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【特別企画】待望のオーディオ用ハイエンドNASがついに登場

バッファローのオーディオ用NAS“DELA”「N1Z/N1A」開発者インタビュー

公開日 2014/03/20 10:47 聞き手:山之内正 構成:ファイル・ウェブ編集部
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山之内正氏が自宅システムで比較試聴
「N1Z」と「N1A」のサウンドのちがいとは!?


取材・執筆 山之内 正

■待望のオーディオ専用NAS2機種を徹底比較

ハイファイグレードのNASが登場するのをずっと待ち望んでいた。今回バッファローから実際に発売されるまで、かなり待たされた印象がある。予想していたよりも長い時間がかかったように思う。

しかし、待った甲斐はあった。今回発売された2機種には徹底的なこだわりと注目すべき新技術を投入しており、その中身は期待を大きく上回るものがある。ネットワークオーディオを熟知したメーカーならではのノウハウも盛り込まれている。時間をかけたからこそ実現できたととらえればいいのだろう。


最上段がLINNのフラグシップ・ネットワークプレーヤー「KLIMAX DS」。中段がDELAの「N1Z」、3段目が「N1A」だ
N1ZはリンのKLIMAX DSと同じ幅で仕上げも近いため、並べて設置したときの統一感は予想以上だ。使い勝手からわかる既存のNASとの違いには、起動と終了の速さ、メニューのツリー構造、画像データの高解像度表示などがある。どれもネットワーク再生の快適さを左右する重要な要素ばかりだ。

■静寂のレベルが違う「N1Z」。“早い音”を引き出す「N1A」

そして、最大の違いは音質に聴き取ることができた。SSDを採用したN1Zは耳を近付けても動作音が聞こえないサイレントNAS。そのS/Nの良さは再生音にもあてはまり、静寂のレベルが違う印象を受ける。加藤訓子『CANTUS』冒頭のクロタルとヴィブラフォンの響きはこれまで聴いたどのNASよりも純度が高く、余韻が消える瞬間の空気の動きが目に見えるようだ。

音色に余分な強調感がないため、かえってアタックが鋭く立ち上がることにも感心させられた。パット・メセニーの最新作『KIN(←→)』はどの曲もパーカッションが刻むリズムが厚く、すべての音を粒立ち良く再現するのは至難の業と思わせるほど、音数の多い曲が並ぶ。その複雑なリズムを克明に鳴らし分け、ギターの澄んだ音色を際立たせるうえで、NASがもたらす威力は想像以上に大きいことがわかった。

山之内氏の自宅視聴室にて試聴を行った。組み合わせたスピーカーはWilson Audioの「Sophia 3」

姉妹機N1Aも既存のNASに比べるとアタックの鮮度が高く、いわゆる「速い音」を引き出す能力が高い。N1Zはそれに加えて一つひとつの音の個性を際立たせる力がそなわり、尖った高音、湿り気のあるヴォーカル、深い低音という具合にそれぞれの音色の描写のリアリティが高く、描き分けるために用意された音のパレットが大きいと感じさせる。ほんの一例だが、ピアノのソロからここまでニュアンスに富んだ表情と音色を引き出すNASは珍しい。

NASはたんなるデータストレージではなく、データを高精度に読み出してプレーヤーに信号を送り出すトランスポートの役割を担っている。ピュアオーディオの視点で性能を追い込んだNASは、ハイエンドのトランスポートとみなすべきなのだ。

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