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公開日 2016/10/22 12:32
10と20の2機種を用意
<ヘッドホン祭>AUDEZE、平面駆動イヤホン「iSINE」12月上旬に国内販売
編集部:風間雄介
本日より中野サンプラザで開催されている『秋のヘッドフォン祭 2016』。(株)アスクは、AUDEZE(オーデジー)社の平面磁界駆動型イヤホン「iSINE」などを発表した。
iSINEは、IFA2016にて発表された、世界初となる平面磁界駆動型イヤホン(関連ニュース)。今回、日本での商品化が発表された格好だ。
平面磁界駆動型は開発に高い技術力が求められるため、従来、イヤホンへの搭載は困難とされていた。今回、構想開始から2年の月日をかけて開発ドライバーの小型化に成功したとのこと。ラインナップはスタンダードモデルの「iSINE 10」と、ボイスコイルを強化した上位機の「iSINE 20」となる。
インイヤータイプの製品で、セミオープン型の平面磁界ドライバー搭載イヤホン。振動板の薄さは「数マイクロメートル」で、マグネットはハイグレードなネオジウムを使用している。トランスデューサーのサイズは30mm。再生周波数帯域は10Hz〜50kHz。質量は20g(ケーブル除く)。
インピーダンスはiSINE 10が16Ω、iSINE 20が26Ω。iSINE 20のボイスコイルは、エッチングされているワイヤーの長さが、iSINE10に比べて2倍になっているのだという。
国内では12月上旬発売予定。日本での販売価格は後日発表されるが、米国での販売価格はiSINE 10が399ドル、iSINE 20が599ドル。
ケーブルは通常の3.5mmプラグのものだけでなく、「CIPHER」Lightningケーブルも使用できる。
CIPHERケーブルを使用した場合、iPhone内のDACやアンプは完全にバイパスする。アンプ、DAC、DSP、ADCなどはすべてケーブルに内蔵している。EQプリセットなどもすべてDSPの中に記録しておけるため、ほかのiOSデバイスに接続した際も同じ設定で聴くことができるという。
本日行われた発表会では、副社長で営業を統括しているマーク・コーエン氏がブランドや製品について説明した。また、発表会の後には単独インタビューを行う機会も得た。
コーエン氏は発表会で、AUDEZEブランドの成り立ちについて紹介。AUDEZEは2008年に2人で創業されたガレージメーカーで、そのうちの1人がNASAで基板用のフィルムを研究していたことから、「これをスピーカーに採用できないか」と、当初はPAスピーカーを開発しようと試みた。
その後いくつかプロトタイプを作ったあと、ヘッドホンにも使えるのでは、というアイデアを得て、さっそく試作機をオーディオショウ、Rocky Mountain Audio Fest(RMAF)に持ち込んだ。そこでの反響が良かったことから会社としてやっていけるようになった、とコーエン氏は説明した。
AUDEZEというブランド名に決まったのは、製品を開発している最中、社内に映画「2001年宇宙の旅」(英題 2001: A SPACE ODYSSEY)のポスターが貼ってあったことが背景にあるという。「オーディオ」という意味と「旅」という意味を込めたいという考えから、「オデッセイ」をもじった「AUDEZE」という名称にした。コーエン氏は「クレバーなアイデアだが、発音しにくいという欠点もある」と笑わせた。
同社は特許も多数取得しているが、そのうちの一つが磁力を高めるためのもの。磁石はN極とS極を持っているが、お互いに反発するため、通常はドライバーを駆動するためにNかSかのどちらかだけを使っている。
ところがAUDEZEの特許技術では、片側の磁界を曲げ、同じ方向に磁力を向かせることができる。これによって強力な磁力が得られるという。同社製品の中ではLCD-4が最も強力な磁力を持っており、磁束密度は1.5テスラ。しかもドライバーの全面に対して、均一にその磁力を使えるのだという。
現在AUDEZEは、全世界に45社のディストリビューターがいて、米国外の売上げが65%を占めているという。社員数は製造関連の社員も含めて45名ほど。
製品の開発や生産は、全製品を南カリフォルニアの自社工場で行っているという。ロサンゼルス空港から南へ数十分、自動車で移動したあたりにあるとのこと。近くにはオーディオクエストの拠点もある。
開発・生産をすべて自社内で行う理由についてコーエン氏は「効率が良い」ことを第一に挙げた。さらに同氏は「特許技術が多いこともあり、なるべく自社内で情報をコントロールしたい。また場所が離れているとコミュニケーションが取りにくいという欠点もある」とも説明した。
ただし製品ラインナップが増え、販売数量が増えるにつれて、需要に供給が追いつかなくなってきている状況も一部にあるという。現にLCD-4もバックオーダーを抱えているとのこと。このため来年には、現在の2倍の面積を持つ拠点に移転する計画があるとのことだ。
新製品のiSINEについてコーエン氏は、「ほかのインイヤーイヤホンとはまったく違う試聴体験ができる製品。他メーカーのイヤホンはほとんど例外なく低域をブーストしているが、iSINEはベースレスポンスがフラット」と紹介。周波数特性の測定結果では、900Hz〜10kHzまでフラットだという。なお低音はフェーズプラグも使って強化しているとのことだ。
さらにコーエン氏は「iSINEはサウンドステージも広く、歪みも低い。BAドライバーに比べて10分の1の歪みだ。サウンドの一体感がまったく違う」とアピール。単独インタビューではこの音場の広がりについて「単一のドライバーを使っていることが大きい。音質を高めようとして、たとえば322個のBAドライバーを積むわけにはいかないだろう」とジョークまじりに語った。
AUDEZEでは、開発にあたってSHUREのKSE1500を購入し、研究したという。今回発表した2機種のうち、安価なiSINE 10でもKSE1500より高音質であるとコーエン氏は主張する。これは聴感上の音質ではなく、測定を行った結果なのだという。「8分の1程度の価格でKSE1500を上回る音質を実現した」と胸を張った。
ただしiSINEはセミオープン型のため、周囲の音が遮断されない。また自分が聴いている音楽の音漏れも、もちろん皆無ではない。この点についてコーエン氏は「外の音を遮断するために使うには最適の製品ではない」と認めながら、「ただしそのぶん、iSINEはほかのイヤホンにはできないことを実現できる。それは最高の音質を届けるということだ」と語った。
なお同社は、来年1月のCESにおいて、同じく平面磁界駆動型のドライバーを積んだハイエンドイヤホン「LCD-i3」を発表する予定。iSINEと同じサイズにLCD-4と同じ技術を投入するという。正式発表を楽しみに待ちたい。
iSINEは、IFA2016にて発表された、世界初となる平面磁界駆動型イヤホン(関連ニュース)。今回、日本での商品化が発表された格好だ。
平面磁界駆動型は開発に高い技術力が求められるため、従来、イヤホンへの搭載は困難とされていた。今回、構想開始から2年の月日をかけて開発ドライバーの小型化に成功したとのこと。ラインナップはスタンダードモデルの「iSINE 10」と、ボイスコイルを強化した上位機の「iSINE 20」となる。
インイヤータイプの製品で、セミオープン型の平面磁界ドライバー搭載イヤホン。振動板の薄さは「数マイクロメートル」で、マグネットはハイグレードなネオジウムを使用している。トランスデューサーのサイズは30mm。再生周波数帯域は10Hz〜50kHz。質量は20g(ケーブル除く)。
インピーダンスはiSINE 10が16Ω、iSINE 20が26Ω。iSINE 20のボイスコイルは、エッチングされているワイヤーの長さが、iSINE10に比べて2倍になっているのだという。
国内では12月上旬発売予定。日本での販売価格は後日発表されるが、米国での販売価格はiSINE 10が399ドル、iSINE 20が599ドル。
ケーブルは通常の3.5mmプラグのものだけでなく、「CIPHER」Lightningケーブルも使用できる。
CIPHERケーブルを使用した場合、iPhone内のDACやアンプは完全にバイパスする。アンプ、DAC、DSP、ADCなどはすべてケーブルに内蔵している。EQプリセットなどもすべてDSPの中に記録しておけるため、ほかのiOSデバイスに接続した際も同じ設定で聴くことができるという。
本日行われた発表会では、副社長で営業を統括しているマーク・コーエン氏がブランドや製品について説明した。また、発表会の後には単独インタビューを行う機会も得た。
コーエン氏は発表会で、AUDEZEブランドの成り立ちについて紹介。AUDEZEは2008年に2人で創業されたガレージメーカーで、そのうちの1人がNASAで基板用のフィルムを研究していたことから、「これをスピーカーに採用できないか」と、当初はPAスピーカーを開発しようと試みた。
その後いくつかプロトタイプを作ったあと、ヘッドホンにも使えるのでは、というアイデアを得て、さっそく試作機をオーディオショウ、Rocky Mountain Audio Fest(RMAF)に持ち込んだ。そこでの反響が良かったことから会社としてやっていけるようになった、とコーエン氏は説明した。
AUDEZEというブランド名に決まったのは、製品を開発している最中、社内に映画「2001年宇宙の旅」(英題 2001: A SPACE ODYSSEY)のポスターが貼ってあったことが背景にあるという。「オーディオ」という意味と「旅」という意味を込めたいという考えから、「オデッセイ」をもじった「AUDEZE」という名称にした。コーエン氏は「クレバーなアイデアだが、発音しにくいという欠点もある」と笑わせた。
同社は特許も多数取得しているが、そのうちの一つが磁力を高めるためのもの。磁石はN極とS極を持っているが、お互いに反発するため、通常はドライバーを駆動するためにNかSかのどちらかだけを使っている。
ところがAUDEZEの特許技術では、片側の磁界を曲げ、同じ方向に磁力を向かせることができる。これによって強力な磁力が得られるという。同社製品の中ではLCD-4が最も強力な磁力を持っており、磁束密度は1.5テスラ。しかもドライバーの全面に対して、均一にその磁力を使えるのだという。
現在AUDEZEは、全世界に45社のディストリビューターがいて、米国外の売上げが65%を占めているという。社員数は製造関連の社員も含めて45名ほど。
製品の開発や生産は、全製品を南カリフォルニアの自社工場で行っているという。ロサンゼルス空港から南へ数十分、自動車で移動したあたりにあるとのこと。近くにはオーディオクエストの拠点もある。
開発・生産をすべて自社内で行う理由についてコーエン氏は「効率が良い」ことを第一に挙げた。さらに同氏は「特許技術が多いこともあり、なるべく自社内で情報をコントロールしたい。また場所が離れているとコミュニケーションが取りにくいという欠点もある」とも説明した。
ただし製品ラインナップが増え、販売数量が増えるにつれて、需要に供給が追いつかなくなってきている状況も一部にあるという。現にLCD-4もバックオーダーを抱えているとのこと。このため来年には、現在の2倍の面積を持つ拠点に移転する計画があるとのことだ。
新製品のiSINEについてコーエン氏は、「ほかのインイヤーイヤホンとはまったく違う試聴体験ができる製品。他メーカーのイヤホンはほとんど例外なく低域をブーストしているが、iSINEはベースレスポンスがフラット」と紹介。周波数特性の測定結果では、900Hz〜10kHzまでフラットだという。なお低音はフェーズプラグも使って強化しているとのことだ。
さらにコーエン氏は「iSINEはサウンドステージも広く、歪みも低い。BAドライバーに比べて10分の1の歪みだ。サウンドの一体感がまったく違う」とアピール。単独インタビューではこの音場の広がりについて「単一のドライバーを使っていることが大きい。音質を高めようとして、たとえば322個のBAドライバーを積むわけにはいかないだろう」とジョークまじりに語った。
AUDEZEでは、開発にあたってSHUREのKSE1500を購入し、研究したという。今回発表した2機種のうち、安価なiSINE 10でもKSE1500より高音質であるとコーエン氏は主張する。これは聴感上の音質ではなく、測定を行った結果なのだという。「8分の1程度の価格でKSE1500を上回る音質を実現した」と胸を張った。
ただしiSINEはセミオープン型のため、周囲の音が遮断されない。また自分が聴いている音楽の音漏れも、もちろん皆無ではない。この点についてコーエン氏は「外の音を遮断するために使うには最適の製品ではない」と認めながら、「ただしそのぶん、iSINEはほかのイヤホンにはできないことを実現できる。それは最高の音質を届けるということだ」と語った。
なお同社は、来年1月のCESにおいて、同じく平面磁界駆動型のドライバーを積んだハイエンドイヤホン「LCD-i3」を発表する予定。iSINEと同じサイズにLCD-4と同じ技術を投入するという。正式発表を楽しみに待ちたい。
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