公開日 2012/10/01 10:05
ネットワーク&持ち出し再生にも対応 − エプソン“Moverio”のアップデート機能を試す
強化ポイントを徹底チェック
エプソンのシースルーモバイルビューアー“Moverio”「BT-100」に、ソフトウェアのアップデートによる新機能が追加された(関連ニュース)。2013年1月10日まで無償で提供されるアップデートにより、“Moverio”でどんなことができるようになるのか。ライターの野村ケンジ氏が体験レポートをお届けする。
「Moverioで出来ること」が格段に広がった
まるでAR(拡張現実)のように、視界のなかに高精細なスクリーンが浮かび上がることで迫力の映像を楽しませてくれるのが、シースルーモバイルビューアーと呼ばれるエプソンの“Moverio”だ。本来はヘッドマウントディスプレイに分類される製品なのだが、Android OSを採用するプレーヤー部が付属し、ポータブルプレーヤーとしてコンテンツも持ち運びできることや、そのままSF映画に出ていてもおかしくない未来ガジェット系な外観デザインなども含め、単なるビュアーとは異なる、強烈な個性をアピールする製品に仕上げられている。
そんな“Moverio”に、このたびソフトウェアをメインとした大幅なアップグレードが施され、ユーザビリティのさらなる向上を果たしたという。ここでは、新機能も含めた“Moverio”の機能性を確認するとともに、様々なコンテンツで実際の映像を視聴し、実力のほどを検証してみようと思う。
先にも述べたとおり、“Moverio”はプレーヤー部が付属したユニークなシステムを持つ映像機器となっている。このため、一般的な映像機器とは趣が異なる視聴スタイルを提供してくれている。その第一がモバイルユースだ。“Moverio”は、好きな場所で自由に好みの映像を楽しむことができるのだ。しかも、今回のアップデートによってCPRM対応となり、パナソニック製のBDレコーダーなどから、SDカード(microSDメモリーカードに対応)経由で持ち出した映像を楽しむことができるようになった。なお本稿掲載時点では、SDカードに番組を持ち出せるレコーダーはパナソニック“DIGA”の一部対応機種に限られている(エプソン調査による対応機器一覧)。
一方で、もともと搭載しているWiFiがDLNA/DTCP-IPをサポートし、本機をDLNAクライアントとして利用できるようになったことから、BDレコーダーやPCなどのDLNAサーバー対応に保存したコンテンツを“Moverio”から直接アクセスして、録画したテレビ番組などをHD映像(720p)で手間なく楽しむこともできるようにもなった。
さらに、WiFi接続のワンセグチューナーや「ひかりTVどこでも」にも対応、ビデオカメラ(JVC「Everio GZ-VX770」など)との連携機能も実現し、利用方法の豊富さに関しては、デビューした当時とは別物と思えるほど、格段のアップグレードが施されている。
コンテンツごとに操作感やクオリティをチェック
さて、ユーザビリティが大幅に広がった“Moverio”だが、実際の操作性や映像クオリティに関してはどうだろう。そこで実機を用いて、様々なコンテンツを再生してみたのだが、総じて言えることは、操作系の分かりやすさだ。筆者はスマートフォンを所有しており、Android OSに慣れているといえば慣れているのだが、用意されている専用メニューの操作系がとてもシンプルで扱いやすいため、説明書なしでも十分に使いこなすことができた。こういった使い勝手の良さは、ありがたいかぎりだ。
続いて、コンテンツごとの映像クオリティをチェックしよう。まず最初に、WiFi経由でHDDレコーダーの映像を見てみると、コレがなかなかにキレイ。ネットワーク再生機能には専用アプリ「Moverio Air」を使用する。体感的な映像サイズとしては、2m先に置いた40インチディスプレイといった感じだろうか。大きすぎず小さすぎず、シースルーである恩恵を妨げない絶妙なサイズのなかに、エッジの際立った、メリハリの良い映像が浮かび上がってくれる。明暗のダイナミックレンジも十分なレベルが確保されているため、清々しい、それでいて印象度の高い映像が楽しめる。
こういった映像キャラクターのおかげもあってか、720pのハイビジョンながら解像度不足といった印象はいっさい感じない。また、この明るさは3Dコンテンツ視聴時にも有利に働いてくれた。もともとヘッドマウントディスプレイは左右2つの画面を持つため、フリッカーが皆無など3Dコンテンツ向きのデバイスといえるが、それに“Moverio”ならではの明るさと輪郭の明瞭さが加わることで、これまでに見たことのない、高い立体感をもつ映像を楽しむことができる。まさにAR的な雰囲気もあり、3Dコンテンツ向きの製品といえるだろう。
続いて、BDレコーダーに録画した番組をSDカードを使って持ち出し、再生してみる。再生にはアプリ「MOVERIO Compact」を使用する。こちらは圧縮された映像だからということもあって、WiFi経由の映像に比べて若干解像度感は劣るものの、メリハリの良いディスプレイのおかげもあって、特に不満を感じることはなかった。
続いて試したワンセグチューナーの視聴となると、さらに解像度が低くなるのも事実だが、何よりWiFi経由で簡単手軽にワンセグが楽しめる、というメリットの方が大きいと感じた。言い方を変えれば、“Moverio”が3種の異なる影像をはっきりと描き分けられるくらいの高い実力を持ち合わせているということ。「持ち運び自由」「シースルー」などのトピックが先行しがちな“Moverio”だが、映像の実力もかなりのレベルを持ち合わせていることが確認できた。
今回はテストできなかった「ひかりTVどこでも」も含め、アップグレードによって様々なコンテンツの再生が可能となった“Moverio”。クリアな映像表現も合わせて、魅力の詰まった製品といえるだろう。
(野村ケンジ)
「Moverioで出来ること」が格段に広がった
まるでAR(拡張現実)のように、視界のなかに高精細なスクリーンが浮かび上がることで迫力の映像を楽しませてくれるのが、シースルーモバイルビューアーと呼ばれるエプソンの“Moverio”だ。本来はヘッドマウントディスプレイに分類される製品なのだが、Android OSを採用するプレーヤー部が付属し、ポータブルプレーヤーとしてコンテンツも持ち運びできることや、そのままSF映画に出ていてもおかしくない未来ガジェット系な外観デザインなども含め、単なるビュアーとは異なる、強烈な個性をアピールする製品に仕上げられている。
そんな“Moverio”に、このたびソフトウェアをメインとした大幅なアップグレードが施され、ユーザビリティのさらなる向上を果たしたという。ここでは、新機能も含めた“Moverio”の機能性を確認するとともに、様々なコンテンツで実際の映像を視聴し、実力のほどを検証してみようと思う。
先にも述べたとおり、“Moverio”はプレーヤー部が付属したユニークなシステムを持つ映像機器となっている。このため、一般的な映像機器とは趣が異なる視聴スタイルを提供してくれている。その第一がモバイルユースだ。“Moverio”は、好きな場所で自由に好みの映像を楽しむことができるのだ。しかも、今回のアップデートによってCPRM対応となり、パナソニック製のBDレコーダーなどから、SDカード(microSDメモリーカードに対応)経由で持ち出した映像を楽しむことができるようになった。なお本稿掲載時点では、SDカードに番組を持ち出せるレコーダーはパナソニック“DIGA”の一部対応機種に限られている(エプソン調査による対応機器一覧)。
一方で、もともと搭載しているWiFiがDLNA/DTCP-IPをサポートし、本機をDLNAクライアントとして利用できるようになったことから、BDレコーダーやPCなどのDLNAサーバー対応に保存したコンテンツを“Moverio”から直接アクセスして、録画したテレビ番組などをHD映像(720p)で手間なく楽しむこともできるようにもなった。
さらに、WiFi接続のワンセグチューナーや「ひかりTVどこでも」にも対応、ビデオカメラ(JVC「Everio GZ-VX770」など)との連携機能も実現し、利用方法の豊富さに関しては、デビューした当時とは別物と思えるほど、格段のアップグレードが施されている。
コンテンツごとに操作感やクオリティをチェック
さて、ユーザビリティが大幅に広がった“Moverio”だが、実際の操作性や映像クオリティに関してはどうだろう。そこで実機を用いて、様々なコンテンツを再生してみたのだが、総じて言えることは、操作系の分かりやすさだ。筆者はスマートフォンを所有しており、Android OSに慣れているといえば慣れているのだが、用意されている専用メニューの操作系がとてもシンプルで扱いやすいため、説明書なしでも十分に使いこなすことができた。こういった使い勝手の良さは、ありがたいかぎりだ。
続いて、コンテンツごとの映像クオリティをチェックしよう。まず最初に、WiFi経由でHDDレコーダーの映像を見てみると、コレがなかなかにキレイ。ネットワーク再生機能には専用アプリ「Moverio Air」を使用する。体感的な映像サイズとしては、2m先に置いた40インチディスプレイといった感じだろうか。大きすぎず小さすぎず、シースルーである恩恵を妨げない絶妙なサイズのなかに、エッジの際立った、メリハリの良い映像が浮かび上がってくれる。明暗のダイナミックレンジも十分なレベルが確保されているため、清々しい、それでいて印象度の高い映像が楽しめる。
こういった映像キャラクターのおかげもあってか、720pのハイビジョンながら解像度不足といった印象はいっさい感じない。また、この明るさは3Dコンテンツ視聴時にも有利に働いてくれた。もともとヘッドマウントディスプレイは左右2つの画面を持つため、フリッカーが皆無など3Dコンテンツ向きのデバイスといえるが、それに“Moverio”ならではの明るさと輪郭の明瞭さが加わることで、これまでに見たことのない、高い立体感をもつ映像を楽しむことができる。まさにAR的な雰囲気もあり、3Dコンテンツ向きの製品といえるだろう。
続いて、BDレコーダーに録画した番組をSDカードを使って持ち出し、再生してみる。再生にはアプリ「MOVERIO Compact」を使用する。こちらは圧縮された映像だからということもあって、WiFi経由の映像に比べて若干解像度感は劣るものの、メリハリの良いディスプレイのおかげもあって、特に不満を感じることはなかった。
続いて試したワンセグチューナーの視聴となると、さらに解像度が低くなるのも事実だが、何よりWiFi経由で簡単手軽にワンセグが楽しめる、というメリットの方が大きいと感じた。言い方を変えれば、“Moverio”が3種の異なる影像をはっきりと描き分けられるくらいの高い実力を持ち合わせているということ。「持ち運び自由」「シースルー」などのトピックが先行しがちな“Moverio”だが、映像の実力もかなりのレベルを持ち合わせていることが確認できた。
今回はテストできなかった「ひかりTVどこでも」も含め、アップグレードによって様々なコンテンツの再生が可能となった“Moverio”。クリアな映像表現も合わせて、魅力の詰まった製品といえるだろう。
(野村ケンジ)