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公開日 2018/12/05 20:28
シャープはフレキシブルOLEDや最新IGZO液晶を展示
<ファインテック>JDI、VR用液晶を搭載したHMDを披露/JOLED、27型有機ELディスプレイ試作機
ファイルウェブ編集部
本日5日から7日まで、第28回 液晶・有機EL・センサー技術展「ファインテック ジャパン」が千葉・幕張メッセで開催されている。
メーカーなど業界関係者を対象としており、一般消費者は入場できないBtoBのイベントだが、今後コンシューマー領域にも投入されていくであろう有機ELや液晶などディスプレイ関連の最新技術も出展されている。本記事ではJDI(ジャパンディスプレイ)、JOLED、シャープなどディスプレイ関連の出展についてレポートしたい。
■JDI、VRヘッドマウントディスプレイの実機を初公開
JDLとJOLEDは共同ブースを出展。各社の最新ディスプレイ技術や、それらを搭載した製品、試作機などの展示を行った。
JDIは、VR専用液晶パネルを搭載した業務用VRヘッドマウントディスプレイ「VRM-100」の実機を初披露。本機は12月3日より開発用キットとして予約を開始している。
解像度は2,880×RGB×1,600で、画素密度は615ppiを実現。リフレッシュレートは80Hz(60Hz)自動切り換えとなる。ディスプレイ部は、ゴーグル部から取り外しができるようになっている。ジャイロおよび地磁気センサー(3-DOF)も搭載するが、外部ヘッドトラッキングセンサーおよびコントローラを省き、高画質なVR映像を視聴に特化したとしている。
本製品は開発用キットとして提供されるが、同社では「開発者に向けてオープンなプラットフォームを提供して、VRの世界をさらに広げていくことを目指したい」と説明していた。
また、8K液晶を用いた17型・裸眼3Dディスプレイも公開。69枚の画像を同時に表示することで、130度以上の広い視野角にわたって裸眼3D表示ができる。さらには同様の方式で裸眼3Dを実現する、WQHD液晶による5.5型・裸眼3Dディスプレイも紹介された。
蒸着OLEDを用いた、5.5型フルHDフレキシブルディスプレイも展示。そのほか、反射型の超低消費電力ディスプレイ、静電容量式ガラス指紋センサー、3色表示に対応したワイド電子ペーパー棚札とそれを常時コントロールするDSP連携システムなども出展されていた。
■JOLED、27型有機ELディスプレイの試作機などを展示
JOLEDは、同社が手がける印刷方式 有機ELディスプレイの優位性を改めて紹介しつつ、本ディスプレイを搭載した様々な試作機、発売前のものを含む製品の出展を行った。
同社はすでに、印刷方式による21.6型の4K 有機ELディスプレイを製造・出荷開始しているが、今回はより大型となる27型の4K 有機ELディスプレイの試作機を初展示した。本機は製造・出荷の実現に向けて現在開発中とのことだ。また、54.6型の4K有機ELディスプレイも参考出展。こちらは同社で製造するのではなく、他社への技術提供を前提に開発が進められている。
発売前のASUSの4Kモニター「ASUS ProArt PQ22UC」は、すでに出荷開始された21.6型 4K印刷方式 有機ELディスプレイを搭載。DCI-P3を99%カバーする色再現、HDR10対応などを特徴とする。同じ有機ELディスプレイを搭載した医療向けの業務用モニターはすでに出荷を開始しており、こちらも実機が展示されていた。
プロeスポーツチーム「Burning Core」と協業しつつ開発中という、eスポーツ向け 21.6型 フルHD有機ELディスプレイも出展。実際にプロゲーマーの意見を吸い上げながら、同社の有機ELならではの高コントラスト比や動画性能を活かした、eスポーツに最適化した画作りのディスプレイ開発を行っている。
車載ディスプレイの分野においても、12.3型のHD有機ELと12.2型のフルHDフレキシブル有機ELディスプレイを組み合わせた試作品を展示。「コントラスト比や視野角に優れる有機EL方式は、視認性の高さや高速応答によって運転中の情報確認も容易にする」とその優位性をアピールしていた。
そのほか、プラスチック基板を採用した4Kフレキシブル有機ELディスプレイを円筒状に成形したディスプレイ試作品、電車内の曲面に搭載することを想定した電車車両用ディスプレイなども出展されていた。
■シャープ、フレキシブル有機ELやIGZO液晶の技術を紹介
シャープは、同社が現在保有するディスプレイ技術について、自社生産を行っているフレキシブル有機ELディスプレイや、IGZO液晶の技術を応用したスーパーワイドディスプレイ等のデモを展示した。
フレキシブル有機ELディスプレイは同社が三重の拠点で生産しているもの。基材にプラスチックを採用するため、柔軟に折り曲げられることが最大の特徴となっている。同社のスマートフォン「AQUOS zero」(関連ニュース)にも採用されており、有機ELならではの黒の発色や軽量さ、DCI-P3準拠の広色域といった利点に加え、ディスプレイが緩やかなカーブを描く特徴的なデザイン“ラウンドフォルム” を実現している。
現在生産しているディスプレイは厚み約0.5mm、サイズはスマートフォン向けの6.18インチ1種類のみだが、より大型のモデルも徐々にラインナップへ加えていく予定としている。また、スマートフォン以外の製品でも採用を検討しているとのこと。
スーパーワイドディスプレイは次世代の車載インパネとして提案しているもので、同社スマートフォン「AQUOS R」でもなじみ深い「フリーフォームディスプレイ」技術を活用している。一般的に額縁部分に内蔵されている駆動回路をディスプレイ表示領域内に分散配置することで、狭額縁や曲面など自由度の高いデザインが実現できる。
横方向の信号伝送も高まるため、大画面化や表示の精細化も容易といい、こうした特徴から、速度計やナビなど大容量情報の表示が求められ、かつインテリアとしてデザイン性も必要な車載インパネにも適しているとしていた。
■多様な業務用ディスプレイが出展
各社のブースでは、ユニークなディスプレイ関連の技術が出展された。グローバルディスプレイは、「透明液晶BOX」をデモ。これは前面が透明な液晶ディスプレイになっているボックスの中に商品を配置して、商品に重ねて映像を表示するというものだ。
同社は他にも、防水ディスプレイや鏡面ディスプレイなど様々な業務用ディスプレイの展示を行っていた。
(株)アスカネットは、特殊な構造で液晶ディスプレイの光を反射し、映像の空中投影を実現する「ASKA3Dプレート」を出展した。
「ASKA3Dプレート」は一見透明だが、内部は数百ミクロン単位で垂直なミラー面が成形された特殊な構造になっている。このミラー構造がプレートを通過する液晶ディスプレイの光(映像)を反射することで、空中にディスプレイ映像とまったく同じ像が結ばれる仕組み。大きなプレートほど対応するディスプレイサイズも大きく、また視野角も大きく取ることができるという。
同社は今回、従来から製造しているガラス製プレートに加え、新開発の樹脂製プレートを国内で初めて公開した。樹脂製はガラス製にくらべて鮮明さが若干落ち、大型化が難しい反面、軽量かつ安価で安定した品質の大量生産が可能という利点を持つ。同社はこのプレートに別途センサーを組み合わせることで「触れないタッチパネル」として活用することを提案しており、実際にインターホンやエレベーターのインターフェースを投影してデモンストレーションを行っていた。
光計測機器を手がけるトプコンテクノハウスは、ディスプレイ向けの各種計測器を多数展示。輝度や色、ムラに加え、スパークル(ぎらつき)、有機ELの残像、タッチセンサーモアレなど様々な要素を測定する機器を紹介。実際にスマートフォンの液晶を測定するデモも用意していた。
その他、ファインテックと同会場で開催されている技術展示会「高機能素材 Week 2018」でも複数の映像関連技術が出展されており、製造機器、測定機器、ディスプレイの保護や表示の補正を行えるフィルム等、今後の製品開発の一端を垣間見ることができた。
メーカーなど業界関係者を対象としており、一般消費者は入場できないBtoBのイベントだが、今後コンシューマー領域にも投入されていくであろう有機ELや液晶などディスプレイ関連の最新技術も出展されている。本記事ではJDI(ジャパンディスプレイ)、JOLED、シャープなどディスプレイ関連の出展についてレポートしたい。
■JDI、VRヘッドマウントディスプレイの実機を初公開
JDLとJOLEDは共同ブースを出展。各社の最新ディスプレイ技術や、それらを搭載した製品、試作機などの展示を行った。
JDIは、VR専用液晶パネルを搭載した業務用VRヘッドマウントディスプレイ「VRM-100」の実機を初披露。本機は12月3日より開発用キットとして予約を開始している。
解像度は2,880×RGB×1,600で、画素密度は615ppiを実現。リフレッシュレートは80Hz(60Hz)自動切り換えとなる。ディスプレイ部は、ゴーグル部から取り外しができるようになっている。ジャイロおよび地磁気センサー(3-DOF)も搭載するが、外部ヘッドトラッキングセンサーおよびコントローラを省き、高画質なVR映像を視聴に特化したとしている。
本製品は開発用キットとして提供されるが、同社では「開発者に向けてオープンなプラットフォームを提供して、VRの世界をさらに広げていくことを目指したい」と説明していた。
また、8K液晶を用いた17型・裸眼3Dディスプレイも公開。69枚の画像を同時に表示することで、130度以上の広い視野角にわたって裸眼3D表示ができる。さらには同様の方式で裸眼3Dを実現する、WQHD液晶による5.5型・裸眼3Dディスプレイも紹介された。
蒸着OLEDを用いた、5.5型フルHDフレキシブルディスプレイも展示。そのほか、反射型の超低消費電力ディスプレイ、静電容量式ガラス指紋センサー、3色表示に対応したワイド電子ペーパー棚札とそれを常時コントロールするDSP連携システムなども出展されていた。
■JOLED、27型有機ELディスプレイの試作機などを展示
JOLEDは、同社が手がける印刷方式 有機ELディスプレイの優位性を改めて紹介しつつ、本ディスプレイを搭載した様々な試作機、発売前のものを含む製品の出展を行った。
同社はすでに、印刷方式による21.6型の4K 有機ELディスプレイを製造・出荷開始しているが、今回はより大型となる27型の4K 有機ELディスプレイの試作機を初展示した。本機は製造・出荷の実現に向けて現在開発中とのことだ。また、54.6型の4K有機ELディスプレイも参考出展。こちらは同社で製造するのではなく、他社への技術提供を前提に開発が進められている。
発売前のASUSの4Kモニター「ASUS ProArt PQ22UC」は、すでに出荷開始された21.6型 4K印刷方式 有機ELディスプレイを搭載。DCI-P3を99%カバーする色再現、HDR10対応などを特徴とする。同じ有機ELディスプレイを搭載した医療向けの業務用モニターはすでに出荷を開始しており、こちらも実機が展示されていた。
プロeスポーツチーム「Burning Core」と協業しつつ開発中という、eスポーツ向け 21.6型 フルHD有機ELディスプレイも出展。実際にプロゲーマーの意見を吸い上げながら、同社の有機ELならではの高コントラスト比や動画性能を活かした、eスポーツに最適化した画作りのディスプレイ開発を行っている。
車載ディスプレイの分野においても、12.3型のHD有機ELと12.2型のフルHDフレキシブル有機ELディスプレイを組み合わせた試作品を展示。「コントラスト比や視野角に優れる有機EL方式は、視認性の高さや高速応答によって運転中の情報確認も容易にする」とその優位性をアピールしていた。
そのほか、プラスチック基板を採用した4Kフレキシブル有機ELディスプレイを円筒状に成形したディスプレイ試作品、電車内の曲面に搭載することを想定した電車車両用ディスプレイなども出展されていた。
■シャープ、フレキシブル有機ELやIGZO液晶の技術を紹介
シャープは、同社が現在保有するディスプレイ技術について、自社生産を行っているフレキシブル有機ELディスプレイや、IGZO液晶の技術を応用したスーパーワイドディスプレイ等のデモを展示した。
フレキシブル有機ELディスプレイは同社が三重の拠点で生産しているもの。基材にプラスチックを採用するため、柔軟に折り曲げられることが最大の特徴となっている。同社のスマートフォン「AQUOS zero」(関連ニュース)にも採用されており、有機ELならではの黒の発色や軽量さ、DCI-P3準拠の広色域といった利点に加え、ディスプレイが緩やかなカーブを描く特徴的なデザイン“ラウンドフォルム” を実現している。
現在生産しているディスプレイは厚み約0.5mm、サイズはスマートフォン向けの6.18インチ1種類のみだが、より大型のモデルも徐々にラインナップへ加えていく予定としている。また、スマートフォン以外の製品でも採用を検討しているとのこと。
スーパーワイドディスプレイは次世代の車載インパネとして提案しているもので、同社スマートフォン「AQUOS R」でもなじみ深い「フリーフォームディスプレイ」技術を活用している。一般的に額縁部分に内蔵されている駆動回路をディスプレイ表示領域内に分散配置することで、狭額縁や曲面など自由度の高いデザインが実現できる。
横方向の信号伝送も高まるため、大画面化や表示の精細化も容易といい、こうした特徴から、速度計やナビなど大容量情報の表示が求められ、かつインテリアとしてデザイン性も必要な車載インパネにも適しているとしていた。
■多様な業務用ディスプレイが出展
各社のブースでは、ユニークなディスプレイ関連の技術が出展された。グローバルディスプレイは、「透明液晶BOX」をデモ。これは前面が透明な液晶ディスプレイになっているボックスの中に商品を配置して、商品に重ねて映像を表示するというものだ。
同社は他にも、防水ディスプレイや鏡面ディスプレイなど様々な業務用ディスプレイの展示を行っていた。
(株)アスカネットは、特殊な構造で液晶ディスプレイの光を反射し、映像の空中投影を実現する「ASKA3Dプレート」を出展した。
「ASKA3Dプレート」は一見透明だが、内部は数百ミクロン単位で垂直なミラー面が成形された特殊な構造になっている。このミラー構造がプレートを通過する液晶ディスプレイの光(映像)を反射することで、空中にディスプレイ映像とまったく同じ像が結ばれる仕組み。大きなプレートほど対応するディスプレイサイズも大きく、また視野角も大きく取ることができるという。
同社は今回、従来から製造しているガラス製プレートに加え、新開発の樹脂製プレートを国内で初めて公開した。樹脂製はガラス製にくらべて鮮明さが若干落ち、大型化が難しい反面、軽量かつ安価で安定した品質の大量生産が可能という利点を持つ。同社はこのプレートに別途センサーを組み合わせることで「触れないタッチパネル」として活用することを提案しており、実際にインターホンやエレベーターのインターフェースを投影してデモンストレーションを行っていた。
光計測機器を手がけるトプコンテクノハウスは、ディスプレイ向けの各種計測器を多数展示。輝度や色、ムラに加え、スパークル(ぎらつき)、有機ELの残像、タッチセンサーモアレなど様々な要素を測定する機器を紹介。実際にスマートフォンの液晶を測定するデモも用意していた。
その他、ファインテックと同会場で開催されている技術展示会「高機能素材 Week 2018」でも複数の映像関連技術が出展されており、製造機器、測定機器、ディスプレイの保護や表示の補正を行えるフィルム等、今後の製品開発の一端を垣間見ることができた。