニアのジョン・ブラス氏(以下:ジョン)、グローバル・プロダクトマネージャーのクリス・リヒトシャイトル氏(以下:クリス)にメールインタビューを行い、“プレミアムシリーズ”が開発された経緯や、各ラインナップ製品が特徴とするサウンドや機能の魅力に迫った。
「原音に忠実な音楽再生」にこだわった“プレミアムシリーズ”誕生
− TDK Life on Recordのヘッドホン&イヤホンの“プレミアムシリーズ”はどのようにして誕生したのでしょうか。
クリス:TDK Life on Recordのヘッドホン、イヤホン製品の開発をスタートするにあたって、私たちはまず現在のブランドイメージを調査して、ターゲットにすべきユーザー像を明らかにすることから始めました。その結果、TDKブランドをオーディオ・カセットテープの時代から愛し、使い続けてくださる熱心なファンが、今もTDK Life on Recordの製品を支持していただいていることがわかりました。彼らはTDK Life on Recordブランドの新しいオーディオ製品に注目しながら、上質な音楽体験に期待を寄せてくれています。
TDK Life on Recordでは、2009年にダイナミック型のパワー系サウンドのイヤホン「TH-EB900」を発売しました。その後、私たちはTDK Life on Recordならではの高音質とオリジナリティを持った商品を、次のステップとしてつくりたいと考えました。こうして新しい“プレミアムシリーズ”の第一弾商品として、今春にヘッドホン「TH-ST800」が完成しました。続けて秋にはバランスド・アーマチュア型のイヤホン「TH-ECBA200BBK」「TH-ECBA100BBK」、ハイエンドクラスのヘッドホン「TH-HB700BBK」、iPhone/iPod/iPadコントローラ付のイヤホン「TH-ECSP950BBK」をラインナップに加えることができたのです。
− ヘッドホン&イヤホン“プレミアムシリーズ”が共有するサウンドのコンセプトについて教えてください。
ジョン:私たちは“プレミアムシリーズ”を開発するにあたって、どんな音楽ファンのテイストにも合う音にしたいと考えました。ロックやオペラ、カントリーミュージック、ヒップホップ、レゲエなど、音楽のジャンルは実に多様であり、一方では人々の嗜好も千差万別です。“プレミアムシリーズ”のサウンドは、どんなジャンルの音楽再生にも、余計な色づけをしない「忠実な音」であり、ユーザーの音楽の好みに寄り添うヘッドホン、イヤホンであるべきだという考え方です。
他社のヘッドホン、イヤホン製品の中には、例えば特定ジャンルの音楽ファンの好みに合わせて低域を増強したりなど、意図的に誇張した音づくりを採り入れているものもありますが、これは“プレミアムシリーズ”とはまったく逆の考え方です。本当の音楽ファンというものは、ある一つのジャンルにこだわらないで、様々な種類の音楽を楽しみたいと考え、それぞれの音楽のジャンルにどんなサウンドが最もふさわしいかを既に知っている方々です。彼ら、彼女たちに満足していただくために、“プレミアムシリーズ”の製品は原音を忠実に再現できるヘッドホン、イヤホンであるべきと、私たちは考えました。
− 最終的な音質は、誰がどのような基準で決めていますか。
クリス:TDK Life on Recordのプレミアムオーディオ製品の開発には、イメーションから多くのオーディオ・エンジニアがチームを組んで関わっています。でも、もし敢えて“ゴールデン・イヤー”を一人挙げるとすれば、チーフ・オーディオ・エンジニアのジョンです。彼は長くオーディオ製品の開発に携わり、経験を積んできたエンジニアです。彼は日頃からとても情熱的に製品開発に取り組む人柄で、いつもテスト用サンプルのヘッドホンを頭にかけながら社内を忙しそうに歩き回っています。
彼を中心に、全てのオーディオ・エンジニアが密に連携を図り、技術設計や音づくり、プロダクトデザインなどを一丸になって取り組んでいます。
− ヘッドホン&イヤホン製品の音質については、理論的な基準値を設けて評価しているのでしょうか。それともエンジニアが繰り返しリスニングを重ねながら、感性的に決定されるのでしょうか。
ジョン:まずは自社のオーディオリサーチラボで2つの手法を使って、基準となる周波数特性を決定します。次に主観的なリスニング評価を加えて、ラボで得た解析結果を元にしながら、私たちが意図する音を固めていきます。きちんとしたリファレンス環境をつくりながら、狙った音を感性評価を加えて練り上げていくという手法を採用しています。
− プロダクトデザインは誰がどのように行っていますか。“プレミアムシリーズ”に共通するデザインのコンセプトはありますか。
クリス:ヘッドホン、イヤホン製品のデザインについては、私がデザイナーのチームや、当社のグローバルエリアの各担当スタッフたちの意見を集約しながら決定しています。デザインや流行、技術に関するアップデートを各地域のスタッフから丁寧に集めることで、世界中のユーザーに満足してもらえる製品をつくることができると考えています。“プレミアムシリーズ”を開発する上で、私がとても力を入れているのは、最良のパーツやテーラーメードの素材を用いることで、装着時の心地よさであったり、長時間リスニング時の疲れにくさも含めた、プロダクトとしての上質さにこだわることです。
− アメリカではどんなユーザーが“プレミアムシリーズ”のヘッドホン&イヤホンを使っていますか。
クリス:これは前段にご説明しましたが、TDK Life on Recordの“プレミアムシリーズ”は、普段から熱心に音楽を楽しんでいて、自分の音楽の好みにもこだわりがあり、多彩なソフトのコレクションを持つ、見識豊かな音楽ファンをターゲットにしています。
彼らはいつでも、様々なジャンルの良質な音楽との出会いを求めています。そして、どんな音楽を聴く時にも、その音楽のエッセンスを味わうため、無駄な色づけをせずに原音を忠実に再現できるヘッドホン、イヤホンを求めています。多くのユーザーの方々から、“プレミアムシリーズ”はより値段の高い製品と比べてみても、いつでも安定して原音に忠実なサウンドを楽しませてくれるところに魅力があるという感想をいただいています。
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