公開日 2019/04/23 06:30
サエク「WE-4700」はオリジナルを超えたのか? − トーンアームの新旧銘機を比較検証
【特別企画】筆者愛用のオリジナル「WE-407/23」と比較
1980年に発売され、名機として多くのオーディオファンに愛用されてきたダブルナイフエッジ式トーンアーム「WE-407/23」。これを復刻/発展させた、サエク「WE-4700」が間もなく発売を迎える。先日のインタビュー記事に引き続き、「WE-407/23」をいまなお愛用する評論家・山之内正氏が、従来モデルと比較しながら「WE-4700」をチェックした。
■35年にわたって使い続けてきた「WE-407/23」
私はオーディオに限らず気に入った製品は長く使うことが多く、特にレコードプレーヤー関連のコンポーネントやパーツは30年間以上にわたって愛用しているものが複数ある。しかも、大半の製品が今日まで大きなトラブルに見舞われることもなく、順調に動作している。
なかでもサエクの2本のトーンアーム、「WE-308N」と「WE-407/23」は筆者の手元で35年近く活躍し続けている最古参だ。最初に入手したWE-308Nはデンオン(現・デノン)のターンテーブル「DP-80」とセットで購入し、WE-407/23はその後にDP-80用のボードとともに単独で購入したので、使い始めた時期は前者が少しだけ早いのだが、通算での使用時間はおそらく後者の方が長いはずだ。いまもDP-80にはWE-407/23を組み合わせ、日々レコードを楽しんでいる。
WE-308NとWE-407/23はどちらもダブルナイフエッジを採用し、有効長も近いのだが、軸受周辺の構造やパイプの仕上げが異なり、外見から受ける印象は微妙に異なっている。407/23はダブルナイフエッジ部分を含めて精度がさらに上がっており、パイプをはじめとする各パーツの振動対策が徹底している。
精度の高さは外見からも一目瞭然だが、指で触れたときにも仕上げの質感の高さが伝わり、動きのなめらかさも群を抜いている。同じメーカーのトーンアームを2本も導入した最大の理由はそこにあり、いまも愛用し続けているのも同じ理由がある。特に、カートリッジの特徴をストレートに引き出す反応の良さはとても気に入っている。
これだけ長く使い続けていると表面が酸化したり、艶が失われても不思議ではないのだが、そうした外見上の劣化もほとんど見当たらない。基本性能だけでなく外見の美しさについても、使い始めた当時の品質を保ち続けているとみていいだろう。数多くの可動部品で組み立てられた製品として、これだけ長寿命なのは驚くべきことだ。
■“たんなる復刻モデル”にとどまらず、改良を加えられた「WE-4700」
WE-407/23の基本構造を再現しつつ、最先端の加工技術を駆使してさらに精度を高めたWE-4700がまもなく発売される。先日のインタビューでも明らかになった通り、複数の基幹パーツのなかには、ブロック素材からの削り出しによって複数の部品を一体化したり、仕上げの精度をさらに向上させたものも少なくない。たんなる復刻モデルではなく、基本性能をブラッシュアップしたうえでのリバイバルを目指しているのだ。
そのWE-4700だが、最終仕様の一歩手前まで細部を追い込んだ試作品を筆者の試聴室に持ち込み、手持ちのWE-407/23と聴き比べてみようということなった。シェルを固定するリング部分の形状やリフターの一部パーツの仕上げなどが最終仕様とは異なるようだが、いずれも音質にはほとんど影響を及ぼさない部分なので、完成品とほぼ同等と考えていいだろう。各部分のサイズと形状もほとんど変更されていないので、これまで使っていたアームボードにそのまま取り付けられる。
■35年にわたって使い続けてきた「WE-407/23」
私はオーディオに限らず気に入った製品は長く使うことが多く、特にレコードプレーヤー関連のコンポーネントやパーツは30年間以上にわたって愛用しているものが複数ある。しかも、大半の製品が今日まで大きなトラブルに見舞われることもなく、順調に動作している。
なかでもサエクの2本のトーンアーム、「WE-308N」と「WE-407/23」は筆者の手元で35年近く活躍し続けている最古参だ。最初に入手したWE-308Nはデンオン(現・デノン)のターンテーブル「DP-80」とセットで購入し、WE-407/23はその後にDP-80用のボードとともに単独で購入したので、使い始めた時期は前者が少しだけ早いのだが、通算での使用時間はおそらく後者の方が長いはずだ。いまもDP-80にはWE-407/23を組み合わせ、日々レコードを楽しんでいる。
WE-308NとWE-407/23はどちらもダブルナイフエッジを採用し、有効長も近いのだが、軸受周辺の構造やパイプの仕上げが異なり、外見から受ける印象は微妙に異なっている。407/23はダブルナイフエッジ部分を含めて精度がさらに上がっており、パイプをはじめとする各パーツの振動対策が徹底している。
精度の高さは外見からも一目瞭然だが、指で触れたときにも仕上げの質感の高さが伝わり、動きのなめらかさも群を抜いている。同じメーカーのトーンアームを2本も導入した最大の理由はそこにあり、いまも愛用し続けているのも同じ理由がある。特に、カートリッジの特徴をストレートに引き出す反応の良さはとても気に入っている。
これだけ長く使い続けていると表面が酸化したり、艶が失われても不思議ではないのだが、そうした外見上の劣化もほとんど見当たらない。基本性能だけでなく外見の美しさについても、使い始めた当時の品質を保ち続けているとみていいだろう。数多くの可動部品で組み立てられた製品として、これだけ長寿命なのは驚くべきことだ。
■“たんなる復刻モデル”にとどまらず、改良を加えられた「WE-4700」
WE-407/23の基本構造を再現しつつ、最先端の加工技術を駆使してさらに精度を高めたWE-4700がまもなく発売される。先日のインタビューでも明らかになった通り、複数の基幹パーツのなかには、ブロック素材からの削り出しによって複数の部品を一体化したり、仕上げの精度をさらに向上させたものも少なくない。たんなる復刻モデルではなく、基本性能をブラッシュアップしたうえでのリバイバルを目指しているのだ。
そのWE-4700だが、最終仕様の一歩手前まで細部を追い込んだ試作品を筆者の試聴室に持ち込み、手持ちのWE-407/23と聴き比べてみようということなった。シェルを固定するリング部分の形状やリフターの一部パーツの仕上げなどが最終仕様とは異なるようだが、いずれも音質にはほとんど影響を及ぼさない部分なので、完成品とほぼ同等と考えていいだろう。各部分のサイズと形状もほとんど変更されていないので、これまで使っていたアームボードにそのまま取り付けられる。