公開日 2014/09/29 10:30
AKG「K812」「K3003」で人気ヘッドホンアンプ4機種の実力を検証!
【特別企画】ラックスマン/フォステクス/パイオニア/CHORDの4モデル
音楽を楽しむ方法として存在感をいっそう増してきているヘッドホン/イヤホン。そこで注目したいのが「ヘッドホンアンプ」だ。ヘッドホン/イヤホンの実力を引き出すとともに、組み合わせによって音質傾向が大きく変わる。そのマッチングを試行錯誤するのもひとつの楽しみと言えるだろう。
各社から価格帯や音質傾向も様々なモデルが登場しているヘッドホンアンプだが、どれを選んだらいいのか迷っている方もいるのではないだろうか。そこで、モニター用として非常に優れた能力を持つAKGの「K812」「K3003」を使い、“定番”とも言える4社の製品を試聴。各モデルの持ち味を検証してみた。ヘッドホンアンプ選びに迷っている方はもちろん、K812/K3003を購入し、組み合わせるアンプを探している方にも参考になれば幸いだ。
ヘッドホンは振動板の動作をほとんどダイレクトに耳に伝えることができるため、スピーカーと比べて試聴空間の影響を受けづらいというメリットがある。また、LchとRchの音情報を別々に耳に届けるので、ソースに入っている情報のすべてを聴きとることができる。そのため、音楽の制作現場でモニター用にヘッドホンが使われることが多いのも頷ける。モニター用に求められるのは、演奏するアーティストの音楽的な意図が適切なバランスで収録できているかを確認すること。それから。ミスがないか/ノイズがないかといった、いわばあら探しをすることだ。もちろんハードな使用に耐えるだけの頑丈さも不可欠だろう。
ハイレゾ音源のマスタリングでAKGの「K812」を基準にしたと明記するアルバムもあるくらいだから、それこそプロ用に要求される要素を高次元で融合させたヘッドホンとして評価を受けている証拠だろう。1.5テスラという強力な磁気回路と銅被膜アルミニウムのボイスコイルによって直径53mmの大型ダイアフラムを駆動する。そこから生み出される余裕のダイナミックレンジ、微細な信号への確かな追従性など基本性能の優秀さはさすがだ。さらにオープンエア型の採用に加え、ハウジング内の設計にも工夫を凝らした結果だろうが、空間描写の自然さもK812の特長だと言える。
そしてカナル型イヤホン「K3003」も、AKGのトップモデルらしく解像度の高さがすばらしい。中・高域にはバランスド・アーマチュア型、低域にはダイナミック型という3つのドライバーを採用。この3つのバランスを周到にコントロールすることで、ギュッと引き締まったベースの弾けるような力強い鳴りから、グーンと伸びてくる高域の爽快さ。細く神経質な音質とは一線を画する艶と切れ味がある。楽器やボーカルが目の前にあるようなダイレクト感が特長だ。
今回の試聴に用意したのは、LUXMANの「P-700u」+「DA-06」、FOSTEXの「HP-A8」、PIONEERの「U-05」、CHORDの「HUGO」、この4つの定番モデル。再生はMacBook ProにAudirvana Plusをインストールし、USB端子からそれぞれのUSB-DACに出力した。
【目次】
・LUXMAN P-700u+DA-06との組み合わせ
・FOSTEX HP-A8との組み合わせ
・PIONEER U-05との組み合わせ
・CHORD Hugoとの組み合わせ
LUXMAN P-700u+DA-06
(P-700u:税抜28万円/DA-200:税抜148,000円)
P-700uは単独のヘッドホンアンプでありUSB-DACが内蔵されていないので、同社のDA-06を使ってD/A変換し、RCA接続で試聴した。P-700uには4ch分のアンプが内蔵されており、BTL接続でバランス出力することも可能だが、今回はバランス・ヘッドホンではないので当然アンバランス接続になる。この場合は2chずつのパラレル接続となる。
■K812との組み合わせ
ガッチリと重心の低い鳴りに「あっ、ラックスマンだ」と呟いてしまった。音像はタイトで輪郭もクリアだ。必ずしも高解像度を指向しているとは感じないが、それぞれの楽器の質感がとても良く出ている。オーケストラの響きは分厚く、響きも豊かだ。チェロの低音がたっぷりと鳴って快い。その一方で、ヴァイオリンのソロにもう少しスーッと切れ上がるようなヌケの良さがほしい。ノラ・ジョーンズのギターや彼女の声もいくぶんフォーカスが甘くなる。とはいえ、このズシッとした厚みのある音圧感はアナログ時代から培ったラックスならではの感性と言えるだろう。
■K3003との組み合わせ
高域の情報量が増えて、グーンと伸びていくエネルギッシュな鳴りを聴かせてくれる。低域には圧力があり、量的に盛り上がった印象はない。音程感はシッカリしている。ピアノの硬質なタッチがいい。オーケストラでの音場の拡がりや空気感ではK812にはかなわないが、より音源に近づいて耳をそばだてるような聴こえ方。いかにもカナル型だ。ヴァイオリンのソロがやや甘いが、この塊になって迫ってくる鳴り方こそLUXMANらしい。ベースの剛毅な鳴りっぷり、音像感も太くクリアだ。ノラ・ジョーンズのボーカルやギターはタイトで、音像が眼前に現出する。
各社から価格帯や音質傾向も様々なモデルが登場しているヘッドホンアンプだが、どれを選んだらいいのか迷っている方もいるのではないだろうか。そこで、モニター用として非常に優れた能力を持つAKGの「K812」「K3003」を使い、“定番”とも言える4社の製品を試聴。各モデルの持ち味を検証してみた。ヘッドホンアンプ選びに迷っている方はもちろん、K812/K3003を購入し、組み合わせるアンプを探している方にも参考になれば幸いだ。
ヘッドホンは振動板の動作をほとんどダイレクトに耳に伝えることができるため、スピーカーと比べて試聴空間の影響を受けづらいというメリットがある。また、LchとRchの音情報を別々に耳に届けるので、ソースに入っている情報のすべてを聴きとることができる。そのため、音楽の制作現場でモニター用にヘッドホンが使われることが多いのも頷ける。モニター用に求められるのは、演奏するアーティストの音楽的な意図が適切なバランスで収録できているかを確認すること。それから。ミスがないか/ノイズがないかといった、いわばあら探しをすることだ。もちろんハードな使用に耐えるだけの頑丈さも不可欠だろう。
ハイレゾ音源のマスタリングでAKGの「K812」を基準にしたと明記するアルバムもあるくらいだから、それこそプロ用に要求される要素を高次元で融合させたヘッドホンとして評価を受けている証拠だろう。1.5テスラという強力な磁気回路と銅被膜アルミニウムのボイスコイルによって直径53mmの大型ダイアフラムを駆動する。そこから生み出される余裕のダイナミックレンジ、微細な信号への確かな追従性など基本性能の優秀さはさすがだ。さらにオープンエア型の採用に加え、ハウジング内の設計にも工夫を凝らした結果だろうが、空間描写の自然さもK812の特長だと言える。
そしてカナル型イヤホン「K3003」も、AKGのトップモデルらしく解像度の高さがすばらしい。中・高域にはバランスド・アーマチュア型、低域にはダイナミック型という3つのドライバーを採用。この3つのバランスを周到にコントロールすることで、ギュッと引き締まったベースの弾けるような力強い鳴りから、グーンと伸びてくる高域の爽快さ。細く神経質な音質とは一線を画する艶と切れ味がある。楽器やボーカルが目の前にあるようなダイレクト感が特長だ。
今回の試聴に用意したのは、LUXMANの「P-700u」+「DA-06」、FOSTEXの「HP-A8」、PIONEERの「U-05」、CHORDの「HUGO」、この4つの定番モデル。再生はMacBook ProにAudirvana Plusをインストールし、USB端子からそれぞれのUSB-DACに出力した。
【目次】
・LUXMAN P-700u+DA-06との組み合わせ
・FOSTEX HP-A8との組み合わせ
・PIONEER U-05との組み合わせ
・CHORD Hugoとの組み合わせ
LUXMAN P-700u+DA-06
(P-700u:税抜28万円/DA-200:税抜148,000円)
P-700uは単独のヘッドホンアンプでありUSB-DACが内蔵されていないので、同社のDA-06を使ってD/A変換し、RCA接続で試聴した。P-700uには4ch分のアンプが内蔵されており、BTL接続でバランス出力することも可能だが、今回はバランス・ヘッドホンではないので当然アンバランス接続になる。この場合は2chずつのパラレル接続となる。
■K812との組み合わせ
ガッチリと重心の低い鳴りに「あっ、ラックスマンだ」と呟いてしまった。音像はタイトで輪郭もクリアだ。必ずしも高解像度を指向しているとは感じないが、それぞれの楽器の質感がとても良く出ている。オーケストラの響きは分厚く、響きも豊かだ。チェロの低音がたっぷりと鳴って快い。その一方で、ヴァイオリンのソロにもう少しスーッと切れ上がるようなヌケの良さがほしい。ノラ・ジョーンズのギターや彼女の声もいくぶんフォーカスが甘くなる。とはいえ、このズシッとした厚みのある音圧感はアナログ時代から培ったラックスならではの感性と言えるだろう。
■K3003との組み合わせ
高域の情報量が増えて、グーンと伸びていくエネルギッシュな鳴りを聴かせてくれる。低域には圧力があり、量的に盛り上がった印象はない。音程感はシッカリしている。ピアノの硬質なタッチがいい。オーケストラでの音場の拡がりや空気感ではK812にはかなわないが、より音源に近づいて耳をそばだてるような聴こえ方。いかにもカナル型だ。ヴァイオリンのソロがやや甘いが、この塊になって迫ってくる鳴り方こそLUXMANらしい。ベースの剛毅な鳴りっぷり、音像感も太くクリアだ。ノラ・ジョーンズのボーカルやギターはタイトで、音像が眼前に現出する。