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公開日 2014/09/26 19:15

藤岡誠のオーディオ・ワンショット【第3回】今こそ気になるレコードプレーヤー、ラックスマン「PD-171AL」

4人の筆者によるオーディオ連載
藤岡 誠
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藤岡誠が、自身の推薦するオーディオ機器、関連アクセサリー、あるいはコンポーネントの組合せ。またある時は新技術や様々な話題など、毎回自由なテーマで原稿を進めていく連載「藤岡誠のオーディオ・ワンショット」。第3回目は、ラックスマンのアナログディスクプレーヤー「PD-171AL」を取り上げる。

LUXMAN「PD-171AL」¥395,000(税抜)

■相変わらず根強い人気を誇るアナログレコード再生

1982年の誕生以来、CDとその高規格盤として1999年に登場したSACDは、デジタルオーディオのプログラムソースとして立派な役割をこなし音楽再生の大役を演じてきた。現在でもピュアオーディオ、ハイエンドオーディオにおいては主役の座にあることはいうまでもない。これらを再生するデジタルプレーヤーも32年間に亘って足並を揃え、光学系ピックアップを含むドライブメカニズム、エレクトロニクス、DACチップとD/A変換処理などの著しい技術的向上があり、光学、機械、エレクトロニクスの集合体“オプトメカトロニクス”のオーディオ機器として性能限界に近付きつつある。

その一方、昨今話題のPC/ネットワークオーディオは、周知の通りデジタル時代、デジタルオーディオ技術の進化の象徴、あるいは今日的ゼネラルオーディオ(一般大衆向けオーディオ)の最先端として若い世代の人たちの音楽の楽しみ方や聴き方の大きな変化をもたらして急速に普及/台頭。デジタルオーディオ(音楽)データの購入過程でも、コンビニエンス&リーズナブルという条件、さらにレコード店へ出向く必要もなく、従って店員と会話もしなくて済むなど条件などにも恵まれ、特に若者たちの生活感覚に則した音楽プログラムソース源として第一線に躍り上がっている。

こうした状況を静観しながら、しかし相変わらず根強いサポートがあって無視できないのが、このところのアナログレコード再生志向である。

先日開催された「2014 東京インターナショナルオーディオショウ」のラックスマンブースの模様。写真右はアーム付きタイプのアナログプレーヤー「PD-171AL」

某大手レコード店ではアナログレコード(新品・中古)のコーナーを設けたし、東京の渋谷や下北沢のみならず、小さなアナログレコード専門店が密やかに増加しているように思う。私もアナログレコードが好きで興味があるから通り掛かると立ち寄るが、オーディオのベテランの中高年層に交じって若者たちが一枚一枚慎重に吟味している姿を見る。時々、女子の姿も見掛ける。仕事柄かも知れないが「どんなプレーヤーシステム、再生装置で楽しんでいるのだろうか?」と想像することもある。

そして例年にも増して、超高級・高級アナログターンテーブル、カートリッジレス・プレーヤーの新製品の出現があるからなおさらだ。もともとアナログレコード再生は、デジタルオーディオ全盛の今日でも相変わらず強力な支持層が世界中にいて、オーディオ業界もそうした支持層をターゲットに一定のビジネス展開を見せているから、従来型レコード店がアメリカや日本で少なくなる一方で、規模は小さいがアナログレコード専門店の地味で密やかな増加は不思議ではないのだ。

■気になる3機種のレコードプレーヤー

このような音楽ソフト環境の変化の中でアナログレコード再生について、私の気になるアナログターンテーブル3機種を紹介しよう。一つは2012年に発売されたTechDAS(テクダス)の「AIR FORCE ONE」、二つ目はカナダのKRONOS Audio(クロノスオーディオ)社製の「SPARTA(スパルタ)」、そして三つめは今回の主役ラックスマン「PD-171AL」である。TechDASは海外オーディオ機器の輸入業務をしている(株)ステラの自社ブランド。SPARTAは真空管アンプの(株)トライオードがつい先頃に代理店となり輸入を開始製品。PD-171ALも2013年に発売されたばかりの製品だ。これら3機種は、何れもターンテーブルがベルト駆動方式でトーンアーム(以下、アーム)が付属しない“アームレス型”である。

TechDAS「AIR FORCE ONE」

KRONOS Audio「SPARTA」

AIR FORCE ONEの価格は¥6,800,000(税抜)。この6月から発売された弟分の「AIR FORCE TWO」でも¥3,300,000(税抜)である。SPARTAは¥2,800,000(税抜)。何れも超高価。これらの仕様や詳細については輸入元のホームページを参照、問い合わせをして欲しいが、オーディオファイルたちのアナログレコード再生における夢とロマンを満足させるにふさわしい代物であることに間違いない。しかし、一般市井の人たちの経済感覚からいえば、いかに“夢とロマン”といえども、クレージーで途方もない価格であることはいうまでもない。まさしく“非日常のオーディオ世界”そのものだ。従って、ここで「皆様へお薦め!」というわけにはいかない。

2014 東京インターナショナルオーディオショウに出展された「PD-171AL」

そこでここではこの3機種に比べてぐんと日常的で、ちょっと無理をすれば“購入射程距離”にあるラックスマンのPD-171ALにスポットライトをあてて魅力を探ることにする。

次ページラックスマンのアナログプレーヤーの歴史から「PD-171AL」を考える

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