公開日 2021/06/09 10:10
ソニー「WF-1000XM4」速攻ハンズオン! 候補に“絶対入れるしかない”仕上がり
LDAC/AACの音質を中心にレポート
本日発表となった、ソニーのノイズキャンセル搭載完全ワイヤレスイヤホンの新モデル「WF-1000XM4」(以下、XM4)。オーディオファンの最大注目トピックはやはり、完全ワイヤレスにしていわゆる「ハイレゾ級」なLDACコーデックへの対応だろう。
今回、発売に先立って試してみたところ、後述するように実際その威力は大きい。しかし音質面だけではなく、全面的に施されたアップデートも見逃すことができないものばかりだ。
■コンパクトな新デザイン、新イヤーピースも装着感バツグン!
まずはケースの小型化。一般論として小型というほどではないが、前モデル「WF-1000XM3」(以下、XM3)比で「ほぼ半分」くらいの印象。それでいて連続再生時間は6時間から8時間へとむしろ伸び、ケース込みの再生時間はXM3と同等の約24時間を維持(AAC接続&高音質機能をすべてオフの場合)なのだから文句なし。
イヤホン本体のフォルムは、XM3は耳の3点で支える独特な形状だったのに対して、接触面を増やし、広い面で支えるスタイルになった。要はより一般的な、イヤーモニター的なデザインに回帰した。フィット感も装着時の外観も好ましい意味で「普通」に近付いたので、好みも分かれにくいだろう。
傘部分に独自開発ポリウレタンフォーム素材採用の「ノイズアイソレーションイヤーピース」はまさに好感触だ。一般的なフォームイヤーピースのように、装着から耳になじむまでに時間を要することなく、さっと装着してすぐにフィット。それでいてフォーム並みにソフトな着け心地だ。
ちなみに、ソニーはかつて「ノイズアイソレーションイヤーピース」という同じ名称のイヤーピースをラインナップしていたが、今回のポリウレタンフォーム素材のものとは名前が同じであるだけで、別物だ。こういった「名前は同じ別物」が出てくるあたりに、ソニー開発陣の世代交代を感じられたりもする。
その他ハンズオンでは、事前に実際の使用環境で録音された通話ノイズ低減デモ、航空機や雑踏のノイズを大型スピーカーで再生してのノイズキャンセリング体感デモ、イヤーピースの密閉度をチェックできる専用アプリの新機能「装着状態テスト」の試用もあった。
ノイズキャンセリング性能、外音取り込みの自然さの向上もなるほど納得だったが、ビームフォーミングや骨伝導センサーを活用した通話ノイズ低減のデモは、特にインパクトが大きかったことをお伝えしておきたい。
■解像感と耳への優しさのバランスが絶妙の音質。LDACなら響きが豊かに
では最後に、いちばん気になるであろう音質。やはりLDAC接続時の音質からチェックしてみた。
ハイレゾ音源のRobert Glasper「Human」を聴いてまず驚かされたのは、それぞれの音像自体の描写よりも、音楽全体の気配や響きの豊かさ。映像に喩えるなら陰影であるとかフィルムグレインであるとか、その有無で場面の雰囲気が変わってくるような、微細でいて重要な成分だ。それをここまで明らかに感じ取れる完全ワイヤレスイヤホンは初体験だ。
接続コーデックを任意に切り替えられるDAPを使って、他は同一条件のままコーデックをAACに変えると、その気配はすんと薄れる。だからこの気配の豊かさは、まさにLDAC接続によって実現した要素と言えるだろう。
もちろん、それぞれの音の描写も素晴らしい。最近のソニー製品に共通する、解像感と耳への優しさの兼ね合いが絶妙、ほどよくウォームで滑らかな感触のサウンドだ。音楽ジャンルを選ばないことは当然として、音楽からラジオ的音声コンテンツも映像コンテンツも、何を聴いても上質で心地よく、そして聴き込めば音楽の細部にまでうっとりできる、見事なオールラウンダー。
そのほか、AACコーデックに変更した際の音の変化としては、音像がボーカルとベースを中心に、全体的にすこし大柄になる印象もあった。やや大袈裟に表現するなら「LDACでフラットバランス、AACだと重心がミッド〜ローミッドに寄る」という感じ。ここは好み次第かもしれない。LDACと“当社比”をしなければ、AAC接続時の音も「AAC接続完全ワイヤレスとしてトップクラスの音質」と言えるだろう。
だからこそiPhoneユーザーにとっては、「LDACなしでも、機能性込みで十分魅力的だけど、でもLDACが使えないのはやっぱり悔しい」と悩ましい製品になってしまうかもしれないが…。
いずれにせよ、LDAC対応スマホユーザーでもLDAC非対応スマホユーザーでも、今後ハイエンド完全ワイヤレスイヤホン購入を検討するなら、その候補には絶対に入れるしかない製品だ。
今回、発売に先立って試してみたところ、後述するように実際その威力は大きい。しかし音質面だけではなく、全面的に施されたアップデートも見逃すことができないものばかりだ。
■コンパクトな新デザイン、新イヤーピースも装着感バツグン!
まずはケースの小型化。一般論として小型というほどではないが、前モデル「WF-1000XM3」(以下、XM3)比で「ほぼ半分」くらいの印象。それでいて連続再生時間は6時間から8時間へとむしろ伸び、ケース込みの再生時間はXM3と同等の約24時間を維持(AAC接続&高音質機能をすべてオフの場合)なのだから文句なし。
イヤホン本体のフォルムは、XM3は耳の3点で支える独特な形状だったのに対して、接触面を増やし、広い面で支えるスタイルになった。要はより一般的な、イヤーモニター的なデザインに回帰した。フィット感も装着時の外観も好ましい意味で「普通」に近付いたので、好みも分かれにくいだろう。
傘部分に独自開発ポリウレタンフォーム素材採用の「ノイズアイソレーションイヤーピース」はまさに好感触だ。一般的なフォームイヤーピースのように、装着から耳になじむまでに時間を要することなく、さっと装着してすぐにフィット。それでいてフォーム並みにソフトな着け心地だ。
ちなみに、ソニーはかつて「ノイズアイソレーションイヤーピース」という同じ名称のイヤーピースをラインナップしていたが、今回のポリウレタンフォーム素材のものとは名前が同じであるだけで、別物だ。こういった「名前は同じ別物」が出てくるあたりに、ソニー開発陣の世代交代を感じられたりもする。
その他ハンズオンでは、事前に実際の使用環境で録音された通話ノイズ低減デモ、航空機や雑踏のノイズを大型スピーカーで再生してのノイズキャンセリング体感デモ、イヤーピースの密閉度をチェックできる専用アプリの新機能「装着状態テスト」の試用もあった。
ノイズキャンセリング性能、外音取り込みの自然さの向上もなるほど納得だったが、ビームフォーミングや骨伝導センサーを活用した通話ノイズ低減のデモは、特にインパクトが大きかったことをお伝えしておきたい。
■解像感と耳への優しさのバランスが絶妙の音質。LDACなら響きが豊かに
では最後に、いちばん気になるであろう音質。やはりLDAC接続時の音質からチェックしてみた。
ハイレゾ音源のRobert Glasper「Human」を聴いてまず驚かされたのは、それぞれの音像自体の描写よりも、音楽全体の気配や響きの豊かさ。映像に喩えるなら陰影であるとかフィルムグレインであるとか、その有無で場面の雰囲気が変わってくるような、微細でいて重要な成分だ。それをここまで明らかに感じ取れる完全ワイヤレスイヤホンは初体験だ。
接続コーデックを任意に切り替えられるDAPを使って、他は同一条件のままコーデックをAACに変えると、その気配はすんと薄れる。だからこの気配の豊かさは、まさにLDAC接続によって実現した要素と言えるだろう。
もちろん、それぞれの音の描写も素晴らしい。最近のソニー製品に共通する、解像感と耳への優しさの兼ね合いが絶妙、ほどよくウォームで滑らかな感触のサウンドだ。音楽ジャンルを選ばないことは当然として、音楽からラジオ的音声コンテンツも映像コンテンツも、何を聴いても上質で心地よく、そして聴き込めば音楽の細部にまでうっとりできる、見事なオールラウンダー。
そのほか、AACコーデックに変更した際の音の変化としては、音像がボーカルとベースを中心に、全体的にすこし大柄になる印象もあった。やや大袈裟に表現するなら「LDACでフラットバランス、AACだと重心がミッド〜ローミッドに寄る」という感じ。ここは好み次第かもしれない。LDACと“当社比”をしなければ、AAC接続時の音も「AAC接続完全ワイヤレスとしてトップクラスの音質」と言えるだろう。
だからこそiPhoneユーザーにとっては、「LDACなしでも、機能性込みで十分魅力的だけど、でもLDACが使えないのはやっぱり悔しい」と悩ましい製品になってしまうかもしれないが…。
いずれにせよ、LDAC対応スマホユーザーでもLDAC非対応スマホユーザーでも、今後ハイエンド完全ワイヤレスイヤホン購入を検討するなら、その候補には絶対に入れるしかない製品だ。