公開日 2018/06/19 11:24
「音がいい部屋」の“響きの質”とは? 音響設計のプロによるイベントを密着レポート!
【特別企画】アコースティックラボ主催「Acoustic Audio Forum」
「部屋もオーディオシステムの一部」。そんな考え方の下、定期的に“音のいい部屋”構築のポイントを解説しているイベントがある。オーディオファン向け物件を多数手がける防音工事会社、アコースティックラボによる「Acoustic Audio Forum」だ。
先日開催された最新回のテーマは「オーディオルームの室内音響設計について(4)〜響きの質〜」。サブテーマに「平面振動板スピーカーの音を聴く」も掲げられた同イベントでは、どんなことが語られたのか? その模様をレポートする。
主催であるアコースティックラボは、上記のようにオーディオファン向け物件の防音工事で豊富な経験を持つ会社。オーディオファン向け物件だけでなく、ミュージシャン向け物件、そしてプロのエンジニアも使う音楽スタジオなども多数手がけ“音楽家のための防音工事会社”だと謳っている。
そんな同社では、オーディオに適した音の響きとなるよう計算してつくった“音がいい防音ショールーム”を構築。「蔵前ヴィレッジ」と名付けた同ショールームで、“音がいい部屋”とはどういうことなのかを体感できるよう、この「Acoustic Audio Forum」を開催している。
自身も大のオーディオファンである同社代表の鈴木氏は「部屋のことを説明するにも雑誌や言葉では伝えきれない。だからモデルルームをつくった」とコメント。「これが唯一の正解だとは言わないが、我々の思いはこの部屋に表現されている」と語る。
そもそも、オーディオではスピーカーから発せられた音だけを聴いているわけではない。スピーカーから出たあとに部屋という空間に広がり、壁や床などに反射した音も一緒に聴いているわけだ。だからこそ同社は「部屋もオーディオの一部」だと言っているのだ。
「このスピーカーは音がいい、悪いなどと我々オーディオファンが判断しているのは、直接音だけでなく間接音、つまり部屋の影響を受けている」と鈴木氏は言葉を添える。
そして、今回のイベントのテーマである「響きの質」に影響する要素が、「部屋の剛性」と「部屋の形」。特に剛性については「音が反射する際に、(スピーカーからの)直接音のほかにも色々な音が付加される」とし、「歪音が加わらないように、壁の剛性をしっかり高めたほうがいい」とアドバイスする。
また、「蔵前ヴィレッジ」は比較的に音がよく響くライブな状態でつくっていることを紹介。音楽スタジオなどでは僅かな音の違いも判別しやすいように比較的デッド(音が響かない)部屋が多いが、必ずしもそれだけが音楽再生にとって最適なわけではないと説明する。
鈴木氏は「ライブな部屋だからスピーカーの違いが分かりにくいかというと、(蔵前ヴィレッジでライブな部屋を)実際に体験してもらってもそんなことはないと思う」とコメント。「デッドなのかライブなのかではなく、歪音など余計なものが発生しないことが大切だ」と言葉を続け、これに深くうなずく参加者の姿も見られた。
なお、この日のイベントの音出しデモには田口音響による平面スピーカーを主に使用。これに加え、初期のBBCモニタースピーカーに近い仕様で復刻させたRogersブランドのスピーカーも聴くことができ、鈴木氏や参加者がその音色に大きな魅力を感じていることを伺わせるコメントもあった。
これらのスピーカーは主にブックシェルフ型のものだったが、「この“蔵前ヴィレッジ”の部屋のように、部屋をしっかりつくっていれば、こういう小さなスピーカーでもちゃんと鳴ってくれる」と鈴木氏は説明。「部屋との関係で小型スピーカーがどう鳴るのかも今日は体験してもらった」と、オーディオにおける部屋の影響力の重要性を改めて紹介した。
◇
なお、本イベントは今週末6月22日(金)・23日(土)に次回が開催されることも決定。テーマは「高音がきつい!部屋の吸音とスピーカーの関係について」で、「スピーカーを取り換えても高音が鋭く、きつい。もっとやわらかく伸びのある音にはならないのか」といった悩みを解決するポイントなどを解説するという。
また、本記事に登場した田口音響とは別の、FAL(株式会社ファル)ブランドの平面振動板スピーカーもデモ。そのほか、同社が手がけた物件の実例紹介も行われる。
詳細は公式サイトで確認可能。公式サイトのメールフォームおよび下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
先日開催された最新回のテーマは「オーディオルームの室内音響設計について(4)〜響きの質〜」。サブテーマに「平面振動板スピーカーの音を聴く」も掲げられた同イベントでは、どんなことが語られたのか? その模様をレポートする。
主催であるアコースティックラボは、上記のようにオーディオファン向け物件の防音工事で豊富な経験を持つ会社。オーディオファン向け物件だけでなく、ミュージシャン向け物件、そしてプロのエンジニアも使う音楽スタジオなども多数手がけ“音楽家のための防音工事会社”だと謳っている。
そんな同社では、オーディオに適した音の響きとなるよう計算してつくった“音がいい防音ショールーム”を構築。「蔵前ヴィレッジ」と名付けた同ショールームで、“音がいい部屋”とはどういうことなのかを体感できるよう、この「Acoustic Audio Forum」を開催している。
自身も大のオーディオファンである同社代表の鈴木氏は「部屋のことを説明するにも雑誌や言葉では伝えきれない。だからモデルルームをつくった」とコメント。「これが唯一の正解だとは言わないが、我々の思いはこの部屋に表現されている」と語る。
そもそも、オーディオではスピーカーから発せられた音だけを聴いているわけではない。スピーカーから出たあとに部屋という空間に広がり、壁や床などに反射した音も一緒に聴いているわけだ。だからこそ同社は「部屋もオーディオの一部」だと言っているのだ。
「このスピーカーは音がいい、悪いなどと我々オーディオファンが判断しているのは、直接音だけでなく間接音、つまり部屋の影響を受けている」と鈴木氏は言葉を添える。
そして、今回のイベントのテーマである「響きの質」に影響する要素が、「部屋の剛性」と「部屋の形」。特に剛性については「音が反射する際に、(スピーカーからの)直接音のほかにも色々な音が付加される」とし、「歪音が加わらないように、壁の剛性をしっかり高めたほうがいい」とアドバイスする。
また、「蔵前ヴィレッジ」は比較的に音がよく響くライブな状態でつくっていることを紹介。音楽スタジオなどでは僅かな音の違いも判別しやすいように比較的デッド(音が響かない)部屋が多いが、必ずしもそれだけが音楽再生にとって最適なわけではないと説明する。
鈴木氏は「ライブな部屋だからスピーカーの違いが分かりにくいかというと、(蔵前ヴィレッジでライブな部屋を)実際に体験してもらってもそんなことはないと思う」とコメント。「デッドなのかライブなのかではなく、歪音など余計なものが発生しないことが大切だ」と言葉を続け、これに深くうなずく参加者の姿も見られた。
なお、この日のイベントの音出しデモには田口音響による平面スピーカーを主に使用。これに加え、初期のBBCモニタースピーカーに近い仕様で復刻させたRogersブランドのスピーカーも聴くことができ、鈴木氏や参加者がその音色に大きな魅力を感じていることを伺わせるコメントもあった。
これらのスピーカーは主にブックシェルフ型のものだったが、「この“蔵前ヴィレッジ”の部屋のように、部屋をしっかりつくっていれば、こういう小さなスピーカーでもちゃんと鳴ってくれる」と鈴木氏は説明。「部屋との関係で小型スピーカーがどう鳴るのかも今日は体験してもらった」と、オーディオにおける部屋の影響力の重要性を改めて紹介した。
なお、本イベントは今週末6月22日(金)・23日(土)に次回が開催されることも決定。テーマは「高音がきつい!部屋の吸音とスピーカーの関係について」で、「スピーカーを取り換えても高音が鋭く、きつい。もっとやわらかく伸びのある音にはならないのか」といった悩みを解決するポイントなどを解説するという。
また、本記事に登場した田口音響とは別の、FAL(株式会社ファル)ブランドの平面振動板スピーカーもデモ。そのほか、同社が手がけた物件の実例紹介も行われる。
詳細は公式サイトで確認可能。公式サイトのメールフォームおよび下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com