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PR 公開日 2024/10/02 06:30

連載:世界のオーディオブランドを知る(1)圧倒的な認知と名声「JBL」の歴史を紐解く

Presented by オーディオランド
大橋伸太郎
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これまでに多くの世界的なオーディオブランドが誕生してきているが、そのブランドがどのような歴史を辿り、今に至るのかをご存知だろうか。オーディオファンを現在に至るまで長く魅了し続けるブランドは多く存在するが、その成り立ちや過去の銘機については意外に知識が曖昧...という方も少なくないのではないだろうか。

そこで本連載では、オーディオ買取専門店「オーディオランド」のご協力のもと、ヴィンテージを含む世界のオーディオブランドを紹介。人気ブランドの成り立ちから歴史、そして歴代の銘機と共に評論家・大橋伸太郎氏が解説する。第1回目となる本稿では「JBL」ブランドについて紹介しよう。


■圧倒的な認知と名声を築いた「JBL」ブランド




オーディオ素人の知人たちに「JBLって知ってる?」と聞いてみると、そのブランド名が「ジェームス・バロー・ランシング」の略とは知らないまでも、ほぼ全員が「アメリカのスピーカーでしょ?」と答える。製品の力によって時間をかけて、現在の認知度と名声を築いたのである。

全世界には数え切れないメーカーがあり、栄枯盛衰の激しいスピーカーの世界。専門誌でもてはやされ、一世を風靡して消えていく新星は数知れない。そんななかJBLは、日本国内Hi-Fiスピーカーの売り上げ5位以内から常に外れることがない。

そして音楽好きな人に「JBLの音とは?」と聞くと、「くっきりした明るく力強い音、豊かな低音」と、明快な答えが返ってくる。こんなスピーカーは他にないだろう。奇跡のスピーカー、JBL。その強さの秘密は一体何か? それを知るために、まずはJBLのヒストリーを紐解いていこう。

■早すぎた天才創業者・ジェームス・バロー・ランシング



JBLの名の基になった創業者ジェームス・バロー・ランシングは、1902年アメリカ中西部イリノイ州のイタリア系炭坑技師の家庭に生まれた。澄んだ青空が高く広がる穀倉地帯に機械文明の波が忍び寄っていた。

10代初めから電気や機械に熱中し、20代でラジオ用スピーカーの製造事業を始め、1927年にはロサンゼルスで新会社ランシング・マニファクチャリング・カンパニーを立ち上げる。ラジオセット「ランシング・デラックス」は大評判を呼び、会社は急成長した。1930年代に入り、折しも映画界はサイレントからトーキーへの移行の真っ只中、アメリカを代表する産業が「声」を持ったのである。

録音用アンプの製作でメジャースタジオMGMの信頼を勝ち取ったランシング社は、低歪ワイドレンジのスピーカーシステム開発に着手。空前の耐入力と広帯域を実現した2ウェイ・ホーンシステムは、全米の興行界の高い評価を受ける。トーキー映画の主演女優の名にちなんで、「シャーラー・ホーン」と名付けられたスピーカーは、1936年のアカデミー科学技術賞を受賞。ジェームス・バロー・ランシングの名が全米に知られる最初の出来事である。

天才創業者・ジェームス・バロー・ランシング氏

1930〜40年代にアメリカの映画館を支配していたのは、ウェスタン・エレクトリックの映画用音響機器部門を引き継いだアルテック・サーヴィス社だった。シャーラー・ホーンの高い技術に目をつけた同社は、すかさずランシング社を経営統合、新会社アルテック・ランシング・コーポレーションが発足し、ジェームスは製造担当副社長に就任する。

ジェームスがアルテックに在社したのはわずか5年。このわずかな期間にわきあがる創造力を発揮、数十年にわたりオーディオの方向性を決定付ける発明が次々に生まれる。21世紀の今も使われるスピーカー技術を続々と完成させ、それらがアルテック社の劇場用大型スピーカーシステム「ザ・ヴォイス・オブ・シアター VOTT」に結実する。

音楽業界に向けては、小型モニタースピーカーシステム・アイコニックを完成。21世紀の現代も多くのファンを持つ名機、同軸ユニット「604H」が誕生したのは1945年のこと。アルテックへの義理を果たしたジェームスは同社を退社、太陽の地カリフォルニアにランシング・サウンド・インコーポレイテッドを設立した。しかし困ったことに、アルテック・ランシング社が「その社名はまかりならぬ」とクレームをつけたのだ。ジェームスの貢献度がいかに偉大だったかがわかる。やむなく「ジェームス・B・ランシング・サウンド・インク」に名称が変更され、ここから “JBL” が始まったのだ。

発明家、音響技術者に戻ったジェームスは、フルレンジユニットの名作「D130」をはじめとする傑作を続々完成させる。しかし、企業規模からすれば弱小のランシング・サウンド・インクは、アメリカ企業社会の特徴のM&Aにもてあそばれ、負債ばかりが累積し、エンジニア兼経営者のジェームスはしだいに追いつめられていく。

フルレンジユニットの名作「D130」

そして1949年9月29日、神経を病んだジェームスは社員たちを残して自ら人生の幕を閉じる。享年47歳。偉大な発明家の早過ぎる逝去。しかし彼は、20世紀にHi-Fiの進むべき道を示す、多くの未完のアイデアを後進たちに遺していた。

オーディオ買取はオーディオランド


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