公開日 2012/04/23 14:22
“タッチ”でテレビの楽しみ方が変わる − 東芝「レグザサーバー×レグザタブレット」連携機能を試す
東芝・片岡氏にインタビュー
昨年は地デジ完全移行による買換えラッシュもあり、薄型テレビに多くの関心と注目が集まった。あれからおよそ1年が経ち、薄型テレビ・レコーダーなどの映像機器はいま、大きな転換点を迎えようとしている。大手メーカー各社は“スマートTV”というコンセプトのもと、高付加価値とネットワーク志向の製品で差別化を図ろうとしているが、テレビとインターネットが連携する利便性は今ひとつ見えてこなかった。あるいはコンセプトは伝わってきても、実際に完成した製品を使ってみると、利便性を感じにくいものも多くある。
一方、2011年12月に東芝が発売した全録タイプのレコーダー“レグザサーバー”「DBR-M190/DBR-M180」と、Android搭載の“レグザタブレット”を連携させて視聴する「レグザリンク・シェア」の考え方は、昨年10月のCEATEC会場でデモ展示を見て以来、筆者が最も共感した製品コンセプトの一つだった。今回は3月にアップデート用ソフトウェアが提供され、ようやく実現した“レグザサーバー”と“レグザタブレット”の「レグザAppsコネクト」によるテレビ視聴・録画の連携機能をテストした。また、これらのハード機器をつなぐ「レグザAppsコネクト」の開発を指揮する、東芝の片岡秀夫氏へのインタビューもあわせてお届けしよう。
やっぱり便利だった“レグザサーバー”と“レグザタブレット”による連携機能
まずは、“レグザサーバー”「DBR-M180」と、“レグザタブレット”「AT700/35D」の連携機能からレポートしよう。
3月14日に“レグザサーバー”のソフトウェアアップデートが行われ、DBR-M190/M180で録画したテレビ番組を、「レグザAppsコネクト」のアプリをインストールした“レグザタブレット”でも視聴できるようになった(関連ニュース)。
レグザサーバーが搭載する“タイムシフトマシン機能”では、上位機の「DBR-M190」であれば内蔵HDDに、地上デジタル放送6ch分を最大15日分キャッシュしておくことができる。また、レグザタブレットに「レグザAppsコネクト」のアプリである、録画番組のホームネットワーク内配信が可能になる「RZプレーヤー」、現在視聴中番組のライブ配信が行える「RZライブ」、ネットワーク経由で録画番組の持ち出しができる「RZポーター」をインストールし、レグザサーバーをレグザタブレットとホームネットワーク経由で接続すれば、様々な場所でレグザサーバーに録画した番組やテレビが視聴可能になる。昨年のCEATEC JAPANで、東芝から製品と連携機能の紹介が行われてから約半年経ってのアップデートだったので、テストする前までは胸躍る気持ちも半ば醒めかけていたのだが、実際にそれぞれの機器連携機能を使ってみると、改めてその便利さに驚かされた。
レグザサーバーとレグザタブレットの組み合わせで実現される基本機能はとてもシンプルだ。レグザタブレット向けには「RZプレーヤー」という専用のDTCP-IP対応のDLNAアプリが提供されている。なお「RZプレーヤー」「RZライブ」「RZポーター」の各アプリは、東芝のPC商品のサポートサイトである「東芝サービスステーション」などで公開されており、レグザタブレットやレグザフォンの対応機種のみで利用できる。
レグザサーバーに録画した番組は、レグザタブレットの画面に最適化されたサイズの映像ファイルを、レグザサーバー側で配信する際に、リアルタイムでトランスコードして生成する。筆者の視聴環境では、家庭内に電波の行き届くように配置してある2台の無線LANアクセスポイントのカバー範囲であれば、どこでも番組視聴できた
ちなみに、レグザサーバーとレグザタブレットの連携による再生の仕組みはDLNAを利用しているが、片岡氏は無線LANを使ってテレビ番組の配信連携を実現するのには、ひと苦労があったと語る。片岡氏によると「地デジの17Mbpsの映像は無線で伝送するには情報量が大きく、タブレットやスマートフォンで再生しようとすると、DTCP-IPの暗号化処理との関係でコマ落ちしかねない」ため、レグザサーバーの搭載するトランスコーダーでリアルタイムに変換処理を行いながら、帯域に余裕を持たせ、全体の動作を可能にしているのだという。
結果としてレグザタブレットではHD画質でテレビ番組が視聴可能になっており、実際の視聴感も、地デジのフルセグ映像をポータブルテレビで見ている印象と近い。10.1インチの画面サイズのデバイスで、安定してHD画質の映像が視聴でき、しかも全録機能と連携しながらテレビが楽しめる製品は、当然ながらこの組み合わせをおいて他にない。テレビを見る時にはリビングのテレビの前に縛られ、何かと不自由を感じることが多かったが、マニュアルなしで直感的に操作できるレグザタブレットで、いつでも、どこでも、好きな時にテレビが見られる解放感を実感できた。
レグザサーバーは、普通に考えればテレビと接続して使う一般的なレコーダーにタイムシフトマシン機能を搭載し、テレビに新しい視聴スタイルを提案する製品だが、録画番組を家庭内で自由に楽しむための“家庭内クラウド”のようなものとも捉えられそうだ。あるいは見方を変え、タブレット用のチューナー&録画サーバーとして活用する方法もあると筆者は考えている。「レコーダーはテレビと組み合わせて使うもの」という前提を崩して、レコーダーをタブレットの周辺機器として捉えれば、様々な使いこなし方が見えてくるのではないか。
一方、2011年12月に東芝が発売した全録タイプのレコーダー“レグザサーバー”「DBR-M190/DBR-M180」と、Android搭載の“レグザタブレット”を連携させて視聴する「レグザリンク・シェア」の考え方は、昨年10月のCEATEC会場でデモ展示を見て以来、筆者が最も共感した製品コンセプトの一つだった。今回は3月にアップデート用ソフトウェアが提供され、ようやく実現した“レグザサーバー”と“レグザタブレット”の「レグザAppsコネクト」によるテレビ視聴・録画の連携機能をテストした。また、これらのハード機器をつなぐ「レグザAppsコネクト」の開発を指揮する、東芝の片岡秀夫氏へのインタビューもあわせてお届けしよう。
やっぱり便利だった“レグザサーバー”と“レグザタブレット”による連携機能
まずは、“レグザサーバー”「DBR-M180」と、“レグザタブレット”「AT700/35D」の連携機能からレポートしよう。
3月14日に“レグザサーバー”のソフトウェアアップデートが行われ、DBR-M190/M180で録画したテレビ番組を、「レグザAppsコネクト」のアプリをインストールした“レグザタブレット”でも視聴できるようになった(関連ニュース)。
レグザサーバーが搭載する“タイムシフトマシン機能”では、上位機の「DBR-M190」であれば内蔵HDDに、地上デジタル放送6ch分を最大15日分キャッシュしておくことができる。また、レグザタブレットに「レグザAppsコネクト」のアプリである、録画番組のホームネットワーク内配信が可能になる「RZプレーヤー」、現在視聴中番組のライブ配信が行える「RZライブ」、ネットワーク経由で録画番組の持ち出しができる「RZポーター」をインストールし、レグザサーバーをレグザタブレットとホームネットワーク経由で接続すれば、様々な場所でレグザサーバーに録画した番組やテレビが視聴可能になる。昨年のCEATEC JAPANで、東芝から製品と連携機能の紹介が行われてから約半年経ってのアップデートだったので、テストする前までは胸躍る気持ちも半ば醒めかけていたのだが、実際にそれぞれの機器連携機能を使ってみると、改めてその便利さに驚かされた。
レグザサーバーとレグザタブレットの組み合わせで実現される基本機能はとてもシンプルだ。レグザタブレット向けには「RZプレーヤー」という専用のDTCP-IP対応のDLNAアプリが提供されている。なお「RZプレーヤー」「RZライブ」「RZポーター」の各アプリは、東芝のPC商品のサポートサイトである「東芝サービスステーション」などで公開されており、レグザタブレットやレグザフォンの対応機種のみで利用できる。
レグザサーバーに録画した番組は、レグザタブレットの画面に最適化されたサイズの映像ファイルを、レグザサーバー側で配信する際に、リアルタイムでトランスコードして生成する。筆者の視聴環境では、家庭内に電波の行き届くように配置してある2台の無線LANアクセスポイントのカバー範囲であれば、どこでも番組視聴できた
ちなみに、レグザサーバーとレグザタブレットの連携による再生の仕組みはDLNAを利用しているが、片岡氏は無線LANを使ってテレビ番組の配信連携を実現するのには、ひと苦労があったと語る。片岡氏によると「地デジの17Mbpsの映像は無線で伝送するには情報量が大きく、タブレットやスマートフォンで再生しようとすると、DTCP-IPの暗号化処理との関係でコマ落ちしかねない」ため、レグザサーバーの搭載するトランスコーダーでリアルタイムに変換処理を行いながら、帯域に余裕を持たせ、全体の動作を可能にしているのだという。
結果としてレグザタブレットではHD画質でテレビ番組が視聴可能になっており、実際の視聴感も、地デジのフルセグ映像をポータブルテレビで見ている印象と近い。10.1インチの画面サイズのデバイスで、安定してHD画質の映像が視聴でき、しかも全録機能と連携しながらテレビが楽しめる製品は、当然ながらこの組み合わせをおいて他にない。テレビを見る時にはリビングのテレビの前に縛られ、何かと不自由を感じることが多かったが、マニュアルなしで直感的に操作できるレグザタブレットで、いつでも、どこでも、好きな時にテレビが見られる解放感を実感できた。
レグザサーバーは、普通に考えればテレビと接続して使う一般的なレコーダーにタイムシフトマシン機能を搭載し、テレビに新しい視聴スタイルを提案する製品だが、録画番組を家庭内で自由に楽しむための“家庭内クラウド”のようなものとも捉えられそうだ。あるいは見方を変え、タブレット用のチューナー&録画サーバーとして活用する方法もあると筆者は考えている。「レコーダーはテレビと組み合わせて使うもの」という前提を崩して、レコーダーをタブレットの周辺機器として捉えれば、様々な使いこなし方が見えてくるのではないか。
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