公開日 2023/04/28 10:00
埋もれていた情報を引き出し表現の説得力が一層高まる。フルテックのRCA/XLRケーブル「Lineflux NCF」の進化を探る
【特別企画】最新モデルと従来モデルを音質比較!
フルテックの「Lineflux」は、最高峰ケーブルシリーズ。RCA、XLRケーブルともに特殊素材NCF新プラグで刷新され、大幅に進化した。電源周りのプラグや端子で大好評のNCF導入で、音の表現性と魅力はどのような飛躍を遂げたのか。ここでは山之内 正氏が新製品と従来品とを聴き比べ、音の進化の度合いを検証する。
フルテックのNCFは静電気対策の切り札として絶大な信頼を集め、おなじみの存在だ。そのNCFを導体ピンやハウジングの内部に組み込むことで静電気対策と振動対策を同時に高めたLineflux NCFシリーズにXLRタイプが追加され、RCAに加えてバランス接続でもNCFの効果を体験できるようになった。RCAとXLRのLineflux NCFをそれぞれ従来のLinefluxと聴き比べることで、新設計のプラグがもたらす効果を確認することが今回の目的だ。
Linefluxシリーズの信号ケーブルは1.3mm単芯導体(αOCC)を採用していることが特徴で、新シリーズもそこに変更はない。2層のシールド構造に加えてナノセラミック/カーボンパウダーのコンパウンドを加えることで、制振効果を極限まで高める対策も従来から受け継いでいる。
注目すべきはプラグである。RCAプラグのセンターピン、XLRプラグの導体ピンにそれぞれNCFを注入し、さらにハウジングやボディ部分にも適切な配合でNCF材を導入。RCAタイプの場合、センターピンの先端に黒っぽいNCF材が見えることで外観からも区別できる。堅固な制振構造に静電気対策を追加することによって、どんな音質改善効果が生まれるのか、早速聴き比べてみることにしよう。
まずRCAタイプの新旧比較。従来のLinefluxはヴォーカルのイメージが立体的で、事前に確認した試聴室のレファレンスケーブルに比べて表情に繊細さがあり、ステージに深みが感じられた。金管アンサンブルでもホールトーンが伸びやかに広がり、トランペットが本来の柔らかい音色を取り戻す。ヴァイオリンソナタはピアノと溶け合う響きが柔らかく、高い音がきつくならない良さがある。
Lineflux NCFにつなぎ替えると、ヴォーカルに僅かに残っていた子音の刺激的成分が消え、しかも発音は鮮明で聴き取りやすい状態を保っている。声の柔らかい感触とリュートの明瞭な発音が両立することで、歌の表情がさらに豊かになったような印象を受けた。
ブラスアンサンブルは全員が揃って息を吸うタイミングとアタックの関係がよく見えるようになり、躍動的なリズムの形が自然に浮かび上がってくる。ホールトーンの広がりはさらにひと回り大きく感じられるが、トランペットやトロンボーンはベルの形が見えるほどフォーカスがクリアで、アタックに乗るエネルギーの大きさを実感。
室内楽はヴァイオリンの楽器メージがホログラフィックに浮かび、ピアノとの空間的なセパレーションが明らかに向上する。ピアノが旋律を弾く背後で分散和音を刻むヴァイオリンの音形が立体的に浮かぶようになったことも、新旧ケーブル間の大きな変化の一つだ。
次にXLRタイプの新旧比較を進めよう。試聴室で普段使っているケーブルの音を最初に確認し、続いてLinefluxの従来タイプ、そして新しいLineflux NCFの音を確認するという流れで聴き比べる。
従来タイプはヴォーカルに勢いとスピードが乗り、伴奏のリュートは低音弦の響きが深く、装飾音符の音形がくっきり浮かぶ明瞭さがそなわる。金管アンサンブルは和音に混濁がなく、演奏者が10人まで増えても各楽器の動きが埋もれない。室内楽はヴァイオリンとピアノどちらも立ち上がりは俊敏だがアタックに強調感がなく、音がスーッと立ち上がる。
NCFを導入した最新ケーブルは、同じ曲からこれまで気づかなかった発見をもたらしてくれた。ヴォーカルはごくわずかなビブラートなど、微妙なニュアンスが聴き取れるようになり、エモーショナルな表現の説得力が一気に高まる。金管アンサンブルは特にトランペットの音圧感と勢いが強まり、音量を変えていないのに一段階大きな音が出てきた。
ソナタは高弦の艶感が増すと同時にピアノの余韻は柔らかい方向に振れて、ヴァイオリンとのコントラストをいっそう鮮やかに描き出す。リズムも含めて動的な振幅が大きくなり、躍動感を引き出す効果が著しい。埋もれていた情報をここまで引き出すインターコネクトケーブルに出会ったのは、今回が初めての体験だ。
【Lineflux NCF(XLR)】〔ケーブル部〕●導体:単芯α(アルファ)OCC導体1.3mm×1●シールド:2層●絶縁/誘電体:高級ポリエチレン●共振減衰材料:シース内のナノセラミック/カーボンパウダーコンパウンド●ケーブル径:約13.0mm〔XLRプラグ部〕●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造の導体ピン●ボディ部:特殊な「NCF」反共振減衰素材(ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダー&カーボンパウダーを調合)を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンハウジング(外側のハードクリアコートとその下のハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの別の層で構成)、内部は非磁性ステンレスハウジング●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダによる結線●適応最大ケーブル径:10.0mm●CF-601M NCF(R)適応導体ワイヤーサイズ:撚線→14AWG(2.08sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3sq.mm)MAX、線径→2.1mm MAX●CF-602F NCF(R)適応導体ワイヤーサイズ:撚線→13AWG(2.62sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3sq.mm)MAX、線径→2.4mm MAX●CF-601M NCF(R)サイズ/質量:全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g、●CF-602F NCF(R)サイズ/質量:全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
【Linefl ux NCF(RCA)】〔ケーブル部〕●XLRと共通〔RCAプラグ部〕●プラグ外径:全長約φ14.0mm×54.0mm
(協力:フルテック)
本記事は『オーディオアクセサリー188号』からの転載です。
RCAとXLRケーブルがそれぞれ新設計NCFプラグで刷新、その成果を比較試聴
フルテックのNCFは静電気対策の切り札として絶大な信頼を集め、おなじみの存在だ。そのNCFを導体ピンやハウジングの内部に組み込むことで静電気対策と振動対策を同時に高めたLineflux NCFシリーズにXLRタイプが追加され、RCAに加えてバランス接続でもNCFの効果を体験できるようになった。RCAとXLRのLineflux NCFをそれぞれ従来のLinefluxと聴き比べることで、新設計のプラグがもたらす効果を確認することが今回の目的だ。
Linefluxシリーズの信号ケーブルは1.3mm単芯導体(αOCC)を採用していることが特徴で、新シリーズもそこに変更はない。2層のシールド構造に加えてナノセラミック/カーボンパウダーのコンパウンドを加えることで、制振効果を極限まで高める対策も従来から受け継いでいる。
注目すべきはプラグである。RCAプラグのセンターピン、XLRプラグの導体ピンにそれぞれNCFを注入し、さらにハウジングやボディ部分にも適切な配合でNCF材を導入。RCAタイプの場合、センターピンの先端に黒っぽいNCF材が見えることで外観からも区別できる。堅固な制振構造に静電気対策を追加することによって、どんな音質改善効果が生まれるのか、早速聴き比べてみることにしよう。
RCAタイプの新旧比較「表情豊かで躍動的になり、空間情報の向上で立体的に」
まずRCAタイプの新旧比較。従来のLinefluxはヴォーカルのイメージが立体的で、事前に確認した試聴室のレファレンスケーブルに比べて表情に繊細さがあり、ステージに深みが感じられた。金管アンサンブルでもホールトーンが伸びやかに広がり、トランペットが本来の柔らかい音色を取り戻す。ヴァイオリンソナタはピアノと溶け合う響きが柔らかく、高い音がきつくならない良さがある。
Lineflux NCFにつなぎ替えると、ヴォーカルに僅かに残っていた子音の刺激的成分が消え、しかも発音は鮮明で聴き取りやすい状態を保っている。声の柔らかい感触とリュートの明瞭な発音が両立することで、歌の表情がさらに豊かになったような印象を受けた。
ブラスアンサンブルは全員が揃って息を吸うタイミングとアタックの関係がよく見えるようになり、躍動的なリズムの形が自然に浮かび上がってくる。ホールトーンの広がりはさらにひと回り大きく感じられるが、トランペットやトロンボーンはベルの形が見えるほどフォーカスがクリアで、アタックに乗るエネルギーの大きさを実感。
室内楽はヴァイオリンの楽器メージがホログラフィックに浮かび、ピアノとの空間的なセパレーションが明らかに向上する。ピアノが旋律を弾く背後で分散和音を刻むヴァイオリンの音形が立体的に浮かぶようになったことも、新旧ケーブル間の大きな変化の一つだ。
XLRタイプの新旧比較「埋もれていたニュアンスや躍動感を著しく引き出した」
次にXLRタイプの新旧比較を進めよう。試聴室で普段使っているケーブルの音を最初に確認し、続いてLinefluxの従来タイプ、そして新しいLineflux NCFの音を確認するという流れで聴き比べる。
従来タイプはヴォーカルに勢いとスピードが乗り、伴奏のリュートは低音弦の響きが深く、装飾音符の音形がくっきり浮かぶ明瞭さがそなわる。金管アンサンブルは和音に混濁がなく、演奏者が10人まで増えても各楽器の動きが埋もれない。室内楽はヴァイオリンとピアノどちらも立ち上がりは俊敏だがアタックに強調感がなく、音がスーッと立ち上がる。
NCFを導入した最新ケーブルは、同じ曲からこれまで気づかなかった発見をもたらしてくれた。ヴォーカルはごくわずかなビブラートなど、微妙なニュアンスが聴き取れるようになり、エモーショナルな表現の説得力が一気に高まる。金管アンサンブルは特にトランペットの音圧感と勢いが強まり、音量を変えていないのに一段階大きな音が出てきた。
ソナタは高弦の艶感が増すと同時にピアノの余韻は柔らかい方向に振れて、ヴァイオリンとのコントラストをいっそう鮮やかに描き出す。リズムも含めて動的な振幅が大きくなり、躍動感を引き出す効果が著しい。埋もれていた情報をここまで引き出すインターコネクトケーブルに出会ったのは、今回が初めての体験だ。
【Lineflux NCF(XLR)】〔ケーブル部〕●導体:単芯α(アルファ)OCC導体1.3mm×1●シールド:2層●絶縁/誘電体:高級ポリエチレン●共振減衰材料:シース内のナノセラミック/カーボンパウダーコンパウンド●ケーブル径:約13.0mm〔XLRプラグ部〕●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造の導体ピン●ボディ部:特殊な「NCF」反共振減衰素材(ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダー&カーボンパウダーを調合)を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンハウジング(外側のハードクリアコートとその下のハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの別の層で構成)、内部は非磁性ステンレスハウジング●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダによる結線●適応最大ケーブル径:10.0mm●CF-601M NCF(R)適応導体ワイヤーサイズ:撚線→14AWG(2.08sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3sq.mm)MAX、線径→2.1mm MAX●CF-602F NCF(R)適応導体ワイヤーサイズ:撚線→13AWG(2.62sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3sq.mm)MAX、線径→2.4mm MAX●CF-601M NCF(R)サイズ/質量:全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g、●CF-602F NCF(R)サイズ/質量:全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
【Linefl ux NCF(RCA)】〔ケーブル部〕●XLRと共通〔RCAプラグ部〕●プラグ外径:全長約φ14.0mm×54.0mm
(協力:フルテック)
本記事は『オーディオアクセサリー188号』からの転載です。