公開日 2013/09/19 12:00
“音にこだわった”7インチタブレット「HP Slate7」の魅力に迫る
【特別企画】「Beats Audio」搭載機を野村ケンジがハンドリング
片手で持ちやすいサイズ感もあり、人気の高まる7インチタブレット。Android OS端末にも様々な7インチタブレットが存在するが、日本HP(日本ヒューレット・パッカード)から発売されている「HP Slate7」は、人気ヘッドホンブランド「Beats by Dr.Dre」によるオーディオ技術「Beats Audio」を搭載するなど、音質面にこだわったという点で異彩を放っている。そんな「HP Slate7」の魅力に、オーディオビジュアルライターの野村ケンジ氏が迫った。
日本人にとって扱いやすいサイズということもあってか、近頃注目を高めている7インチAndroidタブレットだが、そのなかでもHPの「HP Slate7」は、個性的なキャラクターが際立っている製品だ。
何よりもまず、7インチAndroidタブレットとしては異例といえるほどの存在感がある。一般的に、このサイズのタブレットは側面を鋭角に落としたデザインにすることで実際以上に薄さを演出しているものがほとんどなのだが、「HP Slate7」は全く方向性が違っている。あえてサイド部にアルミ素材を配し、程よい厚みとしっかり感を強調。実際、このデザインのおかげで、一般的なタブレットにありがちなペナペナ感や、タッチパネル操作中のしなり/きしみは皆無で、それが上質感にもつながっている。
こういった堅牢さ(というと少しオーバーだが、しっかりした作りなのは確かだ)のためか、重さも約370gと、一般的な製品よりもややヘビー級のイメージだが、7インチタブレットはもともと程よいサイズや軽さを持ち合わせているため、手に取って重さが気になる、ということは一切なかった。人によっては、このくらい確かな厚みや重さがあったほうが、扱いやすいと感じるかもしれない。
Androidのバージョンは4.1で、CPUはデュアルコアのAR Cortex-A9(1.6GHz)、画面解像度が1,024×600。スペック面は突き抜けて高いというものではないが、ストレージ容量16GBの店頭モデルで予想実売価格2万円前後、直販サイト限定の8GBモデルなら13,860円 (税込)からという手頃な価格を考えると必要にして十分といったところだろうか。しかし「価格相応のスペック」というだけでは終わらず、ステレオスピーカーを用意していたり、前後カメラやMicroSDカードスロットなど、ハードウェアの機能的な仕様についてはかなり充実している。そういったスペックは、どことなくイマドキの製品とは一線を画す内容となっているが、実はちゃんとした訳がある。この「HP Slate7」は、何を隠そう「ミュージックプレーヤー・タブレット」と銘打った、音楽再生に重きを置いた製品に仕立てられているのだ。
その一番の特徴が、標準搭載されている「Beats Audio」だろう。設立後わずか数年で世界中どこに行っても目にするようになった新進気鋭の超メジャーヘッドホンブランド「Beats by Dr.dre」がコーディネイトを手がけるサウンドシステム「Beats Audio」が、この「HP Slate7」には搭載されているのだ。
そもそも、HPと「Beats Audio」との歴史は今に始まったことではない。
同社では、2010年発売のノートPC「HP ENVY14 Beats Edition」でBeats Audioを初採用。今回の「HP Slate7」でいきなり音にこだわり始めたのではなく、タブレットに取り組む以前からキチンと音質へのこだわりを持って活動してきており、脈々と培ってきたノウハウがこの「HP Slate7」に活かされているのだ。
しかもこちらの「Beats Audio」サウンドシステム、他社のものとは趣が異なっている。単に派手な音にしたり、稚拙なバーチャルサウンドを行う訳ではなく、まさに「Beats Audio」ならではのダイナミックで迫力あるサウンドを、巧みに作り上げてくれるのだ。
しかも、設定がとても簡単で、分かりやすいこともうれしい。「Beats Audio」の設定画面には、オンオフの切り替えに加え、ヘッドホンの設定として「Beats On-Ear」「Beats In-Ear」「Beats Passive」という3タイプを用意。使用しているヘッドホンのタイプに合わせて、最適なサウンドが実現できるのだという。
実際に試してみると、Beats by Dr.dre製品との相性が、やたらに良いことに気がつく。今回は、試しにオーバーヘッド/オンイヤータイプの「Beats Solo」を接続してみたのだが、これがまたお見事といいたくなるくらいの絶妙なマッチングで、ビートの利いた、ダイナミックな演奏を楽しませてくれるのだ。
他社製のカナル型イヤホンとの組み合わせを試してみても、Beats同士の組み合わせまではいかないまでも、ダイナミック表現を持つ、しっかりしたボリューム感を持つ低域によって、グルーブ感の高いサウンドを楽しめた。こちらをオフにすると、かなりスレンダーな帯域バランスになるので、低域を盛大にブーストとしているヘッドホン以外は、「Beats Audio」をオンにして活用するのが良さそうだ。
しかも、クラブミュージックが得意なヘッドホンにありがちな、いわゆるドンシャリ傾向という訳ではなく、高域は結構スムーズで伸び伸びしている音色傾向となっているし、解像度感など基礎体力的なクオリティーもしっかり確保されているのだから恐れ入る。「Beats」と聞くとヒップホップやクラブミュージックを真っ先に連想するヘッドホン/イヤホンファンもいるかもしれないが、それ以外のジャンルの音楽にもちゃんと対応できる実力を持っている。
実は、こういった基礎体力の高さは、単に「Beats Audio」のデジタルシステムに頼り切っているわけではない。「HP Slate7」ならではの、しっかりした製品作りが、功を奏しているようなのだ。
というのも、そもそもタブレット系の製品はオーディオ製品としてかなり不利な傾向があり、これまでいくつかの製品で試してみたのだが、いずれもS/N感に難のある、雑味の多い音がしてしまっていた。これは、LSIなど部品的なクオリティーの問題もあるのだが、一番の難点は、様々な機能性を優先するあまり、音質に関して後回しにせざるを得ないという、製品コンセプトの問題が大きい。
それに対して「HP Slate7」は、そもそも「ミュージックプレーヤー・タブレット」と銘打つだけあって、音質に注力した作りになっているのだ。剛性感の高い、しっかりした重みを感じるボディも、音質に配慮したデザインのようで、一般的なタブレット製品に比べると、S/N感がしっかり確保された、メリハリのしっかりした良質なサウンドを楽しむことができるのだ。
基礎体力の高いボディに「Beats Audio」ならではの巧みなチューニングが加わることで、「HP Slate7」はミュージックプレーヤーと名乗るのにふさわしい、サウンドクオリティーを実現しているのである。「タブレットは便利なので欲しいけれど結局音楽を聴くのがメイン」「Beatヘッドホンにベストなプレーヤーが欲しい」という人には、かなり魅力的な製品と言えるだろう。
いっぽうで、本来のAndroidタブレットというキャラクターも、音楽再生を楽しむ上では大きな魅力となりうる。というのも、さらに高機能な音楽再生アプリをインストールすれば、ハイレゾ音源などを楽しめる、さらなる高機能プレーヤーに進化してくれるからだ。
今回、試しにと音楽再生アプリ「jetAudio Basic」をインストールしてみたが、これがなかなかによかった。標準のプレーヤーではCD相当である16bit音源しか再生できないが、「jetAudio Basic」などを活用することで、ハイレゾ音源と呼ばれている24bitの高音質音楽ファイル(96kHz/24bitのWAVファイルなど)を再生することができるようになる。
しかも、実際に再生してみると「これDMP(デジタルオーディオプレーヤー=音楽再生専用のプレーヤー)じゃないの!?」といいたくなるくらい、しっかりした音質のサウンドを楽しませてくれるのだ。さすがにハイエンドなDMPにはかなわないものの、タブレットとは信じられないくらいのメリハリがよく上質なサウンドを楽しませてくれる。
このように「HP Slate7」は、タブレットとしては望外なほどの良質なサウンドクオリティーを持ち合わせる、「ミュージックプレーヤー・タブレット」というアピールにも十分納得できる、魅力的な製品だと断言しよう。
【製品に関する問い合わせ先】
日本HP
Tel/0120-436-555
Tel/03-5749-8291
音質にこだわった異色な7インチタブレット「HP Slate7」 |
日本人にとって扱いやすいサイズということもあってか、近頃注目を高めている7インチAndroidタブレットだが、そのなかでもHPの「HP Slate7」は、個性的なキャラクターが際立っている製品だ。
何よりもまず、7インチAndroidタブレットとしては異例といえるほどの存在感がある。一般的に、このサイズのタブレットは側面を鋭角に落としたデザインにすることで実際以上に薄さを演出しているものがほとんどなのだが、「HP Slate7」は全く方向性が違っている。あえてサイド部にアルミ素材を配し、程よい厚みとしっかり感を強調。実際、このデザインのおかげで、一般的なタブレットにありがちなペナペナ感や、タッチパネル操作中のしなり/きしみは皆無で、それが上質感にもつながっている。
こういった堅牢さ(というと少しオーバーだが、しっかりした作りなのは確かだ)のためか、重さも約370gと、一般的な製品よりもややヘビー級のイメージだが、7インチタブレットはもともと程よいサイズや軽さを持ち合わせているため、手に取って重さが気になる、ということは一切なかった。人によっては、このくらい確かな厚みや重さがあったほうが、扱いやすいと感じるかもしれない。
Androidのバージョンは4.1で、CPUはデュアルコアのAR Cortex-A9(1.6GHz)、画面解像度が1,024×600。スペック面は突き抜けて高いというものではないが、ストレージ容量16GBの店頭モデルで予想実売価格2万円前後、直販サイト限定の8GBモデルなら13,860円 (税込)からという手頃な価格を考えると必要にして十分といったところだろうか。しかし「価格相応のスペック」というだけでは終わらず、ステレオスピーカーを用意していたり、前後カメラやMicroSDカードスロットなど、ハードウェアの機能的な仕様についてはかなり充実している。そういったスペックは、どことなくイマドキの製品とは一線を画す内容となっているが、実はちゃんとした訳がある。この「HP Slate7」は、何を隠そう「ミュージックプレーヤー・タブレット」と銘打った、音楽再生に重きを置いた製品に仕立てられているのだ。
その一番の特徴が、標準搭載されている「Beats Audio」だろう。設立後わずか数年で世界中どこに行っても目にするようになった新進気鋭の超メジャーヘッドホンブランド「Beats by Dr.dre」がコーディネイトを手がけるサウンドシステム「Beats Audio」が、この「HP Slate7」には搭載されているのだ。
そもそも、HPと「Beats Audio」との歴史は今に始まったことではない。
同社では、2010年発売のノートPC「HP ENVY14 Beats Edition」でBeats Audioを初採用。今回の「HP Slate7」でいきなり音にこだわり始めたのではなく、タブレットに取り組む以前からキチンと音質へのこだわりを持って活動してきており、脈々と培ってきたノウハウがこの「HP Slate7」に活かされているのだ。
しかもこちらの「Beats Audio」サウンドシステム、他社のものとは趣が異なっている。単に派手な音にしたり、稚拙なバーチャルサウンドを行う訳ではなく、まさに「Beats Audio」ならではのダイナミックで迫力あるサウンドを、巧みに作り上げてくれるのだ。
しかも、設定がとても簡単で、分かりやすいこともうれしい。「Beats Audio」の設定画面には、オンオフの切り替えに加え、ヘッドホンの設定として「Beats On-Ear」「Beats In-Ear」「Beats Passive」という3タイプを用意。使用しているヘッドホンのタイプに合わせて、最適なサウンドが実現できるのだという。
Beats以外のヘッドホン/イヤホンでも効果を発揮する「Beats Audio」 |
実際に試してみると、Beats by Dr.dre製品との相性が、やたらに良いことに気がつく。今回は、試しにオーバーヘッド/オンイヤータイプの「Beats Solo」を接続してみたのだが、これがまたお見事といいたくなるくらいの絶妙なマッチングで、ビートの利いた、ダイナミックな演奏を楽しませてくれるのだ。
他社製のカナル型イヤホンとの組み合わせを試してみても、Beats同士の組み合わせまではいかないまでも、ダイナミック表現を持つ、しっかりしたボリューム感を持つ低域によって、グルーブ感の高いサウンドを楽しめた。こちらをオフにすると、かなりスレンダーな帯域バランスになるので、低域を盛大にブーストとしているヘッドホン以外は、「Beats Audio」をオンにして活用するのが良さそうだ。
しかも、クラブミュージックが得意なヘッドホンにありがちな、いわゆるドンシャリ傾向という訳ではなく、高域は結構スムーズで伸び伸びしている音色傾向となっているし、解像度感など基礎体力的なクオリティーもしっかり確保されているのだから恐れ入る。「Beats」と聞くとヒップホップやクラブミュージックを真っ先に連想するヘッドホン/イヤホンファンもいるかもしれないが、それ以外のジャンルの音楽にもちゃんと対応できる実力を持っている。
実は、こういった基礎体力の高さは、単に「Beats Audio」のデジタルシステムに頼り切っているわけではない。「HP Slate7」ならではの、しっかりした製品作りが、功を奏しているようなのだ。
というのも、そもそもタブレット系の製品はオーディオ製品としてかなり不利な傾向があり、これまでいくつかの製品で試してみたのだが、いずれもS/N感に難のある、雑味の多い音がしてしまっていた。これは、LSIなど部品的なクオリティーの問題もあるのだが、一番の難点は、様々な機能性を優先するあまり、音質に関して後回しにせざるを得ないという、製品コンセプトの問題が大きい。
それに対して「HP Slate7」は、そもそも「ミュージックプレーヤー・タブレット」と銘打つだけあって、音質に注力した作りになっているのだ。剛性感の高い、しっかりした重みを感じるボディも、音質に配慮したデザインのようで、一般的なタブレット製品に比べると、S/N感がしっかり確保された、メリハリのしっかりした良質なサウンドを楽しむことができるのだ。
基礎体力の高いボディに「Beats Audio」ならではの巧みなチューニングが加わることで、「HP Slate7」はミュージックプレーヤーと名乗るのにふさわしい、サウンドクオリティーを実現しているのである。「タブレットは便利なので欲しいけれど結局音楽を聴くのがメイン」「Beatヘッドホンにベストなプレーヤーが欲しい」という人には、かなり魅力的な製品と言えるだろう。
好みの音楽アプリを入れればさらなる高機能音楽プレーヤーに進化 |
いっぽうで、本来のAndroidタブレットというキャラクターも、音楽再生を楽しむ上では大きな魅力となりうる。というのも、さらに高機能な音楽再生アプリをインストールすれば、ハイレゾ音源などを楽しめる、さらなる高機能プレーヤーに進化してくれるからだ。
今回、試しにと音楽再生アプリ「jetAudio Basic」をインストールしてみたが、これがなかなかによかった。標準のプレーヤーではCD相当である16bit音源しか再生できないが、「jetAudio Basic」などを活用することで、ハイレゾ音源と呼ばれている24bitの高音質音楽ファイル(96kHz/24bitのWAVファイルなど)を再生することができるようになる。
しかも、実際に再生してみると「これDMP(デジタルオーディオプレーヤー=音楽再生専用のプレーヤー)じゃないの!?」といいたくなるくらい、しっかりした音質のサウンドを楽しませてくれるのだ。さすがにハイエンドなDMPにはかなわないものの、タブレットとは信じられないくらいのメリハリがよく上質なサウンドを楽しませてくれる。
このように「HP Slate7」は、タブレットとしては望外なほどの良質なサウンドクオリティーを持ち合わせる、「ミュージックプレーヤー・タブレット」というアピールにも十分納得できる、魅力的な製品だと断言しよう。
【製品に関する問い合わせ先】
日本HP
Tel/0120-436-555
Tel/03-5749-8291