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公開日 2017/04/29 16:32
3年6ヶ月を掛けたプロジェクト
<ヘッドホン祭>MrSpeakersの平面駆動ヘッドホン「AEON FLOW」、開発者がコンセプトを語る
編集部:押野 由宇
エミライは、同社が取り扱うMrSpeakersの平面駆動形ポータブルヘッドホン「AEON FLOW」の製品発表会を、「春のヘッドフォン祭2017」(29日)にて開催。発表会ではMrSpeakersの創設者/現CEOであるダン・クラーク氏が来日し、本機のコンセプトや上位モデルとの違いなどについて解説した。
前日の28日には、プレス向けの説明会も開催。本記事では、説明会にてダン・クラーク氏が語った内容をもとに「AEON FLOW」の詳細について紹介したい。
MrSpeakersは今年で設立5年を迎える新進気鋭のヘッドホンブランド。当初はフォステクス社の製品をカスタマイズして発売しており、そこで得た資金をもとに、独自のヘッドホンを開発するに至ったという。同社は一貫して、「ハイエンドの製品を価格に見合った、もしくはそれを超える性能で届ける」ことを理念として掲げており、起業して3年目には自社で全ての設計を行ったヘッドホン「ETHER」および「ETHER C」を発売している。
このETHERシリーズは2016年、流体力学に基づいた新たなハウジング形状(True Flowテクノロジー)を採用するFLOWアップデートが実施され、「ETHER FLOW」および「ETHER C FLOW」として登場。そして 今回、ブランド初となるポータブルヘッドホン「AEON FLOW」の発売に至った。True Flowテクノロジーについては以前の説明会で詳細が解説されている。
AEON FLOWの開発について、「プロジェクトはいまから3年6ヶ月前にスタートしている。開発に時間を掛けたのは、音響特性に優れ、装着性が良く、高品質なものを実現するため。またアメリカや世界での市場において、もっと多く製品を供給して欲しい、という要望があった。そのなかで、高品質と供給を同時に満たすことはとても難しかった」とクラーク氏は語る。
「AEON」ではなく「AEON FLOW」として発売されるのは、「フラグシップであるETHER C FLOWのコンパクト版として、培ったテクノロジーの全てをAEON FLOWに投入しているため」であるとしており、同時にこれは同社の掲げる理念を体現したモデルと言える。
EHTER FLOWシリーズと比較し、基本的な構造は同一だが、ドライバーのサイズを約3/4に小型化。またETHERシリーズと同じく搭載する「V-Planner振動板」も小型化し、“ヒダ”の間隔を0.18mから0.13mmに変更。これにより「密度を高めることで、小型ながらEHTERと同等の能率を獲得した」という。
またヘッドバンド部については「世界に対して誇れる部分」とクラーク氏は言う。「AEON FLOWにはヒンジ部がない。可動部を極力なくしたデザインで、使用している金属はニッケルチタンの形状記憶合金。これにより軽量化を実現すると共に、エレガントな質感を得ている」。
AEON FLOWに付属するケーブルはDUMMERケーブルで、ハンドメイドでひとつひとつ制作されている。ETHERシリーズに付属するDUMケーブルに比べて、柔らかな線材を採用しているため、わずかに細く、しなやかなものとなっている。6.3mmプラグにネジ式の3.5mmアダプタが付属するため、DAPやポータブルアンプのほか、据え置きアンプとの組み合わせも容易。またETHERシリーズとAEON FLOWは互換性があり、DUMケーブルの流用や、カスタムしたケーブルをそのまま使うことができる。
イヤーカップは人間工学に基いてデザインされたディアドロップ型。「耳の形に似たデザインとすることで、イヤーカップそのものを小さくすることができ、同時に搭載するドライバーはできる限り大きくできた」という。また「長時間でも快適なリスニングができること、遮音性が高いことに要点を絞って開発している」とコンセプトに触れた。折り込み部はカーボンファイバー、アウターフレームは樹脂製で、内側のハウジングはアルミニウムを採用している。
密閉型のみの発売となることについては、「まずは密閉型のAEON FLOWの開発にリソースを投入した」としており、オープン型ではなく密閉型を選んだ理由については、それだけAEON FLOWが密閉型ヘッドホンで評価される自信がある旨をコメント。
AEON FLOWのサウンドについて、「EHTERシリーズはサウンドステージが広いことが特徴だったが、AEON FLOWは低域から中域にいたるまでの特性により注目して開発した。例えば、ボーカルの聴こえ方がよりスムーズになっている」とダン氏は語る。
また、「AEON FLOWの低域はEHTERに比べてもの足りないと思われる方もいるかもしれないが、より早くタイトになっている」という。
本機を開発、発売できることに対して「ETHERの半額以下の価格帯で投入できることについて、ユーザーに感謝している。また、ユーザーからもAEON FLOWの開発には賞賛の声をいただけている。実際AEON FLOWは、より高額なモデルに対して比肩する性能を持っていると考えている」と述べた。
AEON FLOWはアメリカでは799ドルで発売されており、プレオーダーの段階で完売状態となっている。日本での価格についても、アメリカでの販売価格と大きくは変わらないとしている。付属品はケーブルのほか、ポータブルアンプやDAPなども収納できるハードケースを付属する。
なお、「秋のヘッドフォン祭り2016」で参考出展された「ETHER Electrostatic」についての最新情報も語られた。「音作りの方向性は固まっていて、大量生産に向けた製造工程に入りつつある。以前と変わった部分として、ステーター(電極)が変更された。振動板は88mmで、10Hzまでフラットな音響特性を確保しており、低域の力量には自信がある。今夏に出荷したいが、静電型ヘッドホンはMrSperkersにとってもチャレンジとなることから、信頼性を確保するために今年中とさせてほしい」としている。
前日の28日には、プレス向けの説明会も開催。本記事では、説明会にてダン・クラーク氏が語った内容をもとに「AEON FLOW」の詳細について紹介したい。
MrSpeakersは今年で設立5年を迎える新進気鋭のヘッドホンブランド。当初はフォステクス社の製品をカスタマイズして発売しており、そこで得た資金をもとに、独自のヘッドホンを開発するに至ったという。同社は一貫して、「ハイエンドの製品を価格に見合った、もしくはそれを超える性能で届ける」ことを理念として掲げており、起業して3年目には自社で全ての設計を行ったヘッドホン「ETHER」および「ETHER C」を発売している。
このETHERシリーズは2016年、流体力学に基づいた新たなハウジング形状(True Flowテクノロジー)を採用するFLOWアップデートが実施され、「ETHER FLOW」および「ETHER C FLOW」として登場。そして 今回、ブランド初となるポータブルヘッドホン「AEON FLOW」の発売に至った。True Flowテクノロジーについては以前の説明会で詳細が解説されている。
AEON FLOWの開発について、「プロジェクトはいまから3年6ヶ月前にスタートしている。開発に時間を掛けたのは、音響特性に優れ、装着性が良く、高品質なものを実現するため。またアメリカや世界での市場において、もっと多く製品を供給して欲しい、という要望があった。そのなかで、高品質と供給を同時に満たすことはとても難しかった」とクラーク氏は語る。
「AEON」ではなく「AEON FLOW」として発売されるのは、「フラグシップであるETHER C FLOWのコンパクト版として、培ったテクノロジーの全てをAEON FLOWに投入しているため」であるとしており、同時にこれは同社の掲げる理念を体現したモデルと言える。
EHTER FLOWシリーズと比較し、基本的な構造は同一だが、ドライバーのサイズを約3/4に小型化。またETHERシリーズと同じく搭載する「V-Planner振動板」も小型化し、“ヒダ”の間隔を0.18mから0.13mmに変更。これにより「密度を高めることで、小型ながらEHTERと同等の能率を獲得した」という。
またヘッドバンド部については「世界に対して誇れる部分」とクラーク氏は言う。「AEON FLOWにはヒンジ部がない。可動部を極力なくしたデザインで、使用している金属はニッケルチタンの形状記憶合金。これにより軽量化を実現すると共に、エレガントな質感を得ている」。
AEON FLOWに付属するケーブルはDUMMERケーブルで、ハンドメイドでひとつひとつ制作されている。ETHERシリーズに付属するDUMケーブルに比べて、柔らかな線材を採用しているため、わずかに細く、しなやかなものとなっている。6.3mmプラグにネジ式の3.5mmアダプタが付属するため、DAPやポータブルアンプのほか、据え置きアンプとの組み合わせも容易。またETHERシリーズとAEON FLOWは互換性があり、DUMケーブルの流用や、カスタムしたケーブルをそのまま使うことができる。
イヤーカップは人間工学に基いてデザインされたディアドロップ型。「耳の形に似たデザインとすることで、イヤーカップそのものを小さくすることができ、同時に搭載するドライバーはできる限り大きくできた」という。また「長時間でも快適なリスニングができること、遮音性が高いことに要点を絞って開発している」とコンセプトに触れた。折り込み部はカーボンファイバー、アウターフレームは樹脂製で、内側のハウジングはアルミニウムを採用している。
密閉型のみの発売となることについては、「まずは密閉型のAEON FLOWの開発にリソースを投入した」としており、オープン型ではなく密閉型を選んだ理由については、それだけAEON FLOWが密閉型ヘッドホンで評価される自信がある旨をコメント。
AEON FLOWのサウンドについて、「EHTERシリーズはサウンドステージが広いことが特徴だったが、AEON FLOWは低域から中域にいたるまでの特性により注目して開発した。例えば、ボーカルの聴こえ方がよりスムーズになっている」とダン氏は語る。
また、「AEON FLOWの低域はEHTERに比べてもの足りないと思われる方もいるかもしれないが、より早くタイトになっている」という。
本機を開発、発売できることに対して「ETHERの半額以下の価格帯で投入できることについて、ユーザーに感謝している。また、ユーザーからもAEON FLOWの開発には賞賛の声をいただけている。実際AEON FLOWは、より高額なモデルに対して比肩する性能を持っていると考えている」と述べた。
AEON FLOWはアメリカでは799ドルで発売されており、プレオーダーの段階で完売状態となっている。日本での価格についても、アメリカでの販売価格と大きくは変わらないとしている。付属品はケーブルのほか、ポータブルアンプやDAPなども収納できるハードケースを付属する。
なお、「秋のヘッドフォン祭り2016」で参考出展された「ETHER Electrostatic」についての最新情報も語られた。「音作りの方向性は固まっていて、大量生産に向けた製造工程に入りつつある。以前と変わった部分として、ステーター(電極)が変更された。振動板は88mmで、10Hzまでフラットな音響特性を確保しており、低域の力量には自信がある。今夏に出荷したいが、静電型ヘッドホンはMrSperkersにとってもチャレンジとなることから、信頼性を確保するために今年中とさせてほしい」としている。
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