公開日 2024/11/15 06:30
松村北斗と上白石萌音のW主演!PMSとパニック障害を抱える男女のかけがえのない物語
【第141回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2024年公開の『夜明けのすべて』をご紹介します!
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『夜明けのすべて』(2024年・日本)
(配信:Netflix)
瀬尾まいこ原作の同名小説を、『きみの鳥はうたえる』『ケイコ 目を澄ませて』の三宅唱監督のメガホンで映画化。 PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなり、プラネタリウムや顕微鏡のキットを作る会社に転職した藤沢さん(上白石萌音)。ある日、やる気がなさそうに見える同僚の山添くん(松村北斗)に怒りを爆発させてしまうのだが、彼もまたパニック障害を抱えていたことを知る。周囲の理解や支えのもと、徐々に互いのことを理解し、友情とも恋愛とも異なる関係を築いていく2人であったが……。
仕事で年に300本以上の新作映画を目にする筆者であるが、2024年に出会えた邦画の中で最も胸揺さぶられたと感じているのがこの作品。人によっては無縁で済む題材ではあるものの、 PMSやパニック障害について思考を巡らせる時間や、自分の身体や気持ちなのにコントロールできない苦しみやもどかしさを抱える登場人物たちの心模様に触れる時間は、さまざまな気づきを与えてくれる。
また、男女の関係性を描く上で恋愛描写に走りがちな作品が多い中(それを否定するつもりもないのだが)、藤沢さんと山添くんの関係性を同僚という範囲に留め、2人が関わる周囲の人物含め、等身大の人間模様をあたたかなまなざしで捉えている点も本作の素晴らしいところ。心が疲れてしまったとき、できることなら、心が疲れ切って身動きが取れなくなってしまう前にご覧いただきたい作品です。その効果は一時的なものでしかないかもしれないけれど、きっと自分にも他人にも優しくなれるはずだから……。
(c)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『夜明けのすべて』(2024年・日本)
(配信:Netflix)
瀬尾まいこ原作の同名小説を、『きみの鳥はうたえる』『ケイコ 目を澄ませて』の三宅唱監督のメガホンで映画化。 PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなり、プラネタリウムや顕微鏡のキットを作る会社に転職した藤沢さん(上白石萌音)。ある日、やる気がなさそうに見える同僚の山添くん(松村北斗)に怒りを爆発させてしまうのだが、彼もまたパニック障害を抱えていたことを知る。周囲の理解や支えのもと、徐々に互いのことを理解し、友情とも恋愛とも異なる関係を築いていく2人であったが……。
仕事で年に300本以上の新作映画を目にする筆者であるが、2024年に出会えた邦画の中で最も胸揺さぶられたと感じているのがこの作品。人によっては無縁で済む題材ではあるものの、 PMSやパニック障害について思考を巡らせる時間や、自分の身体や気持ちなのにコントロールできない苦しみやもどかしさを抱える登場人物たちの心模様に触れる時間は、さまざまな気づきを与えてくれる。
また、男女の関係性を描く上で恋愛描写に走りがちな作品が多い中(それを否定するつもりもないのだが)、藤沢さんと山添くんの関係性を同僚という範囲に留め、2人が関わる周囲の人物含め、等身大の人間模様をあたたかなまなざしで捉えている点も本作の素晴らしいところ。心が疲れてしまったとき、できることなら、心が疲れ切って身動きが取れなくなってしまう前にご覧いただきたい作品です。その効果は一時的なものでしかないかもしれないけれど、きっと自分にも他人にも優しくなれるはずだから……。
(c)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。 |