同社初のUSB-DAC/ヘッドホンアンプの全貌に迫る
マランツ澤田氏に訊く、ヘッドホンアンプ「HD-DAC1」で実現したHi-Fiアンプの理想形とは?
ゲインを切り替えでサウンドの表情を変えて楽しむ
■ヘッドホンアンプのゲイン切り替えのもう1つの効能
澤田氏は、HD-DAC1の使いこなし方の提案もしてくれた。「HD-DAC1はLOW/MID/HIGHの3段階のゲイン切り替えを持っています。通常ならばインピーダンスが低いヘッドホンではLOWかMIDを、ハイインピーダンスモデルならばHIGHを選択して増幅度を上げて、ボリュームコントロールを容易にします」。HD-DAC1のゲインの切り替えは、アッテネータでレベルを下げるのではなく、電圧増幅段で負帰還の量を変えることで、増幅度を調整している。アッテネータ方式の方が簡単なのだが、これは電圧を絞って捨てるということだ。
「負帰還をかけるというのはいわばお化粧であると、先ほど申しました。たくさんお化粧をすると、端正できれいになります。化粧が少ないと端正になりづらい反面、元々持っている表情が出やすいという利点があります。何が言いたいかというと、ゲイン調整で音調のコントロールができるのです。ハイインピーダンス・ヘッドホンでゲインをLOWに設定しても、ボリュームを上げれば問題なく鳴らすことができますし、HIGHとは異なる表情が楽しめるでしょう。このあたりは、ぜひいろいろと試していただきたいところです」。
■ただのヘッドホンアンプならば、マランツが手がけることはなかった
マランツの歴史において、単体のヘッドホンアンプはHD-DAC1が初となる。澤田氏は「ただのヘッドホンアンプならやらなかった」と断言する。「NA-11S1のUSB-DACでマランツは新境地を開き、私たちのUSBオーディオに対する理解も、オーディオファンの評価も高まりました。USBオーディオのカテゴリーの範疇として、USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプをやってみたかったのです」。また、プリアンプやディスクプレーヤーに搭載したヘッドホンアンプにおいて、その技術を積み上げてきたことも後押しとなった。実際、これらのヘッドホン出力の音質は、評論家やファンの間で支持を得てきた。今回のHD-DAC1も、2007年に登場したプリアンプ「SC-11S1」に搭載されたヘッドホンアンプで培われた技術要素が活かされている。
■何よりもヘッドホン“アンプ”としての地力が違うということ
最後に澤田氏は、HD-DAC1のヘッドホンアンプ部について、以下のようにコメントしてくれた。「ゲイン0dBの無帰還型バッファーアンプを可能としたことは最大のポイントですが、チャンネル当たりの十分な電源の大きさ、そして十分なアイドリング電流を確保していることも強調しておきます。ですから、なんといっても音にエネルギーがあるのです。大前提として十分な電流のボリュームがないと、ただの綺麗な音で終わってしまうのです。同じサイズのバランス駆動アンプでは、こういった余裕ある電流確保はまず難しいでしょう。HD-DAC1はまずアンプの地力からして違うのです」。
■ヘッドホンアンプのゲイン切り替えのもう1つの効能
澤田氏は、HD-DAC1の使いこなし方の提案もしてくれた。「HD-DAC1はLOW/MID/HIGHの3段階のゲイン切り替えを持っています。通常ならばインピーダンスが低いヘッドホンではLOWかMIDを、ハイインピーダンスモデルならばHIGHを選択して増幅度を上げて、ボリュームコントロールを容易にします」。HD-DAC1のゲインの切り替えは、アッテネータでレベルを下げるのではなく、電圧増幅段で負帰還の量を変えることで、増幅度を調整している。アッテネータ方式の方が簡単なのだが、これは電圧を絞って捨てるということだ。
「負帰還をかけるというのはいわばお化粧であると、先ほど申しました。たくさんお化粧をすると、端正できれいになります。化粧が少ないと端正になりづらい反面、元々持っている表情が出やすいという利点があります。何が言いたいかというと、ゲイン調整で音調のコントロールができるのです。ハイインピーダンス・ヘッドホンでゲインをLOWに設定しても、ボリュームを上げれば問題なく鳴らすことができますし、HIGHとは異なる表情が楽しめるでしょう。このあたりは、ぜひいろいろと試していただきたいところです」。
■ただのヘッドホンアンプならば、マランツが手がけることはなかった
マランツの歴史において、単体のヘッドホンアンプはHD-DAC1が初となる。澤田氏は「ただのヘッドホンアンプならやらなかった」と断言する。「NA-11S1のUSB-DACでマランツは新境地を開き、私たちのUSBオーディオに対する理解も、オーディオファンの評価も高まりました。USBオーディオのカテゴリーの範疇として、USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプをやってみたかったのです」。また、プリアンプやディスクプレーヤーに搭載したヘッドホンアンプにおいて、その技術を積み上げてきたことも後押しとなった。実際、これらのヘッドホン出力の音質は、評論家やファンの間で支持を得てきた。今回のHD-DAC1も、2007年に登場したプリアンプ「SC-11S1」に搭載されたヘッドホンアンプで培われた技術要素が活かされている。
■何よりもヘッドホン“アンプ”としての地力が違うということ
最後に澤田氏は、HD-DAC1のヘッドホンアンプ部について、以下のようにコメントしてくれた。「ゲイン0dBの無帰還型バッファーアンプを可能としたことは最大のポイントですが、チャンネル当たりの十分な電源の大きさ、そして十分なアイドリング電流を確保していることも強調しておきます。ですから、なんといっても音にエネルギーがあるのです。大前提として十分な電流のボリュームがないと、ただの綺麗な音で終わってしまうのです。同じサイズのバランス駆動アンプでは、こういった余裕ある電流確保はまず難しいでしょう。HD-DAC1はまずアンプの地力からして違うのです」。