公開日 2022/11/22 06:35
英国ケーブルブランド、コード・カンパニーが重視する音とは?2大看板技術と7ラインナップを一挙解説
【特別企画】“ノイズポンプ”シリーズも大ヒット中
英国のケーブルブランドであるコード・カンパニーは、多彩なケーブルラインナップに、“ノイズポンプ”と呼ばれるアクセサリー類でも大ヒットを飛ばしている。同社の音質ポリシー、そして製品開発のストーリーを林 正儀氏が解説する。
英国の名門ケーブルブランド、コード・カンパニーは30数年の歴史のなかで、いま絶好調にあるといってよいだろう。ケーブル部門では「コードミュージック」や「セイラムT」などハイエンドシリーズを中心に、ますます評価を高めてきた。
その類いまれなる技術の延長線上で、好セールスを記録しているのが「グラウンドアレイ」「パワーアレイ」などの “ノイズポンプ” シリーズだ。そんなブランドの魅力について改めて語りたい。
コード・カンパニーがモノづくりで最も重視しているのが、「すべての人の心に響くケーブル」をいかに届けるかということ。ミュージシャン級のエンジニアが多数揃うという社風から、試聴による音楽的な再現力をひたすら追求。素材のクオリティはもとより、独創的なアイデアを盛り込んだケーブル構造にも注目したいブランドだ。
創業は1985年で、初期の頃よりケーブルの電磁波対策に力を入れてきた。厳重な電磁シールドやプラグにこだわる中で “啓示” のようにひらめき、開発されたのが「アレイ・テクノロジー」と「タイロン」の2大看板技術だ。
「アレイ・テクノロジー」は何が画期的といって、ケーブルの接点において音楽信号の一部が反射しノイズとなる現象に注目したこと。その対策として “アレイ線” と呼ぶ新たな配線でノイズを吸収・消滅させ、伝送路の正確化を図るというものだ。
一方「タイロン」は、気温による位相変化の問題を根底からクリアした夢のような絶縁素材。宇宙開発レベルの研究成果だそうだが、公開されたデータからも一目瞭然。常温で位相変動の大きな一般のPTFE絶縁に対して、「タイロン」は理想的な位相のコントロールがなされ、ほぼフラットな特性を実現している。
非常に高価なため「タイロン」搭載はハイエンドシリーズに限られるのだが、その後タイロンに迫る特性を備えた新絶縁素材「XLPE」の開発に成功。コストダウンもされ、下位シリーズのスピーカーケーブルに採用を広げている。
ラインナップで注目したいのが、その選択幅の広さだろう。「コードミュージック」を頂点に高級ラインの「セイラムT」と「シグネチャー」。さらに「エピック」「ショーライン」「クリアウェイ」などの中堅3シリーズからエントリー向けの「Cシリーズ」まで、7グレードでピラミッド化されている。
RCAケーブルの例でシンプルに解説しよう。「エピック」や「ショーライン」は高・低周波シールドを施した銀メッキ導体だ。その下の「クリアウェイ」からは銀メッキを省略。弟分の「Cライン」も同様だ。アレイテクノロジーは全てに搭載している。
それらの上位に立つ「シグネチャー」は最長の歴史をもつシリーズだ。より厳重な低・高周波シールドや銀メッキ無酸素銅線。アレイ技術は上位の「チューンドアレイ」を搭載している。
同社のケーブルは様々な技術の効果だけでなく、それらを踏まえた緻密な調律が素晴らしい。以前レポートしたが、「XLPE」により進化したスピーカーケーブルの新旧比較にも、その点がよく表れている。
最エントリーの「CスクリーンX」から、瞬時に違いが判別できる。女性ヴォーカルでは乾いて単調だった声の粒子が細やかに。みずみずしさやニュアンスの深みを増してきた。この傾向が「クリアウェイX」ではさらに顕著になったのだ。その上の「ショーライン」までくると、様々な感情のこもった生身の音色が聴けて楽しい。中〜高級シリーズの「エピック」や「シグネチャー」は「セイラムT」や「コードミュージック」に近づいたか……、と思ったほどだ。
だがこのハイエンド2モデルは技術内容も、サウンドや音楽表現力も別次元だ。ここでは敢えてレビューめいたことは省くが、コード・カンパニーのツートップに敬意を表したい。
同社の高級ケーブルに投入されているアレイ技術のノウハウから生まれたのが、空き端子にさして使うノイズ対策専用アイテム「グラウンドアレイ」だ。機器やケーブル内部で発生している様々なノイズを根こそぎ吸い上げることから “ノイズポンプ” と命名。このシリーズにはさらに電源用の「パワーアレイ」があり、その集大成的な存在が「パワーアレイ・プロ」だ。
いずれも効果は絶大で、ノイズを夢のように消し去ってくれる。「グラウンドアレイ」は信号そのものの純度や精密感があがり、「パワーアレイ」では音のステージが丸ごと生々しい実在感に満たされた。「パワーアレイ・プロ」はさらに立体感が増して魂が揺さぶられるような音楽のエモーションナルがビンビンと伝わった。そのエネルギーは「パワーアレイ」10本分以上に匹敵するだろう。
実際、リピーターが多いのもこのシリーズの特徴だ。買って気に入ると他の機器にも足したくなったり、本数を増やすたびに新たな発見があるのだ。無料貸し出しの依頼は「グラウンドアレイ」「パワーアレイ」とも多く、特にハイエンドユーザーの間で増えてきたのが「パワーアレイ・プロ」だ。
機器を色々買い替え、数百万円かけようかと悩んでいる方々。まずは各種コード・カンパニー製品の効果をご自宅で試してみたらどうだろうか。現代オーディオの必携アイテム=福音となるはずだ。
(提供:アンダンテラルゴ)
本記事は『季刊・analog vol.77』からの転載です。
独自の技術、素材とともに音楽的な再現力を追求する
英国の名門ケーブルブランド、コード・カンパニーは30数年の歴史のなかで、いま絶好調にあるといってよいだろう。ケーブル部門では「コードミュージック」や「セイラムT」などハイエンドシリーズを中心に、ますます評価を高めてきた。
その類いまれなる技術の延長線上で、好セールスを記録しているのが「グラウンドアレイ」「パワーアレイ」などの “ノイズポンプ” シリーズだ。そんなブランドの魅力について改めて語りたい。
コード・カンパニーがモノづくりで最も重視しているのが、「すべての人の心に響くケーブル」をいかに届けるかということ。ミュージシャン級のエンジニアが多数揃うという社風から、試聴による音楽的な再現力をひたすら追求。素材のクオリティはもとより、独創的なアイデアを盛り込んだケーブル構造にも注目したいブランドだ。
創業は1985年で、初期の頃よりケーブルの電磁波対策に力を入れてきた。厳重な電磁シールドやプラグにこだわる中で “啓示” のようにひらめき、開発されたのが「アレイ・テクノロジー」と「タイロン」の2大看板技術だ。
「アレイ・テクノロジー」は何が画期的といって、ケーブルの接点において音楽信号の一部が反射しノイズとなる現象に注目したこと。その対策として “アレイ線” と呼ぶ新たな配線でノイズを吸収・消滅させ、伝送路の正確化を図るというものだ。
一方「タイロン」は、気温による位相変化の問題を根底からクリアした夢のような絶縁素材。宇宙開発レベルの研究成果だそうだが、公開されたデータからも一目瞭然。常温で位相変動の大きな一般のPTFE絶縁に対して、「タイロン」は理想的な位相のコントロールがなされ、ほぼフラットな特性を実現している。
非常に高価なため「タイロン」搭載はハイエンドシリーズに限られるのだが、その後タイロンに迫る特性を備えた新絶縁素材「XLPE」の開発に成功。コストダウンもされ、下位シリーズのスピーカーケーブルに採用を広げている。
エントリーや中級も劇的に進化。ハイエンドシリーズに肉薄する
ラインナップで注目したいのが、その選択幅の広さだろう。「コードミュージック」を頂点に高級ラインの「セイラムT」と「シグネチャー」。さらに「エピック」「ショーライン」「クリアウェイ」などの中堅3シリーズからエントリー向けの「Cシリーズ」まで、7グレードでピラミッド化されている。
RCAケーブルの例でシンプルに解説しよう。「エピック」や「ショーライン」は高・低周波シールドを施した銀メッキ導体だ。その下の「クリアウェイ」からは銀メッキを省略。弟分の「Cライン」も同様だ。アレイテクノロジーは全てに搭載している。
それらの上位に立つ「シグネチャー」は最長の歴史をもつシリーズだ。より厳重な低・高周波シールドや銀メッキ無酸素銅線。アレイ技術は上位の「チューンドアレイ」を搭載している。
同社のケーブルは様々な技術の効果だけでなく、それらを踏まえた緻密な調律が素晴らしい。以前レポートしたが、「XLPE」により進化したスピーカーケーブルの新旧比較にも、その点がよく表れている。
最エントリーの「CスクリーンX」から、瞬時に違いが判別できる。女性ヴォーカルでは乾いて単調だった声の粒子が細やかに。みずみずしさやニュアンスの深みを増してきた。この傾向が「クリアウェイX」ではさらに顕著になったのだ。その上の「ショーライン」までくると、様々な感情のこもった生身の音色が聴けて楽しい。中〜高級シリーズの「エピック」や「シグネチャー」は「セイラムT」や「コードミュージック」に近づいたか……、と思ったほどだ。
だがこのハイエンド2モデルは技術内容も、サウンドや音楽表現力も別次元だ。ここでは敢えてレビューめいたことは省くが、コード・カンパニーのツートップに敬意を表したい。
増やすたびに新たな発見 “ノイズポンプ” の魅力
同社の高級ケーブルに投入されているアレイ技術のノウハウから生まれたのが、空き端子にさして使うノイズ対策専用アイテム「グラウンドアレイ」だ。機器やケーブル内部で発生している様々なノイズを根こそぎ吸い上げることから “ノイズポンプ” と命名。このシリーズにはさらに電源用の「パワーアレイ」があり、その集大成的な存在が「パワーアレイ・プロ」だ。
いずれも効果は絶大で、ノイズを夢のように消し去ってくれる。「グラウンドアレイ」は信号そのものの純度や精密感があがり、「パワーアレイ」では音のステージが丸ごと生々しい実在感に満たされた。「パワーアレイ・プロ」はさらに立体感が増して魂が揺さぶられるような音楽のエモーションナルがビンビンと伝わった。そのエネルギーは「パワーアレイ」10本分以上に匹敵するだろう。
実際、リピーターが多いのもこのシリーズの特徴だ。買って気に入ると他の機器にも足したくなったり、本数を増やすたびに新たな発見があるのだ。無料貸し出しの依頼は「グラウンドアレイ」「パワーアレイ」とも多く、特にハイエンドユーザーの間で増えてきたのが「パワーアレイ・プロ」だ。
機器を色々買い替え、数百万円かけようかと悩んでいる方々。まずは各種コード・カンパニー製品の効果をご自宅で試してみたらどうだろうか。現代オーディオの必携アイテム=福音となるはずだ。
(提供:アンダンテラルゴ)
本記事は『季刊・analog vol.77』からの転載です。