公開日 2023/07/27 06:45
無音と演奏のコントラストを克明に再現。スリムタイプで活用の幅が広がる、フルテックの最高峰電源ケーブルを聴く
【特別企画】いままで挿せなかった機器もグレードアップ
電源ケーブルをグレードアップしたくても、機材の端子周辺のスペースが狭く、プラグやコネクターが挿さらないことがある。そんな悩みを解決し、最高峰という位置づけで開発された、フルテックの「スリムタイプ」コネクターの電源ケーブルが登場した。NCFの採用など、ケーブルやプラグも最上級にふさわしい作りが目を引く。早速その実力を検証しよう。
リンのKLIMAX SOLOなど、背面端子群の上に庇(ひさし)のある機器をお使いの方が電源ケーブルを交換してグレードアップを図ろうとしても、今までは選択肢がかなり限られていた。完成品電源ケーブルのほとんどが装着している丸いIECコネクターだと、庇が邪魔をして物理的に挿せないからである。そのため、スリムタイプのIECコネクターを装着しているケーブル製品か、コネクターの交換に対応してくれる限られたブランドの電源ケーブルの中から選ぶしかなかったのだ。
しかしこの度フルテックから、内外の名だたるハイエンド電源ケーブルで採用されているフラグシップ・IECコネクター、「FI-50 NCF(R)」のスリムタイプ、「CF-C15 NCF(R)」を装着した「Powerflux-C15 NCF-18」が誕生した!
試聴モデルを開梱すると、極太のケーブル本体の両端と中間部に配された、シルバーカーボンフィニッシュがまず目に飛び込む。手に取るとずっしり重い。そしてIECコネクター「CF-C15 NCF(R)」は、円筒状の大きな「FI-50 NCF(R)」をコンパクトな直方体に納まるようギュッと凝縮させたかのようで、ダウンしたサイズとは逆に高級感がアップしている。
技術的内容はとても語り尽くすことができないほど盛り沢山だ。型番が示す通り、静電気対策特殊素材「NCF」を、振動対策用のナノサイズセラミック&カーボンパウダーと共にナイロン/グラスファイバーに調合してプラグ随所に使用しているだけではない。NCF絶縁インナーフレームを含む非磁性ステンレス鋼ハウジング上に、ハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの層を重ね、最外層にはハードクリアコート。電極部はロジウムメッキした純銅α導体である。
ケーブル中間部には、電磁ノイズ対策としてシルバーカーボンフィニッシュのGC-303 EMI吸収材を装着し、さらに振動ノイズ対策として内部にネオダンパーテクノロジーを採用。ケーブル本体もα導体を始め、絶縁体・シース等々全てがこだわり抜かれたものだ。
オランダのTRPTK(トリップティック)というレーベルをご存知だろうか? モニターにKEFのBLADEやHEGELのアンプを使うTRPTKの録音は超がつく高音質なのだが、ブックレットには使用機材としてなんと「NCF Booster」の名も挙げられている。この試聴で聴かない手はないだろう。
同レーベルのSACD、マヤ・フリードマン(チェロ)、マールテン・ファン・フェーン(ピアノ)による『ヌト〜古代エジプトの女神をテーマとした即興演奏』は、チェロとピアノの緊張感に満ちた掛け合いが録音会場の教会の空気を複雑精妙に震わせるのだが、即興演奏だけに2人の演奏家は自分の演奏とそれに呼応する相手の演奏を、各楽器から音が発せられるごとに揺れ拡がりゆく残響音と共に常に聴き感じながら、それらを踏まえて次の曲想と演奏を産み出していく。すなわち極めてダイナミックな演奏=作曲過程なのであり、生半可な再生システムを介してではその意義を聴きとることができない。
マランツSA-10の電源ケーブルを、私がいつも繋いでいる自作電源ケーブルからPowerflux-C15 NCF-18に換えると、NCF効果だろう、ノイズフロアがガクガクガクッと下がった。撞着語法めくが、この無音の凄みは実際に聴いた者にしか分かるまい。絶対的な無音と、超高解像度で克明に伝わる2人の演奏との圧倒的コントラスト。そして電源供給が揺らがないからこそ顕在化する、空気の複雑精妙な揺らぎ。
対照的にスタジオで作り込まれた山下達郎「アトムの子」を再生しても、かような超高SN比・超高解像度は威力を発揮する。手前で打ち鳴らされる鈴と、後方でバンバン叩かれるドラムとの距離感で音場の遠近が極めて明瞭。そして周囲の喧騒に掻き消され、直接音しか入っていないと思われがちな山下達郎のヴォーカルに、実はリヴァーブが一定程度かけられていたことがいとも容易く聴き取れる。「Powerflux-C15 NCF-18」は、庇に悩まされていたマニアにとって大いなる福音となるだろう。
【Powerflux-C15】●接続部端子部:プラグ(カーボンファイバーNCF仕様)→FI-50M NCF(R)、IECコネクター(スリムタイプのカーボンファイバーNCF仕様)→CF-C15 NCF(R)●特殊素材「NCF」をプラグボディ部に調合。ナノ単位のセラミックパウダー、カーボンパウダーによるこれまでの強力な制振効果に加え、静電効果を向上●端子接点:非磁性ロジウムメッキ●ケーブル素材:α-導体(OCC素材)の高密度導体●絶縁材:カーボンパウダー調合の高機能PVCを用いた2重シース構造(振動と外部からのノイズを遮断するとともに柔軟性を合わせ持つ)●ケーブル直径:約17.5mm●定格:15A 125V〜(日本/米国/カナダ等)、10A 250V〜(欧州連合地区)
(提供:フルテック)
本記事は『オーディオアクセサリー189号』からの転載です。
音質対策を凝縮して新設計、こだわり抜かれた最高峰のNCF端子
リンのKLIMAX SOLOなど、背面端子群の上に庇(ひさし)のある機器をお使いの方が電源ケーブルを交換してグレードアップを図ろうとしても、今までは選択肢がかなり限られていた。完成品電源ケーブルのほとんどが装着している丸いIECコネクターだと、庇が邪魔をして物理的に挿せないからである。そのため、スリムタイプのIECコネクターを装着しているケーブル製品か、コネクターの交換に対応してくれる限られたブランドの電源ケーブルの中から選ぶしかなかったのだ。
しかしこの度フルテックから、内外の名だたるハイエンド電源ケーブルで採用されているフラグシップ・IECコネクター、「FI-50 NCF(R)」のスリムタイプ、「CF-C15 NCF(R)」を装着した「Powerflux-C15 NCF-18」が誕生した!
試聴モデルを開梱すると、極太のケーブル本体の両端と中間部に配された、シルバーカーボンフィニッシュがまず目に飛び込む。手に取るとずっしり重い。そしてIECコネクター「CF-C15 NCF(R)」は、円筒状の大きな「FI-50 NCF(R)」をコンパクトな直方体に納まるようギュッと凝縮させたかのようで、ダウンしたサイズとは逆に高級感がアップしている。
技術的内容はとても語り尽くすことができないほど盛り沢山だ。型番が示す通り、静電気対策特殊素材「NCF」を、振動対策用のナノサイズセラミック&カーボンパウダーと共にナイロン/グラスファイバーに調合してプラグ随所に使用しているだけではない。NCF絶縁インナーフレームを含む非磁性ステンレス鋼ハウジング上に、ハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの層を重ね、最外層にはハードクリアコート。電極部はロジウムメッキした純銅α導体である。
ケーブル中間部には、電磁ノイズ対策としてシルバーカーボンフィニッシュのGC-303 EMI吸収材を装着し、さらに振動ノイズ対策として内部にネオダンパーテクノロジーを採用。ケーブル本体もα導体を始め、絶縁体・シース等々全てがこだわり抜かれたものだ。
無音の凄みと克明な演奏の対比、超のつくSN比と解像度に圧倒
オランダのTRPTK(トリップティック)というレーベルをご存知だろうか? モニターにKEFのBLADEやHEGELのアンプを使うTRPTKの録音は超がつく高音質なのだが、ブックレットには使用機材としてなんと「NCF Booster」の名も挙げられている。この試聴で聴かない手はないだろう。
同レーベルのSACD、マヤ・フリードマン(チェロ)、マールテン・ファン・フェーン(ピアノ)による『ヌト〜古代エジプトの女神をテーマとした即興演奏』は、チェロとピアノの緊張感に満ちた掛け合いが録音会場の教会の空気を複雑精妙に震わせるのだが、即興演奏だけに2人の演奏家は自分の演奏とそれに呼応する相手の演奏を、各楽器から音が発せられるごとに揺れ拡がりゆく残響音と共に常に聴き感じながら、それらを踏まえて次の曲想と演奏を産み出していく。すなわち極めてダイナミックな演奏=作曲過程なのであり、生半可な再生システムを介してではその意義を聴きとることができない。
マランツSA-10の電源ケーブルを、私がいつも繋いでいる自作電源ケーブルからPowerflux-C15 NCF-18に換えると、NCF効果だろう、ノイズフロアがガクガクガクッと下がった。撞着語法めくが、この無音の凄みは実際に聴いた者にしか分かるまい。絶対的な無音と、超高解像度で克明に伝わる2人の演奏との圧倒的コントラスト。そして電源供給が揺らがないからこそ顕在化する、空気の複雑精妙な揺らぎ。
対照的にスタジオで作り込まれた山下達郎「アトムの子」を再生しても、かような超高SN比・超高解像度は威力を発揮する。手前で打ち鳴らされる鈴と、後方でバンバン叩かれるドラムとの距離感で音場の遠近が極めて明瞭。そして周囲の喧騒に掻き消され、直接音しか入っていないと思われがちな山下達郎のヴォーカルに、実はリヴァーブが一定程度かけられていたことがいとも容易く聴き取れる。「Powerflux-C15 NCF-18」は、庇に悩まされていたマニアにとって大いなる福音となるだろう。
【Powerflux-C15】●接続部端子部:プラグ(カーボンファイバーNCF仕様)→FI-50M NCF(R)、IECコネクター(スリムタイプのカーボンファイバーNCF仕様)→CF-C15 NCF(R)●特殊素材「NCF」をプラグボディ部に調合。ナノ単位のセラミックパウダー、カーボンパウダーによるこれまでの強力な制振効果に加え、静電効果を向上●端子接点:非磁性ロジウムメッキ●ケーブル素材:α-導体(OCC素材)の高密度導体●絶縁材:カーボンパウダー調合の高機能PVCを用いた2重シース構造(振動と外部からのノイズを遮断するとともに柔軟性を合わせ持つ)●ケーブル直径:約17.5mm●定格:15A 125V〜(日本/米国/カナダ等)、10A 250V〜(欧州連合地区)
(提供:フルテック)
本記事は『オーディオアクセサリー189号』からの転載です。