公開日 2012/11/30 11:32
<ユーザーレポート(1)>コンプライ・イヤホンチップの実力を本音レビュー!
【特別企画】イヤホンチップでイヤホンリスニングを変える!
イヤホンチップ各種の聴こえ方に迫る特別企画「イヤホンチップでイヤホンリスニングを変える!」。先日ファイル・ウェブで開催したコンプライ イヤホンチップのユーザーレポートキャンペーンには、読者の皆さまより大変多くのご応募を頂き、誠にありがとうございました。
コンプライのイヤホンチップを使ってみた“ユーザーの生の声”として、皆さまにご提出頂いたレポートの中から、いくつかを連続してお届けしてまいります。使用したイヤホンチップはコンプライ「Tシリーズ」。普段使っているイヤホンにTシリーズを装着することで、聴こえ方はどう変わったのでしょうか?
ユーザーレポート(1) ペンネーム:IT Legacyさん
< 試聴機器 >
・イヤホン:SHURE「SE215」
・プレーヤー:iPhone 5
・ポータブルヘッドホンアンプ:iBasso Audio「D2+Hj Boa」
< 試聴した楽曲 >
・Roberta Flack『Killing Me Softly with His Song(Remastered Version)』
・Bill Evans Trio『My Foolish Heart』
・中島愛『TRY UNITE!』
■装着感はどうか?
結論から言えばとても良い。今回はLサイズのチップを試したのだが、大きすぎるということも無かった。
これは、コンプライのチップのしなやかさと適度な反発がもたらすものであると思う。試しにチップを指で握りつぶすと、つぶれたままになってしまう。最初それを見た時は、壊してしまったのではないか? と心配してしまった。一方、イヤホン付属の純正チップは、コンプライのチップよりも早く元の形に戻る。これは逆にいえば、最初に耳に入れた位置から使用しているうちにどんどんずれていってしまうことを意味する。
当然のことなのだがイヤホンの場合、その位置が耳の奥で固定され続けるかどうかは音質に大きく左右する。性能が悪いイヤホン/ヘッドホンを「手で耳に押しつける」と明らかに音が大きくなるが、コンプライのチップを使用すると、この「手でイヤホンを耳に押しつける」ような状態になって、音が最適に鳴る場所に“居続けている”ようになる。
■遮音性はどうか?
結論から言えば、遮音性はかなり高い。これまでに自分が使用したことのあるノイズキャンセリング機能付きイヤホンは一体何だったのか? と今では思う。
一旦イヤホンを耳に装着すると静寂が訪れることが分かる。当たり前の事だがボリュームを小さめにしてもしっかりと聴こえるということである。いい音を末永く聴くためには、耳への負担は小さい方が良いと考えている。そういう意味ではこの遮音性はとてもありがたい。また、遮音の特性も純正チップとは全く違う。高音、低音のいずれも見事にカットされているようだ。強いて言うと、聴こえるのは人の声ぐらいである。それもかなり遠くに。自分は通勤時にバスと電車を乗り継いでいるのだが、使ってみてバスのノイズも電車のノイズも綺麗に遮断するのには舌を巻いた。
自分はイヤホンSE215を長年使っているが、理由は遮音性の高さと音の解像度の高さが優秀だからだ。電車の中で4人編成のジャズがしっかりと聴こえる。純正のチップでも満足していたのだが、実はこの他に同じくSHUREのヘッドホン「SRH940」を手に入れてからは、SE215の使用回数が一気に減っていた。しかし、コンプライのチップを使うようになってからまたSE215の利用頻度が増えた。この遮音性のおかげである。遮音性があるおかげで、楽器一つ一つがしっかり鳴る。通勤などの移動時には、やはりヘッドホンよりもイヤホンが邪魔にならないので良い。そういう意味では、特に交通機関での移動というシチュエーションでは、イヤホン自体を買い換えたぐらいのインパクトがある音質改善が図れたと思っている。
一点注意したいのは歩行中の使用である。特に自動車のエンジン音は全くと言っていいほど聞こえない。純正チップではかろうじて聞こえていたような音も見事に遮断している。イヤホンをつけたままの歩行はそもそも危険だが、この遮音性は特に危ない。電車でも乗り過ごしの危険性も高くなる。その点は注意が必要だろう。
■楽曲ごとの試聴レビュー
【1】Roberta Flack『Killing Me Softly with His Song(Remastered Version)』/「The Very Best of Roberta Flack」より
コンプライのチップを使い始めてピンときたのがこの曲である。ロバータ・フラックは僕にとってとても大切な歌手である。だいたい3年前だろうか、ライブで聴くまではほとんど知らなかったと言っていい。ライブの冒頭、歌い出しを聴いたとたんに感動のあまり泣いてしまったのである。彼女は歌に様々な感情をいれこめる稀有な存在だと思っている。
その感情は音の微妙なニュアンスによって伝わるものだと思う。しかし、普通にイヤホンで聴く場合はノイズでそれが失われてしまう。そのため、コンプライのチップを使い始めるまでは、iPhoneやiPodのプレイリストには入れていなかったのだ。コンプライのチップのおかげで持ち歩く音楽ジャンルが変わったのは驚きだった。
【2】Bill Evans Trio『My Foolish Heart』/「 Waltz For Debby」より
コンプライのチップの静寂と音圧は格別である。ライブ会場での迫力が伝ってくる様な感じである。ライブ、特にジャズの場合ダイナミックレンジが広くなる。静寂としっかりした音圧とがあればより正確に伝わってくる。このチップはiPhone 5との相性は抜群である。iPhone 5とiPod Classicを聴き比べると明らかにヒスノイズが小さい。このような過去の録音ではテープのヒスノイズが残るのが普通である。コンプライのチップで聞くとこのヒスノイズがきちんとヒスノイズとして伝わってくる。
【3】中島愛『TRY UNITE!』
これまでの二曲と違ってジャパニーズ・ポップス(アニメソング)である。楽曲は東欧のハウスの貴公子ラスマス・フェイバーの手によるものである。この曲が良いのは、かっこいいベースラインと中島愛の透き通る声のコラボレーションだと思う。コンプライのチップはベースのアタックをシャープに、かつ豊かな音量で伝えてくれながら、中島愛の繊細な歌声も一緒に、かつ分離して伝えてくれる。純正チップの場合その迫力が一歩及ばない感じなのだが、コンプライのチップだと一歩前に出ている感じだ。
■まとめ
コンプライのチップは、電車・バスなどで音楽を楽しみたい、それも、音のニュアンスを出来るだけ録音されたままの状態で感じたい人にはぴったりな製品であると思う。イヤホン用のチップ一つでここまで音が変わるとは正直思わなかった。新しいイヤホンを買う前に、まずコンプライのチップに変えるのも、音楽の楽しみかたをよりリッチにしてくれる一つの提案かもしれない。<了>
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コンプライのイヤホンチップを使ってみた“ユーザーの生の声”として、皆さまにご提出頂いたレポートの中から、いくつかを連続してお届けしてまいります。使用したイヤホンチップはコンプライ「Tシリーズ」。普段使っているイヤホンにTシリーズを装着することで、聴こえ方はどう変わったのでしょうか?
ユーザーレポート(1) ペンネーム:IT Legacyさん
コンプライのチップを使い始めたら、持ち歩く音楽のジャンルが変わった |
< 試聴機器 >
・イヤホン:SHURE「SE215」
・プレーヤー:iPhone 5
・ポータブルヘッドホンアンプ:iBasso Audio「D2+Hj Boa」
< 試聴した楽曲 >
・Roberta Flack『Killing Me Softly with His Song(Remastered Version)』
・Bill Evans Trio『My Foolish Heart』
・中島愛『TRY UNITE!』
■装着感はどうか?
結論から言えばとても良い。今回はLサイズのチップを試したのだが、大きすぎるということも無かった。
これは、コンプライのチップのしなやかさと適度な反発がもたらすものであると思う。試しにチップを指で握りつぶすと、つぶれたままになってしまう。最初それを見た時は、壊してしまったのではないか? と心配してしまった。一方、イヤホン付属の純正チップは、コンプライのチップよりも早く元の形に戻る。これは逆にいえば、最初に耳に入れた位置から使用しているうちにどんどんずれていってしまうことを意味する。
当然のことなのだがイヤホンの場合、その位置が耳の奥で固定され続けるかどうかは音質に大きく左右する。性能が悪いイヤホン/ヘッドホンを「手で耳に押しつける」と明らかに音が大きくなるが、コンプライのチップを使用すると、この「手でイヤホンを耳に押しつける」ような状態になって、音が最適に鳴る場所に“居続けている”ようになる。
■遮音性はどうか?
結論から言えば、遮音性はかなり高い。これまでに自分が使用したことのあるノイズキャンセリング機能付きイヤホンは一体何だったのか? と今では思う。
一旦イヤホンを耳に装着すると静寂が訪れることが分かる。当たり前の事だがボリュームを小さめにしてもしっかりと聴こえるということである。いい音を末永く聴くためには、耳への負担は小さい方が良いと考えている。そういう意味ではこの遮音性はとてもありがたい。また、遮音の特性も純正チップとは全く違う。高音、低音のいずれも見事にカットされているようだ。強いて言うと、聴こえるのは人の声ぐらいである。それもかなり遠くに。自分は通勤時にバスと電車を乗り継いでいるのだが、使ってみてバスのノイズも電車のノイズも綺麗に遮断するのには舌を巻いた。
自分はイヤホンSE215を長年使っているが、理由は遮音性の高さと音の解像度の高さが優秀だからだ。電車の中で4人編成のジャズがしっかりと聴こえる。純正のチップでも満足していたのだが、実はこの他に同じくSHUREのヘッドホン「SRH940」を手に入れてからは、SE215の使用回数が一気に減っていた。しかし、コンプライのチップを使うようになってからまたSE215の利用頻度が増えた。この遮音性のおかげである。遮音性があるおかげで、楽器一つ一つがしっかり鳴る。通勤などの移動時には、やはりヘッドホンよりもイヤホンが邪魔にならないので良い。そういう意味では、特に交通機関での移動というシチュエーションでは、イヤホン自体を買い換えたぐらいのインパクトがある音質改善が図れたと思っている。
一点注意したいのは歩行中の使用である。特に自動車のエンジン音は全くと言っていいほど聞こえない。純正チップではかろうじて聞こえていたような音も見事に遮断している。イヤホンをつけたままの歩行はそもそも危険だが、この遮音性は特に危ない。電車でも乗り過ごしの危険性も高くなる。その点は注意が必要だろう。
■楽曲ごとの試聴レビュー
【1】Roberta Flack『Killing Me Softly with His Song(Remastered Version)』/「The Very Best of Roberta Flack」より
コンプライのチップを使い始めてピンときたのがこの曲である。ロバータ・フラックは僕にとってとても大切な歌手である。だいたい3年前だろうか、ライブで聴くまではほとんど知らなかったと言っていい。ライブの冒頭、歌い出しを聴いたとたんに感動のあまり泣いてしまったのである。彼女は歌に様々な感情をいれこめる稀有な存在だと思っている。
その感情は音の微妙なニュアンスによって伝わるものだと思う。しかし、普通にイヤホンで聴く場合はノイズでそれが失われてしまう。そのため、コンプライのチップを使い始めるまでは、iPhoneやiPodのプレイリストには入れていなかったのだ。コンプライのチップのおかげで持ち歩く音楽ジャンルが変わったのは驚きだった。
【2】Bill Evans Trio『My Foolish Heart』/「 Waltz For Debby」より
コンプライのチップの静寂と音圧は格別である。ライブ会場での迫力が伝ってくる様な感じである。ライブ、特にジャズの場合ダイナミックレンジが広くなる。静寂としっかりした音圧とがあればより正確に伝わってくる。このチップはiPhone 5との相性は抜群である。iPhone 5とiPod Classicを聴き比べると明らかにヒスノイズが小さい。このような過去の録音ではテープのヒスノイズが残るのが普通である。コンプライのチップで聞くとこのヒスノイズがきちんとヒスノイズとして伝わってくる。
【3】中島愛『TRY UNITE!』
これまでの二曲と違ってジャパニーズ・ポップス(アニメソング)である。楽曲は東欧のハウスの貴公子ラスマス・フェイバーの手によるものである。この曲が良いのは、かっこいいベースラインと中島愛の透き通る声のコラボレーションだと思う。コンプライのチップはベースのアタックをシャープに、かつ豊かな音量で伝えてくれながら、中島愛の繊細な歌声も一緒に、かつ分離して伝えてくれる。純正チップの場合その迫力が一歩及ばない感じなのだが、コンプライのチップだと一歩前に出ている感じだ。
■まとめ
コンプライのチップは、電車・バスなどで音楽を楽しみたい、それも、音のニュアンスを出来るだけ録音されたままの状態で感じたい人にはぴったりな製品であると思う。イヤホン用のチップ一つでここまで音が変わるとは正直思わなかった。新しいイヤホンを買う前に、まずコンプライのチップに変えるのも、音楽の楽しみかたをよりリッチにしてくれる一つの提案かもしれない。<了>
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