公開日 2023/10/05 06:30
ボーズ新完全ワイヤレス「QC Ultra Earbuds」速攻レビュー!Apple/ソニーと徹底比較
進化した人気3モデルのANC/音質の魅力をチェック
ボースが、本日10月5日に独自の空間オーディオに対応した完全ワイヤレスイヤホンの新製品「QuietComfort Ultra Earbuds」を発表した。今回、10月19日の発売に先立ち一足早く試すことができた。その実力を確かめつつ、ANC搭載完全ワイヤレスのライバル機であるアップル「AirPods Pro(第2世代)」、ソニー「WF-1000XM5」と聴き比べたのでインプレッションを速報したい。
QuietComfort Ultra Earbuds(QC Ultra Earbuds)は、強力なアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能と高音質を両立し大人気となっている「QuietComfort Earbuds II」(QC Earbuds II)をベースにアップデートしたモデルだ。希望小売価格は39,600円(税込)。
最大のトピックが、新たに空間オーディオの「Bose Immersive Audio」に対応したこと。「コンテンツやソースに関係なくスピーカーで聴くような空間サウンドを実現し、自然かつ豊かで、広々とした臨場感あるサウンドを楽しめる」のが特徴で、ステレオのストリーミング音源もイマーシブに楽しめるという。
もう一つ見逃せないのが、新たに高音質BluetoothコーデックのaptX Adaptive対応が追加されたこと。対応機器と組み合わせることでハイレゾ相当で伝送できるようになった。QC Earbuds IIまでは、SBCとAACしかサポートしておらず、コーデックを理由に選択肢から外していた人も少なからずいたかもしれないが、QC Ultra Earbudsではその必要がなくなったといえる。
イヤホン本体をぐるっと囲むスタビリティバンドとイヤーチップを組み合わせて最適なフィット感を得られたり、ユーザーの耳の形状に合わせてノイズキャンセリング性能とサウンドパフォーマンスを最適な状態に自動調整するCustomTuneテクノロジーを搭載したりといった点は、QC Earbuds IIを踏襲する。
連続再生時間はBose Immersive Audioをオンにして最大4時間、通常再生で6時間。充電ケースを使えば最大で3回分のチャージができる。
QC Ultra Earbudsと同じく、強力なANC機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンというのは、ライバル製品が多い。その筆頭格がアップルのAirPods Pro(第2世代、以下略)とソニーのWF-1000XM5だろう。
AirPods Proは2022年9月に発売されたANC対応完全ワイヤレス。耳を撮影して計測する「パーソナライズされた空間オーディオ」をサポートする。今年9月にはUSB-C端子ケースを採用した新モデルを発表、iOSのアップデートに合わせて、ANCと外音取り込みを自動で調整する「適応型オーディオ」が追加された。対応コーデックはSBCとAAC。価格は39,800円(税込)。
WF-1000XM5は、今年9月に発売されたばかりのソニー完全ワイヤレスイヤホン最新モデル。本機も強力なANC機能が特徴で、演算処理や通信用などの複合チップのほかに新たにANC専用チップが搭載されている。空間オーディオは、ソニー独自の360 Reality Audioをサポートする。コーデックはSBCとAACのほかに、LDACが利用できる。価格はオープンだが、ソニーストア販売価格は41,800円(税込)。
試聴ではQC Ultra Earbudsを中心にANCと音質を確認しながら、AirPods ProとWF-1000XM5も聴き比べている。なお、3機種ともiPhone 14と接続し、それぞれの専用アプリでセッティング後、ANCをオンにしてApple Musicから楽曲を再生した。
まずはANCからチェックしよう。QC Ultra Earbudsを装着するとフィット感に驚いた。耳への圧迫感が少なく、頭を振ってもイヤホンが動く素振りもない。ANCをオンにすると、スッと周囲が静かになる。静かな空間にいるような「自然な無音感」であり、外部から隔離されたような圧迫感がない。
リスニングモードはANCが最大の「クワイエット」、ANC最小で周囲の外音を取り込む「アウェア」、ANCは最大で空間オーディオがオンになった「イマーション」の3種類。他に、好みに応じてANCの強度や空間オーディオを最大7通り設定出来る「カスタム」がある。
ANCをオンにして近所を散歩してみた。クワイエットモードでは自分の足音すら分からないほど静か。近くを通る車の音はわずかにロードノイズとエンジン音が聞こえる程度だし、公園で遊ぶ子どもたちの声もかすかに分かるレベル。周囲に気を配っていないとあぶないと感じてしまうほどの効果だ。
外音を取り込むアウェアに切替えると、ややホワイトノイズがあるものの、周囲の音が自然な音量で聞こえる。特に驚いたのが、距離感が明確に分かることだ。
例えば、目を閉じた状態で子どもたちが遠くで大声で話す声と、近くで小声で話す声を容易に聴き分けられる。歩いている途中、後ろから車が迫っている音がして振り向くと、イメージした距離感で車が走っていた。ANCも外音取り込みもストレスフルな使い心地で、高く評価できる。
AirPods ProでANCをオンにすると、耳への圧迫感はなく、自然な感覚で周囲の騒音が強力にカットされる。ただ、QC Ultra Earbudsと比べるとやや消しきれないノイズがあり、自分の足音や車が通るロードノイズなどはある程度聞こえる。
外音取り込みも総じて自然で、静かな時は付けてないと思えるほど。しかし、外でやや騒々しい場面では、遠くの小さい声を集音マイクのように大きな音でしっかり拾ってしまうことが多々あった。聴き取りやすさという点では評価できるが、こういうシーンで音を頼りに距離感を掴むのは難しそうだ。
WF-1000XM5のANCも強力。散歩中にオンにするとスッと外音が消える。QC Ultra Earbuds並に静かだ。あえて気になった点を挙げるなら、キャッチボールの「パシッ」という音や、子どもが「キャッ」と発するような急激に変化する音がやや消えにくかったことと、静かな室内ではわずかだが他モデルより耳に圧迫感があったことくらい。
外音取り込みも自然で聴き取りやすかった。しかし、すぐ背後に車が来たと感じて振り向くと数十メートル離れていたように距離感は掴みにくい場面があった。場面に応じた設定調整や慣れは必要だろう。
続けてサウンドをチェックしよう。上述の通り、iPhone 14とペアリングし、コーデックはAACで再生する。QC Ultra EarbudsでOfficial髭男dism「Subtitle」を再生すると、解像度の高い芯の通ったサウンドが、おだやなかイントロに熱量をもたらす。ボーカルは声の輪郭が明瞭で表情豊かだ。
圧巻はサビの力強い低域。音の輪郭に厚みがあり、弾力のあるベースライン太い筆致で描かれる。低域が激しい場面でも中高域とのバランスは整えられており、サウンド全体に品格が感じられる。
原田知世の『恋愛小説2』から「やさしさに包まれたなら」をボーカルに注目して聴く。やさしい、しっとりとした質感の歌声が印象的だ。高域まで滑らかに伸びていき、スッと消えていく。繊細な余韻が美しい。
QC Ultra Earbudsの新機能、空間オーディオも体験したい。「Subtitle」を再生中に、Bose MusicアプリからBose Immersive Audioをオンにすると、音域が頭の周囲に拡がり音に包まれる。音場のタイプが2種類あり、リスナーの動きに合わせて音場が動く「移動」設定では、常に音の中心に自分がいるようだ。
これを、前方に音が定位する「静止」に変更すると、首だけ横を向けても体の正面から音が来るように感じられる。出先でも、普段スピーカーに相対している感覚で聴けるのは楽しい。また、空間オーディオ用ではなく、普通のステレオ楽曲を空間オーディオ化できるので、気軽に楽しめるのもポイントだ。
AirPods Proのサウンドはきめ細かくクリア。低域から高域までフラットながらも、あっさりと言うよりはややビビッドな音色だ。
「Subtitle」は、力強さこそQC Ultra Earbudsに譲るが、音の定位が明瞭で低域も十分な豊かさがある。「やさしさに包まれたなら」はややあっさり感じられるが、声にメリハリがあり心地よい。
AirPods Proもステレオ楽曲を空間オーディオ化でき、機能をオンにすると音場がふわっと拡がる。設定には、頭を動かしても定位が変わらない「固定」と、再生デバイスのある方向が正面に感じられる「ヘッドトラッキング」の2種類があり、いずれも音像が立体的になって奥行き感が増す。音の表現力が豊かになり、聴きやすくなった印象だ。
WF-1000XM5は情報量を伴ったキレのあるサウンドだ。「Subtitle」は、中高域が滑らかでイントロからサビまで、パートごとの曲調の違いを描き分ける。低域はQC Ultra Earbudsほどの厚みはないものの、輪郭が明瞭で力強い。「やさしさに包まれたなら」は、楽器も声も音にキレがあり、声の変化も繊細に表現する。
最後にスマホをaptX AdaptiveとLDACの両方に対応するAndroidスマートフォンに切り替え、それぞれに対応するQC Ultra EarbudsとWF-1000XM5について、高音質コーデック再生を試す。ここではiPhone14再生での音と比べた。
QC Ultra EarbudsをaptX Adaptiveで接続して聴く。「Subtitle」は、音場が2段階ほど広くなり、音の解像感と明瞭感が増す。ボーカルはブレスまで分かるほど明度が高くなり、低域は音が立体的になる。aptX Adaptiveによる高音質化は期待以上で、音の良さにこだわる人も納得のクオリティだ。
WF-1000XM5ではLDAC接続にして「Subtitle」を再生。すると、こちらもLDACの恩恵で音の解像感がグンと増え、楽器の音色もボーカルも立体的になる。低域は厚くなりベースはいっそう弾む。全体的にグルーヴ感が高まった印象だ。
QC Ultra Earbudsを中心に3機種を聴き比べたが、どれも人気モデルにふさわしい実力だった。ANCの効果に甲乙付けるのは難しいが、個人的にはQC Ultra Earbudsは極めて自然かつ強力なANCと散歩中でも安心できる外音取り込みは好印象だった。
サウンドも、三者三様で高品質だったものの、QC Ultra Earbudsの繊細さと力強さを合わせ持ったサウンドは、聴く者を虜にしてまた聴きたくさせる魅力があったように思う。普通のステレオ音源を空間オーディオで楽しめるのも面白かった。
これらは、実際に試してこそ分かる部分が大きい。ぜひ店頭でその実力を体感していただきたい。
QC Ultra Earbudsは、空間オーディオやハイレゾ相当の伝送に対応した新製品
QuietComfort Ultra Earbuds(QC Ultra Earbuds)は、強力なアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能と高音質を両立し大人気となっている「QuietComfort Earbuds II」(QC Earbuds II)をベースにアップデートしたモデルだ。希望小売価格は39,600円(税込)。
最大のトピックが、新たに空間オーディオの「Bose Immersive Audio」に対応したこと。「コンテンツやソースに関係なくスピーカーで聴くような空間サウンドを実現し、自然かつ豊かで、広々とした臨場感あるサウンドを楽しめる」のが特徴で、ステレオのストリーミング音源もイマーシブに楽しめるという。
もう一つ見逃せないのが、新たに高音質BluetoothコーデックのaptX Adaptive対応が追加されたこと。対応機器と組み合わせることでハイレゾ相当で伝送できるようになった。QC Earbuds IIまでは、SBCとAACしかサポートしておらず、コーデックを理由に選択肢から外していた人も少なからずいたかもしれないが、QC Ultra Earbudsではその必要がなくなったといえる。
イヤホン本体をぐるっと囲むスタビリティバンドとイヤーチップを組み合わせて最適なフィット感を得られたり、ユーザーの耳の形状に合わせてノイズキャンセリング性能とサウンドパフォーマンスを最適な状態に自動調整するCustomTuneテクノロジーを搭載したりといった点は、QC Earbuds IIを踏襲する。
連続再生時間はBose Immersive Audioをオンにして最大4時間、通常再生で6時間。充電ケースを使えば最大で3回分のチャージができる。
3機種ともANCは強力。QC Ultra Earbudsはストレスのなさで高評価
QC Ultra Earbudsと同じく、強力なANC機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンというのは、ライバル製品が多い。その筆頭格がアップルのAirPods Pro(第2世代、以下略)とソニーのWF-1000XM5だろう。
AirPods Proは2022年9月に発売されたANC対応完全ワイヤレス。耳を撮影して計測する「パーソナライズされた空間オーディオ」をサポートする。今年9月にはUSB-C端子ケースを採用した新モデルを発表、iOSのアップデートに合わせて、ANCと外音取り込みを自動で調整する「適応型オーディオ」が追加された。対応コーデックはSBCとAAC。価格は39,800円(税込)。
WF-1000XM5は、今年9月に発売されたばかりのソニー完全ワイヤレスイヤホン最新モデル。本機も強力なANC機能が特徴で、演算処理や通信用などの複合チップのほかに新たにANC専用チップが搭載されている。空間オーディオは、ソニー独自の360 Reality Audioをサポートする。コーデックはSBCとAACのほかに、LDACが利用できる。価格はオープンだが、ソニーストア販売価格は41,800円(税込)。
試聴ではQC Ultra Earbudsを中心にANCと音質を確認しながら、AirPods ProとWF-1000XM5も聴き比べている。なお、3機種ともiPhone 14と接続し、それぞれの専用アプリでセッティング後、ANCをオンにしてApple Musicから楽曲を再生した。
まずはANCからチェックしよう。QC Ultra Earbudsを装着するとフィット感に驚いた。耳への圧迫感が少なく、頭を振ってもイヤホンが動く素振りもない。ANCをオンにすると、スッと周囲が静かになる。静かな空間にいるような「自然な無音感」であり、外部から隔離されたような圧迫感がない。
リスニングモードはANCが最大の「クワイエット」、ANC最小で周囲の外音を取り込む「アウェア」、ANCは最大で空間オーディオがオンになった「イマーション」の3種類。他に、好みに応じてANCの強度や空間オーディオを最大7通り設定出来る「カスタム」がある。
ANCをオンにして近所を散歩してみた。クワイエットモードでは自分の足音すら分からないほど静か。近くを通る車の音はわずかにロードノイズとエンジン音が聞こえる程度だし、公園で遊ぶ子どもたちの声もかすかに分かるレベル。周囲に気を配っていないとあぶないと感じてしまうほどの効果だ。
外音を取り込むアウェアに切替えると、ややホワイトノイズがあるものの、周囲の音が自然な音量で聞こえる。特に驚いたのが、距離感が明確に分かることだ。
例えば、目を閉じた状態で子どもたちが遠くで大声で話す声と、近くで小声で話す声を容易に聴き分けられる。歩いている途中、後ろから車が迫っている音がして振り向くと、イメージした距離感で車が走っていた。ANCも外音取り込みもストレスフルな使い心地で、高く評価できる。
AirPods ProでANCをオンにすると、耳への圧迫感はなく、自然な感覚で周囲の騒音が強力にカットされる。ただ、QC Ultra Earbudsと比べるとやや消しきれないノイズがあり、自分の足音や車が通るロードノイズなどはある程度聞こえる。
外音取り込みも総じて自然で、静かな時は付けてないと思えるほど。しかし、外でやや騒々しい場面では、遠くの小さい声を集音マイクのように大きな音でしっかり拾ってしまうことが多々あった。聴き取りやすさという点では評価できるが、こういうシーンで音を頼りに距離感を掴むのは難しそうだ。
WF-1000XM5のANCも強力。散歩中にオンにするとスッと外音が消える。QC Ultra Earbuds並に静かだ。あえて気になった点を挙げるなら、キャッチボールの「パシッ」という音や、子どもが「キャッ」と発するような急激に変化する音がやや消えにくかったことと、静かな室内ではわずかだが他モデルより耳に圧迫感があったことくらい。
外音取り込みも自然で聴き取りやすかった。しかし、すぐ背後に車が来たと感じて振り向くと数十メートル離れていたように距離感は掴みにくい場面があった。場面に応じた設定調整や慣れは必要だろう。
サウンドはいずれも高レベル。QC Ultra Earbudsの空間オーディオは手軽で楽しい
続けてサウンドをチェックしよう。上述の通り、iPhone 14とペアリングし、コーデックはAACで再生する。QC Ultra EarbudsでOfficial髭男dism「Subtitle」を再生すると、解像度の高い芯の通ったサウンドが、おだやなかイントロに熱量をもたらす。ボーカルは声の輪郭が明瞭で表情豊かだ。
圧巻はサビの力強い低域。音の輪郭に厚みがあり、弾力のあるベースライン太い筆致で描かれる。低域が激しい場面でも中高域とのバランスは整えられており、サウンド全体に品格が感じられる。
原田知世の『恋愛小説2』から「やさしさに包まれたなら」をボーカルに注目して聴く。やさしい、しっとりとした質感の歌声が印象的だ。高域まで滑らかに伸びていき、スッと消えていく。繊細な余韻が美しい。
QC Ultra Earbudsの新機能、空間オーディオも体験したい。「Subtitle」を再生中に、Bose MusicアプリからBose Immersive Audioをオンにすると、音域が頭の周囲に拡がり音に包まれる。音場のタイプが2種類あり、リスナーの動きに合わせて音場が動く「移動」設定では、常に音の中心に自分がいるようだ。
これを、前方に音が定位する「静止」に変更すると、首だけ横を向けても体の正面から音が来るように感じられる。出先でも、普段スピーカーに相対している感覚で聴けるのは楽しい。また、空間オーディオ用ではなく、普通のステレオ楽曲を空間オーディオ化できるので、気軽に楽しめるのもポイントだ。
AirPods Proのサウンドはきめ細かくクリア。低域から高域までフラットながらも、あっさりと言うよりはややビビッドな音色だ。
「Subtitle」は、力強さこそQC Ultra Earbudsに譲るが、音の定位が明瞭で低域も十分な豊かさがある。「やさしさに包まれたなら」はややあっさり感じられるが、声にメリハリがあり心地よい。
AirPods Proもステレオ楽曲を空間オーディオ化でき、機能をオンにすると音場がふわっと拡がる。設定には、頭を動かしても定位が変わらない「固定」と、再生デバイスのある方向が正面に感じられる「ヘッドトラッキング」の2種類があり、いずれも音像が立体的になって奥行き感が増す。音の表現力が豊かになり、聴きやすくなった印象だ。
WF-1000XM5は情報量を伴ったキレのあるサウンドだ。「Subtitle」は、中高域が滑らかでイントロからサビまで、パートごとの曲調の違いを描き分ける。低域はQC Ultra Earbudsほどの厚みはないものの、輪郭が明瞭で力強い。「やさしさに包まれたなら」は、楽器も声も音にキレがあり、声の変化も繊細に表現する。
最後にスマホをaptX AdaptiveとLDACの両方に対応するAndroidスマートフォンに切り替え、それぞれに対応するQC Ultra EarbudsとWF-1000XM5について、高音質コーデック再生を試す。ここではiPhone14再生での音と比べた。
QC Ultra EarbudsをaptX Adaptiveで接続して聴く。「Subtitle」は、音場が2段階ほど広くなり、音の解像感と明瞭感が増す。ボーカルはブレスまで分かるほど明度が高くなり、低域は音が立体的になる。aptX Adaptiveによる高音質化は期待以上で、音の良さにこだわる人も納得のクオリティだ。
WF-1000XM5ではLDAC接続にして「Subtitle」を再生。すると、こちらもLDACの恩恵で音の解像感がグンと増え、楽器の音色もボーカルも立体的になる。低域は厚くなりベースはいっそう弾む。全体的にグルーヴ感が高まった印象だ。
QC Ultra Earbudsを中心に3機種を聴き比べたが、どれも人気モデルにふさわしい実力だった。ANCの効果に甲乙付けるのは難しいが、個人的にはQC Ultra Earbudsは極めて自然かつ強力なANCと散歩中でも安心できる外音取り込みは好印象だった。
サウンドも、三者三様で高品質だったものの、QC Ultra Earbudsの繊細さと力強さを合わせ持ったサウンドは、聴く者を虜にしてまた聴きたくさせる魅力があったように思う。普通のステレオ音源を空間オーディオで楽しめるのも面白かった。
これらは、実際に試してこそ分かる部分が大きい。ぜひ店頭でその実力を体感していただきたい。