【特別企画】筆者愛用のオリジナル「WE-407/23」と比較
サエク「WE-4700」はオリジナルを超えたのか? − トーンアームの新旧銘機を比較検証
外見上で一番目を引く違いは、ベース部分が大幅に強化されたことだ。マウントベースが大型化し、本体との嵌合部分の精度も向上。取り付けや高さ調整を含めて、各種調整と使い勝手は確実に進化を遂げている。
インタビューで紹介されたもう1つのポイントは、オリジナルのWE-407/23が最終的な精度を得るためにアナログ的な微調整を重ねて性能を追い込んでいたのに対し、WE-4700は部品精度自体が桁違いに向上しているため、個体間のばらつきが圧倒的に少なく、メンテナンス性も良くなっているという点だ。
オリジナルでもすでに30年以上初期性能を維持しているぐらいだから、WE-4700の信頼性と耐久性は推して知るべし。レコードを末永く楽しみたい音楽ファンにとって嬉しい改善と言えるだろう。
基本的なトーンアームの仕様が共通なので、アームを付け替える作業はスムーズに進んだ。まず、DP-80のキャビネットを僅かに移動してアームを固定しているボードの裏側にアクセスし、ピックアップ用ケーブルを外してからマウントベースを緩める。そのままWE-407/23本体を持ち上げて新しいWE-4700を同じ位置に乗せ、裏側から新設計のマウントベースで固定する。
その後、高さ調整など微調整を行い、カウンターウェイトを取り付けてカートリッジの針圧を調整するところまで、10分ほどの作業で完了した。今回は付け替えと調整をサエクの北澤氏にお任せしたが、筆者が自分で試みてもほぼ同じぐらいで終わると思う。海外ブランドの最近のハイグレードなトーンアームに比べてもWE-4700の扱いやすさは抜きん出ている。
レコードに針を落とす直前になって、外見からわかる新旧の違いがもう1つあることに気付いた。WE-407/23ではアームリフターの受け部分(弧を描いたパーツ)がアーム側に取り付けられているのに対し、WE-4700はリフター側に同パーツが移動。アーム側に付いていると共振を引き起こす可能性もあるので、新型の方が合理的な設計であることは間違いない。この部分の構造は以前から少し気になっていたのだが、好ましい方向に改善された。