公開日 2012/08/03 09:30
【第12回】絶対領域的・真空管アンプのススメ − 伊Carot One「FABRIZIOLO」を聴く
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
■「真空管」のレトロな魅力と現代に通ずる“高音質”を同時に味わえる一台が登場
真空管…。
その言葉の響きとレトロフューチャーな外観に魅了されてしまう方は少なからずいると思う。というか、僕がそうだ。一般的にはとっくに役目を終えている世代の増幅素子だが、オーディオと、あとエレクトリックギターの世界では未だ現役である。
増幅素子とは電気信号をぐぐんと増幅する部品のことで、オーディオやギターのアンプ回路には必須の部品。現在の主流はトランジスタやそれを集積したチップだが、何十年か前の主役が真空管であった。
生産性や寿命、増幅効率(消費電力や発熱)など、実用的な面ではトランジスタに全く及ばない。しかしその音色には普遍的な魅力がある。だからいまでも真空管アンプを好む方がいて、そこに向けた製品が作られ続けているのだ。その魅力はぜひ体感しておきたい。
とはいえこの連載は基本、「高いものを買う金も、でかいものを置く場所もない!」が前提。僕としても、まさか真空管アンプを取り上げる機会はないだろうと思っていたのだが、ちょっといい製品が発売された。「Carot One FABRIZIOLO」は、真空管が完全に「主役」なルックスが素敵なヘッドホンアンプ/プリアンプだ。
ご存知の方も多いだろうが、このモデルは、伊Carot Oneのデビュー作「ERNESTOLO」からの派生モデル。ERNESTOLOは真空管搭載プリ&ヘッドホンアンプ部分とデジタル増幅パワーアンプ部分を二段重ねにした製品だ。その上半分、真空管搭載プリ&ヘッドホンアンプ部分を独立させたのがこのFABRIZIOLOというわけ。
つまり、スピーカーでも音を鳴らしたいならERNESTOLO、ヘッドホンだけでいいならFABRIZIOLOということになる。実売は前者が3万9,800円、後者が2万7,800円程度。予算に余裕があれば前者にしておくと、将来はスピーカー再生にも使える。では、紹介を始めていこう。
■オレンジ色の小型筐体にレトロな魅力が凝縮
大きさはトランプの箱を一回り大きくした程度で、そこから真空管が飛び出ている格好。その真空管の周りは樹脂と思われる透明素材でガードされている。真空管は動作中にはかなりの高温になるためだ。(ちなみに僕は、ERNESTOLOの取材時にこのガードが外れていて火傷をした過去がある。21世紀だというのに真空管で火傷するとは。あえて言おう。真空管ガードは外すな。絶対外すなよ!)
筐体はオレンジで綺麗に仕上げられた金属製。おそらくアルミだろう。使用中には真空管の熱が伝わって筐体も温かくなるが、それも味わいというものだ。
入力は背面にRCAピン端子のライン入力、前面に3.5mmミニ端子の同じくライン入力。出力は前面の3.5mmミニ端子ヘッドホン出力と背面の3.5mmミニ端子ライン出力だ。前面のボリュームノブはオンオフスイッチを兼ねたスイッチポットだ。おかげで特に意識せずとも電源を切る=音量を最低にするということになるので、次に使うときに「電源入れたらいきなり大音量で耳が!」みたいなことはない。個人的には好きな仕様だ。
真空管…。
その言葉の響きとレトロフューチャーな外観に魅了されてしまう方は少なからずいると思う。というか、僕がそうだ。一般的にはとっくに役目を終えている世代の増幅素子だが、オーディオと、あとエレクトリックギターの世界では未だ現役である。
増幅素子とは電気信号をぐぐんと増幅する部品のことで、オーディオやギターのアンプ回路には必須の部品。現在の主流はトランジスタやそれを集積したチップだが、何十年か前の主役が真空管であった。
生産性や寿命、増幅効率(消費電力や発熱)など、実用的な面ではトランジスタに全く及ばない。しかしその音色には普遍的な魅力がある。だからいまでも真空管アンプを好む方がいて、そこに向けた製品が作られ続けているのだ。その魅力はぜひ体感しておきたい。
とはいえこの連載は基本、「高いものを買う金も、でかいものを置く場所もない!」が前提。僕としても、まさか真空管アンプを取り上げる機会はないだろうと思っていたのだが、ちょっといい製品が発売された。「Carot One FABRIZIOLO」は、真空管が完全に「主役」なルックスが素敵なヘッドホンアンプ/プリアンプだ。
ご存知の方も多いだろうが、このモデルは、伊Carot Oneのデビュー作「ERNESTOLO」からの派生モデル。ERNESTOLOは真空管搭載プリ&ヘッドホンアンプ部分とデジタル増幅パワーアンプ部分を二段重ねにした製品だ。その上半分、真空管搭載プリ&ヘッドホンアンプ部分を独立させたのがこのFABRIZIOLOというわけ。
つまり、スピーカーでも音を鳴らしたいならERNESTOLO、ヘッドホンだけでいいならFABRIZIOLOということになる。実売は前者が3万9,800円、後者が2万7,800円程度。予算に余裕があれば前者にしておくと、将来はスピーカー再生にも使える。では、紹介を始めていこう。
■オレンジ色の小型筐体にレトロな魅力が凝縮
大きさはトランプの箱を一回り大きくした程度で、そこから真空管が飛び出ている格好。その真空管の周りは樹脂と思われる透明素材でガードされている。真空管は動作中にはかなりの高温になるためだ。(ちなみに僕は、ERNESTOLOの取材時にこのガードが外れていて火傷をした過去がある。21世紀だというのに真空管で火傷するとは。あえて言おう。真空管ガードは外すな。絶対外すなよ!)
筐体はオレンジで綺麗に仕上げられた金属製。おそらくアルミだろう。使用中には真空管の熱が伝わって筐体も温かくなるが、それも味わいというものだ。
入力は背面にRCAピン端子のライン入力、前面に3.5mmミニ端子の同じくライン入力。出力は前面の3.5mmミニ端子ヘッドホン出力と背面の3.5mmミニ端子ライン出力だ。前面のボリュームノブはオンオフスイッチを兼ねたスイッチポットだ。おかげで特に意識せずとも電源を切る=音量を最低にするということになるので、次に使うときに「電源入れたらいきなり大音量で耳が!」みたいなことはない。個人的には好きな仕様だ。