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公開日 2020/02/13 10:37
忘れられがちな家電の安全性
家電選びはデザインや価格だけ?思わぬ事故を未然に防ぐ「Sマーク」の有無や正しい使い方もきちんとチェック!
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
■電気ケトルのやけど事故、覚えてますか?
進学、就職、転勤など春の新生活スタートに欠かせない “家電” 。また、今年は東京オリンピックの開催を控え、テレビをもっと大画面の4Kテレビへ買い替えて見たいと検討をはじめたご家庭も少なくないのではないだろうか。こうした家電を選ぶ際に、消費者が重視する項目は何だろうか。
電気製品の安心・安全を表すSマーク認証を運営する電気製品認証協議会(SCEA)の川上広明事務局長は「皆さんが電気製品を購入する際、何を目安に購入されているのか。恐らくほとんどの人が、製品のデザインや機能・性能、あるいは、値段の安さではないでしょうか。しかし、忘れてはならないのは、なにより安全な製品であること。そのことが見過ごされているようで、きちんと認識してもらうことの大切さをつくづく実感します」と “製品の安全性” への目配りを忘れないでほしいと話す。
生活や価値観の多様化を背景に、ロボット掃除機やふとんクリーナー、電気圧力鍋、アクションカメラ、音声翻訳機など新しいジャンルの家電が次々に登場する。そのような中、SCEAでは電気製品の安全性確保を目指し、さまざまな事故情報に基づき、事故を未然に防止するための追加基準を制定して対応している。有名な例が「電気ケトルのやけど事故」への対応だ。
「必要な分だけお湯をサッと沸かせて経済的」「小型軽量で持ち運びしやすい」など人気を集める電気ケトル。しかし、その人気が急上昇し始めた当初、子どもを中心とした電気ケトルの転倒によるやけど事故が多発して社会問題となった。
小さな子どもの手が届かないところに電気ケトルを置くことはいわば当然のことなのだが、SCEAではこの件に対し、流水試験による追加基準を設け、いち早く対応を見せた。流水試験とは、電気湯沸器(電気ケトルおよび電気ポット)を載せた台を静かに傾けていき転倒させ、転倒から10秒経過した後の重量(=湯の流出水量)を測定。これを注ぎ口だけでなく、全4方向に対して試験を行い、4つすべての方向において流出水量の値が50mL以下であることを新たな安全基準として追加。この転倒流水試験にも合格している電気ポットにのみSマークを付け、事故防止に努めた。
「電気店に売っている製品ならばどれも安全なものに違いないと認識されていて、製品を購入する際に “安全” という要素が欠落してしまっているのが実情です。しかも最近は、デザイン映えした安価な海外製品も数多く目に付きます。しかし、一概にまったく安全な製品であるとは言えないのです。特にネットで購入する場合は、判断をなおさら難しくしています」と指摘する。
安心・安全は製品選びの際の欠かせない条件のひとつ。その安全性について、メーカーの自己確認ではなく、第三者認証機関による多項目の安全試験や工場での品質検査など、厳しい安全基準をクリアした “証” がSマークなのだ。候補モデルから絞り込む際には、Sマークがついているかどうかもぜひ、確認してみてほしい。
■大きな危険が潜む家電の誤った使い方
家電製品にまつわる事故原因でもうひとつ注意しなければならないのが誤った使用方法だ。普段、気にも留めなかったことがまさかの事故につながる。そんな事例を、パナソニックでは「事故事例から学ぶ家電安全生活」として紹介している。数々の例をあげながら、その原因と気を付けるべきポイント、対応をわかりやすく解説している。
事例1「洗濯乾燥機でアロマオイルの付いたタオルを乾燥させようとしたところ、煙が発生し、乾燥中のタオルが焦げた」
アロマオイルの付着したタオルを洗濯乾燥機や衣類乾燥機で乾燥させると、乾燥による熱風で、微量に残留した油分が酸化、発熱し、自然発火することがある。油分としては他にも食用油、ボディオイルやエステ系オイルなどの美容オイル、ベンジン、シンナーなども該当する。油分が付着したタオルや衣類は洗濯した後であっても乾燥時に注意が必要だ。
事例2「手入れされていないレンジで食品を温めていたら、庫内から煙が発生し、扉を開けたら突然火が出た」
発火の原因は “庫内の汚れ” 。レンジ庫内にこぼしたり、飛び散ったりした食品カスや油を付着したままにして使用を続けていると、その部分に電波が集中し、そこから火花が出たり、発煙・発火したりすることがある。さらに、その直後に扉を開けたことで、庫内に空気が供給され、食品が発火したのだ。庫内の食品が燃えだしたときは、スイッチを切り、プラグを抜いて、炎が消えるまで扉を開けないこと。燃えやすいものを本体から離し、火が消えるのを待つ。水をかけるのは、レンジのガラス扉が割れる危険性があるためNGだ。
川上氏は「デザイン・機能・性能が少々悪くても財産や命にかかわることはありません。しかし、安全な電気製品でないと、火災の原因になったり、もしかしたら家や財産、最悪命まで失ってしまったりする危険性があります」と警鐘を鳴らす。
また、「これから老齢化社会がますます進むと、高齢者のみの世帯がますます増え、有事の際、機敏に対応できない可能性が高くなります。そのような環境下ではやはり、電気製品ではまず安全なものを身の回りに置くことで、安心な生活ができるのではないかと思います。ぜひ、いま一度強く認識を持っていただきたい」と訴える。
いつのまにか希薄になってしまった家電の安全性に対する意識。見過ごしがちな大事なポイントにもう一度きちんと目を向けていきたい。
進学、就職、転勤など春の新生活スタートに欠かせない “家電” 。また、今年は東京オリンピックの開催を控え、テレビをもっと大画面の4Kテレビへ買い替えて見たいと検討をはじめたご家庭も少なくないのではないだろうか。こうした家電を選ぶ際に、消費者が重視する項目は何だろうか。
電気製品の安心・安全を表すSマーク認証を運営する電気製品認証協議会(SCEA)の川上広明事務局長は「皆さんが電気製品を購入する際、何を目安に購入されているのか。恐らくほとんどの人が、製品のデザインや機能・性能、あるいは、値段の安さではないでしょうか。しかし、忘れてはならないのは、なにより安全な製品であること。そのことが見過ごされているようで、きちんと認識してもらうことの大切さをつくづく実感します」と “製品の安全性” への目配りを忘れないでほしいと話す。
生活や価値観の多様化を背景に、ロボット掃除機やふとんクリーナー、電気圧力鍋、アクションカメラ、音声翻訳機など新しいジャンルの家電が次々に登場する。そのような中、SCEAでは電気製品の安全性確保を目指し、さまざまな事故情報に基づき、事故を未然に防止するための追加基準を制定して対応している。有名な例が「電気ケトルのやけど事故」への対応だ。
「必要な分だけお湯をサッと沸かせて経済的」「小型軽量で持ち運びしやすい」など人気を集める電気ケトル。しかし、その人気が急上昇し始めた当初、子どもを中心とした電気ケトルの転倒によるやけど事故が多発して社会問題となった。
小さな子どもの手が届かないところに電気ケトルを置くことはいわば当然のことなのだが、SCEAではこの件に対し、流水試験による追加基準を設け、いち早く対応を見せた。流水試験とは、電気湯沸器(電気ケトルおよび電気ポット)を載せた台を静かに傾けていき転倒させ、転倒から10秒経過した後の重量(=湯の流出水量)を測定。これを注ぎ口だけでなく、全4方向に対して試験を行い、4つすべての方向において流出水量の値が50mL以下であることを新たな安全基準として追加。この転倒流水試験にも合格している電気ポットにのみSマークを付け、事故防止に努めた。
「電気店に売っている製品ならばどれも安全なものに違いないと認識されていて、製品を購入する際に “安全” という要素が欠落してしまっているのが実情です。しかも最近は、デザイン映えした安価な海外製品も数多く目に付きます。しかし、一概にまったく安全な製品であるとは言えないのです。特にネットで購入する場合は、判断をなおさら難しくしています」と指摘する。
安心・安全は製品選びの際の欠かせない条件のひとつ。その安全性について、メーカーの自己確認ではなく、第三者認証機関による多項目の安全試験や工場での品質検査など、厳しい安全基準をクリアした “証” がSマークなのだ。候補モデルから絞り込む際には、Sマークがついているかどうかもぜひ、確認してみてほしい。
■大きな危険が潜む家電の誤った使い方
家電製品にまつわる事故原因でもうひとつ注意しなければならないのが誤った使用方法だ。普段、気にも留めなかったことがまさかの事故につながる。そんな事例を、パナソニックでは「事故事例から学ぶ家電安全生活」として紹介している。数々の例をあげながら、その原因と気を付けるべきポイント、対応をわかりやすく解説している。
事例1「洗濯乾燥機でアロマオイルの付いたタオルを乾燥させようとしたところ、煙が発生し、乾燥中のタオルが焦げた」
アロマオイルの付着したタオルを洗濯乾燥機や衣類乾燥機で乾燥させると、乾燥による熱風で、微量に残留した油分が酸化、発熱し、自然発火することがある。油分としては他にも食用油、ボディオイルやエステ系オイルなどの美容オイル、ベンジン、シンナーなども該当する。油分が付着したタオルや衣類は洗濯した後であっても乾燥時に注意が必要だ。
事例2「手入れされていないレンジで食品を温めていたら、庫内から煙が発生し、扉を開けたら突然火が出た」
発火の原因は “庫内の汚れ” 。レンジ庫内にこぼしたり、飛び散ったりした食品カスや油を付着したままにして使用を続けていると、その部分に電波が集中し、そこから火花が出たり、発煙・発火したりすることがある。さらに、その直後に扉を開けたことで、庫内に空気が供給され、食品が発火したのだ。庫内の食品が燃えだしたときは、スイッチを切り、プラグを抜いて、炎が消えるまで扉を開けないこと。燃えやすいものを本体から離し、火が消えるのを待つ。水をかけるのは、レンジのガラス扉が割れる危険性があるためNGだ。
川上氏は「デザイン・機能・性能が少々悪くても財産や命にかかわることはありません。しかし、安全な電気製品でないと、火災の原因になったり、もしかしたら家や財産、最悪命まで失ってしまったりする危険性があります」と警鐘を鳴らす。
また、「これから老齢化社会がますます進むと、高齢者のみの世帯がますます増え、有事の際、機敏に対応できない可能性が高くなります。そのような環境下ではやはり、電気製品ではまず安全なものを身の回りに置くことで、安心な生活ができるのではないかと思います。ぜひ、いま一度強く認識を持っていただきたい」と訴える。
いつのまにか希薄になってしまった家電の安全性に対する意識。見過ごしがちな大事なポイントにもう一度きちんと目を向けていきたい。
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